2017年3月20日月曜日

希少な車両: キューバのダビドIMV(歩兵機動車)がアンゴラへ輸出された









著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

キューバはかつての指導者フィデル・カストロや共産主義と葉巻でよく知られており、後者の2つを世界中の国々へ輸出している。
その一方、武器輸出国としての役割については、一段とわかりにくいいままである。
近年、キューバは広範囲にわたる武器関連の装備の製造とAFVを改修するための巨大産業の設立を始めたが、この産業は今までのところ、ほとんどが自身の「革命軍(Fuerzas Armadas Revolucionarias:FAR)」のニーズに応じているものである。
その中で、アンゴラ共和国軍で運用されているキューバの「ダビド」歩兵機動車(IMV)の存在が大いに注目される。

アンゴラ軍で運用中のダビドIMVはSADC(南部アフリカ開発共同体)の多国間演習「ヴァーレ・ド・ケェーヴェ2014」で最初に目撃され、ナミビア軍のキャスパーMRAP(Mine-Resistant Ambush Protected:耐地雷・伏撃防護車両)とともに模擬演習を実施した。
ダビドは数年前にキューバで目撃され、1961年のピッグス湾事件の失敗を記念したプラヤ・ヒロン侵攻撃退勝利50周年パレード(注:2011年)に参加した(下の画像)。

アンゴラとキューバ間の強力な関係は、かつてのポルトガルによる植民地支配に対する解放闘争の間に確立され、アンゴラとその軍隊に重大な影響を及ぼしたが、過去数十年にわたるアンゴラに対する軍用装備の引渡しが具体化されていたことは知られていなかった。
最近のアンゴラとキューバ当局者間の会合で両国の関係があらためて確認され、両国防相らが軍事分野における協力を継続し、更に強化する意欲を表明した。







ときに「イグアナ」と呼ばれるダビドIMVの存在は、キューバ自身が、保有する旧式のソ連製兵器を同数の新たに外国から入手した兵器で置き換えることができないという、直接的な結果を示している 。
FARは、(装備の)予備部品の供給量の減少と装備の老朽化の拡大に対する独自の解決策を見つけることを余儀なくされ、この状況は、90年代から00年代初頭にかけてますます明らかになった。
この解決策は、限られた予算と、何よりもキューバの工場の技術的能力の範囲内で実施されなければならなかった。

既に、キューバは数種類の車輌の製造と改修に関して、搭載武装の追加や交換、戦場における防護力強化を目的とした増加装甲の取り付けによって僅かながら経験を有していた。
これらの車輌の少なくとも一部は、後にアンゴラで使用され、 キューバはそこでUNITA (アンゴラ全面独立民族同盟)やFNLA (アンゴラ民族解放戦線)、FLEC (カビンダ解放戦線) 、そして南アフリカ国防軍(SADF)と敵対するMPLAを支援するために戦っていた。

キューバ陸軍(Ejército)と空軍(Fuerza Aérea Revolucionaria)から成る大規模な派遣部隊は、アンゴラ軍の顧問として働くだけでなく、SADFとの直接戦闘に関与するために、1970年代と1980年代にアンゴラへ展開させられた。
キューバ軍がSADFを打ち破って、南アフリカのアンゴラ内戦からの撤退と南西アフリア独立の承認(1990年にナミビアとなる)を引き起こしたと信じられているが、 キューバ軍もSADFの手によって一連の敗北を被った。
しかし、最終的にキューバはSADFに介入規模の大幅な拡大なしにはこの紛争に勝てなかったと確信させ、結果として、キューバは軍事的ではなくアンゴラでのプレゼンスを通じた政治的勝利を得た。







帰国したキューバの派遣部隊はアパルトヘイトの南アフリカを打ち破った勝者として歓迎されたが、キューバは間もなく国内で大きな問題に直面した。
キューバは貿易の大部分をソ連に依存していたため、ソ連の崩壊が同国の経済に壊滅的な影響を与えたのであった。
キューバ軍も同様に大打撃を受け、すぐにスペアパーツと燃料の不足に直面した。
その結果として、大量のAFVや航空機が保管状態に置かれ、海軍の大型艦艇と潜水艦が退役させられた。

より安定した経済状況に考慮して、近年になってキューバ軍の戦闘能力の向上を図るための新しい役目に改修するため、大量の車輌と装備が保管状態から出された。
その改修は、時には戦時においてほとんど価値のないような疑わしいものになるだけではなく、ダビドIMVといった、より印象的なプロジェクトに至ることもあった。

これらの改修の優れた例としては、T-55戦車の車体に地対空ミサイル(SAM)発射機を搭載した車両があり、これによって静的なSAMサイトの機動性を高めることができた。
他の改修プロジェクトにはBMP-1やT-55、 さらにT-34/85の車体に対戦車砲、対空砲、榴弾砲、野砲を搭載したものを含まれている。
こうした既知の改修車両については、全てのリストをここで見ることができる。










ダビドはよくMRAPと言われるが、より適切な名称は「歩兵機動車(IMV)」である。
同車は、さまざまな種類の軍用車両から流用した部品の興味深い組み合わせを示している。 シャーシはソ連のGAZ-66トラックであり、それに装甲化されたボディが搭載された車両である。
同車の装甲値は不明であるが、全周防御は小火器の銃撃と爆発の破片に対しては充分なように思われる。

ダビドの搭載武装はBTR-60またはBRDM-2から取り外された単装の7.62mm PKT軽機関銃であり、この別車両の主武装という異なる役割で機能するように改修され、その過程で銃塔は失われた。
これらの車両はダビドが装備する兵員ハッチの出所であり、最大4基の兵員用ハッチが上部に存在している(注:ダビドの兵員用ハッチはBRDMやBTR-60のものと同じ)。
ダビドには2種類の型が存在していることが知られており、一つはそのような兵員用ハッチを装備しないタイプ(注:上部ハッチが前部座席直上に1基のみ)で、もう一つはアンゴラで運用されている派生型のような4基のハッチを装備したタイプである。
車両の両側面には、銃眼付きの視察窓が各3つずつ設けられている。

世界中の国々でより多くのキューバ製兵器が現れる見込みについては可能性が非常に低いものの、アフリカでこのような「外来」の車両が目撃されたことは国際武器市場の複雑さを再度示しており、軍備が拡散する方法を把握するための正確な分析を必要とする。
この独特な車両は、キューバ軍が保有する極めて多様な戦闘車両の一部であって、その多くは北朝鮮を含む型にはまらない出所に由来しており、この複雑な事実に関する優れた実例となっている。

 ※ この翻訳元の記事は、2017年3月18日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

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