2023年1月1日日曜日

少なすぎるし、遅すぎる:ロシアのUCAV(一覧)


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo


 ロシアが無人戦闘航空機(UCAV)の開発・生産で顕著な遅れをとっていることは否定できません。そのため、同国はイスラエルのIAI社からライセンスを得て生産された「サーチャー」のコピーである「フォルポスト」UAVを武装化したり、クロンシュタット社の「オリオン」として知られる国産UCAVの開発などの後れを挽回するための試みを図っています。

  また、数種類のより高度なUCAVの開発も進行中であり、これにはスホーイ社の「オホートニク-B」、クロンシュタット社の「シリウス」と「グロム」プロジェクトが含まれています。

  ロシアが国際的な制裁の重圧に屈服しつつある今、これらのシステムの将来は特定の重要技術にアクセスできないために既に疑問視されていますが、今後は一層その傾向が強まるでしょう。

 このまま国産UCAVの開発が継続されるかにかかわらず、世界的なドローン革命の恩恵を受けると言う面でロシアが波に乗り遅れたことは間違いありません。さらに追い打ちをかけるように、ロシアは最近になってウクライナ侵攻における作戦上の需要を満たすため、「モハジェル-6」UCAVと「シャヘド-131/136」徘徊兵器の購入でイランに頼らざるを得ない状況に陥っているのです。
 
 おそらくは投入可能な数が限られていること、ウクライナの防空作戦による損耗と効果的な運用の失敗、そして単にロシア自身によるUCAVの運用経験が少ないことから、「フォルポスト-R」と「オリオン」が今次戦争に与える影響は現時点で無視できる程度しかありません。

(1機の「モハジェル-6」と)少なくとも1機の「オリオン」の損失が確認された時点のウクライナで、戦車3台、AFV3台、牽引砲2門、車両7台だけがロシアの「フォルポスト-R」と「オリオン」によって空爆を受けたことが視覚的に確認されています。[1] [2] 

 ロシアのUCAV開発・生産が遅すぎて今次戦争や国際的な無人機市場に大きな影響を与えることができなかったとしても、 ウクライナでの実戦投入で得た有意義な経験はロシアがより高額な有人機の代わりにより多くのUCAVを導入するように方向付けるかもしれません。
 
 これまで、ロシアは2000年代にソコル「トリビュート・バルク」ミグ「スカート」プロジェクトを通じてUCAVを導入しようと試みましたが、資金不足で失敗に終わりました。しかし 、ロシアは2010年代前半に大型UAVやUCAVの開発に高い意欲を持って復帰して、AWACS型UAV(クロンシュタット「ヘリオス-RLD ''オリオン2'' 」)や空母搭載空中給油ドローン(ミグ「艦載型多用途UAV」)が開発中と言われています。

 これらや他のUAVプロジェクトが成功裏に終了する可能性は極めて低く、世界の競合相手に比べた場合にほとんどの分野における進歩が期待外れのものとなっているのが実情です。

 クロンシュタット「シリウス」と「グロム」は各々が「バイラクタル・アクンジュ」「クズルエルマ」に似たミッションプロファイルを有しているものの、ハイテク産業基盤や使用に適した精密誘導爆弾(PGM)、そして主要なコンポーネントの製造または輸入する能力の欠如、低劣な飛行特性やペイロード、一般にこのようなUCAVの大量生産の経験不足は、 仮にこれらの製品が相当数生産されたとしても、ほぼ確実にライバルよりも劣った能力を持つであろうことを意味しています。

「KAB-20」PGMを搭載した「フォルポスト-R」

 将来的に登場が見込まれる各種のUCAVに同調するべく、新世代の兵装が機体の特性を最大限に活用できるように開発されています。

 ロシアは(モックアップを含む)UCAVを膨大な種類の誘導爆弾や空対地ミサイルともに展示していますが、その多くはまだ開発段階にあり、国産できない一部の重要部品が制裁対象となる可能性が高いため、実際の導入については不確かな状況に直面しています。

 2018年に「オリオン」が運用試験のためにシリアに送られた際に「OFAB-100-120」無誘導爆弾を搭載している姿さえ見られましたが、これはUCAVとしては呆れるほど非効率なミッションであることは確実と言えるでしょう。[1] 

 それにもかかわらず、ロシア最大のUCAVとロイヤルウィングマン(のモックアップ)でさえ「(O)FAB」系無誘導爆弾や「RBK-500U」クラスター爆弾と一緒に展示されていることから、こうした無誘導爆弾の搭載が実際に意図された能力であることを示しています。

 これはUCAV以外の現代的なロシアの作戦機とその運用を反映したものであり、低コストと膨大な数を容易に入手できるという事実のために、ロシアは他のどの国の空軍よりもはるかに多くの無誘導爆弾に依存し続けているのです。

 その後のロシアの無人機用兵装群については、(かなり現実離れなシナリオを想定した演習でヘリコプターUAVに対して使用されたことで悪名高い「Kh-BPLA」として知られる空中発射型「コルネット」対戦車ミサイルや「KAB-20」PGMを含む数種類の他のタイプの兵装で拡大されつつあるようです。[2] 

 「KAB-20」は無人機にとってより現実的な兵装の1つですが、これまでのところ、アメリカの「AGM-114 "ヘルファイア"」やトルコの「MAM-L」のような同世代の西側諸国の誘導兵器の精度を達成するまでには至っていないことが映像で示されています。

 ウクライナの戦場での一例を挙げると、「フォルポスト-R」によって投下された「KAB-20」が標的にしていた静止状態の「BMP-2」を僅かに外した結果、撃破ではなく一定の損傷を与えるだけにとどまったという事例がありました。[3] 

  1. この一覧の目的は、ロシアにおける現在及び将来の無人戦闘航空機(UCAV)とその兵装を包括的に網羅することにあります。
  2. 簡素化と不必要な混乱を避けるため、この一覧にはロシアの防衛産業に関連する無人機、または少なくとも何らかの形で実用化される可能性がある軍用レベルのUAVのみを掲載しています。
  3. 括弧内は当該機体が初飛行した年を示しています。
  4. この一覧には武装クワッドコプターとヘリコプター型UCAVは含まれていません。
  5. 名称をクリックすると当該UCAVや兵装の画像を見ることができます。

無人戦闘航空機 - 運用中


無人戦闘航空機 - 近年に初飛行した試作機


無人戦闘航空機 - 開発初期段階のもの

[1] Nascent Capabilities: Russian Armed Drones Over Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2022/04/nascent-capabilities-russian-armed.html
[2] List Of Aircraft Losses During The 2022 Russian Invasion Of Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2022/03/list-of-aircraft-losses-during-2022.html

※  当記事は、2022年10月13日に本国版「Oryx」ブログ(英語)に投稿された記事を翻訳
  したものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した
  箇所があります。


おすすめの記事

0 件のコメント:

コメントを投稿