2022年1月21日金曜日

勝利の記念碑:「バイラクタルTB2」の全戦果(一覧)


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ in collaboration with ヤクブ・ヤノフスキ, ダン, COIN

 「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機(UCAV)は、現代の紛争の戦い方に関する概念を変えました。少なくとも3つの紛争で十分に試行された今となっては、この流れを元に戻すことはできません。

 比較的軽量で安価な無人機が最新の地対空ミサイル(SAM)や電子戦(EW)システムを回避するだけでなく積極的に捜索して破壊できた一方で、その見返りとして僅かしか損失を被らなかったという事実は世界中で注目を集めています。

 TB2が実戦に投入された結果は現状を驚くほどに覆し、多くの国が防空へのアプローチの再考を余儀なくされました。

 一部のオブザーバーたちは、おそらく装備が不足していたアルメニア軍をこき下ろすことによってTB2の並外れた有効性を軽視しようと試みました。 しかし、過去のシリアとリビア、そしてナゴルノ・カラバフでの戦闘で、TB2は現代諸国が有する統合防空システム(IADS)の多くを相手にできる能力を示しており、「アフトバザ-M」「レペレント-1」、そして「グローザ-S」のようなEWシステムを併用していた状況でも「ブーク-M2」「トール-M2」「S-300PS」「パーンツィリ-S1」といったSAMとの戦闘に勝利しています。

 最も先進的な国の空軍でさえ敵の空域で任務を遂行することを完全に拒否するように設計されたこれらのシステムに直面したTB2の偉業は、現代戦史における分岐点を記録しました。

 「バイラクタルTB2」の役割は単なるハンターキラーではなく、最終的には戦場を完全に支配する存在にすらなっていました。防空密度が最も高い地域の1つを飛行しながら、どんな地上目標がいる位置にも忍び寄ってそのあらゆる動きを追跡する能力があるTB2は、文字どおり地上目標の直上で旋回しながら、友軍のほかのアセットにその目標への攻撃を指示することができたのです。

 ロケトサン社の「TRLG-230」230mm誘導ロケット弾システムは、レーザー誘導キットを装着することでTB2が指示した目標を攻撃することが可能です。この能力は、TB2に自らが搭載する「MAM-L」「MAM-C」誘導爆弾を使い切った後でも、(友軍に標的をレーザー照射することを通じて)ほかの目撃を攻撃させることを可能にします。

 トルコにとって「バイラクタルTB2」の非常に効率的な使用は、新しい外交政策である「バイラクタル外交」を形づくるための、彼らの増大する外交上の発言力を押し上げることに役立っています。

 この新たな政策は、現代の紛争の特徴に比類なく適した新しいタイプの戦いを本質的に構成します。低い経済的・人道的なコストで政治的・軍事的な影響の最大化を追求した、規模が小さい介入を基本とする「バイラクタル外交」は、国家の運命を決めたと言えるほど効果的なものでした。TB2がなければ、国際的に承認されているリビア政府はリビア国民軍(LNA)に一掃されていたかもしれないし、ナゴルノ・カラバフの大半はいまだにアルメニアの支配下にあった可能性があるからです。


 これらの素晴らしい偉業の背後には、現代の戦争に革命を起こすだけでなく、国の考え方を変え、次世代に成功の足跡をたどる機会を提供しようと試みている企業があります。その試行の過程において「バイラクタル・テクノロジー」社は、高度な無人機を設計するためには、自身が無限の研究開発予算を持つ超大国である必要はないことを証明しました。

 現在、バイカル社は「クズルエルマ」無人戦闘機や「TB3」艦載型UCAVの開発を熱心に推し進めていますが、それはTB2が忘れられたことを意味していません。ほぼ毎日(ソフト等が)更新されていることは、TB2が自らに対抗するためのどんなシステムよりも優位にあることを保証しています。[1]

 2021年には、バイカル社の創業者であるオズデミル・バイラクタル氏「アクンジュ」プロジェクトの実行及び分析チームのリーダーであるタリク・ケゼキ氏が死去しました。

 彼らの死は残された人々に悲しみをもたらすでしょう。しかし、彼らのレガシーが新しい世代の人々の心の中で生き続けるだろうという確信に心の支えを見出すかもしれません。彼らの偉業に触発された人々は、いつか登場する無人機の設計を支える将来の技術者になることにとどまらず、別の技術や科学の分野でもトルコの発展に寄与することでしょう。

 この意味で、バイカル社は単に空だけでなく、海や地上でも国の運命を変えていくのです。


  1. 以下の一覧には、シリア、イラク、ナゴルノ・カラバフ、ウクライナなどで「バイラクタルTB2」によって撃破・破壊されたことが確認されている目標を掲載しています。
  2. この一覧には、画像や映像による視覚的な証拠に基づいて確認された、撃破・破壊された車両や装備のみを掲載しています
  3. ただし、地上で撮影された映像等のみで確認されたものも含まれています。これらのケースでは、武装したドローンに攻撃されたことが現地での目撃者によって報告されたことを根拠としています。したがって、実際に撃破された装備の数が、ここに記録されているよりも多いことは間違いないでしょう。
  4. 兵員、弾薬庫や軍事施設に対する戦果については、このリストに含まれていません。
  5. この一覧は、エビデンスとなる追加の映像等が入手可能になり次第に更新されます。
  6. 各装備名に続く数字をクリックすると、当該車両や装備の画像等が表示されます。
  7. 最終更新日:2023年7月13日(本国版の最終更新は2023年7月12日

旗と国・武装勢力の関係(追記:上の一覧に含まれていない はタジキスタン、 はアンサール はティグレ防衛軍を指す) 


戦車 (134)


装甲戦闘車両(54)


牽引砲 (148)


自走砲 (44)

多連装ロケット砲 (81)



対空砲 (10)
  •  1 ZU-23 23mm対空機関砲 : (1) (2)
  • 7 ZU-23 23mm対空機関砲(トラック搭載型): (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
  • 1 61-K "M-1939" 37mm対空機関砲(トラック搭載型): (1)


自走対空砲 (9)
  • 1 ZSU-23-4 "シルカ" 23mm自走対空砲: (1)
  • 4 ZSU-23-4 "シルカ" 23mm自走対空砲: (1) (2) (3) (4)
  •  2 MT-LB 汎用軽装甲牽引車(「ZU-23」対空機関砲搭載型): (1) (2)
  • 2 ZU-23 23mm対空機関砲(トヨタ車搭載型): (1) (2)


地対空ミサイルシステム (49)


レーダー (9)
  • 2 P-18  "スプーン・レストD" : (1) (2)
  • 1 1S32  "パット・ハンド"  (2K11/SA-4  "クルーグ" 用): (1)
  • 1 1S91 "SURN"  (2K12/SA-6 "クーブ" 用): (1)
  • 1 5N63S "フラップ・リッド"  (S-300用): (1)
  • 1 ST86U/36D6  "ティン・シールド" (S-300用): (1)
  • 1 19J6 (S-300用): (1)
  • 1 SNR-125  "ロー・ブロー"  (S-125/SA-3用): (1)


電子妨害・攪乱または通信システム (3)
  • 1 R-330P "ピラミダ-I" : (1)
  • 1 R-330ZH "ジーテル" 電子戦システム: (1)
  • 1 形式不明の通信車両 (1)


航空機(7)


ヘリコプター(1)
  • 1 Mi-8 "ヒップ" 汎用ヘリコプター: (1)


艦艇 (9)
  •  3 「プロジェクト03160 "ラプター"」級高速戦闘艇: (1) (2) (3)
  • 1 「プロジェクト02510 "BK-16E"」級高速襲撃艇: (1)
  • 1 「プロジェクト11770 "セルナ"」級揚陸艇: (1)
  • 2 形式不明の哨戒艇: (1) (2)
  • 2 密輸用のボート: (1) (2)


軍用物資補給列車(2)
  •  2 燃料タンク車牽引編成: (1) (2)


トラックなどAFV以外の車両 (304)

''私たちは状況を見極め、私たち自身でその責務を果たしました。'' (オズデミル・バイラクタル:1949 - ∞)

[1] HALUK BAYRAKTAR İNGİLİZ DÜŞÜNCE KURULUŞU RUSI'NIN PANELİNDE KONUŞTU https://youtu.be/jKj-FOMQlNw?t=463

 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
 があります。


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