著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
この記事は、2015年9月21日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。
数日前にシリア領空で「Su-30SM」と「Su-24M2」が目撃された後、StratforとAllSource Analysisが9月20日に入手した最新の衛星画像によって、フメイミム/バッシャール・アル・アサド国際空港(IAP)で組み立てられている12機の「Su-25 "フロッグフット」の存在が明らかになりました。これで、シリアへの展開が確認されたロシア軍作戦機の数は合計で(少なくとも)20機となりました。ほぼ同じ頃、アメリカ政府の当局者は、ロシア軍のシリアへの大規模な軍事介入の一環として戦闘機28機とヘリコプター20機がシリアに駐留していると述べています。
現時点におけるシリア派遣部隊の航空戦力は、「Su-24M2」戦闘爆撃機12機と「Su-30SM」多用途戦闘4機、「Su-25」対地攻撃機12機に加え、主に「Mi-24/35」攻撃ヘリと数機の「Mi-17」輸送ヘリで構成されるヘリコプターが最大で20機、若干数の無人機(UAV)です。ただし、「Su-24M2」の姿はまだフメイミム/バッシャール・アル・アサドIAPの衛星画像で確認できていません。後日に撮影された画像に写っているか、別の場所に移動した可能性があります。すでにシリア軍の「Su-24」飛行隊がT4飛行場に駐留している点を踏まえると、「Su-24M2」の配備先も同じと考えるのが理にかなっているでしょう(編訳者注:実際はフメイミムに配備された)。
フメイミムからUAVが飛んでいるという情報は、シリアに配備されているロシア軍部隊の規模を考えれば驚くことではありません。すでにロシアの小型UAVの存在は2015年7月21日に確認されており、今では彼らの作戦飛行がより大型のUAVで強化された可能性があります。
ロシア軍の人員、装備、車両そして作戦機の大量配備の背後にある正確な狙いは依然として不明のままですが、ロシアが主導する奇襲攻撃は、アサド政権によって行われている攻撃とは全く異なる結果をもたらすかもしれません。もう一つ考えられる可能性は、ロシアが前線への大規模な兵力投入を控え、その代わりにまず航空戦力で内戦に介入することです。シリアに展開する作戦機とヘリコプターの規模は今後数日間で最大50機に達する可能性があります。
(ヘッダー画像に見える)整然と並べられた「Su-25」は優れた近接航空攻支援(CAS)機です。その大きなペイロードを活用して、あらゆる攻撃時に地上部隊へ継続的な支援を提供することができます。特にロシアの最新誘導兵装を装備した場合、これらの攻撃機はロシア空軍自身の対地攻撃能力も大幅に向上させるでしょう。そして、ほぼ全ての反政府勢力が保有する対空兵器の大部分に耐えることができるほど頑丈です。
ロシア軍のシリア派遣はアサド政権が権力の座を維持し続けることを意味しており、彼抜きでの新(統一)政権への移行はほぼあり得ないと言っても過言ではありません。単なる軍事作戦のように見えますが、この派兵は反政府勢力をはるかに不利な条件で交渉のテーブルに復帰させるものです。この事実は、この動きに対する今のところ静かな国際的反応に反映されています。
[翻訳に際しての参考資料]
Latest imagery shows 28 Russian aircraft (12 Su-24s, 12 Su-25s and 4 Su-30s) on the ground at airbase in Syria https://theaviationist.com/2015/09/22/latest-imagery-unveils-12-su24s/
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