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2023年12月13日水曜日

プラハのショッピングリスト: チェコによる兵器調達計画の概要


著:シュタイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

 チェコ軍は、冷戦時代から残っていた装備の大部分を最終的に現代的な西側製に置き換えるという大変革を成し遂げようとしています。

 この構想にある西側の兵器には、 73台の「レオパルト2A8」戦車、246台の「CV90 MkIV」歩兵戦闘車、62門の「カエサル"8x8"」トラック搭載式砲兵システム、4個中隊分の「スパイダー」地対空ミサイルシステム、10機の「AH-1Z」攻撃ヘリコプター、そして最大で24機の「F-35A」ステルス戦闘機が含まれており、結果的にチェコ共和国は高度な能力と装備が整った軍を保有することになるでしょう。

 この望ましい状態については、「マイルストーン2025」と「マイルストーン2030」の一環として、2つの段階を経て達成される予定です。

 約1,100万弱の人口を踏まえると、チェコ軍は比較的小規模な軍隊です。内陸国で国内に大きな河川が流れていないので、チェコは海軍を有していません。

 「チェコ軍 整備構想2030」の一環として、将来的な陸軍の主力戦闘部隊は第7重機械化旅団、第4中機械化旅団の2個機械化旅団と第43空挺旅団、第13砲兵旅団、そして約10,000人の予備兵力で構成される予定となっています。
 
 機械化旅団の戦力は将来的に多連装ロケット砲(MRL)を導入することで拡大する可能性が見込まれます。というのも、MRLは2011年に最後の「RM-70」が退役して以来、著しく不足している装備からです。

 対戦車ミサイルや偵察用UAVの大規模な導入も、ロシア・ウクライナ戦争で学んだ戦訓に基づく論理的なものなのでしょう。

 チェコ空軍が将来的に調達する兵器には「AGM-158B」空中発射型巡航ミサイルと「AGM-88G」対レーダーミサイルといったスタンドオフ兵器が含まれていますが、「NATO空中給油・輸送機飛行隊プログラム」において各国に割り当てられた飛行時間の追加のような貢献がなされる可能性もあります。 

  1. 以下に列挙した一覧は、チェコ陸空軍によって調達される兵器類のリスト化を試みたものです。
  2. この一覧は重火器に焦点を当てたものであるため、対戦車ミサイルや携帯式地対空ミサイルシステム、小火器、指揮車両、トラック、レーダー、弾薬は掲載されていません。
  3. 「将来的な数量」は、すでに運用されている同種装備と将来に調達される装備の両方を含めたものを示しています。
  4. この一覧は新しい兵器類の調達が報じられた場合に更新される予定です


陸軍 - Pozemní Síly

戦車 (将来的な数量: 73)

歩兵戦闘車 (将来的な数量: ~340)
  • 172 CV90 MkIV [2026年から2030年にかけて調達] (最大で120台の「BVP-2」の更新用)
  • 68 KBVP「パンデュール II」 [調達予定] (すでに運用中である99台の同型IFVの補完用)

工兵・各種支援車両(将来的な数量:137+)

軽攻撃車両(将来的な数量: 174+)

砲兵装備 (将来的な数量: 62 自走榴弾砲 及び 8+ 自走迫撃砲)

電子戦システム (将来的な数量: 8)

無人航空機(将来的な数量: 200+)
  •  200 小型無人偵察機の調達計画 [2020年代半ば以降の就役予定] (現時点で運用中のアメリカ製の同種UAVの補完用)


空軍 - Vzdušné Síly

戦闘機 (将来的な数量: 48)
  • 24 F-35A [2020年代半ばから後半にかけて納入予定] (14機の「JAS-39 "グリペン"」の更新用)

ジェット練習機 (将来的な数量: 4+)

輸送機 (将来的な数量: ~2)

無人航空機
  • 中高度長時間滞空(MALE)型無人偵察機 [調達予定]

攻撃ヘリコプター (将来的な数量: 10)

汎用ヘリコプター (将来的な数量: 35)
  • 10 UH-1Y "ヴェノム" [2023年以降に納入予定] (「Mi-8/17」飛行隊の一部の更新用)

偵察気球 (将来的な数量: 1 または 2)
  • 1 または 2 STRATOM [2023年以降に納入予定]

偵察衛星 (将来的な数量: 1)

防空システム (将来的な数量: 4個中隊分+)

[1] The Czech Armed Forces Development Concept 2030 https://www.army.cz/images/id_8001_9000/8503/CAFDC.PDF

※  当記事は、2023年7月11日に「Oryx」本国版(英語)に投稿された記事を翻訳したものです。


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2023年5月27日土曜日

新時代の幕開け:チェコが導入を計画したイスラエル製UAV


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ

※ 2023年5月、チェコ軍はイスラエルから「ヘロンⅠ」3機の購入をキャンセルして小型無人機200機を調達する方針を公表しましたしたがってこの記事の情報が現状とそぐわなくなりますことをご承知ください(ただし、チェコ軍は同時に将来的には大型機導入の方針も示しているため、今後の参考となるかもしれません)。

 チェコ軍は、冷戦時代から生き残っている装備の大部分を最終的に現代的な西側製装備に置き換えるという大規模な変革を実施する予定となっています。

 この構想には「レオパルト2A7」戦車 や「CV90 MkIV」歩兵戦闘車、「カエサル 8x8」自走砲 、「スパイダーMR」地対空ミサイルシステム、「AH-1Z」攻撃ヘリコプター、そして最大24機の「F-35」ステルス戦闘機などの兵器の導入が含まれており、その結果として、チェコ共和国は極めて有能で十分に装備が調えられた軍隊を保有することになるでしょう。

 最近報じられたイスラエルからチェコ空軍用に3機の「ヘロンI」 U(C)AVを導入する件は、前述のすでに高度な能力をさらに発展させることになるでしょう。もちろん、これら全てに相当なコストが伴うことは言うまでもありません。

 チェコがイスラエルの「ヘロン」を選んだことは、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアといった近隣諸国とは大きく異なっています。

 ポーランドは2021年5月に合計で24機の「バイラクタルTB2」を発注し、最初の引き渡しは今年の末になると予想されています。同様に、ルーマニアも近いうちに18機のTB2を発注する予定であり、スロバキアもTB2導入の意向を示しています。[1][2] 

 ハンガリーは2021年11月にトルコのレンタテク製「カライェル-SU」トライアルを実施しましたが、その後にTB2の導入にも関心を示すようになりました。[3] 

 その一方で、ドイツは長年にわたって武装ドローンの使用を拒み続けてきた後、2022年に保有する「ヘロン」UAVの能力を強化して対地攻撃能力を付与することを決定しました。[4]

 チェコ空軍はドイツと同じように「ヘロン」の武装化に専念しているようですが、計画されている3機のUAVの導入だけでは持続的な軍事作戦には不十分です。また、提示された1億1000万ドル(約160億円)という調達価格についても、たった3機のUAVが実現できる機能でその高価さを正当化することは厳しいでしょう。[5] 

 これに対し、ポーランドは2021年5月にTB2を24機を、地上管制ステーション、武装、予備部品込みで2億7000万ドル(約390億円)で購入しました。[1] 

 TB2の輸出価格は1機あたり500万ドル(約7.2億円)と推定されています。パッケージ価格が1000万ドル(約14.4億円)だと仮定した場合、「バイラクタルTB2」 1機はチェコ国防省が(売買契約が成立した際に)「ヘロン」に支払うことになる金額より3.5倍以上も安いことになるのです。 

 チェコ国防省は、「イスラエル航空宇宙産業(IAI)」の「ヘロンI」に決定する以前に、多くの国のいくつかのメーカーに打診したことを明らかにしています。[5]

 「ヘロン」導入の決定には、同機のCOMINT(通信情報収集)及びELINT(電子情報収集)のペイロード能力が極めて重要な役割を果たした可能性がありますが、チェコ国防省はイスラエルとの契約について、「IAIが最低でも契約した事業の30%をチェコの防衛産業に関与させる案を提示した場合にのみ締結される」と付け加えたのです。[5] 

 IAIがどのようにしてこれを実現しようとするのかは不明ですが、チェコの防衛産業がたった3機のUAVの生産に30%も関与することは、結論から言えば、少々馬鹿げた提案としか言いようがありません。


 現在、チェコはアメリカから導入した小型のエアロバイロメント製「RQ-11B "レイブン"」及び「RQ-12 "ワスプAE"」、そしてボーイング・インシツ製「スキャンイーグル」無人偵察機を運用しています。

 チェコ軍は、アフガニスタンにおけるNATO主導の多国籍軍の任務に対する貢献の一環として、「RQ-11B」と「スキャンイーグル」の両方をアフガニスタンに配備したことがあります。

 チェコが「ヘロン」を自国の防衛を強化するのではなく、将来的に同様の国際的な任務に用いることを思い描いていると考えられなくもないでしょう。

 実際にチェコ陸軍は、「選定されたシステム(ヘロン)は陸軍内で想定される用途に最も密接に調和しており、訓練の一環としてのチェコ領土内で、または海外での作戦における支援部隊の一部として投入される可能性があるものの、その双方の本格的な使用で将来的に必要とされる要件を満たしています。」と明言しているのです。[6]



 イスラエルから3機の「ヘロン」システムを導入することはチェコにおける無人機運用史に新たな章の始まりを告げることになるもしれませんが、総額で1億1,000万ドルの価格を考慮すると、この章は書かれるその各1文字が非常に高価なものになるのは間違いないでしょう。

 近隣諸国が小型ではあるものの運用面で類似したUCAVの大量調達をする動きを強めていることから、チェコの防衛産業を関与させるという同様の買収目標を通じて(同国のUCAV運用が)より現実的に達成することが可能である一方で、望ましいレベルのNATO統合化を達成が可能と主張することができます(注:近隣諸国と同様にTB2などの安価かつ自由度の高いUCAVを導入することは格段に安いコストで国内産業を関与しつつNATO諸国のUCAVをある程度共通化することに寄与するということ)。

 イスラエルとの契約が無事に完了するかどうかにかかわらず、チェコの軍隊がこの先の10年で、これまでとは全く異なる存在になることを疑う余地はありません。



[1] Looking behind Poland's purchase of Turkish drones https://learngerman.dw.com/en/poland-continues-to-draw-eu-nato-ire-over-turkish-drone-purchases/a-57775109
[2] Slovakia considers Bayraktar buy from Turkey https://www.janes.com/defence-news/news-detail/slovakia-considers-bayraktar-buy-from-turkey
[3] Brutálisan ütőképes Bayraktar harci drónok beszerzését fontolgatja a kormány https://index.hu/belfold/2022/08/19/palkovics-laszlo-torokorszag-dron-bayraktar-magyar-kormany-technologiai-es-ipari-miniszterium
[4] German Coalition Agrees on $166 Million Budget to Arm Drones https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-04-06/german-coalition-agrees-166-million-budget-for-arming-drones
[5] Cena dronů z Izraele nebude 1,5, ale 2,7 miliardy korun https://www.novinky.cz/clanek/domaci-cena-dronu-z-izraele-nebude-15-ale-27-miliardy-korun-40407332
[6] Czech Republic to Purchase Three Heron Drones From Israel https://www.thedefensepost.com/2022/08/09/czech-heron-drones-israel/

※  当記事は、2022年9月15日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したも
 のです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所が
 あります。

2022年10月12日水曜日

失敗と見なされるも称賛に値すべき:ドイツの「交換」政策


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 ドイツはウクライナに大量の兵器を供与することに加え、「Ringtausch(循環的交換)」と呼ばれるプログラムで他国がウクライナに重火器を送るように仕向けようとも試みています。この政策は、各国が自国でストックしている戦車や歩兵戦闘車(IFV)をウクライナに供与する代わりに、ドイツ軍の同種兵器を無償で受け取ることができるという仕組みです。

 当初は見込みのある政策でしたが、ほとんどの国がソ連時代の兵器をベルリンが現時点で提供可能(あるいは提供したい)ものより多くの最新兵器で置き換えることを望んでいるため、「Ringtausch」はほとんど期待に応えることができませんでした。
 
 この「擬似的な交換システム」が正確に何を伴うものなのかが、「Ringtausch」政策が比較的成功していない最大の理由でした。

  ドイツはチェコとスロバキアとポーランドに対して、「T-72」戦車をウクライナへ送る代わりに「レオパルト2A4」戦車を供与することを申し入れました。しかし、確かに「交換」でウクライナへ送った主力戦車(MBT)よりは優れているものの、ポーランドは戦車大隊用の装備として期待していた44台のMBTの代わりに、わずか20台の「レオパルド2A4」(そして不思議なことに100台の「レオパルド1A5」)を供与されるだけで終わってしまいました。

 ドイツは2023年4月に最初の「レオパルド2A4」を月にたった1台のペースで供与を始め、同年10月からは月3台に増加することになっています。ポーランドとの交渉はこの記事を執筆している時点(2022年9月)ではまだ継続中ですが、すでに250台以上のMBTをウクライナへ供与しているワルシャワの不満が大きいことを疑う余地はありません。[1][3]
 
 チェコに14台の「レオパルド2A4」と1台の「ビュッフェル」装甲回収車(ARV)を供給する合意については、同国がウクライナに数量不明の「T-72M1」を供与してから約4ヶ月後の2022年8月29日に成立したばかりです。[4] [5]

 これらの「T-72」は予備のストックから供与されたものであったことを踏まえると、「Ringtausch」政策は(供与で)失われた戦力を前もってダイレクトに補うことを目的とした計画というよりも、むしろ供与を報奨するプログラムとして正確に表現されるべきものなのかもしれません。

 同様に、スロバキアは予備のストックである30台の「BVP-1」IFVをウクライナに供与することと引き換えに15台の「レオパルト2A4」と砲弾・訓練・兵站パッケージを受け取ることになっているため、同国にとってはこれが実に素晴らしい取引としか表現できないでしょう。
[6]

「レオパルト2A4」戦車(左)と「T-72M1」戦車(右)

 「Ringtausch」政策には相当な批判が浴びせられていますが、 ドイツは(現時点で)代替となる(西側製の)兵器を提供することで、ソ連時代の兵器をウクライナへ供与するよう積極的に他国に働きかけている唯一のヨーロッパの国であることに言及しておく必要があるでしょう。

 イギリスとフランスも戦車・IFV・自走砲の膨大なストックを保有していますが、今までのところ、ウクライナ軍での使用に適した重火器と引き換えに、これらを東欧諸国(あるいは世界各国)に供与することを控えています。

 ちなみに、ギリシャも「Ringtausch」計画に思い切って参加しています。ただし、ウクライナを助けるという名目で老朽化したIFV群を無償での交換を試みとようという思惑があると見られています。ギリシャは1992年にドイツから「BMP-1A1」を1台あたり5万ドイツマルク(2021年では約4万ユーロ:約575万円)で導入しました。

 東ドイツ軍で30年間使用された後にギリシャ軍でさらに30年間も酷使された「BMP-1A」について、ギリシャ政府は(ウクライナへ渡すものと)同数のドイツ製「マルダー」IFVとの代替を求めたのです。[7]

 しかし、今後の「Ringtausch」に基づいた取引は現時点で実現する可能性は極めて低いでしょう。

 スロベニアとの「マルダー」IFVと「フクス」装甲兵員輸送車(APC)の「Ringtausch」については、同国が2021年に発注した45台の「ボクサー」IFVの納入を早めるために見送られてしまったことからも明かです(その後の2022年9月にスロベニアは「ボクサー」導入をキャンセルしました)。[8][9]

 今になって思えば、「Ringtausch」という概念は、それ自体が内在する矛盾ゆえに最初から破滅的なものだったのかもしれません。

 ウクライナの窮状を支援するために装甲戦闘車両を手放す意思と能力のある国は、ひと握りの高価な代替品を約束されなくても通常はそう動いたでしょう。その一方で、実際に兵器を手放す前に代替となる戦力が必要な国々は法外に高価な代替品が必要とするため、もはやこの政策全体が割に合わなくなるのです。

 それでも、この政策に対するドイツの取り組みは全く何もしないよりは確かに好ましいものであり、ウクライナへの重火器を供与することへの拒否が焦点となっているものの、その問題に対する実行可能な解決策を見出そうと一所懸命考えて答えを出したことを示しています。

  1. 以下に列挙した一覧は「Ringtausch」政策で交換に成功した武器類を追跡調査することを試みたものです。
  2. この一覧は成立した取引のみを含みものであり、今後にさらなる取引が判明した際に更新される予定です。

チェコ
  • 14 レオパルト2A4 戦車(数量不明のT-72M1戦車と"交換")
  • 1 ビュッフェル 装甲回収車(同上)


ギリシャ
  • 40 マルダー 歩兵戦闘車(同数のBMP-1A1歩兵戦闘車と"交換")


スロバキア
  • 15 レオパルト2A4 戦車(30台のBMP-1歩兵戦闘車と"交換")



スロベニア
  • 45 MAN製「KAT1」高機動戦術トラック[通常型40台と給水または給油型5台] (28台のM-55S戦車と"交換")


[1] https://twitter.com/AlexLuck9/status/1550957034794655744
[2] Ringtausch Fuer Ukraine: Polen Will Mehr Deutsche Panzer https://www.faz.net/agenturmeldungen/dpa/ringtausch-fuer-ukraine-polen-will-mehr-deutsche-panzer-18194752.html
[3] A European Powerhouse: Polish Military Aid To Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2022/08/a-european-powerhouse-polish-military.html
[4] https://twitter.com/BMVg_Bundeswehr/status/1564254848308355073
[5] Answering The Call: Heavy Weaponry Supplied To Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2022/04/answering-call-heavy-weaponry-supplied.html
[6] https://twitter.com/BMVg_Bundeswehr/status/1562054032474226688
[7] BMP-1A1 Ost in Greek Service https://tanks-encyclopedia.com/bmp-1-greece/
[8] Slovenia and Germany Expedite Delivery of BVP M-80 to Ukraine https://en.defence-ua.com/news/slovenia_and_germany_expedite_delivery_of_bvp_m_80_to_ukraine-3558.html
[9] Slovenia will leave the Boxer programme https://www.shephardmedia.com/news/landwarfareintl/slovenia-leaves-the-boxer-programme/

※  当記事は、2022年9月6日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
  です。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があ
    ります。


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  • ファクトシート:ドイツによるウクライナへの軍事支援(一覧)

2022年8月22日月曜日

ボヘミアとの絆:チェコによるウクライナへの武器支援(一覧)


ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ in collaboration with ヤクブ・ヤノフスキ 


 ウクライナに軍事支援を提供してきた全ての国の中で、チェコ共和国がアメリカやイギリスといった超大国と一緒にその名前で頻繁に出ていることに気づいた人は少なくないでしょう。

 2022年4月初旬までにチェコがウクライナに提供した軍事援助の規模はすでに約4億3000万ドル(約588億円)に達しており、同国はNATO加盟国における軍事援助で最大の貢献国の1つとなっています。この援助には小火器や携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)から、戦車・歩兵戦闘車(IFV)・地対空ミサイル(SAM)システム・多連装ロケットランチャー(MRL)、さらには「Mi-24V」攻撃ヘリコプターなどの重火器に至るまでのさまざまな武器が含まれていることは特筆すべきものといえるでしょう。

 チェコ共和国は武器の供与に関する詳細を公表していないものの、多くの情報が明らかになってなり、すでに数種類の武器がウクライナで目撃されています。興味深いことに、これにはチェコ陸軍から引き渡された装備品だけでなく、チェコやブルガリアの防衛請負企業から購入した兵器も含まれているようです。

 武器の供与に加えて、チェコの防衛企業は戦闘で損傷したウクライナの兵器類と戦争勃発以前に保管状態にあった装備品の修理やオーバーホールを開始したことも重要な動きであることは言うまでもありません。[1]

  1. 以下に列挙した一覧は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際にチェコがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されています)。
  3. 一部の武器供与は機密事項であるため、この一覧は供与された武器の総量の最低限の指標としてのみ活用できます。
  4. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  5. * はウクライナがチェコの防衛企業から調達したものです。
  6. ** はNATO加盟国がチェコの防衛企業から調達後にウクライナへ供与するものです。
  7. *** はチェコ(及びスロバキア)国民によってクラウドファンディングで調達・引き渡したものです。
  8. 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。


(攻撃) ヘリコプター(4+)

地対空ミサイル (SAM) システム(6)

レーダー (2)

  • 2 SURN 1S91 (「2K12M2 "クーブ-M2"」用) [2023年8月]

戦車(170+
  • 50 T-72M1 [2002年4月~6月と2023年4月](一定数はドイツの「循環的交換政策」を通じて15台の「レオパルト2A4」戦車と1台の「ビュッフェル」装甲回収車の提供と引き換えにチェコのストック品からウクライナへ供与、それ以外はブルガリアから調達したものを供与)
  • 16 T-72M1* [2022年後半] (ウクライナがチェコから調達)
  • T-72M1 [2022年6月] (チェコがブルガリアから調達後にウクライナへ供与)
  • 1 T-72EA 'トーマス'*** [2022年10月] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
  • 11 T-72EA* [2022年後半] (ウクライナがチェコから調達)
  • 90 T-72EA** [2023年1月以降から供与] (アメリカとオランダが調達し、チェコが修復及び改修後にウクライナへ供与)

装甲戦闘車両

歩兵戦闘車(106)

歩兵機動車 (3)

牽引砲
  • D-20 152mm榴弾砲 [2002年4月] (ブルガリアから調達したものをチェコ経由でウクライナへ供与)

自走砲(50+)

多連装ロケット砲(30+)

自走対空砲(115)

携帯式地対空ミサイルシステム :MANPADS(160+)

重迫撃砲(128+)

対戦車兵器
  •  10.000 RPG-75 [2022年3月]

無人偵察機 (49)

電子戦装備 (1システム 及び 1妨害装置)

工兵・支援装備
  • 2 浮橋 [2022年6月]
  • 5 CBRN車  [2023年2月以前]
  • 900メートル 仮設橋 [2023年2月以前]

車両(47)
  • 47 各種車両 [2023年2月以前]

小火器


弾薬
  • 1.5+ Million Artillery, 榴弾, 戦車砲弾, 迫撃砲弾 [2022年2月以降]
  • 60,000+ ロケット弾 (「BM-21」および「RM-70」、航空機用) [同上]
  • 365+ 122mmロケット弾*** (「RM-70 'プシェミスル'」及び「RM-70 'ヴァンピール' 」MRL用) [2023年3月以後] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
  • 152mm・125mm・122mm・120mm 榴弾, 戦車砲弾, 迫撃砲弾*** [同上] (同上)
  • 4,263,000 小火器用弾薬 [2022年2月以降]
  • 155mm砲弾** (欧州の防衛当局を介しての調達) [2022年/2023年]

個人装備
  • 被服 [2022年/2023年]
  •  防弾ベスト*** [同上] (チェコ国民によるクラウドファンディングで調達)
  •  CBRN防護装置 [2023年2月以前]

その他の装備品
  • 情報収集, 監視, 監視,目標補足,偵察(ISTAR) 装備[2023年4月]
  • 戦術デコイ [2022年から]
  • 予備部品 [2022年/2023年]
  • 医療用品 [同上]
  • 燃料 [同上]

ウクライナへ供与される前に撮影された「Pbv 501A」歩兵戦闘車(「BMP-1」をスウェーデンが改修したもの)

[1] https://twitter.com/idreesali114/status/1516435083648978945

※  この記事は2021年7月10日にOryx本国版(英語)に投稿された記事を翻訳したもので
 す。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があり
 ます。



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