2017年7月14日金曜日

DIYに走るリビア・ドーン: S-125地対空ミサイルが地対地ミサイルとして使用された





著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

リビアにおける高性能な兵器のスペアパーツの不足は、他の勢力から優位を得ようとしているリビア軍(LNA)リビア・ドーン(「リビアの夜明け」運動)によって多くの興味深い改造をもたらした。
このような改造に関する最近の例には、リビア・ドーンによるエリコンGDF艦載用機関砲をトラックに搭載したことと、LNAによるAK-230艦載用機関砲をトラックに搭載した件が含まれる。

現在(注:2015年)、リビアの首都であるトリポリとミスラタのような他の大都市を支配しているリビア・ドーンは、支配下にあるリビア西部の広大な面積の土地で見つけられた大量の地対空ミサイル(SAM)を受け継いだ。    
リビア・ドーンは、SAMを本来想定されていた役割で使用する必要が少しも無かったため、SAMのいくつかを地対地ミサイルへ転用する実現可能性について調査に着手した。
この武装グループは、かつてリビアのSu-24に装備されていた幾つかのKh-29空対地ミサイルを無誘導ロケットとしてトリポリ近郊で使用していたことから、そのような改造の経験を既に獲得していた。 

実に驚くべき動きとして、リビア・ドーンは2014年12月初めと2015年3月初めに、少なくとも2つの完全なS-125 SAM旅団のミサイルと関連する装備品を一緒にトリポリへ移送した。[1] [2]
これらの移送の陰にある最初の動きは不明のままだったが、画像は現在、リビア・ドーンがS-125を地対地ミサイルとして使用し始めたことを明らかにしている。

(画像では)彼らのオリジナル発射機(移動式)に取り付けられているミサイルは、無誘導の地対地ロケットとして、より安定した飛行の軌道を得るために前部のフィンが取り外された。
より興味深いことに、ミサイルのノーズ部分が延長されており、もしかすると弾頭のサイズが増加した可能性がある。
元のミサイルでは、60kgの弾頭しか搭載されていない。
その量は飛行目標に大きなダメージを与えたり、撃墜するには充分だが、地対地の用途で使用された場合に目標に対して大きな損害を与えるにしてはあまりにも軽すぎる。
弾頭は、航空機を破壊するために設計された本来の爆発性破片弾頭よりも、効果的な通常の高性能爆薬に置き換えられたかもしれない。
最後に、通常はこのシステムに付随している近接信管は、地上の目標に使用するためにより適切な信管に置き換えられているようだ。

リビア・ドーンによるSAMを地対地ミサイルとして機能するように改造した例は、実際には世界初ではない。
かつて1988年には、イラクが数百Kmの射程距離の弾道ミサイルにするために、幾つかのS-125を改造した。

アル・バーク(Al-Barq)と呼ばれるこのミサイルは、S-125を操作可能なミサイルとして使用できるようにする特徴を取り除くなどして地対地ミサイルの用途に合うように改修された:ミサイルのカナード翼と弾頭の近接信管が取り除かれ、ミサイルの自爆装置が動作しないようにした。

この改造についてはS-125の弾頭が機体の一部であり、改修するのが困難であったために決して簡単ではなかったことが証明された。
ミサイルの作業は徐々に進行し、実際に幾つかの飛行試験が実施されたが、達成された飛行距離は117kmしかなく、CEP(半数必中界)は数kmに達した。
満足のいかない結果となったため、その後にこのプロジェクトは1990年に終了した。


リビア・ドーンが残された埃まみれのミサイルから、失敗したアル・バークの射程距離や精度を何とか達成しようと、やっつけ仕事で仕上げることが出来たかは明らかに信じ難く、この分野の改造ではとてつもない短距離と壊滅的な不正確さ(命中率)の両方に悩まされることを意味している。
しかし、十分過ぎる量のS-125とこの内戦がどうにもならないように見える限り、これらのような改造は間違いなく続くだろう。


















 ※ この翻訳元の記事は、2015年4月25日に投稿されたものです。   
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

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