2022年9月27日火曜日

エレバンの騎士たち:アルメニアの「Su-30SM "フランカー"」


著:ステイン・ミッツアー (編訳:Tarao Goo

 ナゴルノ・カラバフをめぐる未解決の紛争がここ最近に激化した中で、「Su-30SM」は2020年の戦争における空中戦で注目すべき未登場の存在だったことは記憶に新しいと思います。

 2019年にアルメニアのニコル・パシニャン首相によって「今年で最も重要な買い物」と歓迎されたことから、多くの人は「Su-30」が「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機に立ち向かったり、アゼルバイジャン機がアルメニア兵に死傷をもたらす兵装を放つことを抑止するために武力衝突に投入されるだろうと予想しました。[1]

 しかし、数日・数週間と過ぎるにつれ、「Su-30」が意図的に戦闘に巻き込まれないようにされていることが次第に明らかになり、この新型機はいつしか 「白い象(無用の長物)」という不名誉な地位を得るまでになってしまいました。

 当記事では、「Su-30」が戦争に投入されなかった理由の根拠を提示すると共に、同機を導入するというアルメニアの決定とその理由を考察します。

 アルメニアの「Su-30」導入について詳しい説明をする前に、アルメニア空軍の歴史とその少ない航空戦力がどのようにして得られたのかを知っておくべきでしょう。

 アゼルバイジャンと同様に、アルメニアは1991年のソ連が解体された際に航空機やヘリコプターを(ソ連軍から)ほとんど受け継ぎませんでした。しかし、アゼルバイジャンが石油とガス産業のおかげで強力な航空戦力を構築できた一方で、アルメニアはロシアの寛大さと海外から安価に戦闘機を入手できる稀な機会に大きく依存していました。これについては、1992年と1993年にロシアから8機の「Su-25」が、さらに2004年にはスロバキアから10機の「Su-25」が納入されたことで実証されています。

 ところが、「Su-25」は効果的な対地攻撃機である一方で高速ジェット機の迎撃には全く役立ちません。そこで、アルメニアは高価な戦闘機自体を調達するという費用のかかるプロセスを踏むのではなく、その代わりとしてロシアに自国上空をカバーする迎撃戦力を提供するよう交渉を開始したのです。

 1996年にロシアと締結された協定の結果としてアルメニアは自国の防空を実質的にロシアにアウトソーシングすることになり、ロシア軍はアルメニアの首都エレバン郊外に約20機の「MiG-29」戦闘機と「S-300V」地対空ミサイル(SAM)システムを配備することになりました。

 双方の合意によってロシア軍のエアカバーの適用範囲からナゴルノ・カラバフ上空は除外されたものの、それはアゼルバイジャン領空の奥深くまでカバーするアルメニアの地対空ミサイル(SAM)基地の広大なネットワークによって埋め合わせることになりました。

        

 ところが、2000年代後半から2010年代初頭にかけて両国の軍事力の差が急激に拡がり始めると、エレバンはアゼルバイジャンと対等に渡り合うための方法を模索し始めたのです。
この手法は、アルメニアが通常は極めて低価格で入手可能な中古兵器を購入するために他国(旧ソ連諸国)を探し回るという従来の軍備調達戦略とは若干異なるものでした。

 このような買収劇の大半はアルメニア軍に斬新な戦力をもたらすことは少しもありませんでしたが、結果的に自国のGDPの範囲を大幅に超える常備軍を維持することができました。
 
 ただし、アルメニアは(例えば長距離対戦車ミサイル(ATGM)、誘導式ロケット弾、偵察用UAV、徘徊兵器の導入を通じて)ナゴルノ・カラバフに構築された広大な塹壕網という安全が確保された場所の後方からアゼルバイジャンを凌駕する機会を見出すのではなく、ロシアから数十機もの「Su30」多用途戦闘機を調達してこの地域における軍事バランスの(少なくとも机上では)劇的な変化を追い求めたようです。

 興味深いことに、アルメニア国防省からの財政支援が不足したことによってアルメニアの企業が数種類のUAVや徘徊兵器の開発を進めるのに苦労していた時期に、この高額な買収劇が展開されました。
 
 隣のアゼルバイジャンは石油やガスの生産で得た利益を軍備の調達に活用することができることを考えると、アルメニアが主要な兵器システムを導入して軍事バランスを変えようとすることはそもそも実現不可能な夢物語だったと言えるのは誰の目から見ても明らかでしょう。

 したがって、アルメニアは僅かな資金で戦争で全く期待に応えることがなかった戦力を導入しただけでなく、最初から負けることが決まっていたアゼルバイジャンとの軍拡競争に陥ることを辛うじて避けたということになります(注:アルメニアは「Su-30」を調達したおかげで別の兵器の調達がほとんどできなかったのです)。
 
 実際、アゼルバイジャンはアルメニアのように「Su-30」などの最新の多用途戦闘機を導入するのではなく、トルコと共同で「Su-25」対地攻撃機の近代化を推し進めました。この近代化で最も特筆すべきものは、「Su-25」が「HGK」 GPS誘導爆弾、「QFAB-250」レーザー誘導爆弾、275km以上の射程距離を有する「SOM」巡航ミサイルといったトルコやアゼルバイジャン製の誘導兵器を運用できるように改修されたことでしょう。

 また、機体の生存率をベラルーシ製の「タリスマン」ECMポッドを搭載可能とすることで向上させました。この「タリスマン」は、44日間にわたって繰り広げられたナゴルノ・カラバフ戦争でアルメニア軍のSAMによる被弾から数機の「Su-25」を救ったと考えられています。


導入検討時期などの注目点

 アルメニアが「Su-30」に対する関心を抱いた時期については、伝えられるところによると2010年から2012年の間にさかのぼります。この時期に少なくとも12機の導入が計画されたものの、高価な戦闘機を購入する財政的な余裕がないために後に延期されたとのことです。[2] [3] 

 ただし、アルメニアの「Su-30」に対する関心が依然として強いものであったことは確かだったようで、ニコル・パシニャンが最初の4機の導入を最終決定できたのは2018年のアルメニア革命によってもたらされた政権交代の後のことでした。

 その後の2019年12月27日になって、待望の「Su-30」1号機がようやくアルメニアに到着しました。[4]

 他国がロシア製戦闘機に支払わなければならない価格と比較して、アルメニアが「Su-30SM」を大幅に安い価格で購入することを許可されたというのは本当である可能性が高いと思われます。おそらくはロシア空軍の調達価格に近い値段だったのでしょう。

 また、「Su-30SM」は1991年の独立後にアルメニアが導入した最初の真新しい兵器システムの1つであるという注目すべき特徴も持っていました。この偉業はパシニャンにも高く評価され、「アルメニア政府は80年代の兵器(に依存している)という恥ずべき(歴史の)ページを閉じた」と主張するまでに至ったのです。[5] 

 同時期にこの国がヨルダンから1970年代の「9K33 "オーサ" 」短距離SAMシステム32台を購入した件については、話を進める便宜上忘れておくことにします。[6][7]


「Su-30SM」 - パシニャン肝いりのプロジェクト

 パシニャン首相が「Su-30SM」の導入プロセスに密接に関わっていたことは確実であり、この新型機が自国に到着した後は導入した意義を説明することに多大な注意を払いました。

 ニコル・パシニャンは2018年6月17日にロシア空軍の「Su-30」のコックピットに座っている自撮りの写真を投稿し、「Su-30SM」の導入に国家が関心を持っていることをアルメニアの当局者として最初に国民に知らせた人物でもあります。[8]

 2019年12月に新型機が到着した後、彼は、「本日は最新式の『Su-30』多用途戦闘機がアルメニアに到着した非常に重要な日であり、これは今年における私たちの重要な功績です。つまり、(発注した)第1陣の機体が到着しつつあることであり、この成果はアルメニア共和国と国民の安全保障にとって極めて重要なものなのです。」と延べ、さらにこの新型機の導入を「アルメニアの安全保証にとっての転換点となる。」とまで言及しました。 [9] [10] [11]

 同時に、アルメニアのダヴィト・トノヤン国防相もエレバンが今後数年間でさらに8機の「Su-30SM」を調達する計画を立てたことを認め、次回の納入予定時期を尋ねられた際に「近いうちに」と答えています。[4]

アルメニアに到着したばかりの「Su-30SM」

 4機の「Su-30SM」がアルメニアに到着してからの数か月間、パシニャンは定期的に新型機の最新状況を伝えており、「Su-30」がアルメニアの安全保障にとっていかに重要なアセットであるか考えられていることを強く示しています。

 おそらくさらに重要な点として、このメッセージはアルメニア国民に国境に対するいかなる脅威にも対抗する準備ができているということで安心させることに役立ち、同時にアゼルバイジャンに対する抑止力としても機能するものだったと考えられます。

 「昨日、私たちの『Su-30SM』ジェット機は戦術ミサイルによる最初の訓練を実施して、攻勢任務用の空対地ミサイルをテストしました。全ての目標は高い精度で命中を受けました(2020年07月3日)」[12]。

 「『Su-30』はRA(アルメニア共和国)の領空の不可侵性を確保するために戦闘任務に就きます。(2020年07月15日)」[13]。

 もちろん、首相は数ヵ月後(アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフと周辺7地区の奪還を目指した「アイアン・フィスト作戦」を発動したとき)にこの発言の真偽が試されることになるとは思ってもいなかったでしょう。


ミサイル・サーガ

 パシニャンの発言は過度に大掛かりなものであり、「Su-30」のパイロットたちは2020年の戦争において実戦に投入できるような適切な訓練をまだ受けていなかったことが早々に明らかとなりました。

 この事実を認めることに何の問題もないように見受けられますが、アルメニア空軍がなぜ「Su-30SM」を戦闘に投入しなかったのかという痛烈な批判を受けた際に、パシニャンは上記の事実を回答せずにナゴルノ・カラバフ戦争勃発前にアルメニアがこの新型機用のミサイルを調達できていなかったからだと主張したのです。[14]
 
 この発言が、「昨日、私たちの『Su-30SM』ジェット機は戦術ミサイルによる最初の訓練を実施して、攻勢任務用の空対地ミサイルをテストしました。全ての目標は高い精度で命中を受けました」という2020年7月に出した彼自身による声明と大きく矛盾していることは言うまでもありません。[12]

 確かに「Su-30SM」は演習で空対地兵器を発射しましたが、彼の声明にあった「空対地ミサイル」は実際には80mm無誘導ロケット弾だったのです。[15]

 無誘導ロケット弾を誤ってミサイルと呼んだことで、パシニャンはアルメニアが実際に空対地ミサイルを導入したかのような誤ったナラティブを生み出してしまったわけです。

 仮にアルメニアが無誘導ロケット弾で武装した「Su-30」を投入していたら、ほぼ確実に全機が低空飛行で攻撃態勢に入る際にアゼルバイジャンのSAMシステムによって撃墜されていたでしょう。

 自らの主張に対する批判に対し、パシニャンは演習で使用されたミサイル(つまり無誘導ロケット弾を装填したポッド)について、戦争前からアルメニア空軍の兵器庫にあったものだと述べました。[14] 

 ところが、パシニャンにとって不幸なことに彼の発言に対する国民の反発が再燃してしまいました。というのも、彼の発言の直後に新たにリリースされた写真や衛星画像に、2020年10月時点のギュムリ空軍基地で「R-27R」と「R-73」空対空ミサイル(AAM)でフル装備をした1機の「Su-30SM」が写っていたからです。[16] [17]

 アルメニアは「Su-30SM」の導入以前にこのAAMを搭載できる機体を保有していなかったことから、結論として空軍はナゴルノ・カラバフ戦争勃発前に「Su-30SM」用のミサイルを実際に入手していたことが判明しました

ギュムリ空軍基地で撮影された1機の「Su-30SM」は、「R-27R」と「R-73」空対空ミサイルでフル装備の状態となっている(2020年10月初頭)

非現実的な期待

 上述の「Su-30SM」のミサイルに関する問題はパシニャン首相の評判をさらに悪くする影響をもたらしました。そして、この件でパシニャンによる軍備調達を紹介した手法に決定的な弱点があることも明らかとなりました。

 アルメニア軍の装備は大部分が旧式のため、真新しい兵器の導入には多くの国民の関心が向けられました(少なからずニコル・パシニャン自身はそうだったようです)。このような過剰とも言える注目は新兵器の実際の性能を誇張させ、国民に非現実的な希望を抱かせることになります。

 「Su-30」が決して期待に応えることが不可能なレベルまでに性能が誇大宣伝され始めてしまったため、万が一に1機でも撃墜されたならばその衝撃は計り知れないほど大きいものとなるでしょう。

 もしアルメニアが4機の「Su-30SM」をアゼルバイジャンの「MiG-29」飛行隊を迎え撃つべく投入させたならば、数的に優位な敵に直面して敗北を喫した可能性が高いと思われます。この結果は、前線で戦うアルメニア軍兵士や国民の士気に多大な影響を与える恐れがあったに違いありません。 


 2020年初頭に実戦配備に就いた後、「Su-30SM」はアルメニア北部に位置し、この国における全ジェット機の運用拠点として機能しているギュムリ空軍基地に配備されました。

 アルメニアの国土が狭いため、ギュムリはアゼルバイジャンの弾道ミサイルやその他の精密誘導兵器の射程圏内に入っています。

 2020年まで、この空軍基地では僅かな数の土塁が唯一の防御設備でした。つまり、たった数発の誘導ロケット弾や当たり所が良ければ1発の(イスラエルの「LORA」といった)弾道ミサイルで、数機を除くアルメニアの作戦機を一撃で壊滅させることが可能だったということです。

 ただし、「Su-30」の到着を見越して新しい駐機場が敷設されたり、「Su-25」と「L-39」が使用する駐機場に隣接して4つのシェルターも建てられるなど整備が進められました。

 別の配備先としては、「Su-30」をロシアが管理するエレバンのエレブニ空軍基地も考えられます。実際、この手法は2020年のナゴルノ・カラバフ戦争でアルメニアが「Su-25」を同基地に配備したことで現実的なものと証明されました(注:実際に「Su-30SM」が一時的に配備されたことがあります)。[18] 

ギュムリ空軍基地を撮影した衛星画像は、「Su-30SM」用に新設された駐機場とシェルターをはっきりと映し出している

 いずれにせよ、4機の「Su-30SM」ではアゼルバイジャン軍が有する11機の「MiG-29(9.13規格)」に対してナゴルノ・カラバフ上空を巡る空中戦を展開するには数が不十分であることは間違いないでしょう。しかも、後者のパイロットはトルコ空軍との二国間演習で空対空戦闘に関するあらゆる訓練を受けているのでその確度はより強いものと言えます。

 仮にアルメニアが当初から予定されていた12機の「Su-30」を調達するならば、アゼルバイジャンが遂に(以前からの噂どおり)パキスタンから「JF-17」戦闘機の購入を推し進める可能性もないとは言えません。性能は「Su-30SM」より劣りますが、アゼルバイジャンがこの戦闘機24機と共に視程外射程空対空ミサイル(BVRAAM)を導入すれば、数で優勢となる戦力と化す可能性は高いものとなります。

 最大で12機の「Su-30SM」飛行隊はアルメニアとの国境地帯でトルコ空軍に対する一定の抑止力にもなると言えますが、3機の「E-7T "ピースイーグル"」空中早期警戒管制機(AEW&C)にバックアップされ、「AIM-120」BVRAAMで武装し、熟練したトルコ軍パイロットが飛ばす「F-16」を踏まえると、12機の「Su-30」はその障害にもならないかもしれません。


 最大で12機の「Su-30SM」の導入を通じてアルメニアが実際に何を達成しようと試みていたのかは、おそらくずっと謎に包まれたままとなるでしょう。

 アルメニアはこのまま4機の「Su-30SM」を運用し続けることも可能です。その場合の戦力は限られたものとなりますが、今後数年間は相当規模の投資先となることは避けられません。 あるいは、数億ドルを投じてより多くの同型機を調達し、数十年の運用を見越してさらに多くの資金を武装、訓練、予備部品、燃料の購入に充てる必要に直面するという選択肢もあります。

 また、この新型機をロシアに売却して、それで得た資金をアルメニア軍の他の分野への投資に活用するという究極の選択肢もあることも頭に入れておくべきでしょう。

 こうした選択肢がアルメニアによって実現するまでは、「Su-30SM」は「エレバンの白い象」と呼ばれ続けることになりそうです。


[1] First batch of Russian-made Su-30SM fighters arrives in Armenia https://tass.com/defense/1104253
[2] Russia Plans to Supply Su-30SM Fighters to Armenia https://asbarez.com/172881/russia-plans-to-supply-su-30sm-fighters-to-armenia/
[3] Quantity of weapons acquired in 2019 and conditions of acquisition https://uic.am/en/10055
[4] Russian Warplanes Delivered To Armenia https://www.azatutyun.am/a/30347723.html
[5] “Shameful chapter of 80’s weapons” is over, Pashinyan lauds Armenia’s modern military arsenal https://armenpress.am/eng/news/1002635/eng/
[6] Jordan to sell Osa SAMs https://web.archive.org/web/20171104074342/http://www.janes.com/article/75246/jordan-to-sell-osa-sams
[7] Armenia Shows Off New Osa-AK Air Defense Missiles https://militaryleak.com/2020/01/06/armenia-shows-off-new-osa-ak-air-defense-missiles/
[8] Russia to Boost Armenian Military, Fighter Jets Approved https://armenianweekly.com/2019/02/05/russia-to-boost-armenian-military-fighter-jets-approved/
[9] RA Armed Forces equipped with Su-30 SM multifunctional fighters https://www.primeminister.am/en/press-release/item/2019/12/27/SU-30-SM/
[10] Armenian Military To Get More Russian Warplanes https://www.azatutyun.am/a/30402222.html
[11] Armenia in talks to purchase new batch of SU-30SM fighters https://en.armradio.am/2020/08/30/armenia-in-talks-to-purchase-new-batch-of-su-30sm-fighters/
[12] Armenia’s SU-30 SM jets conducts 1st training with combat missiles https://armenpress.am/eng/news/1020565.html
[13] SU-30SM fighter jets go on combat duty in Armenia to ensure inviolability of air borders https://armenpress.am/eng/news/1021825/
[14] Armenian PM Denies Contradictions In Comments About Fighter Jets Purchased From Russia https://www.rferl.org/a/armenia-pashinian-russian-fighter-jets-su-30sm-missiles/31168638.html
[15] https://i.postimg.cc/rwqDWvSQ/image.jpg
[16] https://twitter.com/ASBMilitary/status/1375600974480441350
[17] Հայկական Սու-30ՍՄ-երի նկարներում երևում են հրթիռներ, որոնք, ըստ Փաշինյանի, Հայաստանը չէր հասցրել գնել https://media.am/hy/verified/2021/03/29/26953/
[18] https://twitter.com/oryxspioenkop/status/1324393384103075846

※  当記事は、2021年8月28日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したも
  のです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所が

2022年9月25日日曜日

ファクトシート:ドイツによるウクライナへの軍事支援


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 世間の認識とは逆に、ドイツはロシア軍との戦いを支援するためにウクライナへ膨大な量の武器と装備を提供してきた国です。実際、ベルリンからの武器供給量は(アメリカとイギリスを除けば)どの国よりも多いのです。

 それにもかかわらず、ドイツはウクライナへの支援不足を批判されたり、モスクワとの関係を維持しようとする不運な試みに対して嘲笑さえされています。

 最終的に自らをウクライナの信頼できるパートナーと位置付けた一方で、対ウクライナ政策や他の外交政策における目標を説明するためのベルリンによる情報発信の手法は、対外的にみると大失敗以外の何物でもなかったと言えるでしょう。

 すでにウクライナに引き渡されたドイツによる物的支援には、「ゲパルト」対空自走砲30台、「M270」多連装ロケット砲システム(MLRS)3台、「PzH 2000」自走榴弾砲10門と誘導砲弾、携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)3200発、「パンツァーファウスト3」及び「RWG90 "マタドール"」携帯式対戦車無反動砲約1万発、車両数百台、弾薬約2200万発、さらにヘルメット2.8万個と「MiG-29」戦闘機のスペアパーツなど多数の装備品が含まれています。

 これらの供与の後には、さらに1ユニット分の「IRIS-T SLM」 地対空ミサイルシステム、20門のレーザー誘導式ロケット弾発射システム、43機の偵察用UAV、そして最大で20隻の無人艇がまもなく引き渡される予定です。

 また、ベルリンはウクライナの安全保障強化基金に少なくとも20億ユーロ(約2,800億円)を拠出し、この基金でウクライナ政府がドイツの武器製造・販売企業である「クラウス=マッファイ・ヴェクマン」社から新たに100台の「PzH 2000」を含む他国からの兵器を調達できるようにもしました。[1] [2]
 
 さらに、ドイツは「Ringtausch(循環的交換)」と呼ばれるプログラムで他国がウクライナに重火器を送るように仕向けようとも試みています。この政策は、各国が自国でストックしている戦車や歩兵戦闘車(IFV)をウクライナに供与する代わりに、ドイツ軍の同種兵器を無償で受け取ることができるという仕組みです。

 当初は見込みのある構想でしたが、ほとんどの国がソ連時代の兵器をベルリンが現時点で提供可能(あるいは提供したい)ものより多くの最新兵器で置き換えることを望んでいるため、「Ringtausch」計画はほとんど期待に応えることができませんでした。

 チェコは数多くの「T-72」戦車やIFVをウクライナに供与した代わりに14台の「レオパルド2A4」と1台の「ビュッフェル」装甲回収車(ARV)を、スロバキアは30台の「BVP-1」IFVを供与する代わりに15台の「レオパルド2A4」と砲弾・訓練・兵站パッケージを受け取ることになっています。[3] [4]
 
 厳しい批判は、ドイツが約束した一部の兵器の引き渡し時期、特に「M270」MLRS 3台の準備とそれらをウクライナへの移送に要する時間にも向けられています。実際、メディアや紛争を観察する人たちから嘲笑されることになったのは、まさしくベルリンが「MARS」を「MARS2」にするという高価な改修案を選んだからです。

 一方でフランスは「M270」を40台以上も保有していますが、ウクライナへの供与を決定しなかったため、結果としてドイツが受けたような世論の反発から免れることができました。[5]

 もう一つの過小評価されているドイツの支援は、医薬品や支援物資の提供です。これらはあまり注目されていないものの、戦いの最中にあるウクライナと兵士を維持するために非常に重要であることは言うまでもありません。

 今後の援助がどのようなもので構成されるかについては推測することしかできませんが、ドイツは国防省及び防衛企業「ラインメタル」社並びに「フレンスブルガー・ファールツォイクバウ・ゲゼルシャフト(FFG)」社が現在保管している(これまでにベルリンが供与を控えてきた)数百台の「レオパルト1A5」戦車、「マルダー1A3」IFVや「M113 "パンツァーメーザー"」自走迫撃砲を通じて、幅広い支援を更に大規模なものにできる可能性を秘めています。[6]

「M270」多連装ロケット砲システム "MLRS (MARS)"

  1. 以下に列挙した一覧は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際にドイツがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備等の追跡調査を試みたものです。
  2. この一覧は、主にドイツ連邦政府の発表した情報に基づいています。[7] 
  3. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されています)。
  4. 供与された月が不明な場合は2022年とのみ記載しています。
  5. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  6. ウクライナ軍向けの医療物資は本リストには含まれていませんが、ここでリストアップされています
  7. * はドイツ政府によって防衛関連企業からの購入されたものを表しています。
  8. ** はウクライナが購入したものを表しています。
  9. 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。


供与済み

対空自走砲(30)
  •  30 ゲパルト* [2022年6月にウクライナ兵の訓練が開始、 7月以降に供与] 


多連装ロケット砲 (3)


自走砲(10)
  • 10 「PzH 2000」155mm自走榴弾砲 [2022年4月。5月に訓練完了。ウクライナに到着したのは 6月(7)と7月 (3)] (10.500発の155mm砲弾と共に供与)


装甲戦闘車両 (54)
  • 54 M113G3DK/G4DK [2022年7月と8月] (デンマークから引き取った「M113」装甲兵員輸送車をドイツの資金でオーバーホールしたもの)


携帯式地対空ミサイルシステム (3,200)


対戦車兵器 (23,800)


対ドローン兵器 (28)
  • 10 対ドローン銃* [2022]
  • 14 対ドローンセンサー及び妨害装置* [2022]
  • 12 電子的対ドローン装置* [2022]


妨害装置(9)
  • 2 大型の対ドローン妨害システム* (「ハンヴィー」歩兵機動車搭載型) [2022年8月]
  • 7 通信妨害装置* [同上]


レーダー (9)


無人偵察機(数量不明)


工兵車両及び装備 (13)


車両(390)


小火器 (100)


弾薬


個人携行品
  • 28,000 ヘルメット[2022]
  • 15パレット相当の軍服 (1,300着の防弾チョッキを含む ) [2022] ※パレットの規格は不明
  • 16パレット相当の爆発物処理用資機材[2022] ※パレットの規格は不明


その他の物資や装備品
  • MiG-29戦闘機用の予備部品 [2022]
  • M2重機関銃用の予備部品 [2022]
  • 38 レーザー測距儀 [2022]
  • 20 レーザー目標指示装置 [2022]
  • 353 暗視ゴーグル [2022]
  • 165 双眼鏡(ガリレオ式) [2022]
  • 125 双眼鏡(プリズム式) [2022]
  • 600 安全ゴーグル [2022]
  • 1 高周波機器(電源装置?) [2022年8月]
  • 1 RFシステム(RF送受信機 または 電力・周波数変換機器?) [2022]
  • 3,000 野戦電話 [2022] (5,000個のケーブルリールと共に供与)
  • 100 テント [2022]
  •  10,000 寝袋 [2022]
  • 12 発電機 [2022]
  • 403,000 レーション (MRE) [2022]
  •  軽油及びガソリン [2022年,継続中]
  • 10トン アドブルー [2022]




供与予定

地対空ミサイルシステム(1ユニット分)


レーザー誘導式ロケット弾発射機(20)
  • 20 70mmレーザー誘導式ロケット弾発射機(ピックアップトラック搭載型) [予定]


多連装ロケット砲 (2)


自走砲 (122)


耐地雷・伏撃防護車両 (MRAP)  (50)


対戦車兵器 (5,000)


対ドローンシステム (24)
  • 24 対ドローンシステム* [2022] (40個の周波数帯域拡張装置と共に供与予定)


レーダー及び妨害装置(20)
  • 8 移動式地上監視レーダー及びサーマルカメラ* [同上]
  • 12 通信走査/妨害システム* [同上]


無人機 (43)
  • 43 偵察用ドローン* [予定]


無人艇(10)
  • 10(オプションで+10) 自律型無人水上艇* [予定]


工兵車両及び装備 (28)


車両(324)



小火器 (30)


弾薬
  • 4,592  40mm擲弾(自動擲弾銃用) [予定]
  • 255 「ボルケーノ」誘導砲弾(「PzH 2000」自走榴弾砲用 ) [同上]
  • 4,592 155mm砲弾(「PzH 2000」自走榴弾砲用 ) [同上]
  •  227mmロケット弾(「M270 ''MARS''」 用)[同上]


その他の物資や装備品
  • 1 車両用除染システム [予定]


[1] Military support for Ukraine https://www.bundesregierung.de/breg-en/news/military-support-ukraine-2054992
[2] Germany approves sale of 100 howitzers to Ukraine - Spiegel https://www.reuters.com/world/europe/germany-approves-sale-100-howitzers-ukraine-spiegel-2022-07-27/
[3] https://twitter.com/BMVg_Bundeswehr/status/1564254848308355073
[4] https://twitter.com/JaroNad/status/1562056296869797889
[5] Arms For Ukraine: French Weapons Deliveries To Kyiv https://www.oryxspioenkop.com/2022/07/arms-for-ukraine-french-weapon.html
[6] https://twitter.com/AlexLuck9/status/1514942347775471618
[7] Militärische Unterstützungsleistungen für die Ukraine https://www.bundesregierung.de/breg-de/themen/krieg-in-der-ukraine/lieferungen-ukraine-2054514

※  当記事は、2022年9月1日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
  です。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があ
    ります。


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