2025年9月16日火曜日

【復刻記事】ロシア軍のシリア展開が確認:「R-166-0.5」通信車が目撃された


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 この記事は、2015年9月16日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。

 ここ数日、ロシア軍がダイレクトにシリアへ軍事介入しているという事実を暴く証拠が急増しています。

最近納入されたロシア製UAVとロシアの「BTR-82A」歩兵戦闘車(IFV)が目撃されたことに加え、ロシア軍関係者と思われる人物がラタキア県でのアサド政権側の攻勢に参加したことを示す音声が、(これまで多くの人が考えていたレベルよりも)ロシアがシリア内戦に深く関与していることを証明したのです。

 シリアへ向かう多数のロシア軍揚陸艦が頻繁にボスポラス海峡を通過していることや、ロシア空軍の「An-124」戦略輸送機がラタキアに向けて少なくとも15回も飛行したことは、ロシアがアサド政権の支援でどの程度関与しているのかを物語っています。これらの艦艇や輸送機は、大量の車両や装備、兵員をシリアに送り込んできました。ロシア軍部隊を収容するため、フメイミム/バッシャール・アル・アサド国際空港はロシア軍基地となり、現時点で地上・航空戦力の展開を可能にするため改築中です。

 新たに公開されたロシアの「R-166-0.5」統合指揮通信車(HF/VHF通信車)がシリアの沿岸地方を走行する様子を撮影した画像によって、今やこの国におけるロシアの意図を疑う余地はほとんど消え失せてしまいました。

 「R-166-0.5」は長距離にわたって妨害に強い音声とデータ通信を提供する能力があり、ロシア軍がはるか内陸部で行動しながら、(沿岸部の一大拠点である)タルトゥースやラタキアにある自身の基地と通信することを可能にします。

 この車両がシリア兵に護衛されている様子が見えますが、彼らはおそらく国民防衛隊(NDF)の所属でしょう。ただし、これより注目すべきなのは、車両のハッチの近くに座っている兵士です。一見すると撮影されていることに気づいていないように見える彼は、ロシア軍で一般的なデジタルフローラ迷彩の戦闘服を着ていす。これは、私たちが本当に(シリア軍やPMCではなく)ロシア軍人を分析の対象に含めたことを改めて証明していると言えるエビデンスです。

 「R-166-0.5」の後部にある車両番号がダークオリーブ色の塗料で塗りつぶされたため、この車両が所属する旅団を特定することが不可能となっています。車両番号やその他の識別マークを隠すことはウクライナ紛争で一般的な慣行となりました。

後部右側の番号が塗りつぶされている:前方には護衛の車両が見える

 非公式なロシア陸軍の編制装備定数表(TOE)によると、旅団の通信大隊には合計8台の「R-166-0.5」が装備されているとのことです。したがって、「R-166-0.5」が目撃されたということは、最近になって旅団本部か少なくとも1個強化大隊(いわゆる大隊戦術群/BTG)が最近になってシリアに到着したことを意味しています。

 参考として、「R-166-0.5」の仕様の一部をロシア陸軍のファクトシートから抜粋しました(下の画像にある車両はロシア軍で運用されている個体です)。


通信距離
  • HF/短波, 静止時 (アンテナ展開時) – 1000 km
  • HF/短波, 移動時 – 250 km
  • UHF/超短波 , 静止時– 70 km
  • UHF/超短波, 移動時 – 25 km

周波数の帯域
  • HF – 1.5-29.99999 MHz
  • UHF – 30-107.975 MHz
ロシア軍の「R-166-0.5」(参考)

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