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2021年9月28日火曜日

カブールからのポストカード: タリバンが鹵獲機を公開した



著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 最近リリースされたビデオからの映像は、タリバンに占領された時点でカブール国際空港に残されていた旧アフガニスタン空軍の航空機やヘリコプターに関する追加的な細かい情報を映し出しています。

 タリバンによる旧アフガン空軍のアセットの再使用を防ぐために米軍が航空機に損傷を与えたことに加えて、この映像ではMi-24V攻撃ヘリ3機がタリバンに無傷で鹵獲されたことも明らかにしています。また、C-208/AC-208多目的(攻撃)機やC-130輸送機といったほかの航空機は、当初に考えられていたよりも被害が少なかったようです。

 現在、タリバン空軍ことアフガニスタン・イスラム首長国空軍の飛行可能な保有機は、MD530F攻撃ヘリコプター×8機、Mi-8/17×約10機、UH-60「ブラックホーク」輸送ヘリコプター×4機で構成されています。より多くのMi-8/17と多数のUH-60が稼働状態にされる可能性がありますが、能力を持った技術者なしでは、全ての「ブラックホーク」の運用寿命は限られたものになる可能性があるでしょう。

 それにもかかわらず、カブールで少なくとも12機のUH-60と14機のMi-8/17が鹵獲されたことは、タリバンに今後何年にもわたって安定したスペアパーツの供給源もたらす可能性があることを意味するでしょう。

カブール空港で遭遇した、最低でも3機ある旧アフガニスタン空軍のC-130のうちの1機。

この機体はカブール陥落以前の時点ですでに稼働していませんでした。3番エンジンのプロペラがフェザリング状態であることに注目。

カブールに残存していたほかの旧アフガニスタン空軍機とは異なって、このC-130はアビオニクスが破壊されていませんでした。

2機目のC-130。この機体の運用状況は不明のままです。

カブールで無傷で鹵獲されたMi-24V(Mi-35)攻撃ヘリの少なくとも3機のうちの1機。米軍の手によっていかなる損傷も受けていないようなので、これらの機体は将来のアフガニスタン・イスラム首長国空軍の中核を形成するでしょう。

これらのヘリコプターは、もともと2019年10月にインドがアフガニスタンに贈ったものです。インドは自国のヘリコプターを引き渡すのではなく、ベラルーシにMi-24Vのオーバーホールと納入を委託しました。

C-208/AC-208の多目的・攻撃機が5機並んでいます。手前のAC-208はレーザー誘導のAPKWS精密誘導弾(PGM)を搭載するロケット弾ポッドを装備しています。

このC-208はエンジンが取り外されており、機体が後方へ転倒することを防ぐため、エンジンの代わりとして機首に3つのタイヤが積まれています。

C-208多目的機が5機並んでいます。真ん中の機体はエンジンが搭載されていないため、若干後ろに傾いています。

カブール空港の軍用地側にあるヘリコプター用格納庫の一角。

この格納庫には主にMD530Fと少なくとも2機のUH-60が格納されていましたが、どれもが窓や計器盤に大きな損傷を受けていました。

このMD530Fはエキゾーストパイプでさえも損傷が加えられていました。

格納庫にあるUH-60のうちの1機はコックピットに損傷を受けました。

MD530Fの1機はテールブームが折られています。この損傷が米軍によるものなのか、あるいはそれ以前の事故によるものなのかは不明です。

別の格納庫はロシア製のMi-17ヘリコプターの整備やオーバーホールに使用されていました。これらは全てがアメリカ製のUH-60に置き換えられるはずでしたが、ロシア機よりも整備がはるかに困難であることが判明しました。

この格納庫にあるMi-17の大部分も、米軍によっても損傷を受けたようです。

ほとんどのMi-17はタイヤがパンクしており、米軍が意図的に破損させる以前にはすでに稼働状態になかったと思われます。

タイヤがパンクしておらず、窓に埃が付着していない状態の数少ないMi-17のうちの1機。この状態は、鹵獲される直前にはまだ稼働状態にあったことを示している可能性があります。

地面には犬用のキャリーケースや食べ物、フンが散乱しており、この格納庫にいるほかの住人を思い出させます。カブール空港には約120匹の犬が置き去りにされました。

このUH-60は、おそらく記念品として持ち帰りたいと考えた、うんざりした米軍によってサイドドアからラウンデルが切り取られたのかもしれません。

カブールで鹵獲された12機のUH-60のうちの1機の内部写真は、彼らが受けた損傷の状況を示しています。

この格納庫のMD530Fも、確かに「アメリカの攻撃」からは免れることはできませんでした。

MD530F飛行隊のオペレーションボードは、同部隊が少なくとも21機のヘリコプターを保有していたことを明らかにしています。

   のです。


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著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 この記事は、カブール国際空港で鹵獲されたものの、米軍によって使用不能にされたアフガニスタンの航空機を包括的にリスト化することを目的としています。 カブールに駐留していた米軍は、アフガニスタンから撤退する際に73機の航空機とヘリコプターに(タリバンによる再使用を防ぐために)無力化措置を講じたと公表されています。これらの機体が被った被害の全容については不明のままですが、 米軍がこれらの再使用を妨げるには十分な損傷を与えたことが予想されます。


カブール国際空港にて鹵獲されたが米軍によって無力化された機体など

固定翼機 (28)

ヘリコプター (47)

リストの最終更新日:2021年9月20日(Oryx英語版の元記事の最終更新日は2021年9月3日以降)




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