2020年3月3日火曜日

トルコのイドリブ攻撃: トルコ軍と反政府軍によって破壊・捕獲されたシリア政府側の車両と装備(一覧)


著:ステイン・ミッツアー collaboration with キャリバー・オブスキュラ (編訳:Tarao Goo

 2020年2月27日の遅くに開始されたトルコ軍によるシリア軍と政府側民兵部隊の陣地に対する空爆と地上攻撃:「春の盾」作戦は、イドリブとアレッポの至る所で多数の標的を撃破しました。結果としてこの攻撃は前線に沿って展開していた政権軍を完全に崩壊させ、反政府軍が戦略的な町であるサラキブを再占領した後もさらに前進し続けることを可能にしました。
 この攻撃は33人のトルコ兵がシリア側による空爆で殺害された報復として開始されたものであり、トルコはシリアでの戦争で新しい段階に入ったため、現時点では(トルコの攻撃が内戦にもたらす)長期的な影響しか推測することができません。

 (挑発に対する)報復で全滅させるべくトルコ軍の陣地を故意に攻撃したことは(シリアの)政権が直面する状況に対処できているのか否かという問題を提起します。トルコの決意に直接挑戦を試みた政権(とロシアの)にもたらされた壊滅的な結果はシリア情勢を観察している人々だけでなく政権軍自体も驚かせたに違いありません。

 切迫した危険を完全に見誤ってトルコの報復攻撃を適切に予想することができなかったため、シリア軍は砲撃と無人機の攻撃に直面して完全に崩壊してしまいました。シリア空軍(SyAAF)とシリア防空軍(SyAADF)は(地上の政権軍を自由に攻撃している)トルコ軍の航空機や「バイラクタルTB2」を含む無人機を迎撃したり少なくとも攻撃を阻止するどころか、これまでにトルコ空軍機のシリア領空への侵入を阻止しようとすらしていません。

 確実に言えることはトルコの「新しい段階」が反政府軍にとってベストな時期に来なかったということです。なぜならばイドリブの反政府軍は至る所で守勢に立たされて敗北しており、イドリブはシリア政府・軍に敵対する勢力への最大の武器・弾薬の供給源から大部分が切り離されてしまったからです。

 過去にはシリア軍がアイヤッシュのような主要な武器貯蔵庫の守備や(敵に利用されることを防ぐために)保管武器の分配、少なくとも破壊処分をしなかったために、結果として反政府軍に対する車両や武器・弾薬の一見して無限の供給が確保されました。劣勢となった今日では、反政府軍は外国からの供与か闇市場で調達した少数の弾薬にほとんど依存しています。

 イドリブの反政府軍が戦車などの重装備をストックする唯一の方法は貧弱な防御ながらも過剰に保管された兵器がある政権軍の陣地を突破して奪取することだけしかありません。しかし、現在(2020年3月の時点)ではトルコの支援を受けた攻勢がサラキブ市に対して開始されています(注:奪取の道が開かれたということ)。

        

 破壊や捕獲された車両・兵器・弾薬の詳細なリストは下で見ることができます。
 また、無人機「バイラクタルTB2」によって破壊されたものにはその旨を明記しています。ただし、この作戦にはTAI「アンカ-S」も参加しているため、同機によると思われる戦果がある可能性も否定できません(判明した場合は訂正します)。

 このリストには画像や映像による証拠を提示できる、捕獲・破壊された装備を中心に掲載しています。したがって、トルコに破壊されたり、イドリブの反政府軍に捕獲された装備の量は間違いなくここに記録されているものよりは多いはずです。現時点ではこのリストに小火器と弾薬が含まれていませんがキャリバー・オブスキュラ氏によるリストが公開された後に追加されます。

 このリストは使用できる追加の資料があったり、正確な情報が確認された場合には更新されます。(装備名の後に列挙された数字をクリックすると捕獲・破壊された各車両の画像が表示されます。)

※最終更新日:2021年7月10日午後8時24分


戦車 (50, このうち破壊: 37,捕獲13)


歩兵戦闘車 (21, このうち破壊: 9,捕獲:12)


牽引・自走砲 (26, このうち破壊: 26)


多連装ロケット砲 :(12, このうち破壊:11,損傷:1)


迫撃砲 (3, このうち破壊: 1,捕獲:2)


対戦車ミサイル(37,このうち捕獲:37 ※このうち10は発射機または照準器)


(自走) 対空砲 (7, このうち破壊: 6,捕獲:1) 


対空ミサイルシステム (3, このうち破壊: 1)


レーダー(1,このうち破壊:1)


航空機とヘリコプター(8,このうち破壊:8)
  • 2 Su-24MK2 (2020年3月1日に撃墜)
  • 1 L-39 (2020年3月3日に撃墜)
  • 2 Mi-8/17 (それぞれ2月11日と同月14日に携帯式地対空ミサイルによって撃墜)
  • 3 MBB 223 「フラミンゴ」 (クワイリス基地のハンガー内にて被弾。 以前からスペアパーツ取り用として使われていたり放棄されていた可能性あり)


トラックや各種車両 (31, このうち破壊: 19,捕獲:12)

戦略的施設・拠点

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 ※  この翻訳元の記事は、2020年2月29日に投稿されたものです。当記事は意訳など 
   により、本来のものと意味や言い回しが異なったり、割愛している箇所があります。
    正確な表現などについては、元記事をご一読願います。 

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