ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ in collaboration with ヤクブ・ヤノフスキ
ウクライナに軍事支援を提供してきた全ての国の中で、チェコ共和国がアメリカやイギリスといった超大国と一緒にその名前で頻繁に出ていることに気づいた人は少なくないでしょう。
2022年4月初旬までにチェコがウクライナに提供した軍事援助の規模はすでに約4億3000万ドル(約588億円)に達しており、同国はNATO加盟国における軍事援助で最大の貢献国の1つとなっています。この援助には小火器や携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)から、戦車・歩兵戦闘車(IFV)・地対空ミサイル(SAM)システム・多連装ロケットランチャー(MRL)、さらには「Mi-24V」攻撃ヘリコプターなどの重火器に至るまでのさまざまな武器が含まれていることは特筆すべきものといえるでしょう。
チェコ共和国は武器の供与に関する詳細を公表していないものの、多くの情報が明らかになってなり、すでに数種類の武器がウクライナで目撃されています。興味深いことに、これにはチェコ陸軍から引き渡された装備品だけでなく、チェコやブルガリアの防衛請負企業から購入した兵器も含まれているようです。
武器の供与に加えて、チェコの防衛企業は戦闘で損傷したウクライナの兵器類と戦争勃発以前に保管状態にあった装備品の修理やオーバーホールを開始したことも重要な動きであることは言うまでもありません。[1]
- 以下に列挙した一覧は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際にチェコがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備の追跡調査を試みたものです。
- 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されています)。
- 一部の武器供与は機密事項であるため、この一覧は供与された武器の総量の最低限の指標としてのみ活用できます。
- この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
- * はウクライナがチェコの防衛企業から調達したものです。
- ** はNATO加盟国がチェコの防衛企業から調達後にウクライナへ供与するものです。
- *** はチェコ(及びスロバキア)国民によってクラウドファンディングで調達・引き渡したものです。
- 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。
(攻撃) ヘリコプター(4+)
- 4 Mi-24V「ハインド」 [2022年7月,2023年7月に更なる追加を表明]
地対空ミサイル (SAM) システム(6)
レーダー (2)
- 6 9K35「ストレラ-10M」 [2022年3月または4月]
- 2個中隊分 2K12M2「クーブ-M2」 [2023年8月]
- 2 SURN 1S91 (「2K12M2 "クーブ-M2"」用) [2023年8月]
- 50 T-72M1 [2002年4月~6月と2023年4月](一定数はドイツの「循環的交換政策」を通じて15台の「レオパルト2A4」戦車と1台の「ビュッフェル」装甲回収車の提供と引き換えにチェコのストック品からウクライナへ供与、それ以外はブルガリアから調達したものを供与)
- 16 T-72M1* [2022年後半] (ウクライナがチェコから調達)
- T-72M1 [2022年6月] (チェコがブルガリアから調達後にウクライナへ供与)
- 1 T-72EA 'トーマス'*** [2022年10月] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
- 11 T-72EA* [2022年後半] (ウクライナがチェコから調達)
- 90 T-72EA** [2023年1月以降から供与] (アメリカとオランダが調達し、チェコが修復及び改修後にウクライナへ供与)
- BPzV "スヴァタヴァ" 戦闘偵察車 [2023年5月以前に供与]
牽引砲
- D-20 152mm榴弾砲 [2002年4月] (ブルガリアから調達したものをチェコ経由でウクライナへ供与)
自走砲(50+)
- 2S1「グヴォジカ」122mm自走榴弾砲 [2002年4月]
- 13 vz. 77 「ダナ」152mm自走榴弾砲 [同上] (少なくとも4,006発の砲弾と共に供与)
- ~30 「ダナM2」152mm自走榴弾砲* [2022年夏以降に引き渡し] (ウクライナがチェコから調達)
多連装ロケット砲(30+)
- 20+ RM-70 122mm MRL [2002年4月]
- BM-21「グラード」122mm MRL [2022年5月または6月] (ブルガリアから調達したものをチェコ経由でウクライナへ供与)
- RM-70「ヴァンピール」122mm MRL [2022年7月]
- 1 RM-70 122mm MRL 'プシェミスル'*** [2023年3月の後に供与] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
- BM-21T「グラード」122mm MRL* [2023年4月以前] (ウクライナがチェコから調達)
自走対空砲(115)
- 15 MR-2 14.5mm自走対空機関砲 'ヴィクトール'*** [2023年5月] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
- 100 MR-2 14.5mm自走対空機関砲** [予定] (オランダがチェコから調達,改修後にウクライナへ供与)
携帯式地対空ミサイルシステム :MANPADS(160+)
- 160+ 9K32「ストレラ-2」 [2022年3月]
重迫撃砲(128+)
- vz. 82 PRAM-L ''タイプ82'' 120mm迫撃砲 [2022年]
- 128 形式不明の迫撃砲 [2022年/2023年]
対戦車兵器
- 10.000 RPG-75 [2022年3月]
無人偵察機 (49)
- 6 プリモコ「One 150」** [2022年8月] (ルクセンブルクがチェコから調達し、ウクライナへ供与)
- 3 ビジョイ*** [2022年6月] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
- 30 DJI 「マヴィック3」*** [2022年] (同上)
- 10 DJI 「マヴィック3T」*** [同上] (同上)
- 3 DJI 「マヴィック30T」*** [同上] (同上)
電子戦装備 (1システム 及び 1妨害装置)
- Moruš システム [2023年4月]
- 1 アクティブ式ドローン妨害装置*** [2022年] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
工兵・支援装備
- 2 浮橋 [2022年6月]
- 5 CBRN車 [2023年2月以前]
- 900メートル 仮設橋 [2023年2月以前]
車両(47)
- 47 各種車両 [2023年2月以前]
小火器
弾薬
個人装備
その他の装備品
[1] https://twitter.com/idreesali114/status/1516435083648978945
※ この記事は2021年7月10日にOryx本国版(英語)に投稿された記事を翻訳したもので
す。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があり
ます。
おすすめの記事
- 30,150 vz. 82 拳銃 [2022年2月]
- 2,085 vz. 61「スコーピオン」短機関銃 [同上]
- 5,000 vz. 58 アサルトライフル [同上] (少なくとも350万発の7.62mm弾と共に供与)
- CZ「ブレン2」アサルトライフル [同上] (同上)
- 3,200 UK vz. 59 汎用機関銃 [同上] (同上)
- 12 「ドラグノフ」 狙撃銃 [同上]
- 19 「ファルコン」対物狙撃銃 [同上]
弾薬
- 1.5+ Million Artillery, 榴弾, 戦車砲弾, 迫撃砲弾 [2022年2月以降]
- 60,000+ ロケット弾 (「BM-21」および「RM-70」、航空機用) [同上]
- 365+ 122mmロケット弾*** (「RM-70 'プシェミスル'」及び「RM-70 'ヴァンピール' 」MRL用) [2023年3月以後] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
- 152mm・125mm・122mm・120mm 榴弾, 戦車砲弾, 迫撃砲弾*** [同上] (同上)
- 4,263,000 小火器用弾薬 [2022年2月以降]
- 155mm砲弾** (欧州の防衛当局を介しての調達) [2022年/2023年]
個人装備
- 被服 [2022年/2023年]
- 防弾ベスト*** [同上] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
- CBRN防護装置 [2023年2月以前]
その他の装備品
- 情報収集, 監視, 監視,目標補足,偵察(ISTAR) 装備[2023年4月]
- 戦術デコイ [2022年から]
- 予備部品 [2022年/2023年]
- 医療用品 [同上]
- 燃料 [同上]
ウクライナへ供与される前に撮影された「Pbv 501A」歩兵戦闘車(「BMP-1」をスウェーデンが改修したもの) |
[1] https://twitter.com/idreesali114/status/1516435083648978945
※ この記事は2021年7月10日にOryx本国版(英語)に投稿された記事を翻訳したもので
す。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があり
ます。
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