2017年6月30日金曜日

シリア軍の再武装:ロシアが供与したBMP-2と2S9が到着した



著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

今年初めにT-62MBMP-1をシリア軍に初めて引き渡した後にシリアから出てきた新たな画像は、より多くの種類のAFVが最近になってロシアの「シリア急行」に積載されてシリアへ送られたことを明らかにした。
これらの新たな供与は、現在、ホムス東部でシリア軍のイスラミック・ステート(IS)に対する大躍進をもたらしている。
新たに引き渡されたAFVはISへの反撃のために、最終的にそこへ配備される可能性が高いだろう。

大量の武器や車両の引渡しは、現在シリア各地で活動している多くの民兵組織のいくつかを編入した統一軍を創設する計画を含んだ、シリア軍(SAA:Syrian Arab Army)の事実上の再建の一環だ。
このプロセスを背後で支える原動力は新たに設立された第5軍団であり、同軍団は過去6年の間にSAAの役割を奪ってきた、前述の民兵組織の増大する力に対抗する役割を果たす。

SAAの復権におけるロシアの役割に従って、この新生の軍隊への訓練と装備を担当するのもまたロシアだ。
これによって、シリアはすぐに追加のT-72T-90、さらにはBMP-3でさえ受け取るものと思わせたが(これらの全てが現時点におけるSAAの機甲戦力を構成するAFVより高度なものだ)、今までの供与ではそのほとんどがロシア軍で既に運用されていない、もはや必要とされていない旧式の兵器だった。

それにもかかわらず、これらの供与された車両と兵器の多くは、シリアの一部を支配するべく戦う多数の勢力に対する今日の作戦行動において、SAAにとって理想的に適合している。
小火器や大量のウラルGAZKamAZUAZのトラックとジープの供与に加えて、他では今までのところ、T-62MとBMP-1(P)、 M-1938(M-30)122mm榴弾砲がもたらされており、現在ではBMP-2歩兵戦闘車と2S9 120mm自走迫撃砲も含まれている。

第5軍団に対する以前の供与では、BMP-1や第二次世界大戦時の122mm M-30榴弾砲のような高度ではない装備だったことから、BMP-2と2S9といった装備の供与は関心を引く。
現在、より高度な装備がシリアに到着しているという事実は、ロシアが再軍備計画を成功と判断している証拠かもしれない。
また、内戦がシリア政府に有利に展開し続けるにつれて、より高度な装備の供与を潜在的に強化する可能性がある。

内戦の画像や映像においてBMP-2の存在が相対的に稀にもかかわらず、シリアの戦場では間違いなく見知らぬAFVではない。
実際、シリアは80年代後半に導入した約100台にわたるBMP-2の残存車両を継続して運用しており、そのほとんどがダマスカス周辺で作戦を展開する共和国防衛隊に配備されている。
1980年代から既に運用中のBMP-2に加え、少数のBMP-2がタドムル近郊の作戦に参加するため、2015年にT-72BとBMP-1と共にロシアから供与された。
これらのBMP-2のうち少なくとも1台、おそらくは2台がその後にここで破壊された。

現在供与されている車両は、ダークグリーンの迷彩塗装によって既にシリアで運用されているBMP-2(注:デザートイエロー色)と簡単に識別することができるが、何よりもBMP-2 1984年型とそれ以降の派生型のみに存在する、砲塔に装備された対放射線防護用装甲がある点で可能だ。
シリアが80年代後半に受領したBMP-2は旧式の1980年型であり、そのような対放射線防護用装甲および他の漸進的な改良が欠けている。

BMP-2は、1970年代に導入されて以来、SAAの主力IFVとして役立ってきたBMP-1の能力を大幅に向上させたものだ。
本来、ヨーロッパの平野で使用するために設計されたBMP-1の武装は、歩兵を支援するためには不十分であることと、重装甲のAFVを相手にする能力がないことがすぐにわかった。
さらに、BMP-1の薄い装甲や主砲が仰角をとれない点と移動中に正確に発射できない点が、同車を今日の紛争での使用においては痛ましいほど時代遅れなものにしている。

BMP-1から学んだ教訓の多くを取り入れて、BMP-2はこれらの深刻な欠点のいくつかを取り除いた。
最も明白なのは、2A28 73mm低圧砲を歩兵の支援と仰角を高くとることができるおかげで高所にある敵の位置を抑えることに非常に適した、速射可能な 2A42 30mm機関砲へ交換した点だ。
BMP-2には、BMP-1の扱いにくく、使用されることがほとんどなかった9M14 マリュートカとは対照的に、9M113コンクールス対戦車ミサイル(ATGM)の発射機が装備されている。

2S9の供与も、以前にこの車両が、今まで自走迫撃砲を運用していなかったSAAに就役したことが無かったために注目に値する。
2S9は、通常の砲弾では約8キロメートルの距離を、ロケット補助推進弾では12キロ以上の距離に砲弾を投射することができる後装式の2A60 120mm迫撃砲を武装している。
2S9のために誘導砲弾も開発されたが、シリアに配備されている可能性は低い。

SAAは砲撃支援のために数種類の牽引式野戦砲に加えて、2S1 122mm自走榴弾砲とBM-21 122mmMRLを大量に運用し続けているが、2S9は仰角を高くとることができるため、現在、政権軍がホムス東部で直面している山や尾根で防備を固めるISの陣地に対する戦闘には最適だ。
すぐに2S9が空中投下可能だということに気付く人もいるが、このような方法でデリゾールに送られることはほとんどありそうにない。
2S9がSAAで運用に入るその種(自走迫撃砲)の最初のタイプであるため、おそらく乗員は最初にこの車両で訓練しなければならないだろうし(注:完熟訓練)、BMP-2も同様といえる(より少ない訓練で済むだろうが)。
結果として、彼らが最前線に姿を見せるまでにはある程度時間がかかるかもしれない。

現在、政府軍が主にISに対して大躍進しているため、ロシアはシリア政府への支援を熱心に維持し続けると思われ、これまでに果てしなく続くように思われた紛争の中で、その投資をさらに強化していくだろう。
シリアにとって、これらの車両が現実に供与されることは、それが意味する傾向よりもはるかに重要の度合いが低い可能性がある(注:たとえ何であろうとロシアがシリアを支援することを意味しているため、その「流れ」はこうしたAFVの供与自体よりもさらに重要ということ)。
基本的にSAAのストックを無限に補給することができ、経済的苦難にもかかわらず、SAAをまとまりのある軍隊としての回帰をもたらすため必要とされる金額を支払う意思がある同盟国のおかげで、SAAの最終的な勝利は、将来の紛争の推移において全く予期しない紆余曲折をはばむものと思われる。  
いかなる場合でも、現在の情勢の進展は、シリアで争っている軍隊や勢力の間に戦略的均衡に作用することが確実であり、シリア内戦の最終的な結果に広範囲にわたって影響をもたらす可能性がある。

特別協力: Wael Al Hussaini(注:元記事への協力であり、本件編訳とは無関係です)。

 ※ この翻訳元の記事は、2017年6月15日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。  
       正確な表現などについては、元記事をご一読願います。  

おすすめの記事


備蓄品からの補充:ロシアから供与されたT-62MとBMP-1がシリアに到着した 

0 件のコメント:

コメントを投稿