
著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
この記事は、2014年11月3日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」とベリングキャットで公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。
ホムスで最近始まったイスラム国(IS)の攻勢は、シリア最大にして最も重要な空軍基地であるT4にも脅威を及ぼすと思われます。この基地は近隣のポンプ場の名称と同一であるためにティヤースや、アラビア語で「T4」を意味するTayas、Tayfur、Al Tifor、Al Tifourなどと誤って呼ばれることが頻繁にあります。
親アサド派のYouTubeチャンネルが投稿した動画によって、今でもT4基地の稼働が続いていることが確認されました(編訳者注:この動画はアカウント停止につき視聴不可)。アサド政権側の兵士たちの士気を向上させることを目的としたこの動画は、空軍基地北部における緊迫した状況を映し出しています。ちなみに、タブカ空軍基地でもアサド政権側が同基地を依然として掌握している様子を示す同様の動画が投稿されましたが、翌日にはISに制圧されてしまいました。
T4には、合計で58基の強化シェルター(HAS)と2基の大型格納庫が設置されています。かつてはイスラエル空軍から旧式の「MiG-25」飛行隊を守るために建設されたHASの大部分は中が空ですが、IS戦闘員による攻撃に備えた強力な防御陣地として使用される可能性があるでしょう。
現在、この空軍基地にはシリア・アラブ空軍(SyAAF)の戦闘爆撃機隊の大半と退役した「MiG-25戦闘機」が駐機しており、衛星画像上では32機が確認できます。シリア内戦の最中に「MiG-25」の運用が一時的に復活したものの、迎撃型の「MiG-25PDS」と偵察爆撃型の「MiG-25RBT」、そして訓練機である「MiG-25PU」の再生措置は行われず、そのほとんどは基地の周辺で保管という事実上の放置状態のままです。
T4では、サイカル基地を拠点とする第697飛行隊が運用する「MiG-29SM」の定期的な派遣も確認されていました。シリア内戦がほぼ4年間に及ぶ現在でも、これらの派遣が継続しているかどうかは不明です。
最も重要なのは、ここがアサド政権の最も重要な航空戦力である「Su-24M2」を運用するSyAAFの第819飛行隊の拠点であることでしょう。かつて22機で構成されていた「Su-24」飛行隊(その中には1990年代にリビアから寄贈された2機も含まれていた)は、2機の損失を被り、現在は20機が残っています。
ちなみに、近年に全機がロシアでM2規格に改修されました。このアップグレードにより、照準や航法、火器管制システムの能力向上が図られ、すでに運用可能な「Kh-25」、「Kh-29L/T」、「Kh-58」空対地ミサイルと「R-60」空対空ミサイルに加え、より新しい「KAB-500/1500」誘導爆弾、「Kh-31A」、「Kh-31P」、「Kh-59」空対地ミサイル、「R-73」空対空ミサイルの運用能力が獲得されました。もちろん「S-24」及び「S-25」空対地ロケット弾、無誘導ロケット弾ポッド、FABやOFABまたはRBK無誘導爆弾、「KMGU-2」ディスペンサーの搭載も可能です。
もう一つの飛行隊(第677飛行隊または第685飛行隊)は「Su-22M4」を運用していますが、これもSyAAFが持つ重要な対地攻撃用の戦力です。この機体も、「S-24」及び「S-25」空対地無誘導ロケット弾、無誘導ロケット弾ポッド、FABやOFABあるいはRBK無誘導爆弾、「KMGU-2」ディスペンサー、「Kh-25」、「Kh-29L/T」、「Kh-58」空対地ミサイル、そして「R-60」空対空ミサイルの搭載が可能です。下の画像は、「B-8」ロケット弾ポッド2基と「KMGU-2」ディスペンサー2基、さらに増槽2本を装備した「Su-22M4」がT4でタキシングしている様子を写したものです。
もう一つの飛行隊(第677飛行隊または第685飛行隊)は「Su-22M4」を運用していますが、これもSyAAFが持つ重要な対地攻撃用の戦力です。この機体も、「S-24」及び「S-25」空対地無誘導ロケット弾、無誘導ロケット弾ポッド、FABやOFABあるいはRBK無誘導爆弾、「KMGU-2」ディスペンサー、「Kh-25」、「Kh-29L/T」、「Kh-58」空対地ミサイル、そして「R-60」空対空ミサイルの搭載が可能です。下の画像は、「B-8」ロケット弾ポッド2基と「KMGU-2」ディスペンサー2基、さらに増槽2本を装備した「Su-22M4」がT4でタキシングしている様子を写したものです。
下の画像では、2機が結合型HASに駐機している様子が捉えられています。
もしISの攻撃が始まった場合、SyAAFは「Su-22M4」と「Su-24M2」の大部分を退避させることは問題ないはずですが、基地に存在する莫大な数のスペアパーツや弾薬、そしてかけがえのないパイロットや運用に必要な人員を避難させることができるかどうかは現時点ではまだ分かりません。仮に避難できなかった場合、SyAAFがその甚大な損失から立ち直ることはまず不可能でしょう。
タブカで見られたことですが、SyAAFは残存する兵員と兵器を撤収させるのに非常に苦労し、ISによる再使用を防ぐために整備中の「MiG-21」を破壊することさえできませんでした。
T4の直接の防衛ラインは、国民防衛隊(NDF)が配置された多種多様な検問所と、ISによる攻撃を遅らせるために活用できる多数の対空砲陣地によって構成されています。タブカのように、空軍基地に配備された戦闘爆撃機や別の基地から派遣された「SA-342ガゼル」あるいは「Mi-25」は、上空からの防御を強化することができるでしょう。
2基の「S-75」と3基の「S-125」地対空ミサイル(SAM)システムがT4の空域を防衛する任務を担っていますが、その運用態勢には疑問が残ります(編訳者注:稼働状態にあるか怪しいということ)。また、この基地では1基の「RSP-7」、2基の「P-12/18 "スプーンレスト"」、2基の「P-35/37 "バーロック"」対空捜索レーダー(下の画像)が、シリア中部を飛行する機体の監視を担っています。
T4における戦闘爆撃機の存在と将来的に攻撃ヘリコプターが配備される可能性があることは、この先ISがホムス県で展開する構成を困難にさせることから、T4をISの優先的な攻撃目標に変えるでしょう。この基地が間もなく攻撃されるかどうかは未知数にしても、重要なシャエル地区のガス田占領に至ったホムスでの攻勢はISのコバニ攻勢に世界中が注意を奪われているときに行われたものであり、複数の戦前で攻勢を繰り広げる彼らの柔軟性を改めて示しています。
もしISの攻撃が始まった場合、SyAAFは「Su-22M4」と「Su-24M2」の大部分を退避させることは問題ないはずですが、基地に存在する莫大な数のスペアパーツや弾薬、そしてかけがえのないパイロットや運用に必要な人員を避難させることができるかどうかは現時点ではまだ分かりません。仮に避難できなかった場合、SyAAFがその甚大な損失から立ち直ることはまず不可能でしょう。
タブカで見られたことですが、SyAAFは残存する兵員と兵器を撤収させるのに非常に苦労し、ISによる再使用を防ぐために整備中の「MiG-21」を破壊することさえできませんでした。
T4の直接の防衛ラインは、国民防衛隊(NDF)が配置された多種多様な検問所と、ISによる攻撃を遅らせるために活用できる多数の対空砲陣地によって構成されています。タブカのように、空軍基地に配備された戦闘爆撃機や別の基地から派遣された「SA-342ガゼル」あるいは「Mi-25」は、上空からの防御を強化することができるでしょう。
2基の「S-75」と3基の「S-125」地対空ミサイル(SAM)システムがT4の空域を防衛する任務を担っていますが、その運用態勢には疑問が残ります(編訳者注:稼働状態にあるか怪しいということ)。また、この基地では1基の「RSP-7」、2基の「P-12/18 "スプーンレスト"」、2基の「P-35/37 "バーロック"」対空捜索レーダー(下の画像)が、シリア中部を飛行する機体の監視を担っています。
T4における戦闘爆撃機の存在と将来的に攻撃ヘリコプターが配備される可能性があることは、この先ISがホムス県で展開する構成を困難にさせることから、T4をISの優先的な攻撃目標に変えるでしょう。この基地が間もなく攻撃されるかどうかは未知数にしても、重要なシャエル地区のガス田占領に至ったホムスでの攻勢はISのコバニ攻勢に世界中が注意を奪われているときに行われたものであり、複数の戦前で攻勢を繰り広げる彼らの柔軟性を改めて示しています。
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