2022年9月13日火曜日

拡大が止まらない対地攻撃能力:アゼルバイジャンが保有する地対地・空対地戦力(一覧)


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 2021年秋、アゼルバイジャンを経由してアルメニアに入国しようとするイラン人トラック運転手に課される道路税、アゼルバイジャンとイスラエルの関係やアゼルバイジャンの飛び地であるナフチバンと本国を結ぶ回廊の計画などをめぐり、テヘランとバクーの間で緊張が高まりました。回廊の計画が実現した場合、テヘランはアルメニアとのつながりを完全に失って輸出に支障をきたす可能性が想定されます。

 現時点におけるアゼルバイジャンとイランの緊張関係について、今までは舌戦と国境沿いでの軍事演習にとどまっていますが、いつの日か両国間の緊張が全面的な地域紛争にエスカレートする可能性があることを危惧する意見もあるようです。

 同年の10月上旬には、テヘランがアゼルバイジャンと接する北部の国境沿いで数々の軍事演習を開始しました。これらの演習については、おそらくバクーに強いメッセージを送ることを目的として実施されたと思われますが、1960年代の「チーフテン」戦車、「BMP-1」、「M577」移動指揮車や「M109」自走砲を「ZSU-23」自走対空砲がカバーしていた状況は、(旧式すぎて)海外のウォッチャーなどを感心させることは全くありませんでした(注:最終的にイランとの軍事衝突は起こらず、2022年9月12日にはアゼルバイジャン軍が再びアルメニア軍を攻撃する事態となっています)。

 しかし、その後の映像では短距離弾道ミサイル(SRBM)の展開も明らかにしているため、前述の見応えの無い兵器群による演習は、近年に(革命防衛隊を含む)イランの軍隊で就役した数多くの徘徊兵器や弾道ミサイルを正確に表していません。

 イランのミサイルや無人機などの豊富な兵器群は過去数年にわたって数多くの注目を集めてきましたが、アゼルバイジャンも誘導兵器の兵器庫を大量に維持し続けています。この兵器庫はイスラエル、トルコやベラルーシといった国々からの最新装備を組み合わせた、この地域で最も現代的で有能なものであることに加えて、最も急速成長しているものでもあります。

 近年、アゼルバイジャン自身も国産兵器の開発にも着手し始めており、これまでに数多くのミサイルや爆弾の開発に至らせています。

  1. このリストの目的はこれらの兵器をカタログ化する事にあります。
  2. 兵器の名前をクリックすると、アゼルバイジャンで運用中の当該兵器の画像を見ることができますが、現物が未確認のものは他国で運用中の画像などで代替しています。

対戦車ミサイル


徘徊兵器


牽引砲

自走砲


(無誘導式)多連装ロケット砲


(誘導式) 多連装ロケット砲


弾道ミサイル


巡航ミサイル
  • SOM-B1 [2021] [射程距離: 250+km] (「Su-25」用)


空対地兵装


電子戦システム
  • グローザ R-934UM2 [有効範囲: 最大で65km] (対「Su-25」用)
  • コラル (いくつかの情報で記録されているが、現物は未確認)

※ 当記事は2021年10月17日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したものです。