2022年2月16日水曜日

終わりなき内戦の中で:エチオピア・オロミア州でも武装ドローンが投入された

「モハジェル-6」※イメージ画像であり、エチオピアとは無関係です

著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 2022年1月初にエチオピア・オロミア州のギダミの町付近でイラン製「ガーエム-5」精密誘導爆弾(PGM)の残骸が発見されたことは、エチオピア空軍(ETAF)がイラン製の「モハジェル-6」UCAVをオロミア州に近い空港に全身配置したことを示す最初の兆候でした。[1] 

 衛星画像は、今や武装ドローンが隣接するベニシャングル・グムズ州のアソサに配備された可能性が高いことを示唆しています。[2]

 アソサからの「モハジェル-6」は、現時点でオロモ解放戦線(OLA)が活動しているオロミア州の大部分をカバーするのに十分な航続距離を有しています。 

 オロミア州の一部地域は反政府活動の温床となっています。TPLFは2021年11月にティグライ人民解放戦線(TPLF)や他の反政府勢力とも同盟を結び、エチオピア政府に対する統一戦線を形成しました。

 現在も続くエチオピアの紛争については、一般的にエチオピア政府とTPLFの間で起きているものと考えられていますが、実際のところは国内各地に存在するさまざまな勢力が互いに争っているのです。

 ETAFは散発的な空爆やドローン攻撃で、反政府勢力の活動を阻止しようとしています。オロミア州上空で実施されたドローン攻撃は民間施設の破壊や民間人の殺害をもたらしたと報告されていますが、これらは独立して検証されたものではありません。[3]

 「モハジェル-6」は衛星通信システム(SATCOM)を備えていないため、作戦可能範囲はたった200kmに限られています。つまり、このUCAVはエチオピア北東部のセマラ空港や中部のハラールメダ空軍基地からティグレ防衛軍の拠点に到達するには十分でしたが、オロミア州上空に到達することは完全に不可能だったのです。 

 「モハジェル-6」を格納するため、アソサ空港の駐機場に2棟の小さな格納庫が建設されたことが確認されました。格納庫には(雨天などの)天候からドローンを保護することに加えて、衛星から稼働していない「モハジェル-6」の存在を秘匿できるという別の利点もあります。



 2022年1月上旬に、当ブログはギダミ近郊で「ガーエム-5」PGMの残骸が発見されたことを最初に報じました。[1]

 アラブ首長国連邦がティグライ上空で運用する「翼竜Ⅰ」UCAVが、同地方のアラマタ近郊にある民間施設への一連の空爆に関与している可能性について、私たちがそれを暴露してからまだ1週間も経っていないのにこのような発見がなされたのです。[4]

オロミア州のギダミ近郊で発見された「ガーエム-5」PGMの残骸

 エチオピアのドローン飛行隊の急速な拡大は、今や政府軍にオロミア州を含む、従来よりも広範囲な国土を武装ドローンでカバーできるようにさせました。 

 オロミア州上空での「モハジェル-6」の投入は、敵を力づくで服従させるために武装ドローンを使用するエチオピア政府による最新の試みです。この戦術の成功は、衰えることのないドローン戦の圧力に屈したTPLFの軍隊がティグライ州の国境まで後退したことによって証明されています。 

 しかし、民間人の犠牲に対する国際的な懸念が高まっているため、エチオピア政府は近いうちに空爆の停止を余儀なくされるかもしれません。

「モハジェル-6」※イメージ画像であり、エチオピアとは無関係です

この記事の作成にあたり、Wim ZwijnenburgSaba Tsen'at Mah'derom に感謝します。

[1] Iranian Drone Munitions Found In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/iranian-drone-munitions-found-in.html
[2] https://twitter.com/wammezz/status/1482337749197856777
[3] https://twitter.com/Habtamu30820631/status/1479083838215274502[4] UAE Implicated In Lethal Drone Strikes In Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/uae-implicated-in-lethal-drone-strikes.html

※  当記事は、2022年1月17日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
  ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
  があります。

 

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