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2023年9月6日水曜日

アドリア海からの武器:クロアチアによるウクライナへの軍事支援(一覧)


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ
  1. 以下に列挙した一覧は、2022年からのロシアによるウクライナ侵攻の最中にクロアチアがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備等の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されており、末尾には供与された月などが記載されています)。
  3. 機密性の関係上、一部の寄贈された武器などについて表示している数量は、あくまでも最低限の数となっています。
  4. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  5. 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。

ヘリコプター (14)

多連装ロケット砲

牽引砲 (40+)

携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)
  • 最大で6コンテナ分の 「9K32 "ストレラ-2"」及び「9K310"イグラ-1"」 [2022年2月 または 月から供与]

対戦車兵器

  • ''対戦車ロケット砲'' [2022年]

小火器

弾薬

2023年6月10日土曜日

未だ完全に至らず:アフガニスタン・イスラム首長国空軍


著:ステイン・ミッツアールーカス・ミュラーヨースト・オリーマンズ

 アフガニスタン・イスラム首長国空軍(IEAF)は、正常に機能する空軍として存続しているだけでなく、損傷を受けた機体や既に退役した航空機のオーバーホールを行って運用可能な機数を継続的に拡大させ、敵味方双方を驚かせています。

 有志連合国軍が支援した旧アフガン空軍の規模に比べると僅かな規模しかないものの、IEAFの現有戦力は攻撃ヘリ約10機と輸送ヘリ約20機、そして輸送機が約6機です。

 タリバンは「UH-60A+"ブラックホーク"」ヘリコプターを数か月以上は運用できないだろうと多くの人から予想されていましたが、最近でも最低6機の「ブラックホーク」が運用され続けているのが実態です。

 固定翼機の輸送部隊を再建しようとする試みにおいて、IEAFは(旧アフガン空軍が西側製の機体に更新した後に退役させた)多数の旧ソ連製の機体に依存しています。

 現時点における輸送機部隊では3機の「An-32B」と1機の「An-26」が運用されており、将来的には他の機体も加わる見込みです。これらのアントノフ機は、旧アフガン空軍から受け継いだ少なくとも4機の「(A)C-208」と一緒に運用されています。また、IEAFは受け継いだ4機の(損傷が軽微な)「C-130H」の運用再開を試み、そのうちの1機は2022年6月にエンジンを始動させることに成功しました。[1]

 しかし、さらなる進展は資格を持ったパイロットの不足によって阻まれているように見えます。この問題はIEAFの「C-130H」だけに限ったことではありません。事実、タリバン軍はマザーリシャリーフ空軍基地で2機の「A-29」軽攻撃機を無傷で鹵獲したにもかかわらず、同機の操縦資格を持つパイロットは全員が国外に逃亡したか、あるいは潜伏状態にあるように思われるからです。

 国内に残留してIEAFに加わった旧空軍の人員らと合流することに願いをかけたタリバンは、彼らに(脱出に用いた乗機と一緒に)帰国するよう何度も懇願してきました。[2]

 そうしている間に、IEAFは修復した4機の「Mi-35」と少なくとも10機の「MD530F」攻撃ヘリコプターを現役に戻し、空軍内の攻撃部隊を形成させることに成功しています。また、異なる種類の航空機も運用自体は可能であっても、資格を持ったパイロットの不足で飛行していない場合があるかもしれません。
 
 以上のことから、将来的なIEAFの編成は彼らが修復して運用を維持できる航空機の数だけでなく、これらの機体を飛ばすために採用あるいは訓練できたパイロットの数にも左右されることになるでしょう。

 現在のIEAFは、練習機も「A-29」や「C-130」のような新しい機体にパイロットを転換させるための専門的な能力も持ち合わせていません。それでも、彼らが将来的に(例えば海外から教官を採用するなどして)課題の克服を試みることは考えられないわけではないでしょう。その試みの最終的な結果がどうなるにせよ、「アリアナ・アフガン航空」がエアバス「A330-200」長距離旅客機・貨物機の購入さえ模索していることもあることから、今のアフガニスタンにおける軍用・民間航空はまだ完成には程遠いレベルにあると言えます。[3]

一列に並べられている「UH-60A+ "ブラックホーク"」:これらはアメリカ軍がアフガニスタンを離れる直前に破壊工作を受けた

 アメリカ軍はカブールで極めて多くの航空機のアビオニクスに損傷を与えた一方で、空港の設備や整備施設はほとんど無傷でタリバン軍の手に落ちてしまいました。

 現在、IEAFはカブールとマザーリシャリーフとカンダハルを主要作戦基地(MOB)として活用しており、山がちな国土の各地にある小さな空港への前方展開が頻繁に行われています。IEAFはフライトの合間に整備する必要がほとんどない頑丈な輸送機とヘリコプターを軸に運用しているため、整備されていない滑走路でも容易に運用することができるというわけです。

 仮にIEAFが「C-130」と「A-29」の運用を再開できた場合、その運用に必要なインフラもそのまま残されていることも注目する必要があるでしょう。

バグラム空軍基地に残されたアメリカの「HEMTT A4」航空機用タンクローリー

  1. 以下に列挙した一覧は、アフガニスタン・イスラム首長国空軍(IEAF)が運用する作戦機を包括的に網羅することを目的としています。
  2. この一覧には、運用されていることが視覚的証拠に基づいて確認された航空機・ヘリコプターのみが掲載されています。
  3. したがって、現在修理中や将来の修理に備えて保管されている機体と、資格のあるパイロットが不在のために駐機状態を余儀なくされている「A-29」のような航空機は、運用されているという証拠が出るまでこの一覧には掲載されません。
  4. この一覧は、運用機の追加や損失が判明した場合に随時更新される予定です。
  5. 各機体の後に続く番号をクリックすると、IEAFで運用されている当該機体の画像が表示されます

アフガニスタン・イスラム首長国空軍で運用されている機体一覧(2023年8月現在)

輸送機 (10)

攻撃ヘリコプター (16)

輸送・汎用ヘリコプター (25)

無人航空機 (UAV)
  •  ? ボーイング・インシツ「スキャンイーグル2」: (~)
  •  ? 民生用VTOL型UAV(偵察用)
  •  ? 民生用VTOL型UAV(迫撃砲弾で武装したもの)

  のです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所が

2022年10月15日土曜日

"ペイシャント・ゼロ" :トルクメニスタンが救急搬送用にカザン「アンサット」と「Mi-17-1V」ヘリコプターを導入した



著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 今のトルクメニスタンは、同国の歴史上で最大の航空機購入ラッシュの中にあります。

 これまでにトルクメニスタン空軍には「M-346」軽戦闘機と「A-29B」攻撃機、「C-27J NG」輸送機、そして「バイラクタルTB2」UCAVを、トルクメニスタン航空には「ボーイング777-200LR」旅客機4機とエアバス「A330-2002P2F」貨物機2機を導入しています。[1] [2]
 

 また、全国各地で救急医療サービスを提供するために、「 Mi-17-1V」とカザン「アンサット」も1機ずつ導入されました。[3]

 これらのヘリコプターは2021年4月と5月に納入されてトルクメニスタン航空で就航しましたが、運用自体は保健・医療工業省のために行われます。[4]

 航空救急の利用は、中央アジアでは比較的斬新な偉業です。カザフスタンだけが医療専用のヘリコプターを多数運用しており、キルギスやタジキスタンといった国々はすでに小規模な空軍の維持ことですら苦労しているため、そのようなヘリコプター部隊を運用すること自体がほぼ不可能なことは言うまでもないでしょう。

 ユーロコプター製「EC135」と「EC145」(現エアバス・ヘリコプターズの「H135」と「H145」)は、特に救急医療サービス用のヘリコプターとして特に人気があることが実証されています。トルクメニスタンはすでに多数の「EC145」を運用しているのに、それでもロシア製ヘリを調達することが決定されたのです。[5]

 「アンサット」と「 Mi-17-1V」ヘリコプターを供給する契約については、2020年3月にカザン・ヘリコプターとトルクメニスタン航空の間で締結されました。[3]

 両ヘリコプターは、人工呼吸器、心電図解析装置、気管挿管セット、除細動器を含む特殊な医療機器を装備しています。[6]

 「Mi-17-1V」には、航続距離を延長するための2個の機外燃料タンクや「SLG-300」ホイストシステム、そして最大4トンまでの貨物を吊り下げて輸送するためのスリング装置を追加装備されています。[4]

 2020年11月には、トルクメニスタンの(技術者や操縦要員を含む)航空専門家30人が、発注したヘリコプターを生産しているロシア・タタールスタン共和国のカザン・ヘリコプター製造工場で訓練を開始しました。[6]

「Mi-17-1V(左)」とカザン「アンサット(右)」。Mi-17の機外燃料タンクに注目。

 両ヘリコプターはアシガバート国際空港(IAP)を拠点にしている可能性が高いと思われます。トルクメニスタンの推定人口約600万人の約6分の1(つまり100万人)が首都:アシガバートに住んでおり、国内で最も現代的な病院もここにあることを考慮すれば、そこを拠点にするのは不思議なことではないでしょう。一部を除いて全ての現代的な病院には、「アンサット」と「Mi-17」を運用可能にするヘリポートを備えられています。 

 首都以外の大規模な人口集中地域としては、ダショグズ、テュルクメナバート、マリーがあります。これらの都市やほかの地域をよりうまくカバーするため、将来的にさらに多くのヘリコプターを導入することについては非現実的な話ではないように思えます。


グルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領に医療目的用のカザン「アンサット」導入構想がプレゼンされている様子(2020年1月)

 世界中のどこでも見かける「Mi-17」と比べると、カザンの「アンサット」はまだ大きな商業的成功を収めていません。 

 1990年代以降に、ロシアは「Mi-38」、「Ka-62」、「アンサット」といった数種類の最新型多目的ヘリを開発・売り込んできたにもかかわらず、優れた「Mi-17」は依然として輸出に人気があります。この原設計が古いヘリコプターは現在も新モデルがリリースされていることから、この状況がすぐに変わらないことは確実のようです。[7]

 これまでに「アンサット」は、ロシアの複数の顧客、メキシコの「クラフト・アヴィア・センター」社、スルプスカ共和国内務省、そして現在ではトルクメニスタン航空でも就航しています。[8] [9]

[1] The new passenger airliner "Boeing 777-200LR" has arrived in Turkmenistan https://caa.gov.tm/en/item/232
[3] Acquisition of ANSAT and Mi-17-1V medical helicopters https://caa.gov.tm/en/item/213
[4] Special helicopter purchased in Russia arrives in Turkmenistan https://turkmenportal.com/en/blog/35764/special-helicopter-purchased-in-russia-arrives-in-turkmenistan 
[8] Mexico's Craft to put Ansat into action https://www.businessairnews.com/mag_story.html?ident=18931  
 
 たものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇
 所があります。
 

 
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2021年9月28日火曜日

カブールからのポストカード: タリバンが鹵獲機を公開した



著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 最近リリースされたビデオからの映像は、タリバンに占領された時点でカブール国際空港に残されていた旧アフガニスタン空軍の航空機やヘリコプターに関する追加的な細かい情報を映し出しています。

 タリバンによる旧アフガン空軍のアセットの再使用を防ぐために米軍が航空機に損傷を与えたことに加えて、この映像ではMi-24V攻撃ヘリ3機がタリバンに無傷で鹵獲されたことも明らかにしています。また、C-208/AC-208多目的(攻撃)機やC-130輸送機といったほかの航空機は、当初に考えられていたよりも被害が少なかったようです。

 現在、タリバン空軍ことアフガニスタン・イスラム首長国空軍の飛行可能な保有機は、MD530F攻撃ヘリコプター×8機、Mi-8/17×約10機、UH-60「ブラックホーク」輸送ヘリコプター×4機で構成されています。より多くのMi-8/17と多数のUH-60が稼働状態にされる可能性がありますが、能力を持った技術者なしでは、全ての「ブラックホーク」の運用寿命は限られたものになる可能性があるでしょう。

 それにもかかわらず、カブールで少なくとも12機のUH-60と14機のMi-8/17が鹵獲されたことは、タリバンに今後何年にもわたって安定したスペアパーツの供給源もたらす可能性があることを意味するでしょう。

カブール空港で遭遇した、最低でも3機ある旧アフガニスタン空軍のC-130のうちの1機。

この機体はカブール陥落以前の時点ですでに稼働していませんでした。3番エンジンのプロペラがフェザリング状態であることに注目。

カブールに残存していたほかの旧アフガニスタン空軍機とは異なって、このC-130はアビオニクスが破壊されていませんでした。

2機目のC-130。この機体の運用状況は不明のままです。

カブールで無傷で鹵獲されたMi-24V(Mi-35)攻撃ヘリの少なくとも3機のうちの1機。米軍の手によっていかなる損傷も受けていないようなので、これらの機体は将来のアフガニスタン・イスラム首長国空軍の中核を形成するでしょう。

これらのヘリコプターは、もともと2019年10月にインドがアフガニスタンに贈ったものです。インドは自国のヘリコプターを引き渡すのではなく、ベラルーシにMi-24Vのオーバーホールと納入を委託しました。

C-208/AC-208の多目的・攻撃機が5機並んでいます。手前のAC-208はレーザー誘導のAPKWS精密誘導弾(PGM)を搭載するロケット弾ポッドを装備しています。

このC-208はエンジンが取り外されており、機体が後方へ転倒することを防ぐため、エンジンの代わりとして機首に3つのタイヤが積まれています。

C-208多目的機が5機並んでいます。真ん中の機体はエンジンが搭載されていないため、若干後ろに傾いています。

カブール空港の軍用地側にあるヘリコプター用格納庫の一角。

この格納庫には主にMD530Fと少なくとも2機のUH-60が格納されていましたが、どれもが窓や計器盤に大きな損傷を受けていました。

このMD530Fはエキゾーストパイプでさえも損傷が加えられていました。

格納庫にあるUH-60のうちの1機はコックピットに損傷を受けました。

MD530Fの1機はテールブームが折られています。この損傷が米軍によるものなのか、あるいはそれ以前の事故によるものなのかは不明です。

別の格納庫はロシア製のMi-17ヘリコプターの整備やオーバーホールに使用されていました。これらは全てがアメリカ製のUH-60に置き換えられるはずでしたが、ロシア機よりも整備がはるかに困難であることが判明しました。

この格納庫にあるMi-17の大部分も、米軍によっても損傷を受けたようです。

ほとんどのMi-17はタイヤがパンクしており、米軍が意図的に破損させる以前にはすでに稼働状態になかったと思われます。

タイヤがパンクしておらず、窓に埃が付着していない状態の数少ないMi-17のうちの1機。この状態は、鹵獲される直前にはまだ稼働状態にあったことを示している可能性があります。

地面には犬用のキャリーケースや食べ物、フンが散乱しており、この格納庫にいるほかの住人を思い出させます。カブール空港には約120匹の犬が置き去りにされました。

このUH-60は、おそらく記念品として持ち帰りたいと考えた、うんざりした米軍によってサイドドアからラウンデルが切り取られたのかもしれません。

カブールで鹵獲された12機のUH-60のうちの1機の内部写真は、彼らが受けた損傷の状況を示しています。

この格納庫のMD530Fも、確かに「アメリカの攻撃」からは免れることはできませんでした。

MD530F飛行隊のオペレーションボードは、同部隊が少なくとも21機のヘリコプターを保有していたことを明らかにしています。

   のです。


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