著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
私たちはエチオピアが9月中旬に3機の「翼竜Ⅰ」無人戦闘航空機(UCAV)を入手したことを最初に報じましたが、同機が実際にティグレ州の上空で初めて目撃されるまでには10月下旬までの時間を要しました。[1] [2]
エチオピア軍は3機のUCAVを導入した事実を秘匿しようとして、詮索好きなのぞき見を避けるため、引き渡しを受けた際に急いで直近の格納庫に移動させましたが(それでもその努力は失敗に終わりましたが)、「翼竜Ⅰ」がハラールメダ空軍基地に存在していることが最新の衛星画像でも明らかとなりました。[1]
今回の衛星画像で「翼竜Ⅰ」が運用されている正確な場所を確認できた以外での新しい発見は全くありませんでしたが、そもそも商用の衛星画像にドローンが撮影されたという事実は、エチオピア空軍(ETAF)側がこれらのドローンを用いて実際に運用がなされている現況を隠すことに全く注意を払っていないことを示しています。
すでにエチオピア政府は、今年8月の時点でアビー・アハメド首相がセメラ空港で地上管制ステーション(GCS)を視察している画像を公開することで、イランから「モハジェル-6」UCAVが引き渡されたことを無様に明らかにしてしまった過去があります。[3]
エチオピアは秘匿性を維持しながら無人機戦を行おうとしていますが、同時にどの種類のUCAVをどこから入手してどこで運用しているについて、絶えず情報を明らかにしています。[4]
もちろん、ETAFの固定翼機やヘリコプターをオーバーホールする民間の航空整備士が働くデジェン航空工学産業 (DAVI)から数百メートル離れた場所で、ETAFが現在ドローンを運用するためのさらなるインフラ設備を整備していることも機密保持の助けになっていません。ここで働く整備員たちは、私たちのようなアナリストにとって有益な情報源となっているからです。
ハラールメダ空軍基地に駐機している1機の中国製「翼竜Ⅰ」 (2021年11月2日撮影) |
滑走路の直近にドローンを運用するための地上管制ステーション(GCS) と関連設備が設置されている。左端に上の画像と同じ「翼竜Ⅰ」が 駐機していることに注意。 |
「翼竜Ⅰ」の低い最高高度は、作戦地域の上空を飛行する姿を地上からでも視認できる場合があることを意味しています(注:飛行する姿が公開される機会が今後もあるということ)。
現在、エチオピアが保有する3機「翼竜Ⅰ」飛行隊が追加の同型機によって増強されたという最新情報があります。これらは中国から直接調達するのではなく、この戦争に直接介入している別の国によってエチオピア上空で運用されることになっているようです。
これらが近いうちに衛星画像や映像に登場するであろうことは、決して信じ難いようなものではないと思われます。
ティグレ州の州都:メケレ市上空を飛行する1機のエチオピア空軍の「翼竜Ⅰ」(2021年10月28日) |
[1] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[2] Tigray War: Chinese-Made Armed Drones Spotted Over Mekelle https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/tigray-war-chinese-made-armed-drones.html
[3] Iranian Mohajer-6 Drones Spotted In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/iranian-mohajer-6-drones-spotted-in.html
[4] Ethiopia Acquires Chinese TL-2 Missiles For Its Wing Loong I UCAVs https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/ethiopia-acquires-chinese-tl-2-missiles.html
※ 当記事は、2021年11月17日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
があります。
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