著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
ベラルーシがロシア・ウクライナ戦争が参戦する可能性については、何度も憶測がなされてきました。
ロシアが自国からウクライナへ侵攻することを認めたほか、国内に展開したロシアの弾道ミサイルがウクライナ国内の目標に向けて発射することも許可している時点で、すでにベラルーシは参戦していると主張している人たちもいます。とはいえ、ベラルーシが戦争に直接参加することは最終的には現体制の終焉を招く連鎖反応を引き起こすことがほぼ確実視されているため、ルカシェンコ大統領はウクライナ戦争に対する自国の関与拡大(兵力の提供など)を阻止するために全力を尽くすと思われます。
戦争の話題ばかりが飛び交っているものの、ベラルーシ軍自体の状態に関する情報が外には全く出ていません。
2014年のロシアによるクリミア占領とドンバス戦争以前のウクライナと同様に、ベラルーシ軍は相当な規模縮小と更新なしで旧式装備が退役したことによって戦闘能力が徐々に低下しています。しかし、ウクライナ軍は少なくとも次第に老朽化していく戦力の改修プロジェクトを実行するのに十分な資金を確保することができたものの、ベラルーシは現有兵器を忘却の彼方へと追いやらないようにするための実質的な予算を全く計上することができなかったのです。
ベラルーシ軍が保有する兵器類にまん延した陳腐化に対処するため、ベラルーシの防衛企業は数多くの近代化プログラムを提案していますが、資金不足のおかげでベラルーシ自身が導入したものはほとんどありませんでした。僅かしか使えない予算の大部分は戦闘機や防空システムの調達に充てられており、その大部分もロシアから友好価格で導入されています。
陸軍はロシアから25台の「T-72B3 "2016年型"」戦車と約65台の「BTR-82A」歩兵戦闘車(IFV)を受領したほか、中国からは2012年から22台の「EQ2058」と数量不明の「CS/VN3」歩兵機動車(IMV)を寄贈されています。また、中国は2015年にベラルーシ陸軍で運用が開始された「ポロネズ」誘導式多連装ロケット砲/単距離弾道ミサイルシステムに関する技術の提供国です。
しっかりした基盤を持つ自国の防衛産業の製品も陸軍に導入されています。(「BRDM-2」の現代版である)「ケイマン」偵察車と「ボラット-1」IFVはいずれも就役し、ロシアの「ティーグル-M」IMVは「リス-PM」としてベラルーシで生産が始まり、少数がベラルーシ軍で運用されています。
また、「BTR-70」装甲兵員輸送車(APC)の多くが「BTR-70MB1」規格にアップグレードされています。その後、これらのBTRは以前から運用されていた「BMD-1」 IFVや「BTR-D」 APCに代わって、ベラルーシの空挺旅団や空中強襲旅団で就役しました。
装甲戦闘車両
歩兵戦闘車
装甲兵員輸送車
歩兵機動車
指揮通信車両類
工兵・支援車両
砲兵支援車両または装備類
自走式対戦車ミサイルシステム
多連装ロケット砲
誘導式多連装ロケット砲
短距離弾道ミサイル
対空機関砲
固定式地対空ミサイルシステム
電子戦システム
※ 当記事は、2022年11月5日に本国版「Oryx」に投稿されたものを翻訳した記事です。
意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。
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戦争の話題ばかりが飛び交っているものの、ベラルーシ軍自体の状態に関する情報が外には全く出ていません。
2014年のロシアによるクリミア占領とドンバス戦争以前のウクライナと同様に、ベラルーシ軍は相当な規模縮小と更新なしで旧式装備が退役したことによって戦闘能力が徐々に低下しています。しかし、ウクライナ軍は少なくとも次第に老朽化していく戦力の改修プロジェクトを実行するのに十分な資金を確保することができたものの、ベラルーシは現有兵器を忘却の彼方へと追いやらないようにするための実質的な予算を全く計上することができなかったのです。
ベラルーシ軍が保有する兵器類にまん延した陳腐化に対処するため、ベラルーシの防衛企業は数多くの近代化プログラムを提案していますが、資金不足のおかげでベラルーシ自身が導入したものはほとんどありませんでした。僅かしか使えない予算の大部分は戦闘機や防空システムの調達に充てられており、その大部分もロシアから友好価格で導入されています。
陸軍はロシアから25台の「T-72B3 "2016年型"」戦車と約65台の「BTR-82A」歩兵戦闘車(IFV)を受領したほか、中国からは2012年から22台の「EQ2058」と数量不明の「CS/VN3」歩兵機動車(IMV)を寄贈されています。また、中国は2015年にベラルーシ陸軍で運用が開始された「ポロネズ」誘導式多連装ロケット砲/単距離弾道ミサイルシステムに関する技術の提供国です。
しっかりした基盤を持つ自国の防衛産業の製品も陸軍に導入されています。(「BRDM-2」の現代版である)「ケイマン」偵察車と「ボラット-1」IFVはいずれも就役し、ロシアの「ティーグル-M」IMVは「リス-PM」としてベラルーシで生産が始まり、少数がベラルーシ軍で運用されています。
また、「BTR-70」装甲兵員輸送車(APC)の多くが「BTR-70MB1」規格にアップグレードされています。その後、これらのBTRは以前から運用されていた「BMD-1」 IFVや「BTR-D」 APCに代わって、ベラルーシの空挺旅団や空中強襲旅団で就役しました。
- 以下に列挙した一覧では、ベラルーシが保有しているAFVなどを掲載しています。
- この一覧は、現時点でベラルーシ軍で運用されているあらゆるAFVなどをすることを試みて作成されたものです。
- この一覧に掲載されているものは、画像などの視覚的なエビデンスに基づいて確認されたものだけに限定されています。
- ベラルーシ軍で運用されていない同国製の兵器や、トラック及びジープ類はこの一覧には含まれていません。
- 各兵器類の名称をクリックすると、ベラルーシで運用されている当該兵器類などの画像を見ることができます。
戦車
T-72 'ウラル' (依然として少数が訓練で使用)
T-72A(初期型) (同上、それ以外は保管扱い)
T-72A(中期型) (同上)
T-72A(後期型) (同上)
T-72AV
T-72B (スラットアーマー、コープケージとコープバケットを装備可能)
T-72B「1990年型」
T-72B3「2016年型」
装甲戦闘車両
BRM-1偵察車 (退役したと思われる)
「ケイマン」偵察車
MT-LB汎用軽装甲牽引車
歩兵戦闘車
BMP-1(P) (依然として少数が訓練で使用、それ以外は保管扱い)
BMP-2「1980年型」 (スラットアーマーを装備可能)
BMP-2「1984年型」 (同上)
BMD-1 (「BTR-70MB1」APCに置き換えられた後に退役し、予備兵器扱い)
BTR-82A
装甲兵員輸送車
歩兵機動車
GAZ「ティーグル-M ''リス-PM''」
MZKT-4190100「ボラット-V1」
東風「EQ2050F ''ボガトィーリ''」 (「エイドゥノック」RWSを装備可能)
NORINCO「CS/VN3 ''ドラコン'"」
指揮通信車両類
BMP-1KSh 野戦指揮車
R-145BM1 移動指揮車
BTR-60PU-12M 防空指揮車
9S470 防空指揮車 (「ブーク」用)
9S457 防空指揮車 (「S-300V」用) (未確認)
R-142 移動通信車
P-240MB「ケイマン-KAS」移動通信車
R-186「ボガトゥイーリ-2」移動通信車
R-186「ドラコン」 移動通信車
R-443「ボスホート」 移動通信車
R-434 移動通信車
R-414MBRP「ソスナ-2」移動通信車
「ゴリゾント」対流圏散乱通信システム
形式不明の移動通信車(1)
形式不明の移動通信車 (2)
工兵・支援車両
BREM-1 装甲回収車
BTS-4A 装甲回収車
BREM-Ch「BREM-4」装甲回収車
BREM-K 装甲回収車
IMR-2(M) 戦闘工兵車
BAT-2 重戦闘工兵車
MDK-3 塹壕掘削車
PTS-2 装軌式水陸両用輸送車
UR-67 地雷除去車
UR-77「メテリオット」地雷除去車
PZM-2 塹壕掘削車
IRM「ジューク」工兵偵察車
BRDM-2RKh 化学偵察車
GMZ-3 地雷敷設車
ZS-82 心理戦システム車
T-55 消防戦車
BMM-80「シンフォニヤ」装甲救急車
PMP 浮橋
TMM-3 架橋戦車
砲兵支援車両または装備類
PRP-3「ヴァル」砲兵偵察車 (退役したと思われる)
1V18「クリョン-1」砲兵指揮・前進観測車 (同上)
1V13(M) 中隊指揮・前進観測車
1V14 中隊指揮・前進観測車
9T452 弾薬輸送車兼装填車 (「BM-27"ウラガン"」MRL用)
9T234-2 弾薬輸送車兼装填車 (「BM-30 "スメルチ"」 MRL用)
V-200TZM 弾薬輸送車兼装填車 (「ポロネズ」MRL用)
9T217 弾薬輸送車兼装填車 (「9K33"オーサ"」SAM用)
自走式対戦車ミサイルシステム
2S9「ノーナ」120mm自走迫撃砲 (退役して予備兵器扱い)
2S1「グヴォズジーカ」122mm自走榴弾砲
2S3(M) 「「アカーツィヤ」152mm自走榴弾砲
2S5「ギアツィント-S」152mm自走榴弾砲
2S19「ムスタ-S」152mm自走榴弾砲
多連装ロケット砲
誘導式多連装ロケット砲
短距離弾道ミサイル
OTR-21「トーチカ-U」 [射程距離: 120km] [CEP: 95m] (「ポロネズ」用の中国製「M20」SRBM に更新予定)
固定式地対空ミサイルシステム
9K35「ストレラ-10」 [射程距離: 5km]
9K33「オーサ」 [射程距離: 15km]
9A331MK「トール-M2K」 [射程距離: 16km]
9K37「ブーク」 [射程距離: 25km]
S-300PS「グランブル」 [射程距離: 90km]
S-300V [射程距離: 100km]
電子戦システム
P-18「スプーン・レストD」対空捜索レーダー
P-35/37「バー・ロック」対空捜索レーダー
PRV-9「ティン・スキンE」対空捜索レーダー
PRV-16「ティン・スキンB」対空捜索レーダー
36D6「ティン・シールド」対空捜索レーダー
55ZH6「トール・ラック」対空捜索レーダー
1L22「パロル」対空・識別レーダー
9S80(PPRU)「スボルカ ''ドッグ・イア"」対空捜索レーダー
Rosa-RB-M「アシュルク」低高度捜索レーダー
ヴォストーク-3D 対空レーダー
59N6-E「プラァティブニク-GE」3次元対空捜索レーダー
9S18「クポール "チューブ・アーム"」目標探知・追尾レーダー (「ブーク」用)
30N6「フラップ・リッド」多機能レーダー (「S-300PT」及び「S-300PS」用)2種類: (2)
76N6「クラム・シェル」低高度捜索レーダー (同上)
91N6「ビッグ・バード」対空レーダー (同上)
9S15M「ビルボードA」対空レーダー (「S-300V」用) (未確認)
無人偵察機
オルラン-10 ''ブセル''
スーパーカム「S100」
スーパーカム「S350」
イルクート-3 ''ベルクート-1''
イルクート-10 ''ベルクート-2''
フォーミュラ
VR-12「モスキート-N」
ブセル-M
意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。
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