2022年1月30日日曜日

ティグレ戦争:いまだにエチオピア軍への物資輸送を続けるイラン機


著:Gerjon 氏が収集したデータを基にステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ が執筆 (編訳:Tarao Goo

 (6機の「翼竜Ⅰ」UCAVを輸送した後で)エチオピアへ武器や装備類を運ぶUAEの貨物便が停止したように見えるにもかかわらず、同種の貨物を運んでいると思しきイランの航空便はこの国に到着し続けています。[1] [2]

 過去1ヶ月で、「ファルス・エア・ケシュム」社の「ボーイング747-200FSCD」貨物機が5回もアディスアベバ・ボレ国際空港に着陸しました。「ボーイング747」の積載物の詳細については現時点では推測することしかできませんが、先述のフライトが2021年8月からセマラ空港に配備された2機のイラン製「モハジェル-6」UCAVに関連していることは考えられなくもないようです。[3] [4]

 ティグ戦争の流れを変えるために武装ドローン戦力を必死に求めたエチオピアは、期待を胸にして2機の「モハジェル-6」を入手することに成功しました。とはいえ、エチオピアでの運用には大きな問題があり、制御システムの問題で実際に用いることが阻害されたため、両機はすぐに駐機(放置)状態にされてしまいました。[3]

 「モハジェル-6」が抱える問題がやっと解決されたと思われるには2021年10月下旬まで時間を要したようです。2021年11月中には両機はセマラ空港の滑走路などで定期的に目撃されており、 ある程度は飛行していることが推測されています。 [5]

 「ファルス・エア・ケシュム」社は、2機の「ボーイング747-200」貨物機を世界中に数多く存在する送り先に飛ばしています。この航空会社はイラン革命防衛隊(IRGC)の傘下にある会社で、シリアに展開したイラン民兵に対する兵器類の輸送で2019年にアメリカから制裁を受けており、レバノンのヒズボラへの武器輸送にも関与していることが知られています。[6] [7]

 「ボーイング747」だけがエチオピアを頻繁に訪れるイランの航空便ではありません。「ポウヤ航空」も同様のフライトで「Il-76TD」を往来させています。この航空会社もIRGCが所有している企業であり、同様にエチオピアへの武器輸送に使用されたと考えられています。[8][9]

 私たち著者はエチオピア国防軍(ENDF)で使用されているイラン製兵器の痕跡を徹底的に調査しましたが、現時点では2機の「モハジェル-6」とその支援資機材及び弾薬だけがエチオピアで存在が確認されている唯一のイラン製兵器となっています。ENDFが空輸されたロケット砲といったほかのイラン製兵器を用いて作戦に活用していると考えるのも妥当な見方ですが、「モハジェル-6」が使用する「ガーエム」誘導爆弾の追加分を、まさにこれらの「ボーイング747」を用いて定期的に引き渡しているのでしょう。

 この数はティグレ戦争が勃発する前のイランからエチオピアへのフライト数と比較すると100%増加していますが、UAEからの119便と比較すると存在感が極めて薄いものとなっています(注:内戦前にはイランからの貨物便が全くなかった事を意味しています)。

 これまでに、UAEはエチオピアに最低でも6機に「翼竜Ⅰ」UCAVや迫撃砲弾で武装した大型のVTOL型UCAVをエチオピアに届けました。また、エチオピアも2021年10月にUAEから50台の救急車仕様のトヨタ・ランドクルーザーを供与されたことを公表しています。[11] [12][13]

エチオピア(ボレ国際空港とハラールメダ空軍基地)への貨物便の飛来回数

 この1ヶ月で現地の状況は劇的に逆転しました。衰えることなく続くドローン戦による圧力でティグレ軍部隊に首都アディスアベバへの侵攻を断念させ、拠点のティグレ州まで退却を余儀なくさせたのです。

 エチオピア側でのUCAVの配備と使用については依然として全くわかっていませんが、ティグレ戦争をUCAVが突破口を開いた紛争のリストに追加できることを示唆する理由は十分にあります。

 この偉業は少なからずエチオピア軍に(UCAVを含む)必要な武器や装備の供給を維持するため、UAEとイランによって行われた大規模な空輸を通じて達成されたものと言っても差し支えないでしょう。

 アフリカのこの地域におけるイランの武器と多岐にわたる支援の急激な拡散は、アメリカを大いに動揺させるかもしれません。イランから武器を調達した代償について、エチオピアは後でアメリカの制裁という形で支払うことになるのでしょうが、まだ目に見えてはいないようです。



[1] https://twitter.com/Gerjon_/status/1475778475663544321
[2] The UAE Joins The Tigray War: Emirati Wing Loong I UCAVs Deploy To Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/the-uae-joins-tigray-war-emirati-wing.html
[3] Unfit For Service: Ethiopia’s Troublesome Iranian Mohajer-6 UCAVs https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/unfit-for-service-ethiopias-troublesome.html
[4] Iranian Mohajer-6 Drones Spotted In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/iranian-mohajer-6-drones-spotted-in.html
[5] Ethiopia now confirmed to fly Chinese armed drones https://paxforpeace.nl/news/blogs/ethiopia-now-confirmed-to-fly-chinese-armed-drones
[6] U.S. lands sanctions on Iranian cargo airline https://www.freightwaves.com/news/u-s-lands-sanctions-on-iranian-cargo-airline
[7] Iran's secret weapons-smuggling air routes to Lebanon revealed by intel sources https://www.foxnews.com/world/irans-secret-weapons-smuggling-air-routes-to-lebanon-revealed-by-intel-sources
[8] https://twitter.com/search?q=%40gerjon_%20pouya&src=typed_query
[9] Pouya Air (Yas Air) https://www.iranwatch.org/iranian-entities/pouya-air-yas-air
[10] https://twitter.com/Gerjon_/status/1475778475663544321
[11] The UAE Joins The Tigray War: Emirati Wing Loong I UCAVs Deploy To Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/the-uae-joins-tigray-war-emirati-wing.html
[12] UAE Combat Drones Break Cover In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/uae-combat-drones-break-cover-in.html
[13] The Cargo Cleared For Print: UAE Wartime Deliveries To Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/the-cargo-cleared-for-print-uae-wartime.html

※  この翻訳元の記事は、2021年12月28日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事
  を翻訳したものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇    
  所があります。



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2022年1月27日木曜日

ジャングルにようこそ!:コンゴ民主共和国におけるウクライナの「T-64B1M」戦車



著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 ウクライナが販売した兵器は世界中の多くの軍隊の保有リストの中で広く行き渡っており、予算内で軍隊を活性化させようとする国家にとって、この国は兵器の供給源として頼りになる存在であり続けています。

 ソ連から引き継いだ膨大な数の余分な装甲戦闘車(AFV)や航空機、艦艇だけでなく、兵器と同様に重要な、これらの装備をオーバーホールやアップグレードでサポートする軍需産業を保有しているため、ウクライナの兵器はアフリカやアジアの国々に特に人気があります。これらの理由から、この国の軍産複合体は特にこの輸出市場に応じるために努力の大半を集中してきました。

 しかし、ウクライナがすぐに気付いたように、外国の関心の大部分は新たに生産された兵器や戦車といった装備の複雑な改修プロジェクトではなく、オーバーホールされた中古装備に向けられていました。どうやらウクライナ側はそれらの製品の市場が依然として十分に存在すると判断していたよらしく、輸出先を見つけるという僅かな希望の中で多数のAFV改修プロジェクトが立ちあげられましたが、そのほとんどが無駄に終わったことはよく知られています。

 極めて稀な成功例としては、2013年にコンゴ民主共和国(旧ザイール:コンゴ共和国との混同を避けるため、以下はDRコンゴと表記)との間で50台の「T-64」戦車を引き渡すという契約を締結したことがあります。納入される前に、これらの戦車は大規模なオーバーホールを受けて「T-64B1M」規格にアップグレードされました。

 「T-64B1M」は、砲塔への「ニージュ」爆発反応装甲(ERA)の装着と追加のERAタイルをサイドスカートと(トップアタック型対戦車ミサイルの脅威から戦車を守るため)砲塔上部へ装着することによって、戦車の防御力の向上に重点を置いた「T-64B1」の改良型です。さらに、砲塔の後部に追加されたバスルは弾薬などの収納スペースを大幅に拡張させます。

 しかし、それ以外の点ではほとんど改善が図られていないことが明らかであり、1970年代の射撃統制システムには変更が加えられていません。

 結果としてもたらされた「T-64B1M」のスペックはウクライナ陸軍で使用されているT-64BM「ブラート」とほぼ同じですが、より初歩的な射撃統制システムのままのおかげで砲発射型対戦車ミサイル(GLATGM)の発射能力を備えていません。



 DRコンゴがすでに自国軍で運用されている「T-72(AV)」の追加よりも機械的に複雑な「T-64」の導入を決定した理由は不明であり、技術力で知られているかは定かではない軍隊を持つ国にとって、これは完全に奇妙な選択です。

 異なる設計のエンジンや互換性のない部品を使用した全く新しいタイプのMBTを導入することは、特に(消耗が激しく、十分なスペアパーツがいつも入手できるとは限らない可能性がある)過酷なジャングルでの状況下では、この国と軍隊が持つ、ただでさえ脆弱な物流システムをさらに複雑なものにしてしまいます。

 しかし、彼らの兵站面での欠点はあまりにも信じがたい購入価格によって相殺される予定でした。実際、DRコンゴが支払った定価はアップグレードされた戦車1台につき、たった20万ドル(約2,200万円)でした:50台のT-64を発注したので、合計で1,000万ドル(約11億円)を支払ったことになります。[1] 

 これを日本の自衛隊が2010年に13台の「10式戦車(新品)」を発注した際と比較してみると、その価格は1台あたり870万ドル(約9.5億円)という桁外れのものでしたので、DRコンゴが支払ったT-64がいかに安価だったのかが一目瞭然です。[2]

 DRコンゴにとって不幸なことに、ウクライナ東部における武力紛争の勃発が軍によるアップグレードされた戦車の第一陣(25台)の接収とウクライナ国家親衛軍への譲渡を引き起こしました。結果として0台の戦車が1,000万ドル(約11億円)という価格になったことは、(DRコンゴ側からすると)ウクライナとの取引が急に全く安い買い物ではなくなったと感じたに違いありません。[1]


 2016年に最初の25台の「T-64B1M」がようやくDRコンゴに出荷する用意ができた時点で、その供給には論争がなかったわけではありません。なぜならば、この出荷を担当したエストニア企業「トランスロジスティック・グループ OÜ」が違法にそれを行っていたことが判明したからです。[3]

 ウクライナ国内での問題もそれに負けず劣らずで、すでに同年の10月には、余剰軍需品としてウクライナ国防省の保管場所から持ち出された「T-64」戦車のコストが過小見積もりされていたことに関して、ウクライナ検察庁が捜査を開始しています。捜査当局によると、DRコンゴへの売却は270万ドル(約3億円)を超える予算の損害をもたらしたとのことです。[3]

 このような複雑な状況のため、最終的に戦車50台の完全な売却が履行されたのか、それともウクライナが残りの25台を出荷していないままなのか、ある程度の不確実性があるのは驚くことではありません(注:結論としてDRコンゴに引き渡された「T-64」の数は依然として不透明です)。

2台のT-64B1Mを背景にDRコンゴ共和国防衛隊の兵士が63式107mm多連装ロケット砲の横でポーズをとっています。 よく見るとT-72AVと旧ユーゴ製のM-56A1 105mm榴弾砲も写り込んでいます。

 一方のDRコンゴでは、発注してから3年後にようやく戦車が届いたため、軍は造作なく安堵したことでしょう。

 到着した後、これらの「T-64B1M」はこの国が入手した大部分の現代的な兵器群と同様に、共和国防衛隊(Garde Républicaine)に配備されました。その現代的な兵器には、「T-72AV」や「EE-9」だけでなく「2S1」自走榴弾砲と「RM-70」多連装ロケット砲(MRL) といった兵器も含まれています。

 (これもウクライナから入手したと思われる)「T-55M」や中国の「62式軽戦車」といった旧式装備は一般の陸軍部隊で使用されています。サハラ以南に存在する大部分の軍隊と同様に、DRコンゴの軍隊にはあらゆる種類の誘導兵器が大いに欠けており、大量のMRLと対空砲がそのギャップを埋めています。

キンシャサで行進する共和国防衛隊のT-72AV。サイドスカートの欠落と非標準装備であるDShK 12.7mm重機関銃の存在に注目してください。

 「T-64B1M」のコンゴ人乗員は2014年にウクライナで訓練を受けたものの、(後になってから判明したことですが)彼らは訓練を受けた戦車を持たずに祖国に戻っていきました。

 2016年にようやく到着した後、これらの「T-64B1M」は本稿執筆時点でも継続中のカムウィナ・ンサプ(伝統的首長の名称で本名はジャンピエール・ムパンディ)の反乱を鎮圧するためにコンゴ中央部のカサイ地方に迅速に配備されました。このケースは、(これまでに確認された沿ドニエストル、アンゴラ内戦とウクライナ東部での使用以降に)T-64が戦闘で使用された4度目の例となりました



 DRコンゴは現時点で世界で11番目に大きな国ですが、広大なジャングルや航空機以外の手段ではアクセスできない地域が多いおかげで、この国における実際に居住可能な地域はかなり狭いものとなります。当然ながら、この事情はAFVの使用にも問題を引き起こしており、この国の大部分の地域は重火器の配備には全く適していません。

 少なくとも戦車戦に適した僅かな場所に機甲戦力を展開できるようにするため、共和国防衛隊はウクライナのKrAZ戦車運搬車の部隊を運用しており、この国の鉄道網はそれに繋がっている数少ない場所にAFVを輸送することが可能です。





 DRコンゴの「T-64B1M」は、ウクライナがアフリカやアジアの顧客へ通例的に提供している装備で興味深い例外的な存在です。

 それにもかかわらず、ウクライナの武器輸出品目は多様ではないにしても、どんなものでも揃っています。オーバーホールされた「T-55」からアップグレードされた「T-64」や「T-72」だけでなく、T-84「オプロート」 のような新設計の車両までの幅広い種類の戦車が売り出されていることから、新しい戦車を購入したいと考えている国にとっては豊富な選択肢があることは間違いありません。

 身近なところでは、ウクライナ軍に仲間入りするオーバーホールされた戦車が増加しており、「ストラーシュ」BMPTといったほかのプロジェクトもおそらくはいつかは就役にたどり着くことになるかもしれません。



[1] Экспорт танков Т-64: Конголезский контракт. https://andrei-bt.livejournal.com/470361.html
[2] https://web.archive.org/web/20140209112406/http://www.mod.go.jp/j/yosan/2010/yosan.pdf
[3] Некоторые финансовые аспекты несостоявшейся продажи украинских Т-64 в ДРК https://diana-mihailova.livejournal.com/24476.html

※  当記事は、2021年6月14日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
 があります。




2022年1月26日水曜日

ティグレ戦争:UAEがティグライ州での非人道的なドローン攻撃に関与した



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 UAEの「翼竜Ⅰ」無人戦闘航空機(UCAV)6機とそのオペレーターがエチオピアに配備されてから僅か1カ月しか経過していませんが、彼らがすでにティグライ州の町アラマタの民間施設に対する一連の空爆に関与していることが明らかとなりました。

 この空爆では町の病院や市場に着弾し、民間人に42人の死者と少なくとも150人の負傷者をもたらしました。[1] [2]

 死者の大半は、エチオピア空軍(ETAF)の「Su-27」戦闘機が投下した無誘導爆弾によるものと考えられています。「Su-27」は空中戦のために導入された機体ですが、エチオピアでは無誘導爆弾やクラスター爆弾を搭載した即席の爆撃機として活用されているからです。[3]

 しかし、アラマタの被害地域を注意深く分析した結果、UAEの「翼竜Ⅰ」に装備されている標準的な兵装である、中国製「ブルーアロー7」空対地ミサイル(AGM)の残骸も発見されました(注:「ブルーアロー7」は「AKD-10」の輸出型)。ETAFも同様に「翼竜Ⅰ」を運用していますが、これらの搭載兵装としては2021年11月初旬に第1陣が納入された「TL-2」AGMしか知られていません。[4]

 当初、エチオピアは「翼竜Ⅰ」を無誘導爆弾を搭載した「Su-27」の目標を指示するための索敵機としての運用を試みたようですが、後になってこれらを最大で4発の誘導弾を搭載した対地攻撃機として活用することにしたようです。[5]

 (最低でも、より多くの情報が得られるまでは)「ブルーアロー7」の残骸と民間人の犠牲に因果関係があるのかは確実視できませんが、UAEがイエメンやリビアでの無人機作戦の一環として、民間施設を頻繁に空爆してきたことは知られています。

 2020年には、アムネスティ・インターナショナルはUAEが武装ドローンを使用して「民間人の住宅、野戦病院を含む医療施設と救急車を標的にした」ことを理由に、アメリカにUAEへのドローンの販売を停止するように要請しています。[6] [7] [8]

 また、同年にはUAE「翼竜Ⅰ」がリビアのトリポリにある士官学校に対する無残な空爆を実施し、非武装の士官候補生26人を殺害されるという出来事もありました。[9] 

アラマタで発見された「ブルーアロー7」のロケットモータの噴出ノズル部

 アラマタでのドローン攻撃の後、リビアで発見された「ブルーアロー7」の残骸と比較するのに十分な数の同AGMの部品が爆発から生き残りました。リビアで発見されたものは、やはりUAEが国際的に承認されたリビア政府との4年以上にわたる戦争で使用したものです。[10]

 これによって両者が完全に一致していることが確認されました。最も識別しやすい部品は「ブルーアロー7」の尾部に位置するロケットモーターの噴射ノズルであり、通常はほとんどの衝撃を受けても四散することなく残存しているようです。そのため、この部品は比較対象としては最適なものとなっています。

 アラマタで発見されたAGMの残骸に関する映像はここで視聴することができます。 [11]

 「ブルーアロー7」AGMの残骸については、リビアで発見されたものはこちらこちらで、モロッコで発見されたものはこちらで見ることができます。[12] [13] [14]

アラマタで発見された「ブルーアロー7」のロケットモータの噴出ノズル部(左)とリビアで発見された同ミサイルの残骸(右)。クリックすると画像が拡大表示されます。

アラマタで発見された「ブルーアロー7」の残骸。挿入されている画像はリビアで発見された同ミサイルの残骸です。クリックすると拡大表示されます。

 UAE軍のエチオピアへの関与がイエメンやリビアへの過去の介入と同じようになるのであれば、ジャーナリストは注意を払うことを余儀なくされるかもしれません。

 リビアやイエメンと同様になる場合、病院や救急車といった非軍事的な民間施設などに対する攻撃が例外ではなくなって常態化し、発生した人権侵害の責任を問われる者が全くいないという可能性すらあります。ただし、イエメンやリビアのように、アラマタで発見された「ブルーアロー7」の残骸がその責任を明らかにするでしょう。

「翼竜Ⅰ」(イメージ画像であり、UAEやエチオピアとは無関係です)

特別協力: Saba Tsen'at Mah'derom(敬称略)

[1] Daily Noon Briefing Highlights: Ethiopia https://www.unocha.org/story/daily-noon-briefing-highlights-ethiopia-34
[2] Ethiopia: Consecutive days airstrikes in Tigray’s Alamata kill 42 civilians, injure more than 150, cause massive destruction https://globenewsnet.com/news/ethiopia-consecutive-days-airstrikes-in-tigrays-alamata-kill-42-civilians-injure-more-than-150-cause-massive-destruction/
[3] Su-27 Fighters Deployed As Bombers In Tigray War https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/su-27-fighters-deployed-as-bombers-in.html
[4] Ethiopia Acquires Chinese TL-2 Missiles For Its Wing Loong I UCAVs https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/ethiopia-acquires-chinese-tl-2-missiles.html
[5] Deadly Ineffective: Chinese-Made Wing Loong UAVs Designate Targets For Ethiopian Su-27 Bombers https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/deadly-ineffective-chinese-made-wing.html
[6] Libya migrant attack: UN investigators suspect foreign jet bombed centre https://www.bbc.com/news/world-africa-50302602
[7] UAE implicated in lethal drone strike in Libya https://www.bbc.com/news/world-africa-53917791[8] US urged to stop drone sales to UAE over civilian deaths in Yemen and Libya https://www.middleeasteye.net/news/amnesty-demands-us-halt-sale-drones-uae
[9] https://twitter.com/Oded121351/status/1213852209038987268
[10] Tracking Arms Transfers By The UAE, Russia, Jordan And Egypt To The Libyan National Army Since 2014 https://www.oryxspioenkop.com/2020/06/types-of-arms-and-equipment-supplied-to.html
[11] ደብዳብ ድሮናትን ነፈርትን ከተማ ኣላማጣ https://youtu.be/CTgtrGqmXUg
[12] https://twitter.com/jumaa_adn_adel8/status/1215352639808069632
[13] https://twitter.com/Oded121351/status/1213893498103123968
[14] Morocco's Missiles https://actualcontrol.substack.com/p/moroccos-missiles

※  この記事は、2022年1月3日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳し
 たものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇
 所があります。 



2022年1月21日金曜日

勝利の記念碑:「バイラクタルTB2」の全戦果(一覧)


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ in collaboration with ヤクブ・ヤノフスキ, ダン, COIN

 「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機(UCAV)は、現代の紛争の戦い方に関する概念を変えました。少なくとも3つの紛争で十分に試行された今となっては、この流れを元に戻すことはできません。

 比較的軽量で安価な無人機が最新の地対空ミサイル(SAM)や電子戦(EW)システムを回避するだけでなく積極的に捜索して破壊できた一方で、その見返りとして僅かしか損失を被らなかったという事実は世界中で注目を集めています。

 TB2が実戦に投入された結果は現状を驚くほどに覆し、多くの国が防空へのアプローチの再考を余儀なくされました。

 一部のオブザーバーたちは、おそらく装備が不足していたアルメニア軍をこき下ろすことによってTB2の並外れた有効性を軽視しようと試みました。 しかし、過去のシリアとリビア、そしてナゴルノ・カラバフでの戦闘で、TB2は現代諸国が有する統合防空システム(IADS)の多くを相手にできる能力を示しており、「アフトバザ-M」「レペレント-1」、そして「グローザ-S」のようなEWシステムを併用していた状況でも「ブーク-M2」「トール-M2」「S-300PS」「パーンツィリ-S1」といったSAMとの戦闘に勝利しています。

 最も先進的な国の空軍でさえ敵の空域で任務を遂行することを完全に拒否するように設計されたこれらのシステムに直面したTB2の偉業は、現代戦史における分岐点を記録しました。

 「バイラクタルTB2」の役割は単なるハンターキラーではなく、最終的には戦場を完全に支配する存在にすらなっていました。防空密度が最も高い地域の1つを飛行しながら、どんな地上目標がいる位置にも忍び寄ってそのあらゆる動きを追跡する能力があるTB2は、文字どおり地上目標の直上で旋回しながら、友軍のほかのアセットにその目標への攻撃を指示することができたのです。

 ロケトサン社の「TRLG-230」230mm誘導ロケット弾システムは、レーザー誘導キットを装着することでTB2が指示した目標を攻撃することが可能です。この能力は、TB2に自らが搭載する「MAM-L」「MAM-C」誘導爆弾を使い切った後でも、(友軍に標的をレーザー照射することを通じて)ほかの目撃を攻撃させることを可能にします。

 トルコにとって「バイラクタルTB2」の非常に効率的な使用は、新しい外交政策である「バイラクタル外交」を形づくるための、彼らの増大する外交上の発言力を押し上げることに役立っています。

 この新たな政策は、現代の紛争の特徴に比類なく適した新しいタイプの戦いを本質的に構成します。低い経済的・人道的なコストで政治的・軍事的な影響の最大化を追求した、規模が小さい介入を基本とする「バイラクタル外交」は、国家の運命を決めたと言えるほど効果的なものでした。TB2がなければ、国際的に承認されているリビア政府はリビア国民軍(LNA)に一掃されていたかもしれないし、ナゴルノ・カラバフの大半はいまだにアルメニアの支配下にあった可能性があるからです。


 これらの素晴らしい偉業の背後には、現代の戦争に革命を起こすだけでなく、国の考え方を変え、次世代に成功の足跡をたどる機会を提供しようと試みている企業があります。その試行の過程において「バイラクタル・テクノロジー」社は、高度な無人機を設計するためには、自身が無限の研究開発予算を持つ超大国である必要はないことを証明しました。

 現在、バイカル社は「クズルエルマ」無人戦闘機や「TB3」艦載型UCAVの開発を熱心に推し進めていますが、それはTB2が忘れられたことを意味していません。ほぼ毎日(ソフト等が)更新されていることは、TB2が自らに対抗するためのどんなシステムよりも優位にあることを保証しています。[1]

 2021年には、バイカル社の創業者であるオズデミル・バイラクタル氏「アクンジュ」プロジェクトの実行及び分析チームのリーダーであるタリク・ケゼキ氏が死去しました。

 彼らの死は残された人々に悲しみをもたらすでしょう。しかし、彼らのレガシーが新しい世代の人々の心の中で生き続けるだろうという確信に心の支えを見出すかもしれません。彼らの偉業に触発された人々は、いつか登場する無人機の設計を支える将来の技術者になることにとどまらず、別の技術や科学の分野でもトルコの発展に寄与することでしょう。

 この意味で、バイカル社は単に空だけでなく、海や地上でも国の運命を変えていくのです。


  1. 以下の一覧には、シリア、イラク、ナゴルノ・カラバフ、ウクライナなどで「バイラクタルTB2」によって撃破・破壊されたことが確認されている目標を掲載しています。
  2. この一覧には、画像や映像による視覚的な証拠に基づいて確認された、撃破・破壊された車両や装備のみを掲載しています
  3. ただし、地上で撮影された映像等のみで確認されたものも含まれています。これらのケースでは、武装したドローンに攻撃されたことが現地での目撃者によって報告されたことを根拠としています。したがって、実際に撃破された装備の数が、ここに記録されているよりも多いことは間違いないでしょう。
  4. 兵員、弾薬庫や軍事施設に対する戦果については、このリストに含まれていません。
  5. この一覧は、エビデンスとなる追加の映像等が入手可能になり次第に更新されます。
  6. 各装備名に続く数字をクリックすると、当該車両や装備の画像等が表示されます。
  7. 最終更新日:2023年7月13日(本国版の最終更新は2023年7月12日

旗と国・武装勢力の関係(追記:上の一覧に含まれていない はタジキスタン、 はアンサール はティグレ防衛軍を指す) 


戦車 (134)


装甲戦闘車両(54)


牽引砲 (148)


自走砲 (44)

多連装ロケット砲 (81)



対空砲 (10)
  •  1 ZU-23 23mm対空機関砲 : (1) (2)
  • 7 ZU-23 23mm対空機関砲(トラック搭載型): (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
  • 1 61-K "M-1939" 37mm対空機関砲(トラック搭載型): (1)


自走対空砲 (9)
  • 1 ZSU-23-4 "シルカ" 23mm自走対空砲: (1)
  • 4 ZSU-23-4 "シルカ" 23mm自走対空砲: (1) (2) (3) (4)
  •  2 MT-LB 汎用軽装甲牽引車(「ZU-23」対空機関砲搭載型): (1) (2)
  • 2 ZU-23 23mm対空機関砲(トヨタ車搭載型): (1) (2)


地対空ミサイルシステム (49)


レーダー (9)
  • 2 P-18  "スプーン・レストD" : (1) (2)
  • 1 1S32  "パット・ハンド"  (2K11/SA-4  "クルーグ" 用): (1)
  • 1 1S91 "SURN"  (2K12/SA-6 "クーブ" 用): (1)
  • 1 5N63S "フラップ・リッド"  (S-300用): (1)
  • 1 ST86U/36D6  "ティン・シールド" (S-300用): (1)
  • 1 19J6 (S-300用): (1)
  • 1 SNR-125  "ロー・ブロー"  (S-125/SA-3用): (1)


電子妨害・攪乱または通信システム (3)
  • 1 R-330P "ピラミダ-I" : (1)
  • 1 R-330ZH "ジーテル" 電子戦システム: (1)
  • 1 形式不明の通信車両 (1)


航空機(7)


ヘリコプター(1)
  • 1 Mi-8 "ヒップ" 汎用ヘリコプター: (1)


艦艇 (9)
  •  3 「プロジェクト03160 "ラプター"」級高速戦闘艇: (1) (2) (3)
  • 1 「プロジェクト02510 "BK-16E"」級高速襲撃艇: (1)
  • 1 「プロジェクト11770 "セルナ"」級揚陸艇: (1)
  • 2 形式不明の哨戒艇: (1) (2)
  • 2 密輸用のボート: (1) (2)


軍用物資補給列車(2)
  •  2 燃料タンク車牽引編成: (1) (2)


トラックなどAFV以外の車両 (304)

''私たちは状況を見極め、私たち自身でその責務を果たしました。'' (オズデミル・バイラクタル:1949 - ∞)

[1] HALUK BAYRAKTAR İNGİLİZ DÜŞÜNCE KURULUŞU RUSI'NIN PANELİNDE KONUŞTU https://youtu.be/jKj-FOMQlNw?t=463

 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
 があります。


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