2021年11月13日土曜日

ティグレ戦争:中国製UCAVがメケレ市上空で目撃された



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 当サイト(英語版)がエチオピアによって中国製「翼竜Ⅰ」無人戦闘航空機(UCAV)が導入されたことを最初に報じてから約2週間後、ついにエチオピアの空にこの無人機が存在していることを裏付ける映像の証拠が現れました。[1]

 2021年10月下旬に撮影された映像には、ティグレ州の州都メケレの上空を飛行する1機の「翼竜Ⅰ」を映し出しています。

 「翼竜Ⅰ」は、イランの「モハジェル-6」UAEのVTOL型ドローンを調達に続いてエチオピアが導入したことが確認された3種類目のUCAVです。筆者が受け取った情報と「翼竜Ⅰ」が製造されている中国の成都からエチオピアのハラールメダ空軍基地への疑わしい貨物便を重ね合わせると、2021年9月に少なくとも3機の同UCAVがエチオピアに届けられたことを暗示しています。 [1]

 エチオピアがこのシステムに寄せる主な関心については、これまで空軍に著しく不足していた精密誘導爆弾(PGM)の配備に向けられるでしょう。

 2021年8月にイランからPGMを搭載した2機の「モハジェル-6」UCAVが納入されたものの、エチオピアでの働きは今のところ全く成功していないようであり、両機は運用パフォーマンスが乏しいせいか現在は駐機状態にあります。[3]

 「翼竜Ⅰ」は現時点で中国で最も商業的に成功しているUCAVであり、これまでに少なくとも世界中で7つの海外の顧客によって導入されたことが確認されています。 [4]

 ただし、このUCAVはその間に、兵装の搭載量を2倍にするため左右の主翼にハードポイントを2つずつ設けたことを含む多数の能力向上を図った、より高性能な「翼竜Ⅱ」に取って代わられました。しかし、前モデルの「翼竜Ⅰ」と比較すると「翼竜Ⅱ」は高価なことに加え(約1500万ドル=17億円に達すると考えられています)、前者の現代的なデザインは今日でも輸出市場でその人気を確かなものにしています。

「翼竜Ⅰ」(これはイメージ画像であり、エチオピアの機体とは無関係です)

 「翼竜Ⅰ」をエチオピアに輸送した貨物機は、航空機トラッカー:Gerjon氏によって2021年9月17日に撮影されたハラールメダ空軍基地の衛星画像上で確認された、ウクライナ・アントノフ航空のAn-124「UR-82029」だったと考えられています。 [5]

 このフライトで、「UR-82029」は(「翼竜Ⅰ」の製造拠点がある)成都から旅程をスタートし、イスラマバードに短時間立ち寄った後、結果的に最終目的地であるハラールメダ空軍基地に着陸しました。
[6]



 すでに2021年9月初旬には、エチオピア空軍司令官へのインタビュー映像でUCAVの模型が目立つように展示されていたことによって、「翼竜Ⅰ」の入手が初めてほのめかされました。

 ティグレ戦争への中国製UCAVの参戦については、すでに2020年11月の紛争が勃発してからずっと推測されてきました。エリトリアのアッサブ空軍基地からUAEが運用する「翼竜」が出撃していると頻繁に言われていますが、今までのところ、これらの主張を裏付ける証拠が提示されたことはありません。



 エチオピアが最近になって多くのUCAVを調達したことを踏まえると、ティグレ軍が彼らによって加えられる圧力の増加を戦場で感じるのは時間の問題かもしれません。

 同世代の別機種と比較すると、「翼竜Ⅰ」は国外での運用で多数の技術的欠陥が見つかったり、非常に多くの墜落事故に遭っていますが、到着してから3ヶ月を過ぎても依然として接地状態にある「モハジェル-6」よりもエチオピアに恩恵をもたらすことは確実です。

 エチオピアによるドローン戦争は、イスラエル、中国、イラン、そしてUAE製のUAVの信頼性に関する情報をエチオピアと世界の国々にもたらすことは間違いないでしょう。その理由1つだけを取っても、エチオピアで現在展開している出来事を記録することは重要です。



[1] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[2] ን6ይ ግዘ ደብዳብ ነፋሪት ኣብ ከተማ መቐለ https://youtu.be/wpZis6n9uqI
[3] 著者がデジェン航空工学産業 (DAVI)で働く整備員から得た情報
[4] An International Export Success: Global Demand For The Bayraktar TB2 Reaches All Time High https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/an-international-export-success-global.html
[4] https://twitter.com/Gerjon_/status/1439611723992997888
[5] https://twitter.com/Gerjon_/status/1438797867536338946

※  当記事は、2021年10月28日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
 があります。




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