著:ファルーク・バヒー in collaboration with ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
パキスタン軍に中国製の無人戦闘航空機(UCAV)が仲間入りしていることは以前からマスコミの憶測の対象となっていましたが、パキスタンの地にUCAVが存在することを確認できる地上画像はこれまでに公開されていないことから、憶測の度合いがさらに高まっています。
パキスタンはこれまでに中国から納入されたUCAVの状況を大いに秘匿し続けていますが、オープンソースの調査を通じて大量の情報を見つけることができました。これは現在パキスタンの各軍で運用されている豊富な中国製のUCAVの存在を明らかにしています。
全国各地にある飛行場の衛星画像でUCAVが発見されていることから、パキスタンが中国製UCAVの組立ラインを立ち上げたという噂が流れています。
これまでのところ、そのような能力が確立されたことを提示する証拠はなく、現在確認できる証拠からは、パキスタンが近いうちに中国産UCAVを多数の国産システムで補完することを示唆しているように見えます。
2021年8月、パキスタンがTAI「アンカ」UCAVの一部のコンポーネントを製造してトルコのシステムのさらなる開発に協力することが発表されました。それに伴って、トルコの技術を自国のUAVプログラムに吸収する下地作りがなされるかもしれません。[1]
翼竜 I - パキスタン空軍
パキスタンで最初に確認された中国製UCAVの目撃は2016年のことであり、ミアンワリ空軍基地の付近に機体が墜落した際にメディアの注目を集め、墜落したUCAVの画像から、「翼竜Ⅰ」が実際にパキスタンに到着したことをすぐに確認することができました。[2]
2017年と2018年には、ミアンワリ空軍基地を撮影した衛星画像で2機の「翼竜Ⅰ」が発見されました。これは、複数の無人機が評価試験中の状態にあるか、実際にはすでに就役している可能性が高いことを示しています。
興味深いことに、2019年にはミアンワリ空軍基地の衛星画像で両機が見えなくなり、2年後の2021年2月に再登場するまでの間に何のニュースも発表されませんでした。
公式な調達情報が公表されていないため、パキスタンのどの軍が「翼竜Ⅰ」を運用しているかは現時点でも不明のままです。とはいえ、パキスタン空軍(PAF)は後に「翼竜Ⅰ」の後継機である「翼竜II」も導入したことから、空軍がその最有力候補と考えられています。
翼竜II - パキスタン空軍
2018年に、パキスタンが約48機の「翼竜II」をパキスタン航空コンプレックス(PAC)で共同生産する交渉を行っているとインドのメディアによって報じられました。[3]
このニュースの真偽を確認するPAFからの公式なアナウンスはなく、1年後に判明した事実はそれが誤報であることを明らかにしました。
しかし、これはPAFが実際に「翼竜II」の入手を思いとどまっていたことを全く意味しておらず、その事実はインドのメディアによって当初予想されていたよりも3年遅れて判明しました。2021年初頭に、PAFが中国航空工業集団(AVIC)に翼竜IIを発注したことが報じられたのです。
かなりの数の発注があったと思われますが、今のところはパキスタンで「翼竜II」を共同生産する意向はないようです。
その後の2021年7月には、(以前に「翼竜Ⅰ」を収容していた)ミアンワリ空軍基地で「翼竜Ⅱ」が目撃されました。
パキスタンが受領した「翼竜Ⅱ」には、幅広い種類の空対地兵装に加えて合成開口レーダー(SAR)が装備されていると伝えられています。
ミサイルと爆弾を搭載するためのハードポイントを6基備えた「翼竜Ⅱ」は、海軍が海上監視用にリースで運用している2機の「MQ-9B シーガーディアン」以外にUCAVを運用していないインドに対して、PAFに明確な優位性をもたらします。
CH-4B - パキスタン陸軍航空隊・海軍航空隊
空軍がAVICから「翼竜シリーズUCAVを導入した一方で、陸軍航空隊は中国航天科技集団(CASC)から「CH-4B」UCAVを購入することを選択しました。
伝えられるところによれば、陸軍航空隊が大量の「CH-4B」を発注して2021年初頭に第1陣の5機がパキスタンに到着したとのことです。
後に少なくとも4機がバハーワルプール陸軍航空隊基地に配備され、その付近には同航空隊によってUAV専用の訓練空域が設定されました。[4]
2020年にザファル・マフムード・アッバースィ海軍長官が離任の挨拶で「海軍は洋上任務用に武装UCAVを取得する」と述べたと報じられていたことから、海軍(PN)も武装ドローンの導入を進めていることが知られています。[5]
そのUCAVは「CH-4B」であることが、この件に詳しい、事実を確認できる立場にある情報源によって明らかにされました。[6]
これまでにPNの「CH-4B」は目撃されていませんが、2021年半ばにPNのトゥルバット基地でUAVに付随する迅速に展開可能な小型の格納庫が建設されたことは、PNがすでに稼働状態にある「CH-4B」を保有しているか、近い将来にそれらを受領する予定であることを示しています。
これらは洋上監視用のSARレーダーを搭載しているとみられており、現在この任務で使用されている「P-3 オライオン」を補完することになるでしょう。
軍事アナリストからすると、パキスタンがこれまで中国製UCAVの入手をいかにしてうまく秘匿してきたのかは非常に見応えのあるものでしたが、それを見つけるために苦心したOSINT研究者の努力も同様に素晴らしいものでした。
将来的には、この中国製UCAV飛行隊はトルコの支援を受けて開発された独自設計のUCAVで補完される予定ですが、それが実現した際にパキスタンがそれをいかなる形式であれ公式に表明しそうにはありません。
おそらく10年後には、私たちは衛星画像の中にこれらを探し出すことになり、それはOPSECとOSINTの間の活発なゲーム(攻防戦)が決して退屈にならないことを保障するでしょう。
※今回の記事は @detresfa_氏の協力を得て制作されました。
[1] IDEF 2021: Pakistan's NESCOM to manufacture parts for Anka UAV https://www.janes.com/defence-news/news-detail/idef-2021-pakistans-nescom-to-manufacture-parts-for-anka-uav
[2] Chinese-Made Drone Crashes In Pakistan https://www.popsci.com/chinese-made-drone-crashes-in-pakistan/
[3] Chinese Wing Loong II drones sold to Pakistan https://www.armyrecognition.com/october_2018_global_defense_security_army_news_industry/chinese_wing_loong_ii_drones_sold_to_pakistan.html
[4] Pakistan Takes Delivery of CH-4 Drones from China https://quwa.org/2021/01/23/pakistan-takes-delivery-of-ch-4-drones-from-china-2/
[5] Admiral Zafar Mahmood Abbasi (R) Speech | Pak Nav https://youtu.be/4veP2J6aDTY
[6] Haha like we're going to reveal our sources ;) ※つまり秘密ということです
※ この翻訳元の記事は、2021年9月5日に投稿されたものです。邦訳版は意訳など
により、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所がある場合があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読ください。
正確な表現などについては、元記事をご一読ください。
無人機戦の新たな章:「バイラクタル・アクンジュ」が就役した