ゼレンスキー大統領と握手するカトリーン・ヤコブスドッティル首相(左) |
著:シュタイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ
常備軍を保有していないという点で、アイスランドはNATO加盟国の中では珍しい立場にあります。
冷戦時代、この国ではNATOから脱退するか否かの議論が何回も交わされました。1970年代には、イギリスとの第二次、第三次タラ戦争を受けて、NATOから脱退すると脅したことすらあったのです。
しかし、その平和主義的な特徴と、アイスランドのNATO加盟に反対していることで知られる首相がいるにもかかわらず、この島国はイラクやアフガニスタンを含むいくつかのNATO主導のミッションに平和維持要員を提供したり、NATOの空軍基地を受け入れた国でもあります。[1]
軍備を保有していないことから、アイスランドによるウクライナへの支援の大部分は人道支援に力が注がれています。
この国による軍事援助の例としては、貨物機をチャーターしてNATO加盟国からウクライナに軍用品を輸送したり、防寒具、EOD(爆発物処理)用装備、野戦病院の提供などが挙げられます。
軍事援助におけるアイスランドの貢献額は約27億アイスランドクローナ(約29.6億円)に及び、経済・人道支援額については、これまでに31億アイスランドクローナ(34億円)に達しています。[2]
- 以下に列挙した一覧は、ロシアによるウクライナ侵攻の最中にアイスランドがウクライナに供与した軍事援助及び人道支援の追跡調査を試みたものです。
- 一覧の項目は種類ごとに分類されています。
- この一覧には、個人及び企業からの寄贈品は含まれていません
- この一覧はさらなる支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
- 各装備類の名称をクリックすると、当該装備類などの画像を見ることができます。
軍事援助
- 1 野戦病院 [予定]
- 10 燃料補給車(ウクライナ軍用) [2023年5月以降に供与]
- ウクライナのEOD部隊用装備及び訓練 [2023年3月から] (北欧諸国及びリトアニアと協力して実施)
- 戦場医療分野におけるウクライナ兵への訓練 [同上] (イギリスと協力して実施)
- ウクライナ兵用防寒具 [2022年]
- エア・アトランタ・アイスランディック社のボーイング747のチャーター(弾薬輸送用) [2022年2月から]
- 355万ユーロ(5.61億円): NATOのウクライナのための包括的支援パッケージ用 [2022年/2023年]
- 355万ユーロ(5.67億円):イギリス主導のウクライナ支援国際基金用 [同上]
人道支援
- 938万ユーロ(14.8億円 :国連機関及び赤十字国際委員会を通じての寄贈 [2022年/2023年]
- 150万ユーロ(2.3億円): ウクライナへ緊急援助基金用 [同上]
- 41万ユーロ(6,481万円): 世界銀行によるウクライナ支援用マルチドナー信託基金用 [同上]
- 41万ユーロ(6,481万円)相当:発電機 (5) と 変圧器 (22) [同上]
- 40.8万ユーロ(6,446万円)相当:食料品及び義足・義手 [同上]
- 20万ユーロ(3,160万円):NATO-ウクライナ専門家育成プログラムの信託基金用[同上]
ウクライナからの難民受け入れ
- 約2,600人のウクライナ難民(アイスランドの人口は37万5,318人)[2022年2月から]
[2] War in Ukraine - Iceland's response https://www.government.is/topics/foreign-affairs/war-in-ukraine/
※ この記事は2023年7月20日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
です。
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