2026年10月17日土曜日

【復刻記事】イスラム国の猛威:タブカ空軍基地が制圧された


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 この記事は、2014年8月24日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」とベリングキャットで公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。

 以前から困難に見舞われていたタブカ空軍基地が、本日ついにイスラム国(IS)戦闘員の手によって陥落しました。シリア北部で残っているアサド政権側拠点は1つだけであり、シリア北部におけるIS領土の一体性はこれまで以上に近づいています。

 今やタブカはISに占領された3番目の空軍基地であり、Kshesh(ジラー)と共にISが掌握中である2個目の空軍基地です。タブカの陥落はISに多数の対空砲とレーダーをもたらすことになるでしょう。数機の「MiG-21」が無傷で鹵獲されましたが、彼らががこの戦闘機を使用する可能性は低いと思われます。

 タブカに対する最初の3回の攻撃については、戦闘爆撃機や攻撃ヘリコプターの投入以外にも輸送機で基地に補給を続けたシリア・アラブ空軍(SyAAF)と敷設された地雷の相乗効果によって攻撃のペースが落ち、その後撃退されて終わったことは周知のとおりです。ただし、基地守備隊は増強されることなく少数のままでした。そして、新たに始まった第4次攻撃はタブカの主要な防衛線を突破し、シリア空軍はついに彼らを阻止することができなかったのです。

 タブカでの苦戦はISの大きな弱点を明らかにしました: つまり、敵機の撃墜や接近を拒否するための地対空ミサイル(SAM)の不足です。ただし、イラクには鹵獲できるようなSAMが無いものの、シリアには数多くあるので鹵獲できるチャンスは十分にありました(編訳者注:イラクの場合は2003年以降に使用できるものはなく、新規に導入されるものもなかった)。シリア北部には携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)は全く存在しませんが、デリゾールには「2K12 "ク-ブ"」自走式SAMシステムを装備したSAM陣地が2か所あります。「2K12」は運用方法を知らない戦闘員には複雑すぎて使用できないものの、このSAMを運用した経験のある元操作要員がISのために同システムを再び運用せざるを得ない状況に追いやられることは想像に難しくありません。

 ISのタブカ占領を阻止しようとするSyAAFの継続的な戦いは重要なものでした。しかし、この多大な犠牲を伴った作戦は最終的に無駄に終わったようです。貴重な燃料を消費しただけでなく、SyAAFの戦闘爆撃機や攻撃ヘリがISの陣地に対して使用した爆弾やロケット弾のトン数も膨大なものだったのです。


 クワイリス空軍基地が次に攻撃されると考えられていたため、タブカへの攻撃はほぼ予想外でした。タブカに攻撃の的が絞られた理由には、この基地の状況が関係しているかもしれません。

 戦略的に重要な位置にあるタブカ基地の陥落は、シリア国内のさらに奥深くまで活動拠点を拡大するための切り札をISに与えることになるからです。アサド政権が新たに始めたアレッポへの攻勢はISにとってより分かりやすい脅威にも思えますが、その一方で、ISとパルミラ近郊のタドムル空軍基地、そして「Su-24」戦闘爆撃機部隊が配備されているT4空軍基地との間に何も遮るものがなくなりました。

 タブカには依然として戦闘機が配備されているものの、クワイリスには飛行機の残骸が散乱する滑走路が残っているだけです。この基地の守備隊はすでに包囲されており、2012年12月からいつ始まるかもしれない攻撃に備えています。

 クワイリスにある戦闘機の大部分は、敵の攻勢阻止を行う能力自体が欠けているか、この数か月でISの砲撃によって損傷や破壊されました。しかし、タブカ基地には第12飛行隊と、「MiG-21bis」、「MiG-21MF」、「MiG-21UM」を運用する別の名称不明の飛行隊が配備しているという違いがあります。


 また、タブカ空軍基地には、「Mi-8/17」、「Mi-25」、「SA-342 "ガゼル"」ヘリコプター部隊も駐留していたことが知られています。これらのヘリ部隊は主に樽爆弾での攻撃や、包囲された第17師団や第121連隊、第93旅団、そしてクワイリス空軍基地への補給に投入されていました。

 最後に、タブカには8つの弾薬保管庫や合計24門の対空砲を装備した4つの対空陣地、5基のレーダーもあります。ちなみに、「PRV-13」2基と「P-14」1基、「P-35/37」1基、そして一番新しい「JY-27」対空レーダーは3回続いた攻撃以降は損傷を受けませんでした。おそらく、ISがそのまま無傷にしておきたかったのでしょう。これらの対空レーダーの任務はシリア北部における航空機の監視です。その能力が失われた場合、アサド政権は北からシリア領空に侵入する航空機を把握できなくなってしまうのは言うまでもありません。もちろん、その空白は埋めること不可能です。


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