ラベル アンカ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル アンカ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年4月8日土曜日

アフリカに嵐を巻き起こせ: ニジェールが「バイラクタルTB2」を導入した


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ

 「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機(UCAV)の商業的成功には際限がなく、このシステムの調達に関心を示す国の数は月ごとに増加しているようです。2021年10月下旬の時点で、TB2を調達した国は13カ国と報じられており、同年8月から3か国も増加しました。[1]

 TB2の製造・販売を手がける「バイカル・テクノロジー(以下、バイカル社と表記)」社は、ほかの大部分のUCAVメーカーが自社製システムの生産期間の全体を通じて達成したいと望む数よりも多くの取引を3か月で成功裏に締結したため、この商業的成功の重要性について、いくら強調してもし過ぎることはありません。

 それ自体もすでに素晴らしい偉業ですが、「バイカル」社が全く新しい市場に自社製品を浸透させることに成功したことも同じくらい素晴らしいことだと言ってもよいでしょう。その中で最も注目すべきはサハラ以南のアフリカ市場で、ナイジェリア、アンゴラ、ルワンダといった国々がTB2の導入を示唆したり、すでに発注済みの状態にあります。[2]

 「バイラクタルTB2」を調達したもう1つのアフリカの国は、ニジェールです。[3] [4]
 ニジェールへの販売は、モロッコやリビアなど他のアフリカ諸国とすでに締結している取引に続いて成立しました(注:2023年現在は、すでに作戦に投入されているようです)。このとき、「バイカル」社は、「翼竜」シリーズを生産する中国の「CAIG」社や「CH-3/4」シリーズで知られる「CASC」社だけでなく、トルコ企業との競争にも直面しました。[3]
 
 「トルコ航空宇宙産業(TAI)」「アンカ」UCAVをニジェールにも売り込んでおり、賢明に「T129」攻撃ヘリコプターと同UCAVの輸出契約を成立させようとしていたため、「TAI」が同国と取引をまとめる用意ができているように見えました。[3]

 しかし、現時点で「アンカ」を導入した外国は2020年に3機を調達したチュニジアのみに留まっているようです(注:2023年4月現在でカザフスタンマレーシアアルジェリアとチャドも契約を結ぶという商業的な成功を収めています)。[5]

 「T129」については、機体に搭載されるターボシャフトエンジンである「LHTEC」製 「T800」の輸出許可にアメリカが難色を示したことが海外販売のネックとなっており、「アンカ」の輸出販売が不調なのは、UCAV市場における中国や「バイカル」社との激しい競争の結果がダイレクトな原因であることに疑う余地はありません。

 「バイラクタルTB2」がリビア、シリア、そしてナゴルノ・カラバフで著しい成功を収めたことが、価格の安さと共にTB2の売却を推し進め、結果的に「アンカ」に不利益をもたらしていることは間違いないでしょう。

 とはいえ、「TAI」はニジェールに若干数の「ヒュルクシュ」練習機を売却することに成功し、同機初の輸出を記録するという偉業を成し遂げたことも注目すべき出来事と言えます。[6]

                   

 現在、ニジェールはチャド湖に沿った南東部の国境で反政府軍の脅威に直面しています。
 この脅威は2000年代後半にボコ・ハラムによって引き起こされ、今はイスラム国・西アフリカ州(ISWA)が主体となっています。彼らがニジェールの前哨基地や民間人の居住地を頻繁に攻撃した結果、数千人もの民間人や兵士が殺害されました。[7]

 ボコ・ハラムのテロ活動は2009年にナイジェリア北東部で勃発し、次第に行動範囲が近隣のチャド、カメルーン、ニジェールまでに急速に拡大していきました。治安部隊はこれまでにこうした脅威を封じ込めるのに苦労しており、機動性の高い武装勢力を追跡し、居場所を突き止め、無力化するのは困難であることが判明しています。

 イスラム国部隊との戦闘の難しさは、ニジェールが彼らの小規模な集団や車両を発見し無力化できる適切な航空戦力が欠けていることによってさらに悪化しています。なぜならば、彼らは近くにある木の下に隠れるだけでほとんどの航空機からの発見から簡単に逃れることができるからです。

 現在、ISWAと戦う諸国の中ではナイジェリアだけが、密集した草木に隠れた人や車両の熱源を検知できる前方監視型赤外線装置(FLIR)を搭載したUAVの大規模な飛行隊やその他のアセットを運用しています。

 ニジェールはFLIRを搭載した航空機を数機保有しているものの、これらは非武装であるため、攻撃機やヘリコプターとの連携した運用は事実上不可能となっているのが現状です。

 「バイラクタルTB2」のような無人戦闘航空機(UCAV)を導入することで、ニジェールは現在保有している作戦機の長所(この場合、高度なFLIR装置と兵装)を1つのシステムに統合することができます。また、TB2(と「アンカ」)は、アフリカのほとんどの攻撃機やヘリコプターに搭載されている無誘導爆弾やロケット弾ではなく、最大で4発の「MAM-L」「MAM-C」精密誘導爆弾を搭載することが可能です。

 多くのアフリカ諸国は、高度な兵器を調達したものの、それらの運用について長期的に見ると財政面で持続不可能であることが判明した経験があるため、TB2の手頃な価格、信頼性、そして強力なアフターサポートはニジェールでも間違いなく評価されることでしょう。


 現在の「Armée de l 'Air Nigérienne(ニジェール空軍)は、ロシア、ウクライナ、アメリカ、フランスから導入した固定翼機とヘリコプターで構成された、小さくもよく装備された飛行隊を運用しています。

 過去10年間で、ニジェール空軍は、ニジェール南部のチャド湖岸において急増しつつあったイスラム国によるテロ攻撃に対処する能力を強化することを目的とした、適度な再軍備計画を立ちあげて推進してきました。

 その計画の一環として、ニジェールは近接航空支援(CAS)機と攻撃ヘリコプターを保有することになり、「キングエア350」ISR機を1機、「セスナ208」を2機、そして「DA42 MPP」を 2機といった多数の新型観測機も導入されました。後者の2機種はFLIR装置を搭載しているため、同国南東部のナイジェリアとの国境沿いでの監視任務に適しています。

 ちなみに、2機の「セスナ208」は、ニジェール南東部上空の情報収集・警戒監視・偵察任務(ISR)を遂行するために、2015年に米国から供与されたものです。[8]

 ただし、アフガニスタン、レバノン、イラクに引き渡された「AC-208 "コンバット・キャラバン"」とは異なって、ニジェールの「セスナ208」は武装を全く備えていません。

 ニジェール空軍の対地攻撃能力は、「Su-25」攻撃機2機、「Mi-35P」攻撃ヘリ2機、「Mi-171Sh」強襲ヘリ2機、「SA342M "ガゼル"」攻撃ヘリ3機で構成されています。この空軍の攻撃機やヘリコプターはいずれも誘導兵器を装備していないものの、各種ロケット弾やガンポッドを装備することが可能です(注:ニジェールは誘導爆弾や空対地ミサイルを保有していません)。

 同空軍がほかに保有する飛行機には、「C-130 "ハーキュリーズ" 」輸送機2機、「ドルニエ228」輸送機、ハンバート「テトラ」軽飛行機2機、「ボーイング737」VIP輸送機が含まれています。

 2013年には、はアメリカから、災害・戦傷救難活動仕様の「セスナ208 "キャラバン"」2機も供与されました。[8]

ニジェールが2機保有する「DA42 MPP」観測機の1機。機種下部のFLIR装置に注目。

 自身がいまだにUAVを運用していないにもかかわらず、フランス軍の「MQ-9B "リーパー"」を首都ニアメに配備し、中央部のアガデス近郊にあるアメリカの極秘のドローン基地を提供することによって、ニジェールは今やサハラ以南のアフリカにおけるU(C)AV作戦の中心地となっています。

 これらの国による作戦がニジェールに自身のUCAVの運用に体する関心を刺激し、それが南部国境の治安状況と組み合わさって、自国のUCAVアセットの導入を強く主張するに至らせたことは間違いないでしょう。

ニジェールのアガデス近郊で緊急着陸したアメリカ陸軍の「MQ-1C "グレイ・イーグル"」(2021年1月)

 ニジェール空軍の固定翼機とヘリコプターは全てが首都ニアメのベース・アエリエンヌ101(BA101:第101空軍基地)を拠点としており、ディオリ・アマニ国際空港と敷地を共有しているものの、軍専用の滑走路を有しています。

 「BA101」はフランス空軍の輸送機やUCAVにも使用されていたほか、以前はアガデスに運用が移るまでは、ニジェールにおけるアメリカによるドローン運用の主要拠点として使用されていました。

 ニジェール中部に位置するアガデス(BA201)も重要な空軍基地ですが、現在はここに常駐している航空機はありません。

 公式な空軍基地という地位を得ていないにもかかわらず、ニジェール空軍は同国南東部にあるディファ飛行場へ定期的に機体を派遣し続けています。


 公式な空軍基地という地位を得ていないにもかかわらず、ニジェール空軍は同国南東部にあるディファ飛行場へ定期的に機体を派遣し続けています。

 ニジェール政府は南東部の国境沿いにおける治安状況を考慮し、ディファ近郊に空軍基地を設けるすることを公表していますが、これがディファ飛行場(下の画像)を拡張するのか、近くに全く新しい基地を建設するのかについては、現時点では不明です。[9]

 ディファ飛行場の1800mある滑走路は「バイラクタルTB2」を配備するには十分な長さであり、敷地自体も将来的な拡張にも十分なスペースがあります同同飛行場には2016年の時点ですでに3つの格納庫が建てられており、それらは同時に数機のTB2を格納に十分な大きさを誇っています。


ディファに駐機駐機している2機の「Mi-35P」攻撃ヘリコプターと災害・戦傷救難活動仕様の「セスナ 208」。

 ニジェール空軍がディファ飛行場を使用していることに反応して、ISWAの戦闘員は過去数年間にわたって何度もこの飛行場を標的にテロ攻撃をしかけてきました。

 この飛行場に詰めている人々にとっては幸いなことに、これらの攻撃の大半は、単発の122mmロケット弾を極めて簡易な発射装置から撃ち込む程度のもので占められていました。そのような即席の発射装置から撃ち込んだ場合の命中精度は極めてお粗末なものであり、こうした散発的な攻撃による被害はなかったと思われます。[10]

 それにもかかわらず、ニジェール軍は滑走路の周辺に防御陣地を点在的に設けて、空港周辺におけるプレゼンスを大幅に強めました。

ディファ飛行場に対して122mmロケット弾による攻撃を準備中のイスラム国戦闘員(2019年3月14日)。 [10]

 装甲・砲兵戦力といった火力の観点から見ると、ニジェール軍はそれらをほとんど備えていませんし、本格的な多連装ロケット砲(MRL)や比較的新しい大砲も運用していないことが特徴となっています。数多くある「63式」107mmMRL(射程8km)と「D-30」122mm榴弾砲(射程15km)が、陸軍唯一の長距離火力支援アセットです。

 チャドやナイジェリアとは逆に、ニジェール軍はもっぱらフランスの「AML-20/60/90」装甲車や中国の「WZ-551」「WZ-523」装甲兵員輸送車といった装輪式のAFVを用いています。

 それらとは別に、最近ではフランスのACMAT製「バスティオン」歩兵機動車(IMV)や南アフリカの耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)を導入しています。2021年11月には、ニジェールがトルコから装甲車を調達することが公表されました。[6]

 十分な数の現代的な防護車両が不足していることが、効果的なパトロールを実施したり、ISWA部隊が攻撃地点からの逃走や全く別の国へ逃げ込む機会を得る前に追跡する軍の能力を妨げているのが実情です。

 MRAPやその他の装甲車両の数が限られているため、地上部隊は即席爆発装置(IED)や待ち伏せ攻撃に脆弱であり、それに加えて最新の照準装置が欠けていることから、植物が密集した作戦地域における状況認識が全くできません。

 地上部隊の支援や独自に目標を捜索することに航空機を用いることで、ニジェール軍は無防備な地上部隊だけに依存することなくISAW部隊に戦いを仕掛けることが可能となるのです。


 ニジェール空軍が現在保有する主要な対地攻撃戦力は、2013年にウクライナから調達した2機の「Su-25」攻撃機です。この攻撃機は100kg爆弾、250kg爆弾、「UB-32」57mmや「S-8」80mmロケット弾、あるいはこれらの兵装を組み合わせたものを最大で4400kgも搭載できるという相当なペイロードを誇っていますが、ニジェール南東部の植物が密集する地域では、目標の位置を特定するという厳しい難題に直面していると思われます。

 もともと「Su-25」はヨーロッパの平原を横断する機甲部隊を攻撃するために設計されたため、パイロットからすると、上空に響き渡るエンジン音を聞くとすぐに木の下に隠れてしまうことが多い反政府軍の小規模な部隊や車両を追跡することは非常に困難を極めます。
安価な攻撃機として多くのアフリカ諸国が「Su-25」を導入していますが、これらの国々は頻繁にその効果的な実戦への投入に苦労しているようです。

 実際に攻撃に用いられた際に、「Su-25」が投下した爆弾の命中精度があまりに低いことが判明したため、導入したアフリカ諸国は作戦飛行を全くさせていないのかもしれません。

 アンゴラとコートジボワールだけが「Su-25」をある程度有効に使うことができましたが、後者は車両や歩兵のような機動性を有する目標ではなく、ほとんどが建物や強固な陣地に対して用いられました。

80mmロケット弾用の「B-8」ロケット弾ポッドを装備した、ニジェール空軍の「Su-25」。

 地上の反政府軍との戦闘で「Su-25」より少しは効果的なのが、今は「Mi-35P」が2機、「Mi-171Sh」が2機、「SA342M "ガゼル"」が3機で構成されているニジェールの攻撃ヘリコプター飛行隊でしょう。これらの全機が近年に導入されたものであり、特に「Mi-171Sh」は6門のロケット弾ポッドとガンポッドという重装備に加え、歩兵も輸送可能な畏敬されるアセットとなっています。

 しかし、現時点でどのヘリコプターにも誘導兵器が装備されていないことに加え、FLIR装置も欠いていることは、これらの機体が基本的に格好の目標に対する攻撃にしか使えないことを意味します。

 この意味で、高価な近接航空支援機や攻撃ヘリを数多く調達しても、これらを効果的なプラットフォームに変えることができる誘導兵器や照準システム抜きで導入した場合、それらを運用する軍隊の実際の能力を向上させる可能性はほとんどありません。

 ニジェールは「Su-25」や攻撃ヘリの目標位置を特定するのにを手助けする複数のISR機を運用していますが、このようなアフリカの小規模な空軍にとって、複数の航空アセット間の相乗効果の実現にいまで手に届かないことが一般的です。こういった欠点はあるものの、ニジェール空軍の「Su-25」、「Mi-35P」、「SA342M」はISWAとの戦いに何度も投入されています。

ロケット弾ポッドとガンポッドを装備した「Mi-171Sh」は2機が2020年にロシアから470万ドル(約5.7億円)で調達されました。 [11]
ニジェールが3機保有する「SA342M "ガゼル"」の1機。 機体右側面に20mm機関砲が装備されています。

 アフリカ諸国の空軍が「DA42 MPP」のような捜索能力(特にFLIR装置)と精密誘導兵器の運用能力を一体化した機種を導入することについて、彼らの考え次第と主張することもできますが、これは言うほど簡単なことではないことが実証されています。

 一例を挙げて見ると、マリやブルキナファソは「A-29B "スーパーツカノ" 」を導入していますが、単に非常に高価格のためか米国が輸出を許可しなかったために、FLIRや誘導兵器の運用能力を装備しない状態で引き渡されたのです。実際、マリは「A-29B」の調達が認められたものの、同機に付随するFLIRシステムの購入は阻まれてしまいました。[12]

 (カリダス「B-250」とTAI「ヒュルクシュ」を別とすると)選択可能な代替手段がほとんどないことから、この状況は本質的に、あるアフリカの国がPGMの運用能力を持つ航空戦力を入手するために、中国の腕にまっすぐ押し込まれてしまうことに至らせる可能性を生じさせているのです。

 中国は、戦争状態にある国にすら、そのような兵器を輸出することを少しも問題にしていないことが知られています。[13]

 とはいえ、サハラ以南のアフリカ諸国の多くは、これまで中国製UCAVの調達を控えてきました。おそらく、墜落・事故発生率の高さ、信頼性の問題、そして依然として高額な導入コストが理由と思われます(注:「翼竜II」1機だけで約1500万ドル:約15億円に近い価格です)。


 「バイラクタルTB2」は、現代戦の概念に革命をもたらしました。その手頃な価格と信頼性、そして政治的な制約なしに入手可能というメリットのおかげでこの革命は今ではアフリカにも到達する見込みとなっています。

 ニジェールによる「バイラクタルTB2」の導入は、彼らにイスラム国との戦いを効果的な方法で仕掛けたり、現時点でアメリカやフランスがニジェール国内から実施しているのと同じドローン作戦を、実際に同国の水準から見ても手頃な価格で遂行することが可能になります。

 ニジェールやナイジェリアに続いて、チャドやカメルーンといった国々もUCAVの獲得に向けて動き始めようという意欲を持つことは考えられないことではないでしょう。これらの国々でのTB2の商業的成功や、後者がすでに運用している中国製UCAVではなくトルコ製UCAVの調達に関心を示していることを考えると、これらの国々にとってTB2は今や当然の選択のように思えるかもしれません。

 アンゴラやルワンダといった別のアフリカ諸国もトルコ製ドローンを買い求めていると報じられている現在、TB2の商業的成功は今や際限がないように見えます。

 TB2は戦場で圧倒的な結果をもたらし、 21世紀に求められていた能力:信頼性と手頃な価格を兼ね備えることに成功した(ほぼ間違いなく)最初のUCAVであるため、商業的成功の拡大は実戦におけるシステムを分析した人々にとって全く驚くべきことではないのです。


[1] https://twitter.com/BaykarTech/status/1453383196624793606
[2] An International Export Success: Global Demand For The Bayraktar TB2 Reaches All Time High https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/an-international-export-success-global.html
[3] Battle between Turkey's TAI and Baykar plays out in Niamey https://www.africaintelligence.com/central-and-west-africa_business/2021/10/04/battle-between-turkey-s-tai-and-baykar-plays-out-in-niamey,109695781-art
[4] TUSAŞ’tan Nijer’e HÜRKUŞ İhracatı https://www.savunmasanayist.com/tusastan-nijere-hurkus-ihracati/
[5] Tunisia Signs $80 Million Deal for Three Turkish Anka-S Combat Drones https://www.thedefensepost.com/2020/12/17/tunisia-buys-anka-s-drones/
[6] Niger becomes first foreign customer of Turkey’s Hurkus aircraft https://www.defensenews.com/air/2021/11/19/niger-becomes-first-foreign-customer-of-turkeys-hurkus-aircraft/
[7] Niger: Surging atrocities by armed Islamist groups https://reliefweb.int/report/niger/niger-surging-atrocities-armed-islamist-groups
[8] Niger C-208 Program Reaches 10,000hr Flying Hours Without Incident https://ne.usembassy.gov/niger-c-208-program-reaches-10000hr-flying-hours-without-incident/
[9] Niger to construct new air base in Diffa http://www.wadr.org/news.php?uin=WN0908215998
[10] https://twitter.com/AnalystMick/status/1109159221332004867
[11] Niger receives Mi-171Sh helicopters https://www.defenceweb.co.za/aerospace/military-helicopters/niger-receives-mi-171sh-helicopters/
[12] Mali receives Super Tucanos https://www.defenceweb.co.za/aerospace/aerospace-aerospace/mali-receives-super-tucanos/
[13] Tigray War: Chinese-Made Armed Drones Spotted Over Mekelle https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/tigray-war-chinese-made-armed-drones.html

  のです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所が
    あります。



おすすめの記事

2023年1月9日月曜日

地域での成功の鍵:インドネシアが「バイラクタルTB2」と「アクンジュ」を購入に目を向ける


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 最近のトルコ製無人戦闘航空機(UCAV)が中央アジアで輸出を成功させた後、今度はアフリカにおけるトルコ製ドローンの拡散が注目を集めています。[1] 

 チュニジアは「トルコ航空宇宙産業(TAI)」「アンカ」UASを発注した一方、モロッコとリビア、ニジェール、ナイジェリア、エチオピア、ルワンダ、トーゴ、そしてマリは「バイラクタルTB2」を調達しました(注:ニジェールにTB2が納入されたかは未確認)。それらに加えて、アンゴラ、モザンビークといった他のサハラ以南のアフリカ諸国では、TB2の導入を示唆しているか、すでに発注している状態にあります。[2] 

 TB2は間違いなく、信頼性と手頃な価格を兼ね備えながらも戦場で圧倒的な効果を発揮できた最初のUCAVであるため、 (前述した国以外の)サハラ以南のアフリカ諸国がこのUCAVの導入の流れに続くことはほぼ確実でしょう。
 
 アナリストや無人機ファンが次のTB2輸出に関するニュースを待望している間にも、すでにより多くの国がトルコ製無人機を導入するための行列に加わりつつあります。

 トルコの軍事関連メディア「サヴンマTR」のインタビューにて、駐トルコのインドネシア大使であるラルー・ムハンマド・イクバル氏が「インドネシアはトルコからUAVを入手する可能性について検討している」と明かした上で、「トルコがUAVを供給するだけでなく、将来的にさまざまなタイプのUAVび関する技術移転やプログラムにも参加する」こともインドネシアが願っていると語りました。さらに同大使は「私たちはトルコがこの件(注:UCAV)で世界中で話題になっていることを誇りに思います」とも言及しています。[3]
 
 そして、2022年11月に開催された「インドゥ・ディフェンス2022」でジェーンズと話した情報筋は、さらに「バイカル・テクノロジー」社が「バイラクタルTB2」と「アクンジュ」に関してインドネシア政府と交渉中であることを確認したと語りました。[4]
 
 現時点で、東南アジアでUCAVを保有している国は比較的少数にとどまっています。これまでにUCAVを導入したのはインドネシアとミャンマーだけであり、近年ではタイとベトナムが国産の武装無人機を開発中です。[5] [6] [7]

  マレーシアは近い将来に3機の「TAI」製「アンカ」中高度・長時間滞空型(MALE)UAVを導入する予定です。[8] 同国はまだ武装無人機を追い求めてはいませんが、将来のいずれかの時点で「アンカ」を武装化を図る可能性がゼロとは言えないようです。

 インドネシアは、2019年以降に中国から導入した6機の「CH-4B」UCAVを運用しています。このUCAVは、「TAI」と「PTDI」によって売り込まれたトルコの「アンカ-S」と「翼竜Ⅰ」との競争を勝ち抜いて選定・導入されたものです。同国の「CH-4B」は空対地ミサイル(AGM)で武装可能であり、通信中継あるいは通信情報収集(COMINT)ポッドを装備している姿も目撃されたことがあります。[9] 

 また、インドネシアでは「PT・ディルガンタラ・インドネシア(PTDI)」 によって国産UCAV計画も進められました。「エラン・ヒタム(黒鷲)」という名前で知られているこの計画について、実際に運用可能なシステムが誕生するまでには数年はかかると思われましたがが、技術的な問題に直面して2022年9月に中止となってしまいました。[10]

 トルコの無人機、それもほぼ間違いなく「バイカル・テクノロジー」社が設計した機体に関心を示したということは、インドネシアが「CH-4B」飛行隊を補完するために「バイラクタルTB2」のような追加のUCAVか全く新しい能力を提供する無人機(またはその両方)の導入に目を向けていることを示唆していることは明らかです。

 インドネシアが当初から運用ドクトリンの構築とMALE型UCAVの使用に関する操作員の訓練を目的として「CH-4B」を取得したことを踏まえると、今の時点で同UCAVがさらに調達されることは起こりえないでしょう。

 人口の密集地が海によって隔てられているという独自の地理的特性のために、インドネシアは国の防衛に重大な課題を抱えています。

 インドネシア国軍は東西5,150kmに及ぶ17,000もの群島の哨戒任務を負っており、大量の哨戒艇や哨戒機を運用して不法侵入や領海内で発生するあらゆる活動に目を光らせているのです。

 偶然なことに、かつてオランダの植民地軍(KNIL)も、この広大な島々をいかにしてパトロールするのが適切なのかという同じ問題に直面していました。
 
 1930年代後半になると、オランダは現在のインドネシアに相当する「オランダ領東インド諸島(蘭印)」をめぐる安全保障に関する懸念をますます高めていきました。設計と建造に少なくとも10年はかかる大規模な海軍部隊の構築ではなく、王立オランダ領東インド陸軍航空隊はその代わりとして「空中巡洋艦」構想を打ち出したのです。[11]

 この構想は、大量の爆撃機を導入して、あらゆる群島の隅々に前線滑走路の建設を必要とするものでした。日本軍の侵攻部隊(艦隊)が蘭印領の島に接近してくる場合には、大量の爆撃機を想定される戦闘地域に近い滑走路へ展開させることができるというわけです。
 
 この構想を実現させるために、蘭印はアメリカから(マーティン「B-10」の輸出版である)「139WH型」と「166型」爆撃機を合計で121機を導入しました。「B-10」系統の機体は1930年代後半に就役した時点ですでに旧式化していましたが、これらは蘭印が容易に入手できる唯一の機種でした。

 この「空中艦隊」は後に爆弾を搭載可能な「ドルニエ」製「Do-24」飛行艇と「ダグラス」製「A-20 "ボストン"」爆撃機によって増強され、そのうちの6機は日本に陥落される前の蘭印に到着できました。[11] 

 旧式の「B-10」爆撃機シリーズは日本の戦闘機を高速で振り切ったり戦闘で勝てると思われていましたが、その性能はすぐに「A6M(零戦)」といった日本軍の新型戦闘機に追い抜かれてしまいました。それでも、「マーティン」機は日本機に対していくつかの素晴らしい勝利を収めたことから、彼らの導入は本質的に群島防衛のための脅威に通用する唯一の選択肢だったことは間違いありません。

 「空中巡洋艦」のコンセプトは、インドネシアが求める防衛上の要求に応えるために「バイラクタル・アクンジュ」を導入することによって息を吹き返す可能性があります。なぜならば、「アクンジュ」が誇る 7,500kmの航続距離と24時間以上の滞空性能は、同国中央の航空基地を拠点としながらインドネシア群島の隅々までカバーするのに十分すぎるほどであるからです。

 ほかの島にある空港は、前方武器燃料補給地点(FARP)として機能することでUCAVの作戦を支援することが可能です。これによって、各地に展開した「アクンジュ」各機が長時間にわたって燃料や弾薬を搭載していない状態が続くことがないことを保証します。

 さらに、「アクンジュ」は陸・海・(射程は限られるものの)空の目標に対して攻勢的な作戦を実施することを可能にする、275km以上の射程を持つ(対艦)巡航ミサイルや100km以上の射程を誇る視程外空対空ミサイル(BVRAAM)を含むさまざまな種類のスタンドオフ兵器の搭載ができるという特徴があるのです。
 

インドネシアにはUCAVの運用をサポートできる空港や空軍基地が100カ所以上あります

 インドネシアが有人戦闘機を「空中巡洋艦」として用いることについては、その短い滞空時間、(十分な)空中給油機の不足、そして莫大な導入価格によって実現が妨げられています。

 現在、インドネシア空軍(TNI-AU)は30機以上の「F-16」と12機の「Su-30KI」を含む約100機の作戦機を運用しており、先述の主力戦闘機以外の数については、「Su-27」、「T-50」「ホーク200」「EMB 314(スーパーツカノ)」ターボプロップ式軽攻撃機で占められています。

 2021年2月、インドネシア空軍のファジャール・プラセティオ参謀総長は、同国が「F-15EX」とダッソー製「ラファール」を調達する意向であることを明らかにし、それに伴って以前から計画していたSu-35の導入構想は完全に終止符が打たれたようです。[13] 

 また、インドネシアは韓国が進めている「KF-X」戦闘機計画のパートナー国であるため、インドネシア空軍によって実際に「KF-21 "ポラメ"」が導入されることがほぼ確実となっています。[13]

 このような外国産の作戦機と一緒に使用されるのが、さまざまな種類の誘導兵器です。「Su-30KI」は「Kh-31P」対レーダミサイル、「Kh-59M」「Kh-29TE」 TV誘導式空対地ミサイルを運用可能です。「F-16」は(2019年に最大で100発を導入した「JDAM」GPS誘導弾や「AGM-65」空対地ミサイルを運用可能ですが、「T-50」や「ホーク200」にも搭載することができます。そして、インドネシア軍の「CH-4B」は「AR-1」及び「AR-2」空対地ミサイルを使用しています。

 「AR-1/2」と「AGM-65」以外の誘導兵器は地上部隊への効果的な火力支援をもたらすには相対的に不向きなため、TNI-AUは火力支援では無誘導ロケット弾や各種の無誘導爆弾の使用に頼らざるを得ません。

 インドネシア陸軍(TNI-AD)は最近、対戦車ミサイル(ATGM)を運用可能な攻撃ヘリコプターを導入したものの、現時点でインドネシア全土で使用できる攻撃ヘリは「AH-64E」が8機、「Mi-24」が7機と僅かなものであり、依然として必要な数からはほど遠い状況であることは一目瞭然です。
 

「M117」無誘導爆弾でフル爆装した「F-16」

 インドネシアの広大な範囲と島の数が非常に多いため、航空兵力と大砲・多連装ロケット砲(MRL)との相乗効果が発揮される可能性は限定されています。群島周辺における大分部の軍事作戦では地上ベースの火力支援アセットに期待することが厳しいことを踏まえると、航空戦力はインドネシアが戦うあらゆる戦闘において、極めて重要なファクターなのです。

 したがって、重量級のペイロードを長距離輸送可能なプラットフォームは、非常に貴重なアセットとなります。 

 「アクンジュ」は主翼と胴体下部に合計で9基のハードポイントを備えています。特に後者はUCAVへの搭載が可能な兵装の中で最重量級のものを搭載することが可能であり、具体的には重量900kgの「HGK-84」誘導爆弾と射程275km以上を誇る「SOM」巡航ミサイルの搭載が挙げられます。
 
 「アクンジュ」が他のUCAVと異なるのは、将来的に本格的な空対空ミサイル(AAM)運用能力が備わるという点にあります。このUCAVは自身のAESAレーダーで遠距離にいる標的の位置を特定し、「スングル」携帯式地対空ミサイル(MANPADS)、「ボズドアン」赤外線誘導式AAM、100km以上の射程を持つ「ゴクドアン」目視外射程空対空ミサイル(BVRAAM)で攻撃することが可能となるのです。

 「アクンジュ」の実現可能な武装パッケージは、精密誘導ミサイルと爆弾による長距離打撃能力と共に18発以上の「MAM-L」誘導爆弾の搭載を実現するため、同機を地上部隊への航空支援を供するのに最適なアセットにしています。[15] 

 「アクンジュ」はTNIに長距離攻撃能力を提供する一方で、小型の「バイラクタルTB2」には衛星通信アンテナ(SATCOM)を搭載するオプションがあり、それが適用された機体の航続範囲は27時間という長時間の滞空時間だけが制約となります(SATCOM未装備の機体の作戦可能範囲は僅か約300kmです)。[16]
 

 駐トルコインドネシア大使のラルー・ムハンマド・イクバル氏はトルコに対して、「将来的に、さまざまな種類のUAVに関する技術移転やプログラムにも参加してほしい」という自国の希望を明確に表明しました。[3]
 
 将来的な協力としては、インドネシアにおけるトルコ製無人機の組み立て・整備センターの設立が含まれる可能性が考えられます。
 
 両国の軍事・技術協力の可能性はUAVの分野をはるかに超えています。特に「FNSS」と「PTピンダッド」が共同開発した「カプランMT/ハリマウ」中戦車プロジェクトは、両国が力を合わせれば何ができるのかを示す最適の実例であることは言うまでもないでしょう。[17]

 さらに、すでに「PTDI」と「TAI」が「N-219」と「N-245」ターボプロップ旅客機で協力を進めている間の2021年の後半には、トルコからの海軍艦艇の調達について交渉が始まったことが明らかにされました。[18] [19] 


 2012年の時点でも、トルコは依然として自国の需要に合わせるためにアメリカから武装ドローンを積極的に調達しようと試みていました。[20] 

 それから僅か10年でトルコ製のUCAVを発注した国は(当記事執筆時点の2022年11月時点で)27か国となり、そのうち24か国が「バイカル・テクノロジー」社にUAVを発注しています。[21][22]

 トルコは自身が無限の研究開発予算を持つ超大国でなくても、先端技術分野の開発で素晴らしい偉業を成し遂げられることを証明しました。インドネシアが「バイカル」社や「TAI」からUAVを導入するか否かにかかわらず、トルコ製ドローンがインドネシアの軍事力において決定的な役割を果たす可能性があることは間違いないでしょう編訳者注:2023年8月、インドネシアが「アンカ-S」12機を調達する契約を交わし、2025年11月までに納入される旨が報じられました
 
インドネシアが導入するTAIの「アンカ-S」UCAV(画像はトルコ軍機)

[1] Turkish Drones Are Conquering Central Asia: The Bayraktar TB2 Arrives To Kyrgyzstan https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/turkish-drones-are-conquering-central.html
[2] Taking Africa By Storm: Niger Acquires The Bayraktar TB2 https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/taking-africa-by-storm-niger-acquires.html
[3] Endonezya Ankara Büyükelçisi Dr. Lalu Muhammad Iqbal: Türkiye ile Endonezya arasındaki savunma iş birliği artacak https://www.savunmatr.com/ozel-haber/endonezya-ankara-buyukelcisi-dr-lalu-muhammad-iqbal-turkiye-ile-h15336.html
[4] Indo Defence 2022: Baykar in talks with Indonesian government on Bayraktar TB2, Akinci UAVs https://www.janes.com/defence-news/news-detail/indo-defence-2022-baykar-in-talks-with-indonesian-government-on-bayraktar-tb2-akinci-uavs
[5] Thai UAV Surprises at Singapore Show https://www.ainonline.com/aviation-news/defense/2020-02-12/thai-uav-surprises-singapore-show
[6] Royal Thai Army developping D-Eyes 04 MALE UAV https://www.airrecognition.com/index.php/news/defense-aviation-news/2021/november/7852-royal-thai-army-developping-d-eyes-04-male-uav.html
[7] Red Star Rising - Vietnam’s Armed Drone Project https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/red-star-rising-vietnams-armed-drone.html
[8] Malaysia Signs Contract with TAI for 3 ANKA Drones https://www.overtdefense.com/2022/10/11/malaysia-signs-contract-with-tai-for-3-anka-drones/
[9] Auguring The Future: Indonesia’s CH-4B UCAVs https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/roars-over-riau-indonesias-ch-4b-ucavs.html
[10] An Eagle Takes Shape – Indonesia’s Elang Hitam MALE UCAV https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/an-eagle-takes-shape-indonesias-elang.html
[11] Indonesia suspends Black Eagle MALE UAV programme https://www.shephardmedia.com/news/air-warfare/indonesia-suspends-black-eagle-male-uav-programme/
[12] 40 jaar luchtvaart in Indië by Gerard Casius and Thijs Postma
[13] Indonesia definitively closes the door on Su-35; wants Rafale and F-15EX https://www.aviacionline.com/2021/12/indonesia-definitively-closes-the-door-on-su-35-wants-rafale-and-f-15ex/
[14] South Korea rolls out first KFX jet prototype. Will Indonesia still reap benefits from it? https://www.thejakartapost.com/news/2021/04/16/south-korea-rolls-out-first-kfx-jet-prototype-will-indonesia-still-reap-benefits-from-it.html
[15] Endless Possibilities - The Bayraktar Akıncı’s Multi-Role Weapons Loadout https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/endless-possibilities-bayraktar-akncs.html
[16] Bayraktar TB2 https://www.baykartech.com/en/uav/bayraktar-tb2/
[17] Ride The Turkish Tiger: Indonesia’s Kaplan MT Tanks https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/ride-turkish-tiger-indonesias-kaplan-mt.html
[18] Market Expansion: Turkey Set To Export Patrol Vessels To Indonesia https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/market-expansion-turkey-set-to-export.html
[19] https://twitter.com/officialptdi/status/1440521718888497159
[20] Turkey hopeful that US will sell it armed drones https://www.theguardian.com/world/2012/may/22/turkey-us-sell-armed-drones
[21] Akıncı TİHA da katıldı, savunma sanayisi ihracatta yüksekten uçuyor https://www.aa.com.tr/tr/ekonomi/akinci-tiha-da-katildi-savunma-sanayisi-ihracatta-yuksekten-ucuyor/2482865
[22] An International Export Success: Global Demand For Bayraktar Drones Reaches All Time High https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/an-international-export-success-global.html
[23]  Indonesia buys Türkiye's Anka drones worth $300M

※  当記事は、2022年11月27日に本国版「Oryx」に投稿されたものを翻訳した記事です。
   当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があ
  ります。

2022年1月11日火曜日

草原の守護者:カザフスタンのUAV飛行隊(一覧)


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo


 2021年11月、カザフスタンはトルコ航空宇宙産業(TAI)との間で3機の「アンカ」無人戦闘航空機(UCAV)を導入する契約を結んだことが公表されました。[1]

 これらの新規調達は、カザフスタン空軍が中国から4機の「翼竜Ⅰ」を導入した初の無人機戦力を獲得して以来、 約6年後の出来事となります。[2]

 カザフスタンは自国の武装ドローン計画を押し進めるために中国製UCAVをさらに購入するのではなく、2021年にトルコに目を向けたという結果になりました。カザフスタンにUAVを供給しているもう1つのサプライヤーはイスラエルですが、同国は(徘徊兵器以外の)UCAVを海外に輸出していないため、必然的にその候補から外れたようです。

 トルコ製TAI「アンカ」の導入は、カザフスタンがこのUCAVの調達を検討しているという長年続く憶測にようやく終止符を打ちました。すでに2018年には、カザフスタン航空産業(KAI)がTAIとカザフタンで「アンカ」UAVとTAI「ヒュルクシュ」高等練習機を生産する契約を結んだと報じられていました。[2]

 ところが、この合意は実現しなかったようであり、しばらくの間、最終的にはイスラエルがカザフスタンへ「翼竜Ⅰ」以外の中高度・長時間滞空(MALE)UAVを納入する契約を得るだろうと考えられていました[3] [4]。

 たった4機の「翼竜Ⅰ」の発注は、カザフスタンが無人機戦のドクトリン構築と訓練や、後でさらに多数導入する機種を決定するために調達されたことを示す可能性があります。
           
 カザフスタンはミャンマーに続いて、中国の隣国としては2番目に中国製UCAVを導入した国となりました。[5]
          
 中国が自国との国境付近でUCAVの運用に何らかの制限を課しているかどうかは不明ですが、納入された「翼竜Ⅰ」は中国との国境から約800km離れた、最近「バイラクタルTB2」の運用国になったキルギスに近いタラズに配備されています。[6]

 カザフスタンの「翼竜Ⅰ」は2017年の「祖国防衛の日」の軍事パレードで初公開され、この時には2機がアスタナ(現ヌルスルタン)の通りを行進しましたが、アゼルバイジャンやトルクメニスタン、そしてウクライナといった国で見られるようなパレード会場上空でのフライパスやトレーラーに搭載されて登場するのではなく、皮肉にもアメリカ製HMMWVに牽引される形で初披露されてしまいました。

 後に1機の「翼竜Ⅰ」が軍事・技術展示会「KADEX-2018」にも登場し、ここでは会場で展示されました。[7]

2017年にヌルスルタンで実施された軍事パレードに登場した2機の「翼竜Ⅰ」

 「翼竜Ⅰ」と共に、少なくとも2種類のイスラエル製偵察用UAVと少数のロシア製「オルラン-10E」ドローンが運用されています。

 エルビット・システムズ社製「スカイラークⅠ-LEX」は、2014年にカザフスタン軍が初めて運用を開始した無人偵察機です。この機種は、カザフスタンとエルビット・システムズ社の合弁事業を通じてカザフスタン国内でも生産されています。[8]

 しかし、この国の無人兵器に対する熱意は単に外国製の機体を組み立てるだけに終わらず、今やそれを超えて拡大しつつあります。すでにカザフスタンには新興のUAV研究開発機関が存在しており、これまでにいくつかのドローンが生み出されてきました。

 それらの中で最も見込みがある国産UAVが「シャガラ」であり、同機は2021年初頭に国家試験に合格しました。[9] [10]


無人偵察機 - 現役


無人戦闘航空機 - 現役

無人航空機 - 試作


 「翼竜Ⅰ」と一緒に「ブルーアロー7」空対地ミサイル(AGM)と「YZ-100」誘導爆弾もカザフスタンに導入されました。「翼竜Ⅰ」用の高度な兵装は調達されていないと考えられており、同機は機体の下にある前方監視型赤外線装置(FLIR)のみで各種任務を遂行します。

 カザフスタンの「翼竜Ⅰ」が「ブルーアロー7」を用いて模擬標的を攻撃した映像はここで視聴することができます。 [11]

 また、同国で運用される「翼竜Ⅰ」と「スカイラークⅠ-LEX」に関するドキュメンタリー番組ここで視聴することができます。[12]

 2017年にカザフスタンに納入された後の「翼竜Ⅰ」は、先述のとおりキルギスとの国境に近いタラズ空港を拠点にしています。

 かつてタラズ空港は約40機の「Mi-17」と18機の「Mi-26」を有する第157ヘリコプター連隊の本拠地でしたが、1990年代には同連隊の動きが縮小され始め、「翼竜Ⅰ」が配備される以前の時点でこの基地は民間用の空港にされてしまいました。

 現在、かつて「Mi-26」が使用していた場所には4つの格納庫が設けられています。このうちの1棟だけが「翼竜Ⅰ」の格納庫であり、残りの3棟は地上管制ステーション(GCS)や運用に必要な装備資機材や車両用として使われているようです。

2機の「翼竜Ⅰ」がタラズ空港にある格納庫の前で駐機している(2019年6月20日)

 もうすぐカザフスタンは、中国、イスラエル、そしてトルコから入手した数多くのUAVを運用する国となる予定です。

 これらの外国製を導入することに加えて、この国はイスラエル製UAVの国内での組み立てや国産無人UAVの設計・製造を通じて、自国の防衛産業を(UAV関連の事業に)関わらせる意図も持っています。

 2020年11月には、カザフスタンもトルコの「バイラクタルTB2」の導入に関心を寄せていると報じられています。[13]

 TB2の導入が本当に実現するかは不明ですが、カザフスタンが既存のUAV戦力をさらに拡大するための新たな方法を模索することは間違いないでしょう。

カザフスタン空軍向けのTAI「アンカ」初号機

[1] Kazakhstan buys 3 Turkish Aerospace-made Anka UCAVs: Report https://www.dailysabah.com/business/defense/kazakhstan-buys-3-turkish-aerospace-made-anka-ucavs-report
[2] Turkey to Develop UAVs with Kazakhstan https://www.uasvision.com/2018/05/29/turkey-to-develop-uavs-with-kazakhstan/
[3] Israeli UAVs Will Soon Be Manufactured In Kazakhstan https://caspiannews.com/news-detail/israeli-uavs-will-soon-be-manufactured-in-kazakhstan-2019-8-8-40/
[4] Israeli IAI Sold Two Heron MKII UAV To Kazakhstan https://www.globaldefensecorp.com/2021/01/29/israeli-iai-sold-two-heron-mkii-uav-to-kazakhstan/
[5] Chinese drones a killer eye in the sky in Myanmar https://asiatimes.com/2021/05/chinese-drones-a-killer-eye-in-the-sky-in-myanmar/
[6] Turkish Drones Are Conquering Central Asia: The Bayraktar TB2 Arrives To Kyrgyzstan https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/turkish-drones-are-conquering-central.html
[7] KADEX 2018: Kazakh Air and Air Defence Forces draw Wing Loong I MALE UAV https://www.armyrecognition.com/kadex_2018_news_official_show_daily/kadex_2018_kazakh_air_and_air_defence_forces_draw_wing_loong_i_male_uav.html
[8] Factory for production of SkyLark-1LEX UAVs opens in Kazakhstan https://www.israeldefense.co.il/en/node/49945
[9] Ұшу аппараттары І Ғылым https://youtu.be/bVN4SHRUgak
[10] Kazakhstan’s ‘Shagala’ Drone Completes Test Flights https://www.uasvision.com/2021/02/12/kazakhstans-shagala-drone-completes-test-flights/
[11] Қазақстандық армия ҰҰА қарқынды дамытуда / БПЛА: казахстанская армия развивает оружие будущего https://youtu.be/-Ji7SKRjwnM
[12] «AQSAÝYT». Қарулы Күштеріміздің қолданысындағы ұшқышсыз ұшу аппараттарының мүмкіндігі қандай? https://youtu.be/W9fEC7cjSOY
[13] Kazakhstan may ditch Chinese UAVs for Turkish Bayraktar TB2s, Russian media claims https://www.dailysabah.com/business/defense/kazakhstan-may-ditch-chinese-uavs-for-turkish-bayraktar-tb2s-russian-media-claims

  したものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した      箇所があります。 


おすすめの記事

2021年8月9日月曜日

無人の消防士:「バイラクタルTB2」が消火作戦に加わる



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 現在、トルコは国の南部で猛威を振るっている一連の致命的な森林火災と戦っています。

 この地域を苦しめている高温と強風のために、山火事を鎮圧することは今までのところ困難であることが判明しており、新たな火事はすぐに他の州にも急速に拡大しつつある状況です。

 また、容赦ない火災は地中海沿岸のいくつかの観光地を危険にさらしており、炎がゆっくりと海岸に近づくにつれて、壊滅的な痕跡が次々と残されていきます。この山火事では、これまでに8人の死亡と(住宅が炎上したり貴重な家畜が煙や高熱で失われるため)数百人が避難を強いられています。 [1]

 1万人以上のトルコの消防士と一緒に82機以上の飛行機やヘリコプターがこの自然災害と戦っているほか、この戦いにはアゼルバイジャン、スペインとカタールから派遣された消防士たちも加わっています。[2][3]

 また、ウクライナ、イラン、スペイン、クロアチア、ロシアといった国々もトルコへの支援を申し出ており、「An-32」(ウクライナ)を2機、「Il-76」(イラン)を1機、「CL-215」(スペイン)を2機、「CL-415」(クロアチア)を1機、さらに消防用航空機5機とヘリコプター3機(ロシア)を火災との戦いに充てています(注:8日現在でカザフスタンが2機の「Mi-8AMT」を派遣したほか、クウェートも消火用の航空機を派遣することを表明しています)。[4] [5]

 これらに加えて、すでにトルコにはロシア製のヘリコプターやBe-200消防機も展開していますが、これらはロシアによる猛火との戦いへの支援というよりもリース契約に基づいて運用されているものです。


 新たに発生した火災を発見の手助けや消火部隊を連携させるためにトルコは多数の無人航空機(UAV)を投入しており、被災地域を24時間体制で監視しています(8月7日現在では9機のUAVが投入されています)。

 UAVはそれ自身で直接に消火活動を行うことはできませんが、熱源を検知することで当局は消防アセットを迅速にその場所へ投入することが可能となるため、新たな山火事の発生を食い止めることに計り知れないほどの有益性があることが証明されています。

 このようにして、新たな火災が急速に鎮圧不可能になる前に消火することが可能となっているのです。

 何ら驚くことではないかもしれませんが、「バイラクタルTB2(通称、TB2)」はこの国での山火事に対する(UAVの)戦いの最前線に立っています。

 数機のTAI 「アンカ」「アクスングル」と共に、警察総局、トルコ海軍やバイカル・ディフェンス社(注:TB2の設計・製造会社、通称バイカル社)に属するTB2が、現時点で消防やOlman Genel Müdürlüğü OGM(森林総局)を支援するために運用されています。

 このようなハイテクな無人アセットの継続的な使用は高額なことのように聞こえるかもしれませんが、実際にはその逆で、1飛行時間あたりのコストは僅か925ドル相当であり、有人機の場合の何分の1かの費用にすぎません。[6]



 米国などの国でも過去に山火事の監視でUAVが使用されていましたが、トルコでは世界でも類を見ない規模でそれが行われています。これは、トルコが過去数年で手に入れた無人機開発におけるパイオニア的な役割を果たしていることや、バイカル社のUAVの機能性や取得価格と運用コストの低さの両方を示しています。

 これらは間違いなく、国内各地での山火事に対する戦いに取り組むためにトルコが2020年から「バイラクタルTB2」を使い始めた理由であり、同年に345件、この2カ月間だけでも86件の火災を検知することに至りました。[7]




 TB2やTAI「アンカ」といったより大型のUAVを使用する強みは、運用する際の高度(5,500~9,000メートル)にあります。そのため、彼らは装備している前方監視型赤外線(FLIR)カメラで広範囲にわたる地域を調査することができるのです。

 火災が住宅地に向かって拡大している場合、(航空機やUAVでそれを把握した場合は)その住人たちへ事前に警告することが可能ですが、火災を監視している地上部隊だけでは正確な火災の範囲や経路を判断することが困難です。

 8月1日、TAI「アクスングル」は山火事が広がっていく経路上に3人の作業員が存在していることを検知しました。見たところ、彼らは迫り来る危険にまだ気づいていなかったようでしたが、炎に完全に包まれる前に警告を受けることができたのは、まさに無人機の鋭い観察眼のおかげでした。[8]



 一旦UAVによって新たな火災が発見されて全ての情報が慎重に判断された後、消火するために適切なアセットをその必要とする地域に投入することが可能となります。トルコでは、このアセットには大量の消防車だけでなく消防専用機の飛行隊も含まれています。

 この飛行隊には、かつては約9機の「CL-215」と11機の「PZL M18 ドロマーダー」という「水爆撃機」が含まれていましたが、これらは全機がここ数年で退役しており、飛行隊に残されているチャーターされたロシアの「Be-200」水陸両用消防機や「Mi-17」、「Ka-32」ヘリコプターがその有益な仕事を引き継いでいます。




 トルコの消防士や国際的な仲間たちが一見すると止められないと思われる熱地獄との絶え間ない戦いに従事している中、「バイラクタルTB2」のようなトルコの無人機は空における彼らの目となるでしょう。

 いわゆる「水爆撃機」よりも目に見えるほど活動的ではありませんが、彼らの仕事は有益であり、それが大型で手頃な価格のUAVの幅広い応用性を証明しています。

 この地域では山火事が確実に迫り来る脅威であり続けることから、トルコ政府は将来の消火活動計画における検討のためにUAVの性能を真剣に評価することになるでしょう。

 これにより、(リースではなく)新しい消防用航空機を購入することだけでなく、関連機関によってTB2などが取得される実例を目にすることもあり得ます。

そのような買収が本当に身近なものであろうとなかろうと、特に他国がこのような能力を持つ機体を獲得しようとする可能性があることから、今回の消防作戦で得られた経験は近い将来により重要になることは確実と思われます。

 現在、バイカル社などのトルコ企業は数多くの新型UAVの設計を進めていることから、いつか近いうちに消防分野におけるより高度な無人機の開発が着想されるかもしれません。



[1] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421905199355121666
[2] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421346133457215489
[3] https://twitter.com/SpainNATO/status/1422113728233934850
[4] https://twitter.com/TRTWorldNow/status/1421419114522947586
[5] https://twitter.com/haskologlu/status/1421928051290644482
[6] https://twitter.com/TyrannosurusRex/status/1421416463718563846
[7] https://twitter.com/Selcuk/status/1421068795876085761
[8] https://twitter.com/IsmailDemirSSB/status/1421857980874690560

私たちの北朝鮮軍隊に関する本が好評発売中です!


※  この翻訳元の記事は、2021年8月2日に投稿されたものです。当記事は意訳など 
 により、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読ください。