カスピ海は世界最大の内陸湖として知られ、膨大な石油やガスの埋蔵量、そしてもちろんカスピ海の怪物でも知られています...ちょっと待ってください – カスピ海の何ですって!?
カスピ海の怪物!
西側の情報機関を困惑させた(ロシアではエクラノプランとして知られている)地面効果翼機は、ロシア人でさえも素晴らしいだろうが決して軍事的・民間的な用途に適合する実現可能なプロジェクトではないという結論を出しました。
エクラノプランによって完全に目立たなくされているのは、カスピ海の上空で(そして水上で!)運用されている水陸両用機のベリエフ・シリーズです。ベリエフ機はほぼ間違いなく華やかさではエクラノプランより見劣っていますが、はるかに有益なやり方で彼らの運用者に貢献しました。現時点でカスピ海において水陸両用機を運用しているのはアゼルバイジャンのみであり、同国では消防や捜索救助、そして乗客輸送用に1機のBe-200を運用しています。
それでも、アゼルバイジャンの水陸両用機の運用歴は、もともと対潜・海上哨戒用に設計された3機のソ連のBe-12を受け継ぎ、不安定なカスピ海での捜索救助任務に使用していた1990年代初頭にまで遡ります。
Be-12は1990年代後半か2000年代初頭に退役となるまで、さらに数年間にわたって運用が続けられていたようであり、(スクラップが決定されて)最終的に全機が解体された2018年まではバクーのカラ空軍基地で保管されました。
アゼルバイジャンの運用では、Be-12もBe-200も海軍の指揮下には入っていませんでした。
1991年、アゼルバイジャンは独立国家としての地位を再確立し、沖合にある石油・天然ガスの著しい埋蔵量を背景に急速な成長と近代化を経験しました。
この成長に伴って新たな責任が生じたことから、アゼルバイジャンは2005年に山火事、土砂崩れや地震などの災害に対処するため、ロシアの組織 (MChS)を手本にしてアゼルバイジャン共和国非常事態省(Azərbaycan Respublikası Fövqəladə Hallar Nazirliyi) を設立しました。
非常事態省(FHN)の設立からまもなくして独自の航空隊も編成されました。同航空隊は、2007 年 6 月に MChS で初飛行し、その後 1 年足らずでアゼルバイジャンに引き取られた1機のBe-200ES/Be-200ChS (シリアル:FHN-10201, かつてのRF-32768) と(後に引き渡された)数機のKa-32A1とMi-17ヘリコプターで構成されていました。[3]
アゼルバイジャンはBe-200の最初にして唯一の海外顧客です。 ロシアと同様にアゼルバイジャンもBe-200 を主に消火任務で使用していますが、時には他の任務でもこの機体を使用することがあります。2014年4月、壊滅的な地震が直撃したネパールへの人道支援物資の輸送に使用されたときにBe-200はその時点で最も長距離の飛行ミッションを経験しました。 [4]
しかし、ロシアと違ってアゼルバイジャンは他国での消火活動に飛行機を投入したことはありません。ロシアの運用では、Be-200はイタリア、ギリシャ、セルビア、ポルトガル、インドネシア、イスラエル、トルコに派遣されたことがあります。各国への派遣では、約12トンの水を投下できる同機の能力が大きな利益をもたらしました。
Be-200を「飛行艇」と間違えるのは簡単ですが、この機体が持つ二重の能力は同機が「水陸両用機」と呼称されることが当然であることを保証します。
着水に成功したBe-200がランプ(傾斜台)を上って陸地へタキシングしています(下の画像)。
アゼルバイジャンではランプを用いた機体の回収方法は採用されていないようであり、その代わりにバクーにある(2003年に亡くなった前大統領の名にちなんで改名された)ヘイダル・アリエフ国際空港の敷地内からBe-200を飛ばしています。
アゼルバイジャンにおけるBe-12の運用歴についてはあまり知られていません。
判明しているのは、3機とも High Command of the Southern Direction(GKVYuH):Главное Командование Войск Южного Направления (ГКВЮН)直属の第300独立混成飛行隊から継承されたものということだけです。
2000年に初めてBe-12が撮影された時点で、運用し続けられていた(または少なくとも無傷の状態であった)2機はソ連の国籍マークとシリアルが塗り替えられていましたが、それ以外にはアゼルバイジャンのマーキングが施されていなかったため、新しい運用者の下ではどちらも多く使用されることがなかったことを示している可能性があります。
ナンバー「30」のBe-12は胴体の後部がねじれて裂けており、垂直尾翼の半分と主翼の一部も欠損しているので、どうやら何らかの事故に遭ったようです。この事件が発生したのは同機がまだソ連での運用中の時点だったのか、それとも独立したアゼルバイジャンに引き継がれてからだったのかは不明ですが、赤い星の上に描かれたアゼルバイジャンの国旗が後者であることを暗示しているように思われます。
このように、アゼルバイジャンの国籍マークを受けた唯一のBe-12が現在では運用不能となっている機体でもあったことには興味深いものがあります。
第300独立混成飛行隊でも運用されていたKa-27は、対潜装備の代わりにウインチを装備した捜索救助型のKa-27PSでした。
バクーのカラ空軍基地で何年も放置された後、Ka-27は大規模なオーバーホールを受けるためにロシアに送られてKa-32S捜索救助ヘリにされました。[6]
その後、バクー・ガラ空軍基地からアゼルバイジャン海軍と沿岸警備隊を支援するために第4飛行隊によって運用されましたが、現在の運用状況ははっきり分かっていません。
また、FHNも消火活動を主任務とする数機のKa-32(A1)を運用しており、バクーの南にあるサンガチャル空軍基地を拠点にしています。
2010年12月にイスラエルのハイファ近郊で発生したカルメル山での森林火災での消火活動にFHNの1機のKa-32と1機のMi-17が投入されました。
イスラエルが国際的な支援を要請した後、パレスチナ、ロシア、トルコ、そしてアゼルバイジャンを含む数カ国が各自の消火装備を投入し、約3日後に鎮火しました。[7]
Be-200は「カスピ海の怪物」の威容には敵わないかもしれませんが、その独特な能力によってその差を十二分に補っていることは断言することができるでしょう。
その実用性が「カスピ海の怪物」の伝説より長持ちするかどうかは現時点ではまだ分かりません。しかし、好調な受注残高とロシアの海軍航空隊でさえも運用が初期段階にあることから、Be-200はアゼルバイジャン・ロシアであろうと別の国であろうと、前途有望な運用寿命が始まったのかもしれません。[8]
※ 2, 8, 9,10番目の画像は Torfaen Corvine 氏が撮影したものです。
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ナゴルノ・カラバフの戦い2020:アルメニアとアゼルバイジャンが喪失した装備(一覧)
アゼルバイジャンは1919年に海軍航空隊と専門化された軍事海上航空学校を設立しましたが、人々は同国がそれらを世界で最初に保有した国の一つであるという事実自体に驚かされるかもしれません。 [1]
残念なことに、この国が1920年にソビエト・ロシアからの侵略を受けて占領されたことから、これが新たに独り立ちした国で長続きすることはありませんでした。その過程で約2万人のアゼルバイジャン兵が独立を守るために命を落としました。[2]
残念なことに、この国が1920年にソビエト・ロシアからの侵略を受けて占領されたことから、これが新たに独り立ちした国で長続きすることはありませんでした。その過程で約2万人のアゼルバイジャン兵が独立を守るために命を落としました。[2]
この成長に伴って新たな責任が生じたことから、アゼルバイジャンは2005年に山火事、土砂崩れや地震などの災害に対処するため、ロシアの組織 (MChS)を手本にしてアゼルバイジャン共和国非常事態省(Azərbaycan Respublikası Fövqəladə Hallar Nazirliyi) を設立しました。
非常事態省(FHN)の設立からまもなくして独自の航空隊も編成されました。同航空隊は、2007 年 6 月に MChS で初飛行し、その後 1 年足らずでアゼルバイジャンに引き取られた1機のBe-200ES/Be-200ChS (シリアル:FHN-10201, かつてのRF-32768) と(後に引き渡された)数機のKa-32A1とMi-17ヘリコプターで構成されていました。[3]
アゼルバイジャンはBe-200の最初にして唯一の海外顧客です。
しかし、ロシアと違ってアゼルバイジャンは他国での消火活動に飛行機を投入したことはありません。ロシアの運用では、Be-200はイタリア、ギリシャ、セルビア、ポルトガル、インドネシア、イスラエル、トルコに派遣されたことがあります。各国への派遣では、約12トンの水を投下できる同機の能力が大きな利益をもたらしました。
原則として、水上機は一般的には3つに分類されます(注:著者の見解による)。
- フロート水上機:機体の下にフロートが取り付けられた小型機で、そのフロートが水と接触する唯一の部分となります。
- 飛行艇:胴体が水面に接する水上機で、一般的に大きいです。
- 水陸両用機:水上での運用に加えて通常の飛行場への離発着が可能であり、高い頻度で陸上を拠点にしています。
アゼルバイジャンではランプを用いた機体の回収方法は採用されていないようであり、その代わりにバクーにある(2003年に亡くなった前大統領の名にちなんで改名された)ヘイダル・アリエフ国際空港の敷地内からBe-200を飛ばしています。
判明しているのは、3機とも High Command of the Southern Direction(GKVYuH):Главное Командование Войск Южного Направления (ГКВЮН)直属の第300独立混成飛行隊から継承されたものということだけです。
1984年の創設から解隊されて1992年にアゼルバイジャンに吸収されるまで、 第300飛行隊はAn-2、Tu-134、Il-22、Be-12、Mi-2、Mi-6、Mi-8やKa-27を含む、魅力的な航空機とヘリコプターを運用していました。[5]
2000年に初めてBe-12が撮影された時点で、運用し続けられていた(または少なくとも無傷の状態であった)2機はソ連の国籍マークとシリアルが塗り替えられていましたが、それ以外にはアゼルバイジャンのマーキングが施されていなかったため、新しい運用者の下ではどちらも多く使用されることがなかったことを示している可能性があります。
もちろん、Be-12の乗員がソ連崩壊後に祖国に戻ったロシア系民族であり、それがアゼルバイジャンによる運用を妨げている可能性も十分に考えられます。
ナンバー「30」のBe-12は胴体の後部がねじれて裂けており、垂直尾翼の半分と主翼の一部も欠損しているので、どうやら何らかの事故に遭ったようです。この事件が発生したのは同機がまだソ連での運用中の時点だったのか、それとも独立したアゼルバイジャンに引き継がれてからだったのかは不明ですが、赤い星の上に描かれたアゼルバイジャンの国旗が後者であることを暗示しているように思われます。
このように、アゼルバイジャンの国籍マークを受けた唯一のBe-12が現在では運用不能となっている機体でもあったことには興味深いものがあります。
第300独立混成飛行隊でも運用されていたKa-27は、対潜装備の代わりにウインチを装備した捜索救助型のKa-27PSでした。
バクーのカラ空軍基地で何年も放置された後、Ka-27は大規模なオーバーホールを受けるためにロシアに送られてKa-32S捜索救助ヘリにされました。[6]
その後、バクー・ガラ空軍基地からアゼルバイジャン海軍と沿岸警備隊を支援するために第4飛行隊によって運用されましたが、現在の運用状況ははっきり分かっていません。
また、FHNも消火活動を主任務とする数機のKa-32(A1)を運用しており、バクーの南にあるサンガチャル空軍基地を拠点にしています。
2010年12月にイスラエルのハイファ近郊で発生したカルメル山での森林火災での消火活動にFHNの1機のKa-32と1機のMi-17が投入されました。
イスラエルが国際的な支援を要請した後、パレスチナ、ロシア、トルコ、そしてアゼルバイジャンを含む数カ国が各自の消火装備を投入し、約3日後に鎮火しました。[7]
Be-200は「カスピ海の怪物」の威容には敵わないかもしれませんが、その独特な能力によってその差を十二分に補っていることは断言することができるでしょう。
その実用性が「カスピ海の怪物」の伝説より長持ちするかどうかは現時点ではまだ分かりません。しかし、好調な受注残高とロシアの海軍航空隊でさえも運用が初期段階にあることから、Be-200はアゼルバイジャン・ロシアであろうと別の国であろうと、前途有望な運用寿命が始まったのかもしれません。[8]
[1] Ministry of Defence of the Republic of Azerbaijan - Navy forces https://mod.gov.az/en/navy-forces-755/
[2] Pope, Hugh (2006). Sons of the conquerors: the rise of the Turkic world. New York: The Overlook
[3] https://russianplanes.net/reginfo/1935
[4] Azerbaijan sends humanitarian aid to Nepal https://azertag.az/en/xeber/Azerbaijan_sends_humanitarian_aid_to_Nepal_VIDEO-851019
[5] http://www.ww2.dk/new/air%20force/squadrons/osae/300osae.htm
[6] Azerbaijan Armed Forces parade https://aviagraphers.net/index.php/armed-forces-reports/67-azerbaijan-armed-forces-parade
[7] Prezident İlham Əliyevin tapşırığı ilə Fövqəladə Hallar Nazirliyi İsraildə meşə yanğınları ilə əlaqədar bu ölkəyə iki helikopter göndərmişdir http://old.xalqqazeti.com/az/news/social/7580
[3] https://russianplanes.net/reginfo/1935
[4] Azerbaijan sends humanitarian aid to Nepal https://azertag.az/en/xeber/Azerbaijan_sends_humanitarian_aid_to_Nepal_VIDEO-851019
[5] http://www.ww2.dk/new/air%20force/squadrons/osae/300osae.htm
[6] Azerbaijan Armed Forces parade https://aviagraphers.net/index.php/armed-forces-reports/67-azerbaijan-armed-forces-parade
[7] Prezident İlham Əliyevin tapşırığı ilə Fövqəladə Hallar Nazirliyi İsraildə meşə yanğınları ilə əlaqədar bu ölkəyə iki helikopter göndərmişdir http://old.xalqqazeti.com/az/news/social/7580
[8] 水陸両用機Be-200の対潜哨戒機型は2020年7月26日の『ロシア海軍の日』に初公開飛行を行なう ※実際に飛行したのは通常型のBe-200ChSとのこと
※ この翻訳元の記事は、2020年12月9日に投稿されたものです。当記事は意訳など
により、本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読願います。また、High Command of the Southern Direction(GKVYuH)の正確な日本語表記が不明のため英語・ロシア語表記
により、本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読願います。また、High Command of the Southern Direction(GKVYuH)の正確な日本語表記が不明のため英語・ロシア語表記
のままとしています(ご存じの方はお知らせいただけますと幸いです)。
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