2021年12月17日金曜日

「モハジェル-6」から「翼竜Ⅰ」まで:拡大するエチオピアの無人機戦力(一覧)

この「翼竜Ⅰ」の画像はイメージであり、エチオピアとは無関係です

著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 進行中のティグレ戦争の流れを変えるため、エチオピアは世界中の国々からのU(C)AV:無人(戦闘)航空機の入手に重点を置いた投資を行っています。

 長年にわたって世界中の現代の軍事的な発展を無視してきたおかげで、エチオピア空軍は(1機のSu-25TKを除いて)精密誘導爆弾(PGM)の運用能力がある航空機が1機もない状態で紛争に巻き込まれ、結果としてティグレ防衛軍が戦場を自由に歩き回り、政府軍からの鹵獲に成功した大量の重火器の運用を許すことになってしまいました。[1]

 エチオピア国防軍(ENDF)にとって不幸だったのは、ティグレ軍が鹵獲した重火器には誘導式の多連装ロケット砲と弾道ミサイルでさえ含まれており、それらが後でエチオピアの2つの空軍基地のみならずエリトリアの首都を攻撃するのにも使用されたことです。[2] [3]

 ENDFはUCAV導入の突貫計画に着手したと予想されていましたが、2021年8月になってようやく(真の)UCAVを入手した最初の証拠が明るみに出ました。興味深いことに、エチオピアは以前に運用が報じられていた中国製の「翼竜」を調達するのではなく、その代わりにイランから2機の「モハジェル-6」を入手しました。[4]

 現在ではさなざまな種類のUCAVプラットフォームが入手可能であることを踏まえると、「モハジェル-6」(しかも2機だけ)の選択する決定がなされたことは、好奇心をそそります。運用可能な高度が低いために地上からの対空砲火に脆弱であり、FLIR(前方監視型赤外線装置)の品質が低いことや「モハジェル-6」自体の戦闘における実績が皆無に近いという事実から、実戦では乏しい効果しかもたらさない可能性があります。

 エチオピアにおける「モハジェル-6」の働きは今のところ全く成功していないようであり、両機は運用パフォーマンスが乏しいせいか、現在は駐機状態にあります。 [6]
 
 したがって、エチオピアはより効果的なUCAVを探し続けることを余儀なくされており、最終的には中国から「翼竜Ⅰ」を導入し、さらに伝えられるところによれば、トルコからも(現時点では形式不明の)UCAVを入手したとの情報があります。[5](注:11月8日にハラールメダ空軍基地の近くで「バイラクタルTB2」らしきUCAVが飛行しているのが目撃されたという情報が出回っています)[8]

 その数ヶ月前、エチオピアはすでに2発の120mm迫撃砲弾で武装した大型のVTOL型のUCAVを入手し、ティグレ州のマイチュー地区に配備していました。しかし、これらのマルチコプター式UCAVは、「翼竜Ⅰ」のような真のUCAVの能力を少しも備えていません。[7]

 ティグレ戦争でUCAVが極めて重要な役割を果たす可能性があり、それらの入手で示されたエチオピアの取り組みを考慮すると、これらや別のUCAVの導入で終わりとならないかもしれません。


注意
  1. このリストは実際にエチオピアで運用・保有が確認されたUAVだけを掲載しています
  2. UAVの名前をクリックすると、エチオピアでの当該機種の画像を見ることができます


無人偵察機


訓練用無人航空機


農業用無人航空機

[1] The Tigray Defence Forces - Documenting Its Heavy Weaponry https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/the-tigray-defence-forces-documenting.html
[2] From Friend To Foe: Ethiopia’s Chinese AR2 MRLs https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/from-friend-to-foe-ethiopias-chinese.html
[3] Go Ballistic: Tigray’s Forgotten Missile War With Ethiopia and Eritrea https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/go-ballistic-tigrays-forgotten-missile.html
[4] Iranian Mohajer-6 Drones Spotted In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/iranian-mohajer-6-drones-spotted-in.html
[5] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[6] 著者がエチオピアのデジェン航空工学産業 (DAVI)で働く整備員から得た情報
[7] https://twitter.com/wammezz/status/1445034651085639688
[8] https://twitter.com/Gerjon_/status/1458174559748767749?s=20

※  当記事は、2021年10月21日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
  ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと言い回しを変更した箇所があり
  ます。




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