イラン・イスラム共和国は世界でもいち早く無人戦闘航空機(UCAV)を運用し始めた国の一つであり、1980年から1988年まで続いたイラン・イラク戦争の時点でUCAVを投入しました。
最初の無人兵器は最大で6発の「RPG-7」用擲弾を発射可能な無線操縦式の「モハジェル-1」でしたが、イランの無人兵器は今やアメリカの「RQ-170 "センチネル"」のコピーやPGM(精密誘導爆弾)を搭載した(ステルス)UCAV、高精度を誇る徘徊兵器までに拡大しています。これらのタイプの無人機は既存の航空戦力をますます効果的に代替するための土台となるものであり、こうした事実はイラン製無人機の顧客が増加しつつあることからも見過ごされることはないでしょう。
- このリストの目的は、イランが現時点で保有している無人機(UAV)とその武装を総合的に網羅・可視化することにあります。
- リストの簡素化と不必要な混乱を避けるため、当リストにはイランの防衛産業に関係がある軍用無人機か、少なくとも何らかの形で実用化される見込みのある軍用グレードのUAVのみを掲載しています。
- アポストロフィ内の部分の名前は、他の呼称名や非公式の名称です。
- 各無人機で疑わしい性能が存在する場合には、名称の後に 「~とされる」と追記しています。
- 名称は可能な限り日本語化しますが、やや不明な場合は英字と併記します(読み方不明のは英字のまま記載)。
- 各無人機の名前をクリックすると当該無人機の画像を見ることができます。
無人偵察機(現用機)
アバビル-2 ''アバビル-S または アバビル-R'' 3種類: (2) (3, タジキスタンに供給)
アバビル-3前期型 ''AB-3 または パフパッド(ペルシャ語で遠隔操縦無人機の略)'' 2種類: (2) (イラクとスーダンに"ザギルⅢ-B"として供給)
アバビル-3後期型 ''AB-3 または パフパッド''」
ビナ
ファルパッド
ヤズダーン
''PXホーク'' (イラクのPMFに供給、 イランでの運用は限定的なものか皆無)
モハジェル-2 (ベネズエラに ''アルピア''として供給、リビア国民軍(LNA)とレバノンのヒズボラも運用)
モハジェル-2N 2種類: (2) (ベネズエラに''ASNU-100''として供給)
モハジェル-4 2種類: (2)
モハジェル-4B サディグ ''M4-200''
モハジェム-92 (イラクに ''ラキープ または ラキブ''として供給)
オグハブ-1 (イラクのPMFに供給)
シャヘド-121 3種類: (2) (3)
シャヘド-161 2種類: (2, 人工降雨用途の派生型 ''サマヴァト'') (アメリカ製「RQ-170」 の技術がベース)
ヤシール ''サイード-2'' (アメリカの「スキャンイーグル」がベース) (イラクのPMFに供給)
サーイェ ''カヴォシュ'' 2種類: (2) アメリカの「スキャンイーグル」のコピー機)
形式不明のUAV (1) (イエメンのフーシ派に ''サマド-1''として供給, レバノンのヒズボラとガザ地区のイスラム聖戦も運用、イランでの運用は限定的)
形式不明のUAV (2) 2種類: (2) (アメリカの「「RQ-21 "ブラックジャック"」がベース) (イエメンのフーシ派に ''メルサド-1'' や ''メルサド-2''として供給)
無人偵察機(試作)
ババラン(バーラバーンか?)
ベフルーズ
チャムロッシュ ''ターレグ''
ファラーズ-II
ファラーズ-2 ''ファラーズ-102'' (自爆突入機としても使用可能とされる)
ファラーズ-3 ''サハンド'' 2種類: (2)
ファラーズ-220
ファラーズ-230
モハジェル-3 ''ドルナ''
ナシール-1
ナシール-2
ロビン
シャヘド-125 (アメリカの「RQ-7」がベース)
シャヘド-171 ''シームルグ'' (アメリカの「RQ-170」がベース)
V.C.T.U 133 試作: (1)
タレク
形式不明のUAV (1)
形式不明のUAV (2)
形式不明のUAV (3)
形式不明のUAV (4) 2種類: (2) (合成開口レーダーや電波妨害装置を搭載可能とされる)
形式不明のUAV (5) (自爆突入機としても使用可能とされる)
無人戦闘航空機(現用機)
アバビル-3 (2発の ガーエム-1, 5 及び 9 PGM か 2発の アルマス-1/2 ATGM:対戦車ミサイルを装備可能)
アバビル-4 (2発の アルマス-1/2 ATGMを装備可能)
アバビル-5 (6発の ガーエム-1, 及び 9 PGM か 4発の アルマス-1/2 ATGMを装備可能)
ハマセ 試作: (1) (2発の ガーエム-1, 5 及び 9 PGM か 2発の シャファク 空対地ミサイルを装備可能)
モハジェル-6 ''M6'' (4発の ガーエム-1, 5 及び 9, サディード-345 か 形式不明のサディード, か 4発の アルマス-1/2 AGTM または 4基の ハイドラ70/ファダック80 (誘導) ロケット弾ポッドを装備可能) (イラクのPMF, エチオピアとロシアに供給)
モハジェル-10 ''M10'' (最大6発の ガーエム-1, 5 及び 9, サディード-345, 形式不明のサディード PGM, または 6発の アルマン-2 PGM または 4発の アルマス-1/2 AGTMs)
シャヘド-123 ''HESA-100'' 2種類: (2) (イスラエルの「ヘルメス200」がベース) (2発の サディード-345 PGMを装備可能)
シャヘド-129 2種類: (2) (最大で4発の サディード-1 ATGM か 4発の サディード-345 または 形式不明のサディード PGMを装備可能)
シャヘド-181 ''サーエゲ2'' (最大で4発の サディード-345 PGMを装備可能) 試作: (1) (アメリカの「RQ-170」の技術がベース)
シャヘド-191 ''サーエゲ-2'' (2発の サディード-345 PGMを装備可能) 試作: (1) (アメリカの「RQ-170」の技術がベース)
キャマーン-12 (4発の ガーエム-1, 5 及び 9 PGM や 4発の アフガール 空対地ミサイル, または4発の アルマス-1/2 ATGM や 2発の 形式不明の誘導爆弾, または 4基の ハイドラ70/ファダック80 (誘導) ロケット弾ポッド あるいは 2基の形式不明のECMポッドを装備可能: (1) (2))
キャマーン-22 (6発の ガーエム-1, 5 及び 9, か サディード-1 または 2発の GBU-12 PGM, あるいは 4発の シャファク-3/4 空対地ミサイル, 4発の バーラバーン か 6発の 形式不明の誘導爆弾, または ハイダル-1 巡航ミサイル か 1基の AN/ALQ-101 や 形式不明のECMポッドを装備可能: (1))
カラール 'カラール IV, ハダフ-1 または アバビル・ジェット'' (1門の ミニガン, か 1発の 無誘導爆弾, や 1発の クラスター爆弾, あるいは 1発の バーラバーン, ラード-301, ヤースィーン か 2発の 形式不明の誘導爆弾: (1) (2), または シャファク-3/4 や 1発の 形式不明の空対地ミサイル, か 1発の GBU-12 PGM, または 2発の C-701 対艦ミサイル, あるいは 1発の AIM-9P か アザラクシュ 空対空ミサイルを装備可能)
フォトロス (最大で6発の ガーエム-1, 5 及び 9 PGM, か 4発の アルマス-1/2 AGTM, または 4発の ガーエム-114 空対地ミサイル あるいは 1発の ハイダル-1 巡航ミサイルを装備可能)
形式不明のUCAV (1) (2発の無誘導爆弾を装備可能) (イエメンのフーシ派に ''サマド-4''.として供給。イランでの運用は未確認)
無人戦闘航空機(試作)
モハジェル-2 (12発のRPG用擲弾を装備可能)
ナセ (4発の「ミサグ-2」携帯式地対空ミサイルを装備可能とされる)
サーエゲ-1 ''QOM-1'' (2発の「ミサグ-2」MANPADSを装備可能とされる)
サーエゲ-1 (4発の サディード-1 PGMを装備可能とされる)
サリール ''H-110'' (2発の「ミサグ-2」MANPADSを装備可能とされる)
シャヘド-121 (1発の サディード-1 PGMを装備可能)
シャヘド-125 (2発のハイドラ70ロケット弾を装備可能とされる)
シャヘド-149 ''ガザ'' (イランで用いられているほぼ全ての誘導兵器を装備可能とされる)
シャヘド-171 ''シームルグ'' (4発の サディード-345 PGMを装備可能とされる) (アメリカの「RQ-170」がベース)
モビン (誘導爆弾を装備可能とされる)
セッジール (最大で2発の誘導爆弾を装備可能とされる)
形式不明のUCAV (1) (1発の スウォーム型徘徊兵器 で武装)
形式不明のVTOL型UCAV (1) (1門の12.7mmガンポッドで武装)
形式不明のVTOL型UCAV (2) (1発の迫撃砲弾で武装)
形式不明のVTOL型UCAV (3) (最大4発の迫撃砲弾で武装)
形式不明のVTOL型UCAV (4) (最大6発の迫撃砲弾で武装)
(徘徊兵器を含む)自爆突入型無人機(現用)
アバビル-2T 6種類: (2, タジキスタンに供給) (3, レバノンのヒズボラに供給) (4, イエメンのフーシ派に '''カセフ-1'' ,ガザ地区のイスラム聖戦に供給) (5, イエメンのフーシ派に"カセフ-2K"として供給) (6, ハマスに"シハブ"として供給)
カラール ''ハダフ-1 か アバビル・ジェット"
ラーク ''シェカルチ, トゥーファン-2, チャムラーン-II''
ラード-85 ''ラード-85'' (モハジェル-2の機体を使用)
ラード-85 ''ラード-85'' (サーエゲの機体を使用)
キアン ''アーラシュ''
メラジ-521
ズービン (ポーランドのWBエレクトロニクス「ウォーメイト」がベース)
オミド (イスラエルのIAI「ハロップ」がベース)
シャヘド-131 (ロシアに ''ゲラン-1''として供給)
シャヘド-136 (ロシアに ''ゲラン-2", イエメンのフーシ派に ''ワーエド'' イラクのPMFに''ムラド-6''として供給)
形式不明の徘徊兵器 (1) (イエメンのフーシ派に ''ハティフ-1''として供給、 イランでの運用は限定的なものか皆無)
形式不明の徘徊兵器 (2) (イラクのPMFに''ムラド-5'', ガザ地区のハマス, イスラム聖戦に ''ジェニン'', イエメンのフーシ派に ''ハティフ-2''.として供給、イランでの運用は限定的なものか皆無)
形式不明の徘徊兵器 (3) (イエメンのフーシ派に ''サマド-2''として供給、 イランでの運用は限定的なものか皆無)
形式不明の徘徊兵器 (4) (イエメンのフーシ派に ''サマド-3''として供給、イランでの運用は限定的なものか皆無)
形式不明の徘徊兵器 (5) (イエメンのフーシ派に ''シハブ-2''として供給、イランでの運用は限定的なものか皆無)
形式不明の徘徊兵器 (6)
(徘徊兵器を含む)自爆突入型無人機(試作)
無人標的機
MQM-36「シェルダック」
MQM-107A「ストリーカー」 (国内で製造されたものは「 ナセ」と呼称)
アバビル-B 2種類: (2, シリアで発見されるもイランによる設計・開発)
アバビル-CII
アミン
AMIQO AT-2/3
AMIQO JAT-4
バーズ
チャーボクパル
チャカII
デルタ
ハダフ-3000
ハゼム-II ''メラジ-214''
ホマ ''ホマ A''
カラール ''ハダフ-1 または アバビル・ジェット'' 2種類: (2)
ホドカル ''QT-33A''
キアン-1
キアン-2
サーエゲ-1
サーエゲ-2
シャヒン ''シャヒーン''
タラシュ-I
形式不明の無人標的機 (1)
形式不明の無人標的機 (2)
形式不明の無人標的機 (3)
形式不明の無人標的機 (4)
形式不明の無人標的機 (5)
形式不明の無人標的機 (6)
形式不明の無人標的機 (7)
形式不明の無人標的機 (8)
形式不明の無人標的機 (9) (シリアに供給されるもイランでの運用は限定的か皆無)
垂直離着陸型無人航空機
メラジ
ペリカン-2 試作: (1)
ハドハッド-4
''セファー または シャハブ-2''
タレク VTOL
スカイアイ
アルバイン
形式不明のVTOL型UAV (1)
形式不明のVTOL型UAV (2)
形式不明のVTOL型UAV (3)
形式不明のVTOL型UAV (4)
形式不明のVTOL型UAV (5)
形式不明のVTOL型UAV (6)
形式不明のVTOL型UAV (7)
形式不明のVTOL型UAV (8)
形式不明のVTOL型UAV (9)
形式不明のVTOL型UAV (10)
形式不明のVTOL型UAV (11)
形式不明のVTOL型UAV (12)
形式不明のVTOL型UAV (13)
形式不明のVTOL型UAV (14)
形式不明のVTOL型UAV (15)
イランに鹵獲・回収された外国製無人機
AAI「エアロゾンデ」 [アメリカ] (回収年月は不明)
デザートホーク [アメリカ] (シリアかイラクでイランが関連する民兵組織が回収したと思われる)
デザートホークIII [アメリカ] (同上)
MQ-1A「プレデター」 [アメリカ] (回収年月は不明)
RQ-4A「グローバルホーク(BAMS-D) [アメリカ] (2019年6月にホルムズ海峡の上空で撃墜された後に残骸を回収)
RQ-7「シャドー」 [アメリカ] (シリアかイラクでイランが関連する民兵組織が回収したと思われる)
RQ-11「レイヴン」 [アメリカ] (同上)
RQ-170「センチネル」 "カンダハールの野獣" [アメリカ] (2011年12月に鹵獲)
フェニックス [イギリス] (残骸を回収、シリアかイラクでイランが関連する民兵組織が回収したと思われる)
スキャンイーグル [アメリカ] (2014年12月に回収、 もう1機の回収年月は不明)
ヘルメス200 [アゼルバイジャン] (2014年8月に回収)
IAI「ハロップ」 [アゼルバイジャン] (2020年の第二次ナゴルノ・カラバフ戦争時にイラン領内に墜落したもの)
※ この記事は2021年10月22日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳した
ものです。
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