著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
現在、トルコは国の南部で猛威を振るっている一連の致命的な森林火災と戦っています。
この地域を苦しめている高温と強風のために、山火事を鎮圧することは今までのところ困難であることが判明しており、新たな火事はすぐに他の州にも急速に拡大しつつある状況です。
また、容赦ない火災は地中海沿岸のいくつかの観光地を危険にさらしており、炎がゆっくりと海岸に近づくにつれて、壊滅的な痕跡が次々と残されていきます。この山火事では、これまでに8人の死亡と(住宅が炎上したり貴重な家畜が煙や高熱で失われるため)数百人が避難を強いられています。 [1]
1万人以上のトルコの消防士と一緒に82機以上の飛行機やヘリコプターがこの自然災害と戦っているほか、この戦いにはアゼルバイジャン、スペインとカタールから派遣された消防士たちも加わっています。[2][3]
また、ウクライナ、イラン、スペイン、クロアチア、ロシアといった国々もトルコへの支援を申し出ており、「An-32」(ウクライナ)を2機、「Il-76」(イラン)を1機、「CL-215」(スペイン)を2機、「CL-415」(クロアチア)を1機、さらに消防用航空機5機とヘリコプター3機(ロシア)を火災との戦いに充てています(注:8日現在でカザフスタンが2機の「Mi-8AMT」を派遣したほか、クウェートも消火用の航空機を派遣することを表明しています)。[4] [5]
これらに加えて、すでにトルコにはロシア製のヘリコプターやBe-200消防機も展開していますが、これらはロシアによる猛火との戦いへの支援というよりもリース契約に基づいて運用されているものです。
新たに発生した火災を発見の手助けや消火部隊を連携させるためにトルコは多数の無人航空機(UAV)を投入しており、被災地域を24時間体制で監視しています(8月7日現在では9機のUAVが投入されています)。
UAVはそれ自身で直接に消火活動を行うことはできませんが、熱源を検知することで当局は消防アセットを迅速にその場所へ投入することが可能となるため、新たな山火事の発生を食い止めることに計り知れないほどの有益性があることが証明されています。
このようにして、新たな火災が急速に鎮圧不可能になる前に消火することが可能となっているのです。
何ら驚くことではないかもしれませんが、「バイラクタルTB2(通称、TB2)」はこの国での山火事に対する(UAVの)戦いの最前線に立っています。
数機のTAI 「アンカ」と「アクスングル」と共に、警察総局、トルコ海軍やバイカル・ディフェンス社(注:TB2の設計・製造会社、通称バイカル社)に属するTB2が、現時点で消防やOlman Genel Müdürlüğü OGM(森林総局)を支援するために運用されています。
このようなハイテクな無人アセットの継続的な使用は高額なことのように聞こえるかもしれませんが、実際にはその逆で、1飛行時間あたりのコストは僅か925ドル相当であり、有人機の場合の何分の1かの費用にすぎません。[6]
米国などの国でも過去に山火事の監視でUAVが使用されていましたが、トルコでは世界でも類を見ない規模でそれが行われています。これは、トルコが過去数年で手に入れた無人機開発におけるパイオニア的な役割を果たしていることや、バイカル社のUAVの機能性や取得価格と運用コストの低さの両方を示しています。
これらは間違いなく、国内各地での山火事に対する戦いに取り組むためにトルコが2020年から「バイラクタルTB2」を使い始めた理由であり、同年に345件、この2カ月間だけでも86件の火災を検知することに至りました。[7]
トルコの消防士や国際的な仲間たちが一見すると止められないと思われる熱地獄との絶え間ない戦いに従事している中、「バイラクタルTB2」のようなトルコの無人機は空における彼らの目となるでしょう。
いわゆる「水爆撃機」よりも目に見えるほど活動的ではありませんが、彼らの仕事は有益であり、それが大型で手頃な価格のUAVの幅広い応用性を証明しています。
この地域では山火事が確実に迫り来る脅威であり続けることから、トルコ政府は将来の消火活動計画における検討のためにUAVの性能を真剣に評価することになるでしょう。
これにより、(リースではなく)新しい消防用航空機を購入することだけでなく、関連機関によってTB2などが取得される実例を目にすることもあり得ます。
そのような買収が本当に身近なものであろうとなかろうと、特に他国がこのような能力を持つ機体を獲得しようとする可能性があることから、今回の消防作戦で得られた経験は近い将来により重要になることは確実と思われます。
現在、バイカル社などのトルコ企業は数多くの新型UAVの設計を進めていることから、いつか近いうちに消防分野におけるより高度な無人機の開発が着想されるかもしれません。
[1] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421905199355121666
[2] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421346133457215489
[3] https://twitter.com/SpainNATO/status/1422113728233934850
[4] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421419114522947586
[5] https://twitter.com/haskologlu/status/1421928051290644482
[6] https://twitter.com/TyrannosurusRex/status/1421416463718563846
[7] https://twitter.com/Selcuk/status/1421068795876085761
[8] https://twitter.com/IsmailDemirSSB/status/1421857980874690560
UAVはそれ自身で直接に消火活動を行うことはできませんが、熱源を検知することで当局は消防アセットを迅速にその場所へ投入することが可能となるため、新たな山火事の発生を食い止めることに計り知れないほどの有益性があることが証明されています。
このようにして、新たな火災が急速に鎮圧不可能になる前に消火することが可能となっているのです。
何ら驚くことではないかもしれませんが、「バイラクタルTB2(通称、TB2)」はこの国での山火事に対する(UAVの)戦いの最前線に立っています。
数機のTAI 「アンカ」と「アクスングル」と共に、警察総局、トルコ海軍やバイカル・ディフェンス社(注:TB2の設計・製造会社、通称バイカル社)に属するTB2が、現時点で消防やOlman Genel Müdürlüğü OGM(森林総局)を支援するために運用されています。
このようなハイテクな無人アセットの継続的な使用は高額なことのように聞こえるかもしれませんが、実際にはその逆で、1飛行時間あたりのコストは僅か925ドル相当であり、有人機の場合の何分の1かの費用にすぎません。[6]
米国などの国でも過去に山火事の監視でUAVが使用されていましたが、トルコでは世界でも類を見ない規模でそれが行われています。これは、トルコが過去数年で手に入れた無人機開発におけるパイオニア的な役割を果たしていることや、バイカル社のUAVの機能性や取得価格と運用コストの低さの両方を示しています。
これらは間違いなく、国内各地での山火事に対する戦いに取り組むためにトルコが2020年から「バイラクタルTB2」を使い始めた理由であり、同年に345件、この2カ月間だけでも86件の火災を検知することに至りました。[7]
TB2やTAI「アンカ」といったより大型のUAVを使用する強みは、運用する際の高度(5,500~9,000メートル)にあります。そのため、彼らは装備している前方監視型赤外線(FLIR)カメラで広範囲にわたる地域を調査することができるのです。
火災が住宅地に向かって拡大している場合、(航空機やUAVでそれを把握した場合は)その住人たちへ事前に警告することが可能ですが、火災を監視している地上部隊だけでは正確な火災の範囲や経路を判断することが困難です。
8月1日、TAI「アクスングル」は山火事が広がっていく経路上に3人の作業員が存在していることを検知しました。見たところ、彼らは迫り来る危険にまだ気づいていなかったようでしたが、炎に完全に包まれる前に警告を受けることができたのは、まさに無人機の鋭い観察眼のおかげでした。[8]
一旦UAVによって新たな火災が発見されて全ての情報が慎重に判断された後、消火するために適切なアセットをその必要とする地域に投入することが可能となります。トルコでは、このアセットには大量の消防車だけでなく消防専用機の飛行隊も含まれています。
この飛行隊には、かつては約9機の「CL-215」と11機の「PZL M18 ドロマーダー」という「水爆撃機」が含まれていましたが、これらは全機がここ数年で退役しており、飛行隊に残されているチャーターされたロシアの「Be-200」水陸両用消防機や「Mi-17」、「Ka-32」ヘリコプターがその有益な仕事を引き継いでいます。
火災が住宅地に向かって拡大している場合、(航空機やUAVでそれを把握した場合は)その住人たちへ事前に警告することが可能ですが、火災を監視している地上部隊だけでは正確な火災の範囲や経路を判断することが困難です。
8月1日、TAI「アクスングル」は山火事が広がっていく経路上に3人の作業員が存在していることを検知しました。見たところ、彼らは迫り来る危険にまだ気づいていなかったようでしたが、炎に完全に包まれる前に警告を受けることができたのは、まさに無人機の鋭い観察眼のおかげでした。[8]
一旦UAVによって新たな火災が発見されて全ての情報が慎重に判断された後、消火するために適切なアセットをその必要とする地域に投入することが可能となります。トルコでは、このアセットには大量の消防車だけでなく消防専用機の飛行隊も含まれています。
この飛行隊には、かつては約9機の「CL-215」と11機の「PZL M18 ドロマーダー」という「水爆撃機」が含まれていましたが、これらは全機がここ数年で退役しており、飛行隊に残されているチャーターされたロシアの「Be-200」水陸両用消防機や「Mi-17」、「Ka-32」ヘリコプターがその有益な仕事を引き継いでいます。
トルコの消防士や国際的な仲間たちが一見すると止められないと思われる熱地獄との絶え間ない戦いに従事している中、「バイラクタルTB2」のようなトルコの無人機は空における彼らの目となるでしょう。
いわゆる「水爆撃機」よりも目に見えるほど活動的ではありませんが、彼らの仕事は有益であり、それが大型で手頃な価格のUAVの幅広い応用性を証明しています。
この地域では山火事が確実に迫り来る脅威であり続けることから、トルコ政府は将来の消火活動計画における検討のためにUAVの性能を真剣に評価することになるでしょう。
これにより、(リースではなく)新しい消防用航空機を購入することだけでなく、関連機関によってTB2などが取得される実例を目にすることもあり得ます。
そのような買収が本当に身近なものであろうとなかろうと、特に他国がこのような能力を持つ機体を獲得しようとする可能性があることから、今回の消防作戦で得られた経験は近い将来により重要になることは確実と思われます。
現在、バイカル社などのトルコ企業は数多くの新型UAVの設計を進めていることから、いつか近いうちに消防分野におけるより高度な無人機の開発が着想されるかもしれません。
[1] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421905199355121666
[2] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421346133457215489
[3] https://twitter.com/SpainNATO/status/1422113728233934850
[4] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421419114522947586
[5] https://twitter.com/haskologlu/status/1421928051290644482
[6] https://twitter.com/TyrannosurusRex/status/1421416463718563846
[7] https://twitter.com/Selcuk/status/1421068795876085761
[8] https://twitter.com/IsmailDemirSSB/status/1421857980874690560
※ この翻訳元の記事は、2021年8月2日に投稿されたものです。当記事は意訳など
により、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読ください。
により、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読ください。
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