2017年4月23日日曜日

拡大するイランの勢力圏:イラクにおけるイラン製T-72 (1)


著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

イスラミック・ステート(IS)の戦闘員に対するイラクでの戦闘は、イラク軍とぺシュメルガによって戦われるだけではなく、イランからの大規模な支援を受けた、増加しつつあるシーア派民兵による戦闘もある。
イラクでの「レバノンのヒズボラ運動」に相当するカタイブ・ヒズボラは、間違いなく、現在のイラクに存在するすべてのシーア派民兵の中で、最も強力かつ影響力のある組織である。
これは、主にイランの資金援助や軍事援助、そして現地にいるイラン人顧問の存在のによるものである。

イランは、これらの民兵に、AM-5012.7mm対物ライフルやナシル・40mmグレネードランチャー、107mm多連装ロケット発射機(MRL)を搭載したサフィール・ジープや無反動砲、さらにはHM-20・122mmMRLまで何でも供給した。
これらの武器は全てイランで製造されたものである。
提供される兵器の量と種類は、民兵組織の規模に左右されている。

しかし、イラクに民兵が運用するイラン製戦車が存在するという噂は、今まで未確認であった。 
これらの噂は、イラン西側の国境付近を走る、無限軌道付きの車輌を搭載したトランスポーターが目撃されるたびに、世界中を早々と駆け巡った。
現在、イラクのISとの戦いに加わり、ティクリートの町から戦闘員を追放するために忙しく動くイラン製戦車についての写真による証拠が最終的に明らかにされた。


上の画像のイラン製T-72Sを見ると、155個のコンタークト1爆発反応装甲(ERA)の取り付けを可能にする留め具の存在によって、イラクのT-72 'ウラル'及びT-72M1と明確に区別できるが、この例では驚いたことにERAが皆無である。
また、この車輌(T-72S)には、発煙弾発射機がT-72M1で見られるような砲塔前部には無く、その代わりに同側面に装備されている。

このT-72Sは、最近のイラク-ロシア間で結ばれた、詳細が明らかにされていない武器取引の一部であった可能性があると論じることができたが、戦車に塗装されたイランの迷彩パターンはこの戦車の真の起源について疑う余地はないことを示している。
比較のために、パレード中のイラン製T-72S(ERA装着型)の画像を下に掲載した。
 
ティクリートの近くで撮影されたT-72Sが、イラン人によって乗り込まれたカタイブ・ヒズボラの兵器の一部であるのか、それとも実際はイラク軍で運用されているのかどうかは、現時点で不明である。
カタイブ・ヒズボラは、イラク軍によって置き去りにされた、たった1両のM1エイブラムスを運用していることが知られており、つまり、ティクリートのような町で近接戦闘を戦い抜くために不可欠な重火力の支援が不足している。
イランが、イラン軍か革命防衛隊のストックから出された、一定限度の量のT-72を供給していることは、この観点から見れば完全に筋が通っている。
内戦の最終経過でどんな影響があっても、中東やその他の地域における紛争へのイランの影響が過小評価されないことは確かである。

現在、イランはイラクから、シリア、イエメン、さらにはリビアに至るまで、多数の中東諸国に対して軍需産業を利用して影響を与えているが、その勢力圏を拡大する意図は今までより明確になっており、今後の中東政策を立案する際には、イランが過小評価されることはないと確信している。

 ※ この翻訳元の記事は、2015年3月13日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

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2017年4月10日月曜日

また一つの敗北: 主要な兵器集積所がイスラミック・ステートの手に落ちた


著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

シリア内戦における最大規模の武器の捕獲となったデリゾールのアイヤッシュ兵器庫を攻略してわずか1年あまりで、イスラミック・ステート(IS)は再びデリゾールの補給基地から捕獲された大量の弾薬を入手した。
今回の捕獲は、前述のアイヤッシュ兵器庫や第121連隊基地、第93旅団基地、マヒーン武器庫の攻略といった、膨大な量の武器や弾薬の所有者の交換という主要な事例のリストに加えられた。
マヒーンのほかは全てISの手に落ちた(注:マヒーンは政府軍に奪還された)。
これらのデポはそれぞれ、攻略者にかつての所有者に対して直ちに使用できる多様な兵器、車両と弾薬を提供し、シリアを制圧するべく戦う他の勢力に大打撃を与えた。

ISによって公開されたデリゾールに対する攻撃での戦闘員を映すプロパガンダ・ビデオが、今回のデポを攻略したことを公表する唯一の映像であった。
ビデオ「علىأبوابالملاحم - 叙事詩の扉(戦い)」では、2017年2月にISが成功した、政府側の支配地域を二つに分離することに奮闘する詳細な様子が映し出されている。
これは、空軍基地と第137旅団が現時点で完全に分離されていることを意味し、双方への供給をさらに複雑にすると共に空軍基地の脆弱性を大幅に増加させている。
脅威が増大するにもかかわらず、ISがどちらの基地も攻略することはありそうもないであろう。
最大300万発にわたる小火器の弾薬を含めた相当の数の弾薬を捕獲することで、ISは生存のための戦いを確実に延長できるようになるであろう。

下に捕獲した兵器や弾薬等の一覧があるが、これは捕獲された弾薬の推定量であり、実際の数はより多いと考えられている。
このうち、少なくとも652箱の内容は特定できなかった。
また、 小火器は少量の捕獲であったことから下の数には含まれていない。

弾薬:

- 3,320,600発の7.62x39, 7.62x54R, 12.7mm及び14.5mm弾

- 2,310発の85mm砲弾

- 693発の100mm砲弾

- 13発の125mm砲弾

- 120発の120mm砲弾

- 68発の122mmロケット弾

- 15個のTM-62対戦車地雷

車輌:

- 1両のT-72M1(TURMS-T)

- 3両のT-72M1

- 1両のAMB-S

- 1両のタトラ148

- 1両のUAZ-469

- 5台の自動車

小火器用弾薬ケースのそれぞれの正確な中身を査定することは不可能であるが、その総量は7.62x39mm弾の約332万発分か、それよりわずかに少量の12.7mm弾や14.5mm弾といった、より大きな口径の弾薬のものに相当すると思われる。
弾種には関係なく、まさにとてつもない量の小火器用弾薬が実際に捕獲された。








莫大な量の85mmUBR-365P 徹甲弾も武器庫で発見された。
確かに印象的な光景ではあるが、これらの弾薬はISにとって完全に役に立たない。
D-44 85mm対戦車砲は現在のところ、シリア軍が保有する兵器の中でこの砲弾を発射することができる唯一の砲であるが、今日の戦場ではごく少数だけが運用されている。
実際、D-44は非常に稀な存在であり、ISはこの対戦車砲を現時点でたった1門だけ保有しているとみられている。











別の2つの部屋には、少なくとも693発の100mm戦車砲弾が保管されていた。
ここでは、これらの砲弾を使用するT-55戦車が少ししか運用されていないことから、この量はデリゾールにおけるISの需要をはるかに上回っている。
したがって、これらの少なくとも一部はラッカに移送され、さらに他地域のISの部隊へ分配される可能性が極めて高い。




「2015年5月5日」と記載されたイランの弾薬箱の存在は、その日付がデリゾール包囲の直前にさかのぼる点で注目に値する。
これらの枠箱はシリア空軍のIl-76の1機に搭載された可能性が高く、同機は、これらの航空機が飛行場に着陸することがまだ可能であったときに頻繁にデリゾールを訪れていた。
この「訪問」は、ISが滑走路の南東側に極めて接近したために不可能となっており、これは耐爆型航空機用掩体に駐機中の2機のL-39が破壊されたことによって、痛々しいほど明らかになった事実である。 













弾薬の大部分は、トラックや車に迅速に積み込まれ、シリア各地に点在するISの部隊に配分された可能性が高い。
これらの備蓄を事前に標的とすることは、この事態が発生することを防ぐことができるであろうし、ストックを補充し続けるISの能力も制限することができる。
それにもかかわらず、そのようなオペレーションがシリア空軍またはロシア空軍のいずれかによって何度も繰り返し実施されたということはなく、この内戦では、空軍と政府軍側の兵士によるこのようなデポの迅速な退避や妨害の欠如と相まって、結果的に対立勢力にとって大きな恩恵をもたらすことがあった。












ISはまた、デリゾール市内の政府勢力に向けられた二つの空中投下物資を捕獲したが、そのうちの一つはISが到着する前に、すでに中身が空になっていたと思われる。
しかし、捕獲されたデポのうちの一つで、これらの枠箱からの弾薬と後で出会う可能性が非常に高い(注:既に運ばれた弾薬が、占領されたデポに貯蔵されている可能性が高いということ)。
以下の画像の二つのパレットを含むいくつかの空中投下物資は、今までに知られている限り、ISの支配地域に着陸した後は最終的に彼らの手に落ちた。

決して理想的な状態ではないが、空中投下は2015年5月にデリゾールが完全に包囲された後、その状況下で物資を都市とその住民に供給するための唯一の方法である。
国連とロシア空軍は共にデリゾールでの政府の支配地区に住む、飢えた人々への人道的援助物資の投下に積極的に参加しているが、シリア空軍のIl-76は主に都市で孤立して残り続ける政府軍に兵器、弾薬、そして燃料を供給することを目的として活動している。









大量の弾薬を捕獲することに加えて、今回のデポ攻略はISに4台のT-72M1をもたらし、彼らが現在デリゾール周辺で運用しているT-72部隊の規模を倍以上にした。
この鹵獲した兵器には、イタリアのTURMS-T(Tank Universal Reconfiguration Modular System T-series)射撃管制装置を装備した一台のT-72M1も含まれていた。
つまり、 これがISに捕獲された最初のT-72 TURMS-Tということになる。
興味深いことに、これらのT-72M1のうち2台は、TPN-1-49砲手用サイトの周りに保護カバーを備えている。
この改修は、シリアの疲弊したT-72部隊に残っている車輌に徐々に適用されている。






1台のチェコスロバキア製AMB-S多目的装甲車(注:BWP-1 AMB-S装甲救急車) も捕獲されており、これは、アイヤッシュ兵器庫の近くで捕獲された2台のBREM-2装甲回収車と同様にVBIED(Vehicle Borne IED/車両運搬式即席爆発装置)として使用される可能性が高い。

この記事はMENA_Conflictと共同して執筆されました(原文)。

 ※ この翻訳元の記事は、2017年3月27日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

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2017年3月29日水曜日

DIYに走るイスラミック・ステート: D-30 122mm榴弾砲が対空砲として使用された


著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

イラクのウィラヤット・ニーナワー(ニネヴェ県)におけるイスラミック・ステート(IS)のメディア部門によって最近(注:2016年初春ころ)公開された画像は、モスル上空でのSIGINT任務に使用された米軍の(E)P-3哨戒機(注:本件における同機がEP-3かは断定できない)に対して射撃する、(ウィラヤット・ニーナワー防空大隊に属する)アル・ファールク小隊のトラックに車載されたD-30 122mm榴弾砲を見せた。

この種の兵器の使用は、通常は地上の目標のみに対する従来の砲として使用されるものであることから、大いに注目に値すると共に、ISが保有する有志連合の圧倒的な航空戦力に対抗する手段の深刻な欠如を強調している。

ISの支配下にある最大の都市モスル及びその周辺で撮影された画像には、ソビエト伝来のD-30 122mm榴弾砲を搭載するように改修されたアメリカ製ナビスター・インターナショナル7000シリーズとM35トラックが映し出されている。
M35ベースのものは、対爆掩蔽壕(バンカー)に格納されているように見えるが、標的の候補が現れたときにだけ外へ動かされる。
さらに、トラックにはスタビライザ-と砲身をより低い位置に固定することができるトラベリングロックが装備されている(注:前者が射撃時の反動対策で、後者が移動時に砲身の先端が橋やトンネルに接触することを避けるためのもの)。
他の画像ではアル・ファールク大隊が保有するZPU-2 14.5mm 、ZU-23-2 23mm,、65式 37mmとAZP S-60 57mm機関砲を含む、より従来型の対空装備が見られ、これらの全てが様々な種類のトラックに搭載されていた。   




また、画像にはトラックに搭載された榴弾砲によって発射されたものの、狙った目標:米軍の(E)P-3オライオンを外した2発の砲弾が写されている(注:下の2枚)。
これらの飛行機は、モスル上空において情報収集と電子戦に使用されており、イラク領土におけるISの連携した作戦能力に深刻な妨害を与えている。
低速で飛行する(E)P-3はしばしば都市の上空で円を描いて飛行しており、ISの目障りであることには違いない。
通常、彼らはF-15のような高速で飛行する航空機を見ているが、当然ながら榴弾砲でそれらを撃墜することはできない。
しかし、(E)P-3は遅く飛ぶことから、空を見ると極端に遅く見えるため、彼らはこのように撃墜する機会があると考えることができるのである。
強力な火砲は、これらの航空機が運用される高度に到達する能力がある事実にもかかわらず、それらの榴弾が各種類の対空用信管を欠いているという事実は、彼らはその不利を無効にするために目標への直撃を得なければならないことを意味するが、達成することはほぼ不可能な「偉業」である。



したがって、この試みは時間と弾薬の無駄であるように見えるかもしれないが、ISがそのような戦術を最初に用いたのではない。
実際、ムジャヒディン(聖戦士)は、ソ連のアフガニスタン侵攻中にソ連のヘリコプターに対して迫撃砲とRPGを使用したことが知られており、イラン・イラク戦争中にイランの砲兵が低空飛行するイラクのヘリコプターを標的としていたことも同様にに知られている。
もちろん、これらの事例のいずれもが航空機の損害または軽微な損害さえも報告されていない。
なぜなら、大概はそのような兵器(時限信管の欠如)の使用は、標的の完全な破壊か完全な失敗のいずれかの結果しかもたらさないからである。



戦闘地域の上空で運用される空軍によって、彼らの兵器の大部分がすぐに標的にされているという事実を考慮すると、依然としてISは間違いなく、現在のシリアとイラクで戦う最も独創的な武装勢力である。
ISは低速飛行する敵機を撃墜しようと必死に試みたが、それはコストを問わないで戦いを続けるために戦力資産を捧げる彼らの意欲をもう一度証明するものである。

今後の記事では、これまでにひどく過小報告されてきた、ISが戦闘能力を向上させるために実施したDIYプロジェクトについて明らかにしていくだろう(注:こちらでは不定期で過去のものを編訳する予定です)。

 ※ この翻訳元の記事は、2016年3月3日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

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2017年3月20日月曜日

希少な車両: キューバのダビドIMV(歩兵機動車)がアンゴラへ輸出された









著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

キューバはかつての指導者フィデル・カストロや共産主義と葉巻でよく知られており、後者の2つを世界中の国々へ輸出している。
その一方、武器輸出国としての役割については、一段とわかりにくいいままである。
近年、キューバは広範囲にわたる武器関連の装備の製造とAFVを改修するための巨大産業の設立を始めたが、この産業は今までのところ、ほとんどが自身の「革命軍(Fuerzas Armadas Revolucionarias:FAR)」のニーズに応じているものである。
その中で、アンゴラ共和国軍で運用されているキューバの「ダビド」歩兵機動車(IMV)の存在が大いに注目される。

アンゴラ軍で運用中のダビドIMVはSADC(南部アフリカ開発共同体)の多国間演習「ヴァーレ・ド・ケェーヴェ2014」で最初に目撃され、ナミビア軍のキャスパーMRAP(Mine-Resistant Ambush Protected:耐地雷・伏撃防護車両)とともに模擬演習を実施した。
ダビドは数年前にキューバで目撃され、1961年のピッグス湾事件の失敗を記念したプラヤ・ヒロン侵攻撃退勝利50周年パレード(注:2011年)に参加した(下の画像)。

アンゴラとキューバ間の強力な関係は、かつてのポルトガルによる植民地支配に対する解放闘争の間に確立され、アンゴラとその軍隊に重大な影響を及ぼしたが、過去数十年にわたるアンゴラに対する軍用装備の引渡しが具体化されていたことは知られていなかった。
最近のアンゴラとキューバ当局者間の会合で両国の関係があらためて確認され、両国防相らが軍事分野における協力を継続し、更に強化する意欲を表明した。







ときに「イグアナ」と呼ばれるダビドIMVの存在は、キューバ自身が、保有する旧式のソ連製兵器を同数の新たに外国から入手した兵器で置き換えることができないという、直接的な結果を示している 。
FARは、(装備の)予備部品の供給量の減少と装備の老朽化の拡大に対する独自の解決策を見つけることを余儀なくされ、この状況は、90年代から00年代初頭にかけてますます明らかになった。
この解決策は、限られた予算と、何よりもキューバの工場の技術的能力の範囲内で実施されなければならなかった。

既に、キューバは数種類の車輌の製造と改修に関して、搭載武装の追加や交換、戦場における防護力強化を目的とした増加装甲の取り付けによって僅かながら経験を有していた。
これらの車輌の少なくとも一部は、後にアンゴラで使用され、 キューバはそこでUNITA (アンゴラ全面独立民族同盟)やFNLA (アンゴラ民族解放戦線)、FLEC (カビンダ解放戦線) 、そして南アフリカ国防軍(SADF)と敵対するMPLAを支援するために戦っていた。

キューバ陸軍(Ejército)と空軍(Fuerza Aérea Revolucionaria)から成る大規模な派遣部隊は、アンゴラ軍の顧問として働くだけでなく、SADFとの直接戦闘に関与するために、1970年代と1980年代にアンゴラへ展開させられた。
キューバ軍がSADFを打ち破って、南アフリカのアンゴラ内戦からの撤退と南西アフリア独立の承認(1990年にナミビアとなる)を引き起こしたと信じられているが、 キューバ軍もSADFの手によって一連の敗北を被った。
しかし、最終的にキューバはSADFに介入規模の大幅な拡大なしにはこの紛争に勝てなかったと確信させ、結果として、キューバは軍事的ではなくアンゴラでのプレゼンスを通じた政治的勝利を得た。







帰国したキューバの派遣部隊はアパルトヘイトの南アフリカを打ち破った勝者として歓迎されたが、キューバは間もなく国内で大きな問題に直面した。
キューバは貿易の大部分をソ連に依存していたため、ソ連の崩壊が同国の経済に壊滅的な影響を与えたのであった。
キューバ軍も同様に大打撃を受け、すぐにスペアパーツと燃料の不足に直面した。
その結果として、大量のAFVや航空機が保管状態に置かれ、海軍の大型艦艇と潜水艦が退役させられた。

より安定した経済状況に考慮して、近年になってキューバ軍の戦闘能力の向上を図るための新しい役目に改修するため、大量の車輌と装備が保管状態から出された。
その改修は、時には戦時においてほとんど価値のないような疑わしいものになるだけではなく、ダビドIMVといった、より印象的なプロジェクトに至ることもあった。

これらの改修の優れた例としては、T-55戦車の車体に地対空ミサイル(SAM)発射機を搭載した車両があり、これによって静的なSAMサイトの機動性を高めることができた。
他の改修プロジェクトにはBMP-1やT-55、 さらにT-34/85の車体に対戦車砲、対空砲、榴弾砲、野砲を搭載したものを含まれている。
こうした既知の改修車両については、全てのリストをここで見ることができる。










ダビドはよくMRAPと言われるが、より適切な名称は「歩兵機動車(IMV)」である。
同車は、さまざまな種類の軍用車両から流用した部品の興味深い組み合わせを示している。 シャーシはソ連のGAZ-66トラックであり、それに装甲化されたボディが搭載された車両である。
同車の装甲値は不明であるが、全周防御は小火器の銃撃と爆発の破片に対しては充分なように思われる。

ダビドの搭載武装はBTR-60またはBRDM-2から取り外された単装の7.62mm PKT軽機関銃であり、この別車両の主武装という異なる役割で機能するように改修され、その過程で銃塔は失われた。
これらの車両はダビドが装備する兵員ハッチの出所であり、最大4基の兵員用ハッチが上部に存在している(注:ダビドの兵員用ハッチはBRDMやBTR-60のものと同じ)。
ダビドには2種類の型が存在していることが知られており、一つはそのような兵員用ハッチを装備しないタイプ(注:上部ハッチが前部座席直上に1基のみ)で、もう一つはアンゴラで運用されている派生型のような4基のハッチを装備したタイプである。
車両の両側面には、銃眼付きの視察窓が各3つずつ設けられている。

世界中の国々でより多くのキューバ製兵器が現れる見込みについては可能性が非常に低いものの、アフリカでこのような「外来」の車両が目撃されたことは国際武器市場の複雑さを再度示しており、軍備が拡散する方法を把握するための正確な分析を必要とする。
この独特な車両は、キューバ軍が保有する極めて多様な戦闘車両の一部であって、その多くは北朝鮮を含む型にはまらない出所に由来しており、この複雑な事実に関する優れた実例となっている。

 ※ この翻訳元の記事は、2017年3月18日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

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