著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
この記事は、2021年1月12日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。
トルコは世界政治においてますます重要なプレイヤーとして台頭しており、積極的な国際的役割を担うとともに、その政治的影響力も高まりつつある状況です。新たな大国としての台頭に伴い、政府高官が利用するVIP専用機の規模も大幅に拡大しています。
これらの堂々たる見た目の航空機は、国内外におけるトルコの力と威信を象徴するステータスシンボルとなっています。この中で間違いなく最も圧倒的な存在感を放つのは、2018年9月から大統領府で運用されている「ボーイング747-8I」ボーイング・ビジネス・ジェット(BBJ)です。
ただし、トルコ大統領府で運用されている他の機体が新品か中古機として調達されたのとは異なり、「ボーイング747-8I BBJ」は、カタールの首長であるシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アル=サーニーからの贈り物として引き渡されたものという経緯があります。この大盤振る舞いの寄贈は、(エルドアン大統領から同機を購入したいという意向を耳にしていた)アミール首長が「トルコから代金を貰うつもりはない」と述べたことを受けて行われたものでした。ちなみに、エルドアン大統領は専用機について、「トルコの威信を懸けたことに関して、費用は考慮すべきではない」と述べていたとのことです。[1]
カタールによる「ボーイング747-8I」の寄贈については、2017年6月に複数のアラブ諸国がカタールとの国交を断絶して封鎖措置を発動した後、トルコがドーハを支援したことへの謝意の表れであったかもしれません。詳しく説明すると、トルコは封鎖開始から僅か1か月の間に食料やその他の物資を満載した貨物機197便をドーハへ派遣したほか、カタールに駐留するトルコ軍部隊も増派しました。[2] [3]
カタールはサウジアラビアとの国境を経由して国内に流入する輸入品に大幅に依存していたため、危機の初期段階におけるトルコによるドーハへの支援は、同国に十分な食料やその他の重要な物資を確保する上で極めて重要なものだったわけです。
カタールによる「ボーイング747-8I」の寄贈については、2017年6月に複数のアラブ諸国がカタールとの国交を断絶して封鎖措置を発動した後、トルコがドーハを支援したことへの謝意の表れであったかもしれません。詳しく説明すると、トルコは封鎖開始から僅か1か月の間に食料やその他の物資を満載した貨物機197便をドーハへ派遣したほか、カタールに駐留するトルコ軍部隊も増派しました。[2] [3]
カタールはサウジアラビアとの国境を経由して国内に流入する輸入品に大幅に依存していたため、危機の初期段階におけるトルコによるドーハへの支援は、同国に十分な食料やその他の重要な物資を確保する上で極めて重要なものだったわけです。
トルコに寄贈された航空機は、サーニー家及びカタール政府高官のために運航されていた4機の「ボーイング747-8I」のうちの1機でした。同機は以前にバミューダで「VQ-BSK」として登録されていたものの、トルコに到着後に「TC-TRK」に変更されています。
トルコに引き渡される以前のカラーリングでは、(下の画像で見えるように)まだ尾翼にカタールの大きな国章が掲げられていました。現在のカタール王室専用機は、国旗や国章などのマークを一切排除した、より控えめな塗装を採用しています。
「TC-TRK」は、2012年にボーイング・エバレット工場で組み立てられた機体です。その後にカラーリングとVIP仕様の内装が施されました。この機体は2015年末か2016年初頭に就航しましたが、トルコへ寄贈されるまでの飛行時間はたった436時間に過ぎませんでした。つまり、寄贈時点で就航から6年近くも経過していたにもかかわらず、実質的に新品同然の状態だったのです。[4]
もっとも、カタールが同時に放出した「ボーイング747SP」と同様に、この「ボーイング747-8I」も実際にはカタール王室(AMIRI)の正式な専用機ではなかったため、両機の売却と寄贈の背景には、(カタール側の)大規模な構造改革が関わっていた可能性が高いと思われます。
「TC-TRK」は、2012年にボーイング・エバレット工場で組み立てられた機体です。その後にカラーリングとVIP仕様の内装が施されました。この機体は2015年末か2016年初頭に就航しましたが、トルコへ寄贈されるまでの飛行時間はたった436時間に過ぎませんでした。つまり、寄贈時点で就航から6年近くも経過していたにもかかわらず、実質的に新品同然の状態だったのです。[4]
もっとも、カタールが同時に放出した「ボーイング747SP」と同様に、この「ボーイング747-8I」も実際にはカタール王室(AMIRI)の正式な専用機ではなかったため、両機の売却と寄贈の背景には、(カタール側の)大規模な構造改革が関わっていた可能性が高いと思われます。
カタールは国家元首及び政府専用機として「ボーイング747」を運用している数少ない国の一つですが、「747-8I」の寄贈がサーニー家及びカタール政府の移動手段に悪影響を与える可能性は低いでしょう。トルコへの「747-8I」寄贈後も、AMIRIは依然として3機の「ボーイング747-8I」どころか、「エアバスA340」と「A320」と「A319」も各3機ずつ、「A330」を2機保有している上に、彼らが運用する複数の輸送機(「C-17」)や小型VIP機も利用可能だからです(ただし、AMIRIが輸送機や小型VIP機の所有者ではない)。
同様に、現在のトルコ政府は「エアバスA318CJ」1機、「A319CJ」2機(うち1機は現在アルバニア政府にリース中)、「A330-200プレステージ」1機、超長距離型の「A340-500」1機、「ガルフストリームG550」と「ガルフストリームIV」が3機ずつ、そしてVIP仕様の「シコルスキーS-92」ヘリコプター3機を運用しています。
場合によっては、トルコ空軍の「A400M」が、外国への公式訪問の際に大統領の車列やその他の装備を輸送するために使用されるケースもあります。
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| トルコ共和国大統領府が運用するVIP仕様の「シコルスキーS-92」 |
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| 2018年に「A350-900ULR」が導入されるまで、世界最長航続距離を誇る旅客機であったトルコの「A340-500」:「ボーイング747-8I(15,000km)」よりもさらに長い航続距離(16,020km)を誇っている。 |
2018年9月15日、スイスのバーゼルからトルコに到着した「ボーイング747-8I」は、整備及び再塗装のため、イスタンブールのサビハ・ギョクチェン国際空港にあるターキッシュ・エアラインズの整備施設内に設けられた特別エリアへ搬入されました。
この機体には、過去に「A330」及び「A340」になされたものと同様の基準に沿って、機内設備に追加のアップグレードや改修が施されたものと推測されます。それから一か月後の10月5日にトルコ国内線として初飛行を行い、イスタンブールからアンタルヤ、続いてイズミルを経由して首都アンカラへ向かったのでした。[5]
カタール向けに納入された時点の「TC-TRK」は76名の乗客を収容できるよう設計されており、内装の豪華さは「究極の贅沢」としか言いようがないものでした。トルコがこの機体を譲り受けた後、(下の画像で見える)オリジナルの内装がどの程度変更されたかは分かっていません。
確実に言えることは、この機体には数多くのセキュリティシステムのみならず、(当然ながら)独自の機内エンターテインメントシステムも備わっているということです。広々とした寝室、浴室、客室、ラウンジ、そしてファーストクラスの座席エリアが、この機体の完成度を際立たせています。
この航空機のもう一つの非常に注目すべき特徴は、緊急医療処置に対応できる充実した医療設備が備わっている点でしょう。重篤な状態でない限り、直ちに最寄りの空港に着陸する必要がなくなるわけです。
カタール、韓国、ブルネイ、トルコなど、どの国で運用されていようとも、「ボーイング747-8I BBJ」は、世界中のあらゆる場所でその権力と影響力を誇示するための、紛れもないステータスシンボルとなっています。(おそらく世界で最も不格好な国家元首専用機の一つと言える)オランダ政府の「ボーイング737-700 BBJ」とは対照的に、この機体は見た目が非常に優れている上に、その目的をしっかりと果たしているのです。
その重厚かつ荘厳なデザインは、もはやトルコの空だけでなく、国家元首が向かう先々でその姿を披露することになるでしょう。
航続距離だけでなく、トルコの外交力も広範囲に及ぶことを考えれば、行き先の対象には世界中の国々が含まれる可能性があります...もっとも、カタールへの親善訪問が1、2回は行われることは確実ではないでしょうか。
[1] Qatar's emir 'gives $500m private jet to Turkey' https://www.bbc.com/news/world-middle-east-45550537
[2] Turkey sent some 200 cargo planes to Qatar since dispute began: minister https://www.reuters.com/article/cnews-us-gulf-qatar-turkey-idCAKBN19X0Q2-OCATP
[3] New batch of Turkish troops arrives in Qatar https://www.aljazeera.com/news/2017/6/30/new-batch-of-turkish-troops-arrives-in-qatar
[4] Qatar sells the world's largest private plane https://www.aerotime.aero/21685-qatar-sells-the-world-s-largest-private-plane
[5] Devlet Filosunun yeni uçağı B747-8 "TC-TRK" Antalya Havalimanı'na yaklaşmada.. https://youtu.be/r7Y5_YX5p24
お知らせ:2025年7月に上記本の改訂・分冊版である「The Armed Forces of North Korea Volume 1: Part 1: Korean People's Army Ground Forces Organisation, Strategy and Infantry」が発売されました。残りの巻も完成次第発売される予定です(記載情報は2025年現在のものにアップデート済み)。
お知らせ2:2025年10月に「Volume 1: Part 2(陸軍AFV)」が発売されました。
お知らせ3:2025年12月に「Volume 2(空軍)」が発売されました。
お知らせ4:2026年2月に「Volume 3(海軍) 」が発売されました
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