著:ヤン・キンデルダイク, シュタイン・ミッツァー と Buschlaid(編訳:Tarao Goo)
この記事は2023年9月3日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したものです。
地図を見ると、ウズベキスタン共和国は5つの内陸国に囲まれている国であることが分かります:北にはカザフスタン、北東にはキルギス、南東にはタジキスタン、南にはアフガニスタン、南西にはトルクメニスタンが位置しているのです。
この独特な地理的状況は、ウズベキスタンを世界で2つしか存在しない「二重内陸国」の一つにしました。アフガニスタンと国境を接しているため、中央アジアにおけるこの国の位置はさらに重要なものとなっています。
テロリストの脅威がもたらす潜在的な危険性は、ウズベキスタンが軍事侵攻を受ける危険性を上回っています。これを踏まえ、同国の軍事面における投資の大部分については、「K-53949 "タイフーン-K"」や「エジデル・ヤルチュン」MRAP、十数機のユーロコプター「AS532」輸送ヘリコプターや同程度の「AS550」汎用ヘリコプター、4機の「C-295W」輸送機などの導入を通じた、対テロ戦力の増強に向けられています。
ウズベキスタン軍が保有する装備の大半の起源はソ連軍のトルキスタン軍管区にありますが、その他の装備の一部は欧州通常戦力(CFE)条約を通じて入手したものです。条約の規定でソ連はウラル山脈の後方に大量の兵器を移転することが義務付けられたため、結果としてウズベキスタンの領土に数百台もの「T-64」と「T-80」が存在する事態になったのでした。
深刻な装輪式装甲兵員輸送車(APC)の不足に直面したため、ウズベキスタンは2000年代に多数存在する特殊用途のAFVをAPCに転用したり、後でロシアから多数の「BTR-80」を入手するなどして補完しました。なお、後者についてはカリモフ大統領の時代に行われた数少ない軍備調達の一つでもあります。
ウズベキスタンは不安定な地域に位置するため、アメリカは同国の対テロ戦力の強化を図るべく2015年に308台のMRAPと20台のMRV(MRAPベースの回収車)を寄贈しました。[1]これは2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争以前にポスト・ソビエト国家にアメリカ製兵器を譲渡したものとしては唯一にして最大のものであり、ウズベキスタン軍の戦力を大幅に向上させました。
カリモフ大統領の後継者であるシャフカット・ミルジヨーエフは軍への投資を大幅に増やし、2010年代後半にはロシアからカマズ「タイフーン-K」 MRAPと「BTR-82A」APCを調達しました。
新型戦車の導入には至っていないものの、ウズベキスタンの防衛産業は「T-62」、「T-64」、そして「T-72」の近代化改修に着手しています。とは言っても、これらの近代化は未だに試作段階の域を超えていません。これとは別に、国産の兵器が配備されつつあります。現時点では、これらは戦術車両と歩兵機動車の分野に及んでいます。
ウズベキスタンが兵器類の近代化と生産能力をさらに拡大するために尽力していることを考えると、おそらく近い将来に新たなウズベキスタン製AFVが姿を現すことになるでしょう。そして、国産AFVがソ連・アメリカ・ロシア製だらけの難解なウズベキスタンのAFV一覧に追加されることを疑う余地もないでしょう。
戦車
戦闘装甲車両
歩兵戦闘車
装甲兵員輸送車
MRAP:耐地雷・伏撃防護車両
歩兵機動車
戦術車両・テクニカル
指揮通信車・砲兵支援車
工兵・支援車両
自走式対戦車ミサイルシステム
自走砲
多連装ロケット砲
対空砲
自走対空砲
固定配備式地対空ミサイルシステム
無人偵察機
徘徊兵器
無人標的機
[1] U.S. Defends Giving Armored Vehicles To Uzbekistan https://www.themoscowtimes.com/2015/07/06/us-defends-giving-armored-vehicles-to-uzbekistan-a47913
地図を見ると、ウズベキスタン共和国は5つの内陸国に囲まれている国であることが分かります:北にはカザフスタン、北東にはキルギス、南東にはタジキスタン、南にはアフガニスタン、南西にはトルクメニスタンが位置しているのです。
この独特な地理的状況は、ウズベキスタンを世界で2つしか存在しない「二重内陸国」の一つにしました。アフガニスタンと国境を接しているため、中央アジアにおけるこの国の位置はさらに重要なものとなっています。
テロリストの脅威がもたらす潜在的な危険性は、ウズベキスタンが軍事侵攻を受ける危険性を上回っています。これを踏まえ、同国の軍事面における投資の大部分については、「K-53949 "タイフーン-K"」や「エジデル・ヤルチュン」MRAP、十数機のユーロコプター「AS532」輸送ヘリコプターや同程度の「AS550」汎用ヘリコプター、4機の「C-295W」輸送機などの導入を通じた、対テロ戦力の増強に向けられています。
ウズベキスタン軍が保有する装備の大半の起源はソ連軍のトルキスタン軍管区にありますが、その他の装備の一部は欧州通常戦力(CFE)条約を通じて入手したものです。条約の規定でソ連はウラル山脈の後方に大量の兵器を移転することが義務付けられたため、結果としてウズベキスタンの領土に数百台もの「T-64」と「T-80」が存在する事態になったのでした。
深刻な装輪式装甲兵員輸送車(APC)の不足に直面したため、ウズベキスタンは2000年代に多数存在する特殊用途のAFVをAPCに転用したり、後でロシアから多数の「BTR-80」を入手するなどして補完しました。なお、後者についてはカリモフ大統領の時代に行われた数少ない軍備調達の一つでもあります。
ウズベキスタンは不安定な地域に位置するため、アメリカは同国の対テロ戦力の強化を図るべく2015年に308台のMRAPと20台のMRV(MRAPベースの回収車)を寄贈しました。[1]これは2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争以前にポスト・ソビエト国家にアメリカ製兵器を譲渡したものとしては唯一にして最大のものであり、ウズベキスタン軍の戦力を大幅に向上させました。
カリモフ大統領の後継者であるシャフカット・ミルジヨーエフは軍への投資を大幅に増やし、2010年代後半にはロシアからカマズ「タイフーン-K」 MRAPと「BTR-82A」APCを調達しました。
新型戦車の導入には至っていないものの、ウズベキスタンの防衛産業は「T-62」、「T-64」、そして「T-72」の近代化改修に着手しています。とは言っても、これらの近代化は未だに試作段階の域を超えていません。これとは別に、国産の兵器が配備されつつあります。現時点では、これらは戦術車両と歩兵機動車の分野に及んでいます。
ウズベキスタンが兵器類の近代化と生産能力をさらに拡大するために尽力していることを考えると、おそらく近い将来に新たなウズベキスタン製AFVが姿を現すことになるでしょう。そして、国産AFVがソ連・アメリカ・ロシア製だらけの難解なウズベキスタンのAFV一覧に追加されることを疑う余地もないでしょう。
- この一覧は、現在のウズベキスタン陸軍で使用されている全種類のAFVをリストアップ化を試みたものです。
- この一覧には、画像・映像などで存在が確認されたものだけを掲載しています。
- 対戦車ミサイル、携帯式地対空ミサイルシステム、迫撃砲やトラック、ジープ類はこの一覧には含まれていません。
- 特定のAFVなどが軍部隊以外で運用されている場合は括弧内にその旨を追加しています。
- 各兵器の名前をクリックするとウズベキスタンで運用中の当該兵器の画像を見ることができます。
戦車
T-44 (式典用)
T-62 "1972年型" と "1975年型"
T-62M (一部は スラットアーマー や 「NSVT」重機関銃 を装備)
T-62MV (一部は 「コンタークト-1」ERAの代わりにラバー装甲を装着)
T-62(M)UZ [試作]
T-64A "1972/75年型"
T-64B1 "8181年型" (一部は 「コンタークト-1」ERAを装着)
T-64B1V
T-64BV "1985年型"
T-64(B1)UZ [試作]
T-64MV
T-64(「T-72A」の砲塔搭載型)
T-72 '"ウラル"
T-72A "1979年型" と "1982年型"
T-72AV (一部は 「コープ・ケージ(鳥かご装甲)を装着 )
T-72B1
T-72B "1985年型" (「T-64BV」の「コンタークト-1」ERA付きサイドスカートを装着)
T-72(B/B1)UZ 2種類: (2) [試作]
T-80BV
戦闘装甲車両
歩兵戦闘車
装甲兵員輸送車
BTR-70 (一部は 内部の近代化を実施 )
BTR-70(増加装甲・スラットアーマー・発煙弾発射機装備型) [試作]
BTR-80 [ 国家保安局, 警備軍(内務省軍), 国家警備隊 と 国境警備隊 でも運用]
BTR-D
BTR-60(「BPU-1」砲塔と「BTR-80」の銃眼装備型)
BTR-60(「NSVT-12.7」付き展望塔装備型)
BTR-60PU-12/R-145BM 移動指揮車( 「BPU-1」砲塔と「BTR-80」の銃眼装備型)
BTR-60PU-12/R-145BM 移動通信車( 「NSVT-12.7」付き展望塔と「BTR-80」の銃眼装備型)
BTR-60PU-12 防空指揮車(「NSVT-12.7」付き展望塔と「BTR-80」の銃眼装備型)
R-145BM 移動指揮車(「NSVT-12.7」付き展望塔装備型)
R-145BM 移動指揮車をAPCに転用したもの
1V18/1V19 砲兵指揮車をAPCに転用したもの(一部は 側面ドアを装備)
BRDM-2 偵察車をAPCに転用したもの
9P133自走式対戦車ミサイルシステムをAPCに転用したもの 2種類: (2)
MRAP:耐地雷・伏撃防護車両
カマズ「K-53949 "タイフーン-K"」 (一部は「NSVT-12.7」付き展望塔を装備、ほかに救急搬送車としても運用 )
ヌロル・マキナ「エジデル・ヤルチュン」
インターナショナル「M1224 "マックスプロ"」 [国境警備隊でも運用]
フォース・プロテクション「クーガーH」 (一部は「SPG-9」無反動砲を装備)
オシュコシュ「M-ATV」 [国境警備隊でも運用]
BAE「RG-33L」 [国境警備隊でも運用]
ターロン 試作: (1)
歩兵機動車
GAZ「ティーグル-M」 (一部は 暴徒鎮圧用シールド や 航空機突入用タラップを装備) [警備軍 と 国家警備隊で運用]
M998(A1) "ハンヴィー"
M1038 "ハンヴィー" [警備軍 や 国家警備隊、国家警備隊で運用]
アクスム「MAX-S」 [国家保安局 と 国境警備隊でも運用]
カルコン [警備軍 と 国家警備隊で運用]
戦術車両・テクニカル
UAZ-469 ( 「NSV」重機関銃、「AGS-30」自動擲弾銃 や 「SPG-9」無反動砲を装備)
UAZ-39094 (「NSV」重機関銃、 「AGS-30」自動擲弾銃 や 「SPG-9」無反動砲を装備)
UAZ-3303(「 SPG-9」無反動砲を搭載)
UAZ製ピックアップ(「PK」機関銃付き展望塔装備型) [国境警備隊で運用]
ポラリス「MRZR」 (一部は 「PK」機関銃 や 「9M111"ファゴット"」対戦車ミサイルを装備)
ランドローバー「ディフェンダー」 (一部は「NSV」重機関銃、「AGS-30」自動擲弾銃 や 「SPG-9」無反動砲を装備)
トヨタ「ハイラックス(Gen 7)」(「NSV」重機関銃を装備) [国家警備隊で運用]
国産の4x4型戦術車両 (一部は「PK」機関銃 や 迫撃砲を装備)
BMP-1KSh "ポトク-2" 野戦指揮車
BMD-1KSh "ソロカ" 空挺部隊用指揮車
K1Sh1 移動指揮車
R-145BM "チャイカ" 移動指揮車(後期型)
PRP-4 "ナルド" (1V121)/PRP-4M "ディーテリエ" (1V145) 砲兵偵察車
1V14/1V15 中隊指揮・前進観測車
1V13/1V16 火力指揮車
1V119 砲兵用指揮統制車
1V18 "クリョン-1"/1V19 "クリョン-2 "砲兵指揮・前進観測車
「BTR-60PU-12」ベースの国産火力戦闘指揮統制車 2種類: (2)
工兵・支援車両
BTS-4 装甲回収車
BREM-1 装甲回収車
インターナショナル「マックスプロ」回収車
IMR-2(M) 戦闘工兵車
BAT-2 重戦闘工兵車
BMR-2 地雷除去戦車
UR-77 "メテオリット" 地雷除去車
MT-55A 架橋戦車
TMM-3 自走架柱橋
PMP 浮橋
BMK-T 牽引モーターボート
BMK-130M 牽引モーターボート
PTS-M 水陸両用輸送車
MDK-3 塹壕掘削車
PZM-2 塹壕掘削車
GMZ-3 地雷敷設車
ATS-59G 砲兵牽引車
MT-T 装軌式汎用輸送車
MT-LBu 汎用軽装甲牽引車(消防車型)
ZS-82 心理戦システム (一部はh側面ドア、追加装甲 や スラットアーマーを装備)
ZS-88 心理戦システム
9T452 弾薬輸送車兼装填車 (「BM-27 "ウラガン"」用)
PR-14M(A) 弾薬輸送車兼装填車 (「S-125」用)
PR-14-2M 弾薬輸送車兼装填車 (「ペチョーラ-2M」用)
自走式対戦車ミサイルシステム
自走砲
2B9(M) "ヴァシリョーク" 82mm自動迫撃砲(トラック搭載型) 3種類: (2) (3)
2S9 "ノーナ" 120mm自走迫撃砲
2S9 "ノーナ" 120mm自走迫撃砲(「BTR-60PU-12」搭載型) [試作]
2S1 "グヴォジカ" 122mm自走榴弾砲
2S3 "アカツィヤ" 152mm自走榴弾砲
2S7 "ピオン" 203mm自走榴弾砲
多連装ロケット砲
対空砲
NSV-12.7 "ウチョス" 12.7mm重機関銃
ZU-23-2 23mm対空機関砲 (一部は「PKT」機関銃2門 か 防護版を装備: 2種類 (2)) [国境警備隊でも運用]
M-1939 37mm対空機関砲
自走対空砲
ZPU-2 14.5mm対空機関砲(トラック搭載型)
ZPU-4 14.5mm対空機関砲(トラック搭載型)
ZU-23 23mm対空機関砲(トラック搭載型) 9種類: (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
ZSU-23-4 "シルカ" 23mm自走対空砲 (一部は「コンタークト-1」ERA と/または スラットアーマーを装着)
固定配備式地対空ミサイルシステム
P-18 "スプーン・レストD" 対空捜索レーダー
P-37 "バー・ロック" 対空レーダー
NRZ-4P "パロール-4" 対空(IFF)レーダー
SNR-125 火器管制レーダー (S-125」用)
SNR-125-2M 火器管制レーダー (「ペチョーラ-2M」)
HT-233 多機能対空レーダー (「FD-2000」用)
HK-JM2 対空捜索レーダー (「 FD-2000」用)
無人偵察機
DJI「マヴィック」
DJI 「マトリーチェ(マーティス) 300 RTK」 [警備軍で運用]
STC「オルラン-10」
ザラ・エアロ「421-16E」
エアロバイロンメント「RQ-11B "レイヴン"」
エアロバイロンメント「RQ-20 "プーマ"」
ロチン
無人戦闘航空機
徘徊兵器
無人標的機
[1] U.S. Defends Giving Armored Vehicles To Uzbekistan https://www.themoscowtimes.com/2015/07/06/us-defends-giving-armored-vehicles-to-uzbekistan-a47913