2021年11月1日月曜日

イタリアの魅力:トルクメニスタンの「M-346」戦闘攻撃機


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 ソ連崩壊から約30年が経過した今でも、多くの旧ソ連諸国の空軍の保有機は、彼らが引き継いだソ連時代の航空機で構成されていることが大きな特徴となっています。これは特に戦闘機に当てはまることであり、高額であることが、多くの国に現在運用中である旧世代機を代替するための新型戦闘機の導入を躊躇させています。

 その代わり、「MiG-29」や「Su-25」といった実績のある機種は単に飛行能力を維持させるためだけでなく、21世紀の戦争の時代に適切な機体であり続けるために何度もオーバーホールを受けています。ベラルーシやカザフスタンなどの国は、近年に「Yak-130」や「Su-30SM」の導入を通じてこの知見に異議を唱えようとしていますが、中央アジアの大部分ではジェット機の運用が徐々に減少しつつあります。

 トルクメニスタンはこの状況の注目すべき例外であり、新型ジェット機の導入や従来から運用している「MiG-29」や「Su-25」のアップグレードによって空軍を強化しています。その導入した新型機の1つが、これまでに世界中の9つの空軍から発注を受けているイタリアの「M-346」です。2020年5月、イタリア上院は、トルクメニスタンが2019年に4機の「M-346FA(戦闘攻撃機型)」と2機の「M-346FT(訓練機型)」を2億931万ユーロ(約388億円)で発注したことを明らかにしました。[1]

 トルクメニスタン向けの最初の「M-346」は、同国への納入直前の2021年7月にイタリアのレオナルド社の施設で目撃されています。[2]

 この機体は空対空ミサイル(AAM)のイナート弾(または模擬弾)を4発と外部燃料タンク(増槽)を2個搭載しており、トルクメニスタンでのデモフライトでもこの搭載スタイルが維持されていました。


 トルクメニスタンが「M-346」用に購入した実際の兵装は不明のままですが、同国の「A-29B」のために調達されたことが知られている兵装の種類を踏まえると、「M-346」用の精密誘導兵器は(まだ)購入されていない可能性があります。

 その代わり、無誘導爆弾、AAM、そして増槽がトルクメニスタンにおける「M-346」の(初期の)標準装備となるかもしれませんが、彼らの高度な兵装運用能力のために、将来のある時点で誘導式の空対地兵器が導入される見込みがあることはもっともらしいように思われます。その空対地兵器には「マルテ Mk2」対艦ミサイルや、トルコやイスラエルのさまざまな種類の精密誘導爆弾が含まれるかもしれません。
 
 GBU-12「ペイブウェイⅡ」のような西側諸国の兵装の供給を受けることも可能でしょうが、それは供給する国の意向に左右される可能性が高いと考えられます。


 「M-346」がトルクメニスタンに到着して間もなく、グルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領(当時)がその1機に搭乗してカスピ海上空でテスト飛行を実施しました(下の画像)。

 機体の迷彩パターンは洋上での運用を念頭に置いて特別にデザインされたものと思われますが、トルクメニスタン空軍の機体の大半は、その運用地域を少しも考慮していないように思われるカラフルな塗装を施されています。

 もちろん、レーダーが航空機を検知するための主要な手段となった現代では、迷彩パターンが持つ重要性はやや薄れています。



 この国の「M-346」はまだ衛星画像で撮影されていませんが、これらの機体は首都アシガバート直近にあるアク・テペ・ベズメイン基地か、マル市に隣接するマル空軍基地/国際空港またはマル-2空軍基地に駐留するものと予想されています。後者の基地には、すでにトルクメニスタンが最近導入した5機の「A-29B "スーパーツカノ"」が配備されています。

 「C-27J "スパルタンNG" 」は、すでに2機の「An-74TK-200」と1機の「An-26」が拠点にしているアク・テペ・ベズメイン基地に配備されることになりそうです。(トルクメニスタン航空は3機の「IL-76」を運航していますが)これらの機体は空軍で唯一の現役にある輸送機ですが、「C-27J」はターボプロップ輸送機としての役割で「An-26」を完全に置き換えることになるかもしれません。


 ソ連崩壊が今や過去のものとなって新たに必要とされるものが明白な新しい世界で、西側の現代的なテクノロジーが「M-346」、「C-27J」、「A-29B」の導入を通じてようやくトルクメニスタン空軍に届きました。

 トルクメニスタンは老朽化したソ連時代の「Mi-24P」攻撃ヘリコプターを代替するための新型無人戦闘航空機(UCAV)と新型攻撃ヘリコプターの導入に傾いているとみられていることから、さらなる新型機の導入とサプライズが待っていることは間違いないでしょう。

 これらを導入するためにこの国がもう一度西側のサプライヤーに目を向け、トルクメニスタン空軍をこの地域で最も近代的な空軍としての地位を確固たるものにすることを疑う余地はありません。

[1] Turkmenistan's air force operating new M-346FA, C-27J, and A-29 aircraft https://www.janes.com/defence-news/news-detail/turkmenistans-air-force-operating-new-m-346fa-c-27j-and-a-29-aircraft
[2] https://vk.com/milinfolive?w=wall-123538639_1936960

 のです。



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