2021年12月7日火曜日

公開が認められた支援物資の誇示:UAEからエチオピアへの戦時供与品



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 UAEとエチオピア間を往来する多貨物便の数は、同国がエチオピア北部でのティグレ防衛軍に対する戦いにおいて、エチオピア軍を支援する上で積極的な役割を果たしていることをほぼ明確なものにしています。2ヶ月間で、UAEから飛び立ったIL-76輸送機がエチオピアに約70回も着陸しました。 [1] [2]

 一部の大型貨物機はアディスアベバ国際空港に着陸したように見えますが、ほとんどの場合は明らかに詮索好きな目やカメラから避けて軍用物資を降ろすため、ハラールメダ空軍基地に着陸しています。

 今もなお、UAEがエチオピア国防軍(ENDF)に引き渡した武器やその他の軍用装備については、比較的少ししか知られていません。分かっているのは、エチオピア軍が(UAEによって供給された)2発の迫撃砲弾で武装した大型のVTOL型無人戦闘航空機(UCAV)を配備していることと、エチオピアの共和国防衛隊が少なくとも同様に供給された3種類のカービン銃や狙撃銃などを使用していることです。[3] [4]

 ティグレ戦争の映像にUAEが供給した武器がその姿を出し始めるは、もはや時間の問題である可能性が高いと思われます。

 そうしているうちに、エチオピア政府はUAEから受け取った装備の一部について珍しく公開しました。しかし、その寄贈物資は銃や弾薬ではなく、基本的な救急設備を備えた救急車仕様のトヨタ・ランドクルーザー50台でした。[5]

 50台の救急車は、(確認された)IL-76による68便のエチオピアへのフライトのうち17便分の貨物量に相当します。これは残りの51便分が積載していた貨物の中身が依然として不明であり、それらがエチオピアではまだ公になっていない豊富な種類の武器で構成されている可能性があることを意味しています。

                       

 エチオピアの保健部門への救急車の提供について、ティグレ州における紛争とは全く無関係だと主張する人もいるかもしれませんが、エチオピアに救急車としてトヨタ・ランドクルーザーを供与するというUAEの決定は、これらの車両の大部分がティグレ州にいるエチオピア軍用に総動員されることを強く示唆しています。

 トヨタ・ランドクルーザー4x4の優れたオフロード能力と、(これらに施されているカーキ色の塗装から判断すれば)これらの車両が軍用のストック品から集められたように見えるという事実は、それが実際の用途であることを確かに暗示しています。




 エチオピアとUAEの間を往来するUAE関連の輸送機に積載された内容については、少なくともその一部が特定されています。

 表向きは民生用という肩書きがあることを除外しても、これの救急車の多くが前線で負傷したエチオピア兵士を病院に搬送するために使用されることになるであろうという推測については、それほど非現実的ではないと思われます。

 仮にこれが実際にそうなるとしたら、それは全体としていまだに拡大しつつある紛争が見せる単なる1つの側面にすぎません。そして、不本意な戦争当事者(エチオピアとティグレ)が最終的に敗北しないように、これまで以上に大量の人員と装備を投じることを余儀なくされるでしょう。



特別協力: Gerjon | חריון.

[1] https://twitter.com/Gerjon_/status/1450886738545627143
[2] https://twitter.com/Gerjon_/status/1451623183556268047
[3] UAE Combat Drones Break Cover In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/uae-combat-drones-break-cover-in.html
[4] Emirati Small Arms in Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/emirati-small-arms-in-ethiopia.html
[5] https://twitter.com/lia_tadesse/status/1450520938911604742

※  当記事は、2021年10月31日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所 

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