北朝鮮の軍備におけるいくつかの新たな動きについて、最近(注:2013年頃)放映されたプロパガンダ 映像の中で目にすることができます。
その動きの一つが、AK-74のコピーである「88式小銃」の新型弾倉であると考えられています。この新型弾倉は著しい重量の増加や扱いにくさを生じさせますが、「ヘリカル式」を使用することによって、ほかの弾倉を持たずに多数の5.45 x 39 mm弾薬の携行を可能にします。
このヘリカル式弾倉について、 当初は金正恩の警護員だけが使用する例を除いては確認されていませんでしたが、2016年11月に特殊作戦大隊の兵士が携行しているが明らかになったほか、2017年4月の閲兵式からは特殊作戦軍などの兵士が同銃を携行して行進する姿が大々的に公開されましたこともあり、軍に普及していることを示唆しています。
公開された写真では、それぞれの警護員が弾倉を一本だけ携行しているように見えますが(大容量であることを考慮すれば驚くようなことではないですが)、下のような別の映像では、各員が2本の予備弾倉を携帯している姿が見えます。この種類の弾倉は、2010年もしくはそれより前から運用されているものと思われます。
北朝鮮の88式小銃は、標準的な30発入りの弾倉と(木製や合成樹脂の銃床を除いては)横向きか上向きの折曲式銃床(写真参照)の組み合わせが一般的です。
ヘリカル式弾倉については前述のとおり、キャリコM100などで既に存在していることから、北朝鮮のものも同様だと思われますが、2つの注目すべき違いが両者を区別します。まず、最も明白なのはこの弾倉が既存のものよりも大きい、より強力なライフルのために開発された点です。既存のヘリカル式弾倉は、一般的に7.62 x 25、9 x 17SR (.380 ACP)、9 x 18、9 x 19 mm弾といった拳銃弾を使用するために設計開発されています。2つ目は、ほかのヘリカル式弾倉は一般的にその火器自体と一緒に開発されましたが、北朝鮮のこの場合は既存の銃のために製造された点です。
上向きの折曲銃床は、典型的な横向きか下向きの折曲銃床では不可能と思われる弾倉挿入時の銃床の折りたたみを可能にさせました。
後から製作された設計とヘリカル式弾倉特有の複雑さ(標準的な取り外し易い箱型弾倉と比較して)は弾倉自体が弾薬の容量を大幅に増加させるものの、武器に誤動作と不発を誘発させる可能性を示唆しています。
ほかの口径の銃用に似たような弾倉が開発されているのか、ヘリカル式弾倉が朝鮮人民軍にどの程度装備されているかは不明である(前述のとおり、2017年の閲兵式以降では登場する閲兵縦隊の大半がこの弾倉を装備しているため、かなり普及が進んでいるものと推測されます。
以下の仕様は、既存のヘリカル式弾倉との比較だけではなく、既知の値に基づいて推定されたもので、これらは現時点における著者の「最良の推測」によるものです。
弾薬の口径: 5.45 x 39 mm
装弾数: 100発または150 発
重量: 約2 kg
全長: 約370 mm
直径: 約85 mm
※ この記事は、2014年2月に投稿されたものです。
当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが大きく異なる箇所があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読願います。
おすすめの記事
シリアにおける北朝鮮の「HT-16PGJ」MANPADS
ガザ紛争:ハマスが保有する北朝鮮の武器
北朝鮮の軍用車両・重火器
0 件のコメント:
コメントを投稿