2023年9月30日土曜日

キーウへの "K-サポート":韓国によるウクライナへの軍事支援(一覧)


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ

 韓国・日本・台湾については、いずれもウクライナへの軍事支援の提供に関する希望を阻む制約に直面しています。日本の場合では、その主な要因は軍備の輸出を制限する厳しい法令(防衛装備移転三原則など)によるものです。[1]

 その一方で、韓国が躊躇しているのは、ウクライナへの軍事支援を行うことが、ロシアによる北朝鮮への軍事及び技術支援の契機となるかもしれないという懸念に起因しています。

 2022年3月以降、韓国はウクライナに非殺傷的な軍事援助を4回、金額にして約300万ユーロ(約4.7億円)相当のものを引き渡しました。[2]

 これまでの援助には、ヘルメットや防弾チョッキ、そして地雷探知機などの装備が含まれています。注目すべき点としては、これらの装備の一部が本来はアフガニスタン軍向けのものであったものの、2021年のカブール陥落を受けてその翌年にウクライナ用に流用されたことでしょう。

 ウクライナから地対空ミサイル(SAM)システムや対戦車ミサイル(ATGM)のような兵器システムの提供を何度も懇願されたにもかかわらず、韓国はその度にウクライナからの要請を断ってきました。[3]

 2023年7月にキーウで行われた韓国-ウクライナ首脳会談において、ユン・ソンニョル大統領は「今年はより大規模な軍事支援を提供する」ことに言及しました。ところが、韓国国防省の報道官は即座に政府の公式な立場を再確認し、「殺傷能力を有する兵器を引き渡さないという方針に変更はない」と述べ、殺傷能力のある兵器を提供することが問題外であることを強調したのです。[4]

しかし、2023年9月に入って韓国政府が「K600」戦闘工兵車(CEV)2台の寄贈を明らかにしたことで、ユン大統領が表明した支援強化に向けた取り組みの具体的な内容が明らかとなりました。

 「K600」は最前線の地雷原を突破するための道を切り開く目的で設計されたこの車両ですが、それでもユン政権はウクライナにこのAFVを人道支援任務にだけ投入するよう要請しています。

 実際のところ、ウクライナの窮状に対する韓国の最も重要な貢献は、兵器類を直接引き渡しすることではなく、2022年と2023年に55万発もの155mm砲弾をアメリカに移転することでした。というのも、この移転のおかげで、アメリカはウクライナに自国で備蓄している砲弾を供与することが可能となったからです。[5]

 韓国が軍事援助を制限する政策を維持するか否かは不透明なままですが、(ごく最近になって)北朝鮮がロシアとの友好関係を深めていることは、この国がウクライナへの対応を再考するきっかけになるかもしれません。仮にそのような変化が起きた場合、ウクライナが韓国製の多種多様な兵器システムを入手できるようになる可能性を持つことになります。

 韓国は「T-80U」戦車や「BMP-3」歩兵戦闘車、「 9K115 "メチス" 」ATGM、「9K38 "イグラ"」携帯式地対空ミサイルシステムといったロシア製兵器も保有しているため、ウクライナの関心を集めることは間違いないでしょう。

  1. 以下に列挙した一覧は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて韓国がウクライナに提供される軍事装備等の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されており、末尾には供与された月などが記載されています)。
  3. 個人や団体から寄贈されたものは含まれていません。
  4. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  5. 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。

工兵車両

個人装備
  • ヘルメット [2022年3月から引き渡し]
  • ボディアーマー [2023年7月以前]
  • 軍服 [2022年3月から引き渡し]
  • 地雷探知機 [2023年7月以前]
  • 爆発物処理 (EOD)用防護服 [同上]
  • 防毒マスク [同上]

その他の装備品
  • レーション (MRE) [2022年3月から引き渡し]
  • 救急救命キット [同上]
  • テント [同上]
  • 毛布 [同上]
 
[1] Aid From Asia: Japan’s Military Support To Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2022/09/aid-from-asia-japans-military-support.html
[2] S.Korea to Send 2 Minesweepers to Ukraine https://english.chosun.com/m/svc/article.html?contid=2023091801396
[3] LIG넥스원에 주한우크라이나 대사 방문 타진...천궁·신궁 요청 목적 관측 https://www.ajunews.com/view/20220415114737523
[4] 한국, 우크라에 지뢰 제거기 제공…“살상무기는 지원 안 한다” https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1100507.html
[5] [양낙규의 Defence Club]탄 빌려간 미국 ‘성능개량 탄’으로 돌려주나 https://www.asiae.co.kr/article/2023061509184626149

※ この記事は2023年9月19日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
 です。



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苦境の打破と関係の強化:ギリシャによるウクライナへの軍事支援(一覧)


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ

  1. 以下に列挙した一覧は、2022年からのロシアによるウクライナ侵攻を受けてギリシャがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備等の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されており、末尾には供与された月などが記載されています)。
  3. 引き渡された軍事装備の中には機密扱いのものもあるため、表示している数量はあくまでも最低限の数となっています。
  4. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  5. * はドイツの循環的交換政策を通じて供与されたものを指します。
  6. 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。

歩兵戦闘車 (40+)
  • 40 BMP-1A1* [2022年10月以降に引き渡し] (ドイツの循環的交換政策を通じてギリシャのストック品から供与)
  • 数量不明 BMP-1A1 [予定]

対戦車兵器 (815)

  • 815 RPG-18 [2022年2月以降に引き渡し]

小火器 (20,000)

  • 20,000 ''カラシニコフ銃'' [2022年2月以降に引き渡し]

弾薬
  • 数量不明 122mmロケット弾 [2022年2月以降に引き渡し]
  • 火砲用砲弾 [予定]
  • 小火器用弾薬 [同上]

訓練
  • ギリシャ軍将兵の派遣(ウクライナ特殊部隊の訓練用) [2022年/2023年]
  • ギリシャ軍将兵の派遣(ウクライナ軍の「レオパルト2」戦車乗員の訓練用) [同上]
  • ウクライナ軍飛行士への「F-16」戦闘機関連の訓練 [2023年/2024年]

医療支援
  • ギリシャでの負傷したウクライナ兵のリハビリテーション事業 [2023年]

※ この記事は2023年8月11日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したものです。


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レプラコーン軍団:アイルランドによるウクライナへの軍事支援(一覧)


著:シュタイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

 2022年2月にロシアがウクライナへ大規模な武力侵攻を開始して以来、アイルランドは1億9000万ユーロ(約300億円)を提供することでウクライナ支援での献身ぶりを示してきました。総額のうち6,850万ユーロ(約108億円)が人道支援に充てられ、そして1億2,200万ユーロ(約192億円)が欧州平和ファシリティ(EPF)の枠組みの下での「非致死的軍事援助」に割り当てられています。[1]

 特に際立った支援としては、拡大する戦争からの影響に対処するためのアイルランド政府の取り組みとして、ウクライナから逃れてきた難民を支援するために今年は20億ユーロ(約3,150億円)という相当な額を割り当てていることが挙げられます。なお、2024年の予算ではこの額を25億ユーロ(約3,600億円)に引き上げる予定です。

 アイルランドによる貢献は非NATO加盟国としては称賛すべきものですが、日本、ニュージーランド、イスラエル、オーストラリアといった他の非NATO加盟国の支援一覧と並べてみると、比較的小規模であることは注目に値するでしょう。[2] [3] [4]

  • 以下に列挙した一覧は、ロシアによるウクライナ侵攻でアイルランドがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事支援の追跡調査を試みたものです。
  • 一覧の項目は武器や支援の種類ごとに分類されています
  • この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。

個人装備
  • 200 防弾ベスト [2022年3月]

その他の装備品
  • 5,000 レーション (MRE) [2022年3月]

財政支援
  • 1.22億ユーロ(約192億円) NATOを通じての非殺傷兵器調達用の資金提供 [2022年2月から実施]

医療支援
  • アイルランド内における負傷したウクライナ兵5名のリハビリ [2022年6月]

訓練
  • 国防軍将兵30人の派遣(ウクライナ兵らに対する爆発物処理訓練用) [2023年5月以降に実施]

[1] Ireland has given Ukraine €122m in 'non-lethal military aid' and €68.5m in humanitarian support since war began https://www.independent.ie/irish-news/ireland-has-given-ukraine-122m-in-non-lethal-military-aid-and-685m-in-humanitarian-support-since-war-began/a2054820505.html
[2] Aid From Asia: Japan’s Military Support To Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2022/09/aid-from-asia-japans-military-support.html
[3] Haka For Humanity: New Zealand’s Military Aid to Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2023/08/haka-for-humanity-new-zealands-military.html
[4] Arms From Down Under: Australia’s Aid To Ukraine https://www.oryxspioenkop.com/2022/07/arms-from-down-under-australias-aid-to.html

※ この記事は2023年6月10日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
 です。



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2023年9月29日金曜日

人びとに捧げるハカ:ニュージーランドによるウクライナへの軍事支援(一覧)


著:シュイタン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

 ニュージーランドはウクライナから最も離れた場所に位置する国でありながら、この戦火の最中にある国への軍事援助を提供しています。この中でも特筆すべきものとしては、「L119」軽榴弾砲の操作と歩兵戦術をウクライナ兵に訓練を提供するために、ヨーロッパへ兵員を派遣したことが挙げられるでしょう。

 これまでに440人のニュージーランド国防軍(NZDF)将兵がウクライナを支援するためヨーロッパに派遣され、そのうち279人がイギリスで実施されている砲兵及び歩兵の訓練に携わりました。

 これらに加え、ニュージーランドはNATOからの要請に応じて、人員と装備を輸送するために「C-130H "ハーキュリーズ" 」輸送機」を2か月もイギリスへ展開させるという支援も実施しました(注:ニュージーランドはNATO非加盟ですがインド太平洋におけるパートナー国の一つです)。

 ウクライナの防衛力を増強させるためにニュージーランドは訓練や後方支援を実施しましたが、それ以外にも装備品の提供や武器や弾薬の調達のための財政支援も実施してきたこととから、同国がウクライナの大きな支えとなっている国の一つであると言っても過言ではありません。

  • 以下に列挙した一覧は、ロシアによるウクライナ侵攻でニュージーランドがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事支援の追跡調査を試みたものです。
  • この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  • 個人や企業などの団体が寄贈したものは含まれていません。

弾薬
  •  少量の105mm榴弾(野砲の訓練用) [2022年夏]

個人装備
  • 473 ヘルメット [2022年3月]
  • 571 ボディアーマー と 1,066 専用の防弾プレート [同上]

その他の装備品
  • 40 ダイアル式照準器(「L119」軽榴弾砲用) [2022年夏]

財政支援
  • 275万ユーロ(約4.3億円) NATOを通じての非殺傷装備調達用資金の提供 [2022年3月]
  •  410万ユーロ(約6.45億円) イギリスを通じての武器弾薬調達用資金の提供 [2022年4月]
  • 230万ユーロ(約3.6億円) ウクライナ情報当局向け民間の商用衛星画像調達用資金の提供 [2022年4月]
  • 350万ユーロ(約5.5億円) NATOの信託基金を通じての非殺傷装備調達用資金の提供 [2022年6月 (約3.9億円) と 11月 (約1.6億円)]

訓練
  •  NZDF兵の派遣(ウクライナ兵への「L119」軽榴弾砲の訓練用) [2022年夏]
  •  NZDF兵の派遣(ウクライナ兵への歩兵の戦術訓練用) [2022年8月から2023年1月まで]
  • 情報分析担当者の派遣 [2022年春から2023年7月まで]

輸送支援
  •  「C-130H "ハーキュリーズ"」輸送機1機のイギリス展開 [2022年4~6月] 

※ この記事は2023年8月6日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
 です。


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2023年9月28日木曜日

カルパチアの戦友:ルーマニアによるウクライナへの軍事支援(一覧)


著:シュタイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

  1. 以下に列挙した一覧は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてルーマニアがウクライナに供与した、あるいは提供を約束した軍事装備等の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には原産国を示す国旗が表示されており、末尾には供与された月などが記載されています)。
  3. 機密性の関係上、一部の寄贈された武器などについて表示している数量は、あくまでも引き渡された最低限の数となっています。
  4. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  5. 各兵器類の名称をクリックすると、当該兵器類などの画像を見ることができます。
  6. * はウクライナまたはEU諸国がルーマニアの防衛企業によって調達されたものです。

多連装ロケット砲

牽引砲

装甲兵員輸送車
  • TAB-71M [2022年11月以前に供与]

小火器

弾薬類

個人装備
  • 2,000 ヘルメット [2022年2月]
  • 2,000 防弾ベスト [同上]

その他の装備品類
特別協力: War_Noir と Ukraine Weapons Tracker (敬称略).

※ この記事は2023年8月5日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したもの
 です。


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