2017年9月22日金曜日

DIYに走るリビア・ドーン: 地対地ロケットとして使用されるS-125地対空ミサイルがT-62戦車に搭載された


著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

これまでにリビアの戦場における過酷な戦闘環境は、各勢力の部隊に対して以前に放棄された装備の新しい利用方法を見つけるため、各々の創造性を活用して策を講じることを強いており、既にそのようにして、リビア軍(LNA)とリビア・ドーン(注:「リビアの夜明け」)がAK-230エリコン GDF艦載機関砲をトラックに搭載するといった興味深い多くの工夫を生み出している。

内戦が依然として終結に至るまでには遠いようだが、そのようなDIYはリビア・ドーンによる別の急造の移動式地対地ミサイルシステムの誕生が目撃されているように、未だに日の目を見続けている。
今年4月(注:2015年)に、S-125 SAMを地対地ミサイルとして牽引式発射機から発射するべく改修に取り組んだリビア・ドーンは、これらのシステムの能力で良好な結果をほとんど得られなかったにもかかわらず、これらを発展させる方針を続けてきたようだ。
新しい移動式発射システムはT-62(1972年型)を移動式発射台(TEL)のベースとして使用し、単発の改良型S-125を主要な兵装として砲塔の上に搭載した。  

リビアの首都であるトリポリと同様にミスラタを支配するリビア・ドーンは、リビアにおけるT-62の最大の運用者であり、トリポリ近郊を含む様々な場所での戦闘で同車を使用していた。
リビアのT-62部隊の主力は革命前にミスラタのハムザ大隊によって運用されていたが、革命の間に運用拠点がNATO主導の連合軍に攻撃された。
現在、リビア・ドーンには数十台のT-62が稼働状態にあるが、他の多くは様々な要因で使用不可の状態にあり、スペアパーツのために共食い整備の対象にされる可能性がある。

リビア・ドーンのS-125を地対地用途に改修するという以前のプロジェクトの画像から観察できるように、無誘導で飛行中の安定性を向上を試みるためにミサイル前部のフィンが取り外された。
同様にノーズコーンは延長され、ペイロード(本来はわずか60kg)を増やしたか、航空機を破壊するために設計された本来の爆発性破片弾頭を、従来型の高性能爆薬を載せた弾頭(注:砲弾や地対地ロケット用)に交換した。
新しい画像では簡単に識別できないが、標準の近接信管は、地対地用途のために設計されたものに置き換えられている可能性がある。

他の用途のために地対空ミサイルを改修することに携わったのは、リビア・ドーンが最初ではない。
バーシスト・イラクもイラン・イラク戦争の終盤近くに同じコンセプトで実験を行ったが、満足のいく結果を得ることができなかった。
このプロジェクトの詳細はこちらで読むことができる。

S-125を対地用途に改修することは、移動式発射台に搭載されているにもかかわらず僅かな価値のままである。
むしろ戦術的な目的よりも心理的な目的で役目を果たすだろう。

 ※ この翻訳元の記事は、2015年7月13日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

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2017年9月1日金曜日

DIYに走る「リビアの夜明け」:「2K12」地対空ミサイルがイタリアの「プーマ 6x6」 APCに搭載された

著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 「リビアの夜明け」(注:国民救済政府。後に国民統一政府:GNAに政権を移譲)によって、いくつかの「S-125」地対空ミサイル(SAM)が地対地ミサイルへ改造されるという驚くべき動きがありましたが、これがリビアにおける独自改造の全てでというわけではありません。   

 実際、「リビアの夜明け」はほぼ同じ時期に2K12(SA-6)SAMをより機動的なランチャーへ搭載するために改造する作業にも取り組み始めていました。

 最初に登場したものは、上に見られるようにイタリア製の「プーマ 6x6」 装甲兵員輸送車(APC)とソ連が設計した「2K12」SAMシステムの発射機構を組み合わせたものです。

 これに用いられたプーマは、2013年にイタリアによって新生から間もないリビア軍に寄贈された20台の一部だったものの、現在では新しい所有者によって完全に違う役割へと改修されてしまいました。   

 自走発射機のベース車両をオリジナルの「2P25」から「プーマ 6x6」に変更するため、同APCを新しい役割に適応させるには多くの変更が必要となったことは言うまでもないでしょう。

 これらの「2K12」用「9M39」ミサイルが本来の役割として残されているのか、地対地ミサイルとして改造されたのかは不明のままですが、いずれの場合でもこのシステムがリビアの戦場に少しでも影響を与える見込みはないでしょう。
 
「リビアの夜明け "空軍"」の主要な拠点であるミスラタ空軍基地を防衛することを目的としたこの「2K12」SAMの改修型は、間違いなく予想されうる侵入機を追い払うかもしれませんが、本当に攻撃してくる敵機に直面した際にその機が撃墜されることはほとんど起こりえないでしょう(注:本当に対空用途で使える見込みが皆無ということ)。 

 しかし、彼らはリビアでのDIYプロジェクトを増やしていることを示唆しているため、著者はこれが最後の独自兵器ではないと確信しています。


※  この記事は2015年にOryx本国版(英語)に投稿された記事を翻訳したものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所が存在する場合があります(注:オリジナルの英文記事は情報が古くなったため、削除されました)。  

 

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