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2023年9月27日水曜日

軍隊がなくても問題なし:アイスランドによるウクライナへの支援(一覧)

ゼレンスキー大統領と握手するカトリーン・ヤコブスドッティル首相(左)

著:シュタイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

 常備軍を保有していないという点で、アイスランドはNATO加盟国の中では珍しい立場にあります。

 冷戦時代、この国ではNATOから脱退するか否かの議論が何回も交わされました。1970年代には、イギリスとの第二次、第三次タラ戦争を受けて、NATOから脱退すると脅したことすらあったのです。

 しかし、その平和主義的な特徴と、アイスランドのNATO加盟に反対していることで知られる首相がいるにもかかわらず、この島国はイラクやアフガニスタンを含むいくつかのNATO主導のミッションに平和維持要員を提供したり、NATOの空軍基地を受け入れた国でもあります。[1]

 軍備を保有していないことから、アイスランドによるウクライナへの支援の大部分は人道支援に力が注がれています。

 この国による軍事援助の例としては、貨物機をチャーターしてNATO加盟国からウクライナに軍用品を輸送したり、防寒具、EOD(爆発物処理)用装備、野戦病院の提供などが挙げられます。

 軍事援助におけるアイスランドの貢献額は約27億アイスランドクローナ(約29.6億円)に及び、経済・人道支援額については、これまでに31億アイスランドクローナ(34億円)に達しています。[2]

  1. 以下に列挙した一覧は、ロシアによるウクライナ侵攻の最中にアイスランドがウクライナに供与した軍事援助及び人道支援の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は種類ごとに分類されています。
  3. この一覧には、個人及び企業からの寄贈品は含まれていません
  4. この一覧はさらなる支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  5. 各装備類の名称をクリックすると、当該装備類などの画像を見ることができます。

軍事援助

人道支援
  • 938万ユーロ(14.8億円 :国連機関及び赤十字国際委員会を通じての寄贈 [2022年/2023年]
  • 150万ユーロ(2.3億円): ウクライナへ緊急援助基金用 [同上]
  • 41万ユーロ(6,481万円): 世界銀行によるウクライナ支援用マルチドナー信託基金用 [同上]
  • 41万ユーロ(6,481万円)相当:発電機 (5) と 変圧器 (22) [同上]
  • 40.8万ユーロ(6,446万円)相当:食料品及び義足・義手 [同上]
  • 20万ユーロ(3,160万円):NATO-ウクライナ専門家育成プログラムの信託基金用[同上]

ウクライナからの難民受け入れ
  • 約2,600人のウクライナ難民(アイスランドの人口は37万5,318人)[2022年2月から]
[1] Iceland’s prime minister: “My opposition to Nato has not changed” https://www.newstatesman.com/encounter/2022/02/katrin-jakobsdottir-my-opposition-to-nato-has-not-changed
[2] War in Ukraine - Iceland's response https://www.government.is/topics/foreign-affairs/war-in-ukraine/

※ この記事は2023年7月20日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
 です。



おすすめの記事

2023年9月18日月曜日

国土奪還に向けて紅茶を一杯:イギリスによるウクライナへの軍事支援(一覧)


著: シュタイン・ミッツアー と キャリブレ・オブスキュラ

 2022年2月以降、イギリスはウクライナに46億ポンド(約8,515億円)以上の軍事援助を約束しています。
  1. 以下に列挙した一覧は、2022年からのロシアによるウクライナ侵攻の最中にイギリスがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備等の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されており、末尾には供与された月などが記載されています)。
  3. イギリスの武器供与に関する機密性のため、表示している数量はあくまでも最低限の数となっています。
  4. この一覧には、個人や団体などがイギリスの防衛企業から調達・ウクライナへ寄贈した兵器類は含まれていません。
  5. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  6. 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。

空中発射式巡航ミサイル

地対空ミサイル (600+ ミサイルと数十台の発射機)

対艦ミサイル

ヘリコプター(3)

地対空ミサイル(SAM)システム (3+ 発射機)

対空砲 (125)
  • 125 対空砲 [2022年/2023年]

多連装ロケット砲 (14)

自走砲 (52)

牽引砲 (54)

戦車(14)

装甲(戦闘)車両(70)

装甲兵員輸送車 (220+)

MRAP:耐地雷・伏撃防護車両

歩兵機動車

車両(133)

工兵・支援車両等

携帯式地対空ミサイルシステム (MANPADS)

対戦車ミサイル (ATGM)
  • 数百発 '' 射程200km級の徘徊兵器'' [2022年/2023年]

無人偵察機

輸送用ドローン(少数)

電子戦装備
  • ''電子戦装備'' [2022年5月 または 6月]
  • ''GPS妨害装置" [同上]
  • 対ドローン用電子戦装備 [2023年前半]

レーダー

弾薬
  • 30,000,000 小火器用の弾薬 [2022年/2023年]
  • 300,000+ 122mm, 152mm 及び 155mm砲弾 と 122mmロケット弾 [同上]
  • 数千発 120mm粘着榴弾 と 劣化ウラン弾 (「チャレンジャー2」用) [2023年]
  • 対空砲用の弾薬 [2022年/2023年]
  • 4.5トン プラスチック爆弾 [同上]
  • 相当数「M31A1 "GMLRS"」精密誘導ロケット弾 [2022年以降に供与] (「M270B1」及び「ハイマース」用)
  • 2,600 ラファエル「マタドール」対構築物用ロケット弾発射器 [2022年4月]
  • 数百発 レイセオン「AMRAAM」空対空ミサイル [2022年10月 または 11月] (「 NASAMS」及び「コヨーテ」 HMTベースのSAM発射機用)

被服及び個人装備
  • 84,000 ヘルメット [2022年]
  • 8,450セット ボディアーマー [同上]
  • 25.000セット 極寒地用被服[同上]
  • コンバット・ブーツ [同上]
  • 5,000 暗視装置 [同上]

その他の装備品
  • 予備部品及び各種装備(最大100台のソ連製戦車及び歩兵戦闘車のリファビッシュ用) [2023年]
  • 測距器 [2022年]
  • 20,000 寝袋 [同上]
  • 150 断熱テント [同上]
  • 医療物資 [同上]
  • 地雷探知装備 [2022年/2023年]

[1] Military assistance to Ukraine since the Russian invasion https://commonslibrary.parliament.uk/research-briefings/cbp-9477/

※ この記事は2022年4月11日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの