著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
内戦で荒廃した国:エチオピアへの武器・装備の継続的な引き渡しは全く報告されておらず、現地の状況に与える影響も現時点でほとんど不明です。
ただ、わかっているのは、エチオピアの軍備の消耗が絶えず続いている状況が、この国をイランからの「モハジェル-6」無人戦闘航空機(UCAV)さえも含む追加の武器を提供してくれる意思があるサプライヤーを地球上で探し回させているということです。
現在、イランのUCAVはイスラエルや中国のものと一緒に運用されており、これは現代における外国の武器サプライヤーのネットワークがどれほど複雑になっているかを示しています。
エチオピア政府への支援を繰り返し表明しているもう1つの国としては、アラブ首長国連邦がありますが、これまでのところ、この支援が具体的にどのようなものだったかについては、依然として議論の対象になっています。
エチオピア政府のためにUAEのドローンがエリトリアのアッサブ空軍基地から出撃していると頻繁に主張されていますが、現実にはほとんど現実に基づいていないと思われます。また、2020年当時でも現在でも戦場の上を飛ぶエミレーツの「翼竜」UCAVも存在が確かな証拠によって裏付けされたことはもありません(注:最近になってエチオピア軍自身が「翼竜Ⅰ」を運用し始めたことが当ブログによって判明しています)。
それにもかかわらず、大型のIL-76輸送機がUAEとエチオピア最大の空軍基地であるハラールメダの間を頻繁に往来しています。 [1]
貨物の内容については推測することしかできませんが、軍用品が含まれている可能性が高く、その代わりに人道援助物資はエチオピアの民間空港に届けられていると思われます。
UAEのために運航しているIL-76は兵器システムをもたらすイランのIL-76と同じく定期的にハラールメダに着陸しているようです。この状況は、とてつもない量の武器が日常的にエチオピアへ輸送されていることを明確に示しています。[1]
以前のUAEによるエチオピアへの武器輸送には、数多くの現代的なデザインの小火器を製造しているカラカル社製の銃火器が大量に含まれていたことが知られています。エチオピアでも使用されているイスラエル製の「TAR-21」アサルトライフルと同様に、カラカル社から供給された武器は共和国防衛隊(RG)だけに支給されました。
RGはエチオピアの当局者や重要な施設を脅威や襲撃から守ることを任務としている部隊であり、この目的のために最新の小火器や軽(装甲)車両を数多く運用しています。
最近では、RGはエチオピアのよく訓練された部隊の1つとして、ティグレ戦争に積極的に加わるレベルまで任務が拡大しているようです。
エチオピアに引き渡されたカラカル社の銃で間違いなく最も洗練されているのは、7.62x51mm NATO弾を使用したセミオートマチックの「CAR 817-DMR」 マークスマンライフル(下の画像)です。
エチオピア軍で使用されているPSLやSVDと比較すると、10発または20発が装填された弾倉を装備した「CAR 817DMR」は全ての指標の大幅な向上をもたらしています。
現在、このライフルはティグレ防衛軍(TDF)のエチオピア本土侵攻を阻止するために展開している共和国防衛隊で使用されていると思われますが、これまでに鹵獲されてTDF戦闘員の手に落ちたものは確認されていません。
RGに導入された別のカラカル製品には、5.56x45mm NATO弾を用いる「CAR 816」カービン銃があります。
この銃については、PDW用(個人防御火器)の7.5インチからAR用(アサルトライフル)用の6インチサイズまで、多種類にわたる銃身を装備したタイプを注文することが可能です。エチオピアはこのうちの「カービン14.5」を導入したようで、すでにRGで使用されているイスラエルの「TAR-21」を補完していると思われます。
この銃については、PDW用(個人防御火器)の7.5インチからAR用(アサルトライフル)用の6インチサイズまで、多種類にわたる銃身を装備したタイプを注文することが可能です。エチオピアはこのうちの「カービン14.5」を導入したようで、すでにRGで使用されているイスラエルの「TAR-21」を補完していると思われます。
「CAR 817-DMR」と同様に、「CAR 816」も今のところはTDFに鹵獲されていないようです。もちろん、これらはエチオピアで一般的に使用されているAK系統のライフルとは異なる種類の弾薬を使用しているため、鹵獲された場合は専用の弾薬が尽きるまではTDFの有用な武器となるでしょう。
エチオピアに納入されたことが知られている最後のカラカル製品は、.338ラプア・マグナム弾を使用する「CSR 338」狙撃銃(下の画像)です。
「CSR 338」はティグレ軍に鹵獲されたことが知られている唯一のカラカル製品であり、彼らは今や元の所有者たちに対していくつかの鹵獲した狙撃銃を使用しています。 この狙撃銃の軽さ(僅か6.35kg)は、エチオピアの山が多い戦闘地形において両軍に確実に高く評価されるでしょう。
エチオピアへの継続的な武器の流入が、ますます民兵に依存している軍隊を救うのに十分なものになるかどうかは、まだわかりません。ただし、少数のUAE製小火器が内戦の最終的な結末に少しも影響を与えないことは間違いないでしょう。
しかし、これらは紛争の間にエチオピア軍で使用されている多様性に富む武器を代表するものとなっており、2年目に突入しようとしている戦争で確実に重要な役割を果たし続けるでしょう。
[1] https://twitter.com/Gerjon_/status/1435329547722018817
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エチオピアへの継続的な武器の流入が、ますます民兵に依存している軍隊を救うのに十分なものになるかどうかは、まだわかりません。ただし、少数のUAE製小火器が内戦の最終的な結末に少しも影響を与えないことは間違いないでしょう。
しかし、これらは紛争の間にエチオピア軍で使用されている多様性に富む武器を代表するものとなっており、2年目に突入しようとしている戦争で確実に重要な役割を果たし続けるでしょう。
[1] https://twitter.com/Gerjon_/status/1435329547722018817
※ 当記事は、2021年10月4日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
があります。
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