2023年3月29日水曜日

プライドをかけた戦い:台湾による各国への軍事援助(一覧)


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 一般的に台湾と呼ばれている中華民国について、主権国家として承認している国の数は2012年の24か国ありましたが、2022年には14か国までに減少してしまいました。2016年と2020年の総統選で蔡英文が選出されたことを受けて、依然として台湾を中国の唯一の合法な的政府として認めている残り少ない国々を奪い取るべく、中華人民共和国(PRC)が外交攻勢に出たからです。

 それにもかかわらず、すでに台湾は事実上の主権国家として扱われているため、台湾に関する法律上の承認(デ・ジュレ)の可否は結果的に全く問題にならないとも言えるでしょう。実際、台湾はCovid-19への対応が非常に効果的であると称賛されており、(ウクライナを含む)東欧諸国はPRCからの外交圧力を受けることを厭わずに台湾との親密な関係を維持しています。

 とはいえ、国際的な承認は国のプライドに関わる重要な問題であることから、台湾は各国がそれに関わり続けるために多大なリソースを投入してきました。それを達成するための方法の1つが、友好国への人道的・財政的援助と医師やその他の専門家の派遣が挙げられます。この手法は台湾もPRCも積極的に行ってきたものです。

 しかし、台湾の寄贈は中国によって容易に凌駕されてしまうため、この手法は台湾にとって負け戦になるのは火を見るより明らかでしょう。

 2018年に、PRCはドミニカが中国における正当な国家の承認を台湾から中国を変更すれば最大で31億ドル(約4,035億円)の投資を提案し(実際にドミニカは提案を受け入れた)、パラグアイは中国市場へアクセスできないために台湾による毎年の支援額以上のコストがかかっているという農業部門からの苦情がある中で、台湾に最低でも10億ドル(約1,300円)の投資を求めました。[1] [2]

 別の方法としては、これも両国が積極的に行っている軍事援助の提供があります。PRCは車両や軍服といった装備品を頻繁に寄贈していますが、台湾はヘリコプターや 艦艇までも寄贈しています。実際、台湾が寄贈した装備品には、「UH-1H "ヒューイ"」汎用ヘリから「海鷗」級哨戒艇、「ハンヴィー」歩兵機動車、さらには国家元首の移動手段となるVIP用の航空機やヘリコプターに至るまで、あらゆるものが含まれているのです。[3]

 特に「UH-1H」は台湾の外交に重要な役割を果たしており、過去数十年にわたってアフリカや南米の国々に30機も程度も寄贈されてきました。

 さらなる寄贈された装備品は、世界中に残っている台湾を国家承認している国々、あるいはウクライナに辿り着くことになるかもしれません。[4]

2008年にガンビアへ寄贈された4隻の「海鷗」級哨戒艇(元ミサイル艇)のうちの1隻

  1. 以下の一覧では、中華民国(台湾)から他国へ寄贈されたことが判明している装備や軍用車両、艦艇などの詳細を掲載しています。
  2. この一覧には、軍服などの雑品、バスやオートバイのような非軍事的な物品は含まれていません。
  3. 中南米に渡った大量の「T65」アサルトライフルについては、寄贈されたのか売買を経て流入したのかが不明なため、この一覧には含まれていません。
  4. この一覧は、新たな寄贈が公表・確認されるたびに更新される予定です。
  5. 各装備名をクリックすると、新たな所有者の下で運用されている当該装備の画像が表示されます。

アフリカ

ブルキナファソ [2018年に台湾との外交関係を断絶・PRCを正式に国家承認]

ガンビア [2013年に台湾との外交関係を断絶・PRCを正式に国家承認]

エスワティニ(スワジランド)


ヨーロッパ

北マケドニア [2001年に台湾との外交関係を断絶・PRCを正式に国家承認]


南アメリカ


ベリーズ

ドミニカ [2018年に台湾との外交関係を断絶・PRCを正式に国家承認]

グアマテラ

ホンジュラス[2023年に台湾との外交関係を断絶・PRCを正式に国家承認]

パナマ[2017年に台湾との外交関係を断絶・PRCを正式に国家承認]


オセアニア

マーシャル諸島

ナウル

パラオ
 したものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した
 箇所があります。


2 件のコメント:

  1. いつも興味深いレポートをありがとうございます
    パナマのEMB-135BJがMRAPらしき車両の画像になっていましたので報告させていただきます

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    1. ありがとうございます。早速、訂正させていただきました。

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