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2023年9月29日金曜日

人びとに捧げるハカ:ニュージーランドによるウクライナへの軍事支援(一覧)


著:シュイタン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

 ニュージーランドはウクライナから最も離れた場所に位置する国でありながら、この戦火の最中にある国への軍事援助を提供しています。この中でも特筆すべきものとしては、「L119」軽榴弾砲の操作と歩兵戦術をウクライナ兵に訓練を提供するために、ヨーロッパへ兵員を派遣したことが挙げられるでしょう。

 これまでに440人のニュージーランド国防軍(NZDF)将兵がウクライナを支援するためヨーロッパに派遣され、そのうち279人がイギリスで実施されている砲兵及び歩兵の訓練に携わりました。

 これらに加え、ニュージーランドはNATOからの要請に応じて、人員と装備を輸送するために「C-130H "ハーキュリーズ" 」輸送機」を2か月もイギリスへ展開させるという支援も実施しました(注:ニュージーランドはNATO非加盟ですがインド太平洋におけるパートナー国の一つです)。

 ウクライナの防衛力を増強させるためにニュージーランドは訓練や後方支援を実施しましたが、それ以外にも装備品の提供や武器や弾薬の調達のための財政支援も実施してきたこととから、同国がウクライナの大きな支えとなっている国の一つであると言っても過言ではありません。

  • 以下に列挙した一覧は、ロシアによるウクライナ侵攻でニュージーランドがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事支援の追跡調査を試みたものです。
  • この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  • 個人や企業などの団体が寄贈したものは含まれていません。

弾薬
  •  少量の105mm榴弾(野砲の訓練用) [2022年夏]

個人装備
  • 473 ヘルメット [2022年3月]
  • 571 ボディアーマー と 1,066 専用の防弾プレート [同上]

その他の装備品
  • 40 ダイアル式照準器(「L119」軽榴弾砲用) [2022年夏]

財政支援
  • 275万ユーロ(約4.3億円) NATOを通じての非殺傷装備調達用資金の提供 [2022年3月]
  •  410万ユーロ(約6.45億円) イギリスを通じての武器弾薬調達用資金の提供 [2022年4月]
  • 230万ユーロ(約3.6億円) ウクライナ情報当局向け民間の商用衛星画像調達用資金の提供 [2022年4月]
  • 350万ユーロ(約5.5億円) NATOの信託基金を通じての非殺傷装備調達用資金の提供 [2022年6月 (約3.9億円) と 11月 (約1.6億円)]

訓練
  •  NZDF兵の派遣(ウクライナ兵への「L119」軽榴弾砲の訓練用) [2022年夏]
  •  NZDF兵の派遣(ウクライナ兵への歩兵の戦術訓練用) [2022年8月から2023年1月まで]
  • 情報分析担当者の派遣 [2022年春から2023年7月まで]

輸送支援
  •  「C-130H "ハーキュリーズ"」輸送機1機のイギリス展開 [2022年4~6月] 

※ この記事は2023年8月6日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
 です。


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2022年7月22日金曜日

南半球からの助け:オーストラリアによるウクライナへの武器支援(一覧)


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 窮状を訴える友好国を支援することについて、オーストラリアは距離があるという(支援をしないための)口実が通用しないことを証明しました

 2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始して以来、ウクライナに3億8800万ドル(約528億円)もの軍事支援を提供したオーストラリアは、今やウクライナの防衛的需要に応える非NATO諸国で最大の貢献者となっています。[1]

 さらに、オーストラリアによる軍事援助の大部分は大きな装甲車両で占められており、その全てを空輸でヨーロッパに輸送したことを考えると、この国のウクライナの戦いを維持するための取り組みは見事としか言いようがありません。
 
 これまでに合計で28台の「M113AS4」装甲兵員輸送車(APC)と60台に「ブッシュマスター」MRAPがオーストラリアによってウクライナへ供与されたか、その約束がなされています。

 「M113AS4」は新型エンジン・トランスミッション・サスペンション・装甲防護力・ 「M2」12.7mm重機関銃を搭載した砲塔でアップグレードを受けたものであるため、アメリカ・ポルトガル・リトアニアから供与された旧型の「M113」に比べると性能が大幅に向上しています。

 「ブッシュマスター」はIEDの脅威に耐える防御力を有しているほか、「M240C」7.62mm軽機関銃を備えた「エレクトロ・オプティック・システムズ」社製の「R400S-Mk2」リモート・ウェポン・ステーション(RWS)が装備されています
 
 また、オーストラリアはアメリカとカナダによるウクライナに対する「M777」 155mm榴弾砲の供与の列にも加わっており、 合計で(現時点でオーストラリアが54門しか保有していない)6門の「M777A2」榴弾砲が2022年5月に供与されました。

 さらなる軍事的な支援は無人航空機及び車両やレーダーシステムなどで構成されていますが、その種類や数などについての詳細は現時点で分かっていません。[2] [3]

  数千丁の「F88 "オーステアー"」 アサルトライフルと5千万ドル(約67億円)相当の(ロケット砲や弾薬を含むと言われている)装備も、過去数ヶ月間にウクライナへ渡ったことが判明しています。[4]

 オーストラリアはウクライナに殺傷能力を有する軍事装備を提供するだけでなく、ウクライナ陸軍に「戦術デコイ(おとり)」も提引き渡したことは注目すべきでしょう。これらは、オーストラリアの「ガードテック」社が製造した「T-72」戦車シリーズや「BMP」歩兵戦闘車シリーズ、防空システムのデコイだと思われます。[2] 

 これらのデコイはロシアのヘリコプターや無人機、大砲の攻撃を引き受けて近くにある本物の車両や各種システムを救ったり、それによって攻撃したロシアの兵器の位置を露見させる可能性すらあります。

 ロシア・ウクライナ戦争が弱まる兆しを見せていないため、オーストラリアによる追加の軍事支援が行われる可能性があります。現在オーストラリアで使われている「M113」は「ボクサー」歩兵戦闘車に置き換えられつつあるため、大量に譲渡することが可能となるでしょう。

ウクライナへ送られる「M777A2」榴弾砲に「United with Ukraine」のステッカーが貼られています

  • 以下に列挙した一覧は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際にオーストラリアがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備の追跡調査を試みたものです。
  • 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されています)。
  • 一部の武器供与は機密事項であるため、この一覧は供与された武器の総量の最低限の指標としてのみ活用できます。
  • この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  • 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。


装甲兵員輸送車(56)
  •  56 M113AS4 [2022年6月以降に供与(10月に現地到着済み),さらに2023年6月に28台の追加供与が表明]

耐地雷・伏撃防護車両:MRAP(120)

工兵・支援車両

牽引砲(6)

徘徊兵器(300)

無人偵察機など

レーダー

車両

小火器 

弾薬
  • 105mm砲弾 [2022年/2023年]
  • ''弾薬'' [2022年3月か4月]

その他の装備品など

[1] Albanese announces $100 million in military aid for Ukraine, pledging support for ‘as long as it takes’ https://theconversation.com/albanese-announces-100-million-in-military-aid-for-ukraine-pledging-support-for-as-long-as-it-takes-186291
[2] https://twitter.com/latikambourke/status/1509434798946803721
[3] Australia to send money for more military aid to Ukraine after Zelenskyy request https://www.abc.net.au/news/2022-03-31/more-military-aid-defence-weapons-ukraine-zelenskyy/100955544
[4] Australia sender raketter til Ukraina https://www.nrk.no/nyheter/australia-sender-raketter-til-ukraina-1.15873810

※  この記事は2021年7月6日にOryx本国版(英語)に投稿された記事を翻訳したもので
 す。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所がある
 場合があります。



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