弾道ミサイル計画でよく知られている北朝鮮は、その体制の維持を可能とする
外貨の獲得を外交関係に依存してきました。特にエジプト、シリア、イラン、そしてミャンマーといった国への弾道ミサイルや核技術の輸出が
頻繁に報じられており、国際的な監視者から大きな注目を集めています。しかし、(通常兵器と戦略兵器の双方を世界中の国家へ引渡すこと自体は別として)北朝鮮の対戦車ミサイルがアメリカによってテロ組織と指定された者たちの手によって登場していおり、それは武器密売市場における北朝鮮による関与の拡大を示しています。
ハマスの軍事部門である「エゼディン・アル・カッサム旅団」の戦闘員を映した画像は、彼が操作している9K111「ファゴット(西側呼称:AT-4)」の派生型が北朝鮮が運用しているBulsae-2(注:北朝鮮側の呼称「火の鳥-2」)であることを示しています。
カッサム旅団はスーダンからガザ地区までに及ぶ密輸業者と裏ルートの精巧なネットワークを介して、イラン経由で北朝鮮のミサイルを受け取っている可能性があります。
これは、おそらくほかの輸送で行なわれる方法と同じようなやり方で行わたものと考えられています。
例として、ポートスーダンでの武器引渡し後にエジプト経由でガザ地区へ陸路で運ばれる方法があります(これは紅海のスーダン沿岸でイスラエル海軍に拿捕された貨物船「Klos C」の件でも行われるはずでした)。
また、政治的対立によりハマスから分離独立したアル・ナセル・サラディーン旅団も多くの発射機とミサイルを保有していることが確認されました(下の写真)。
ほかの武器が対戦車ミサイルと一緒に引き渡されたかは不明ですが、北朝鮮はロケット推進擲弾(注:RPG-7)やMANPADS(携帯式地対空ミサイルシステム)の主要な生産者としてよく知られており、その幾らかは輸出されたとみられています。
この説のさらなる裏づけとして、2009年12月にバンコクに着陸したIL-76輸送機から北朝鮮製の武器の積み荷がタイ当局によって発見・押収された件が挙げられます。
石油掘削装置として表示された貨物には、35トン分に相当するロケット弾、携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)、爆薬、ロケット推進擲弾やその他の兵器類が含まれていました。
その数か月前(2009年7月)にも同様の積み荷がUAEで押収されたケースがありました。
摘発を受けて押収されたパターンもありますが、大量の積荷がハマスとヒズボラの双方へ発覚されれずに密輸されたものと信じられています。
北朝鮮が武器密輸業の筆頭にいることにより、武器の輸送方法と密輸ルートが絶え間なく進化しているのです。
北朝鮮の役割はあくまでもこのような武器システムの生産者であることであることに限られています。
ただし、イランと北朝鮮のお互いが「聞くな、答えるな」という方針を維持していたとしても、北朝鮮が輸出したBulsae-2の宛先を熟知していることは容易に推測できます。
ただし、この取引での北朝鮮の唯一の関心は外貨なので使用する相手が問題になることはないようです。
9M111有線式ミサイルは目標への指向方法として半自動指令照準線一致誘導方式(SACLOS)を採用しており、目標や種類によっては460mmの装甲を貫徹することができます。
9K111-1コンクールス・システムを用いる9M113ミサイルを含めた能力向上型は、9M111と9M113の双方に互換性を付与されたことによって同じ発射機(最初期の型を除く)を使用することが可能です。
北朝鮮は9K111を1988年にソ連から最初に受領し、2010年ころまでにロシアとの間で約4500システムの取引が継続されたといわれています。
ミサイルの互換性という性質により、9K111ファゴットだけでなく9K111-1コンクールスも引き渡された可能性も考えられるますが、それを明言することはできません。
9K111-1コンクールスについて北朝鮮側の名称は知られていませんが、既に知られているBulsae-3(火の鳥-3)はおそらくそれとは関係のないシステムと思われます。
北朝鮮製9K111「火の鳥-2」発射機は幾つかの点においてオリジナルと差異があり、最も顕著な点として、光学機器が大幅に変更されたことが挙げられます。
このシステムの発射機である、9P135の9Sh119照準装置(照準器の下半分)は「火の鳥-2」の照準器に似ていますが、ミサイルの自動追尾用スコープ(照準器の上半分)が、2つの独立した小さい光学機器と交換されています。
この改良が、オリジナルのアップグレード又はダウングレードになるのかは不明です。
近年、北朝鮮はシステムの品質に影響を及ぼさない独自のミサイルを製造しているようなので、今後も注視していく必要があります。
※ この翻訳元の記事は、2014年7月に投稿されたものです。
当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
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