著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)
以下の画像は、シリア四軍が参加した2012年の大規模演習を含む、過去数年間に実施されたシリア陸軍の演習を撮影したものである
この演習はシリアにおける治安状況がますます悪化している最中に実施され、国際社会からリビアに対するような介入の呼びかけにまで至った。
これに反応して、シリア軍は数日間の演習を実施し、外の世界へ強さを見せつけた。
シリアではT-82としても知られているT-72AVが、ダマスカス郊外県での演習中に見ることができた(写真)。
シリアでは、「T-82」群が対戦車ロケット(RPG)や対戦車ミサイル(ATGM)の大規模な拡散により大きく苦戦しているが、いまだにかなりの量が運用され続けている。
下の画像に見られるような、爆発反応装甲(ERA)ブロックの全てを装着した完全に無傷のT-72AVは今ではますます珍しい光景になった。
T-72AVと一緒に運用されているこの戦車はT-72 'ウラル'であり、これは内戦の開始前にシリアが得た最初のかつ最も量が少ないT-72の型である(写真)。
この戦車には訓練用のレーザー交戦装置が装備されている(写真)。
T-72 'ウラル'は、TPD-2-49ステレオ式測遠機が砲塔から突き出ており、サイドスカートも後の型がゴム製のサイドスカートであるのに対してヒレ型の装甲パネルを装備していることから、他のT-72のバリエーションと容易に識別できる。
2012年の演習にて標的を狙うM-46/130mm野砲の砲列(写真)。
いくらかの他種類の野砲が外国から届けられたり、内戦の間に保管状態から引き出されたとはいえ、130mmのM-46と122mmのD-30はシリア軍の主要な野砲のままである。
限られた数のM-46/130mm砲はその機動性と有効性の向上を目的としたプログラムの下、メルセデス・ベンツのトラックに搭載されている。
そして、中国のBEE4/130mmロケット補助推進弾(RAP)がこのプラットフォームで使用するために特別に調達され、M-46/130mm砲の運用能力を大幅に向上させた。
これについて多数の砲の改修が計画されていたにもかかわらず、内戦の開始が本格的な生産の開始を妨げたことから、それに従ってこの車載型は比較的珍しいタイプのままとなっている。
2010年の演習から、3台のT-55(A)MVと1台のBMP-1の車列が進行中の状況(写真)。
シリア軍の膨大な戦車及びBMP群はかつてはイスラエルが占領していたゴラン高原上において共同で運用される予定ではあったが、今では多くの車輌がシリアを平定すべく戦う様々な部隊や民兵に付随した運用をされている。
第4機甲師団及び共和国防衛隊の部隊だけが組織化されたやり方と、(時には)歩兵の支援を受けながらAFVを運用し続けている。
シリア軍のT-55(A)MV群は伝統的にゴラン高原沿いに集中して配置されていており、現在使用されているイスラエルの戦車と比べて旧式だが、それらの戦闘効率はT-72 'ウラル'およびT-72M1を上回ると主張できる。
T-55(A)MVは、コンタークト-1爆発反応装甲(ERA)、KTD-2レーザーレンジファインダー、スモークディスチャージャー、アップグレードされたエンジン、そして9M117Mバスチオン対戦車ミサイルを発射する能力を備えている。
いくつかタイプのミサイルはT-55自体の価格より高いため、内戦での使用例はシリアのクネイトラ県での作戦中でしか見られていない。
現用のAK(M)と他の(外国の)派生型を大量のAK-74Mの調達で置き換える計画であったが、内戦がこの大規模な再装備プログラムを中断させた。
伝えられるところによれば、AK-74MはトライアルでイランのKH-2002を含むいくつかの他の競争相手と競合し、結果として後者が参加した10丁のうちの2丁以外全てが故障したという(注:事実上、AK-74Mがトライアルの勝者であることを示す)。
しかし、内戦が推移する間に、シリアは他の現代的なロシア製兵器と共にいくらかの新しいロットのAK-74Mの供給を受けた。
それでもなお、AK(M)-47やPKMといった武器は親アサドの軍隊の中では最も一般的な小火器であり続けている。
作戦区域内を隊列を組んで進行するBMP-1歩兵戦闘車(写真)。
内戦中に大きな損失を被っているBMP-1は、シリアの至る所に広がる各派閥で運用されている姿を見ることができる。
この車両は多くのDIY改造のベースとして活用されており、BMP-1をベースにした多連装ロケット発射機でさえ、最近になって第4機甲師団で運用されている姿が目撃された。
今日の戦場でT-34/85の実戦への再投入が期待されていたが、この伝説的な戦車のシリアにおける最近の目撃はわずか5件に限られたままとなっており、そのうち2件はT-34/85をD-30/122mm榴弾砲で武装したT-34/122mm自走榴弾砲に改修されたものであるが、これらは内戦のずっと以前に退役した。
他の2両のT-34/85はシリアのクネイトラ県において、そのままの姿でイスラエルに直面するトーチカとして配置・使用されている状態が見られた。
これらの戦車は、つい最近まで運用可能だったと思われる。
以下のT-34/85は、内戦の勃発直前に演習中に見られた(写真)。
T-34/85またはT-34/76について言えば、実際、全世界にわたりその優れた作戦能力で使用され続けてはいるが、今日に現存しているのはイエメンと北朝鮮に留まっている。
2012年の演習におけるM-160/160mm迫撃砲(写真)。
内戦初期の段階で大量の使用されたことを見てみると、抗議と武装蜂起がまだ都市に限定されていたときに(内戦が拡大する前に)、これらと他の重迫撃砲は反乱を起こした地域の砲撃のために、たびたび都市郊外の周囲に配置された。
近年になって、シリア陸軍はM-160のほかにロケット弾発射体を搭載した追加のM-240/240mm迫撃砲が補充されたと考えられている。
最近の演習で、2両のBMP-1が敵の拠点に対する、AFVと歩兵と協同した襲撃を想定した訓練を実施している(写真)。
これは素晴らしい宣伝映像に役立つとはいえ、このように調整された襲撃は、今日の内戦では限られた数の親アサドの部隊だけによって(正確に)実行されている。
その反対陣営では、アル=ヌスラ戦線(最近になってレバント征服戦線と改名された)がアレッポのアサド政権が維持する領域を襲撃する際に、主にT-72とBMP-1での協同した運用を多用している。
シリア陸軍の兵士達が、演習中にBMP-1の兵員室乗降部に向かって走っている(写真)。
画像の兵士は、現在のごちゃ混ぜした軍服や装備をした同軍兵士と比較すると相対的によい装備をしているようだ。
シリア陸軍は内戦の勃発直前にヘルメットや防弾ベストを含む中国で生産された戦闘装備を大量に取得したが、戦場での優位を獲得するためにますます多くの新兵が集まり始めると、簡単に在庫が尽きた。
BM-21が、40連装122mmロケット弾のうちの1発を目標に向けて発射している(写真)。
BM-21は、シリア軍で最も多く運用されている多連装ロケット砲(MRL)である。
これまでにかなりの数の北朝鮮製BM-11/122mmMRLと一緒に運用されていた型は、以前にシリアが保管していたT-54及び古いT-55と共にレバノンへ供与された。
シリア軍は保有するボルケーノ(注:政権側のDIY的ロケット弾)及び220mm、300mm、302mmの多連装ロケットの数を増加し、質的な火力を相当に増加させることによって、BM-21の多数の損失をいくらか補償している。
シリア北部で行動している反政府勢力は、最近、とある湾岸諸国の1つによって東欧から得たBM-21を受け取り、シリアにおけるこのシステムの拡散をさらに促進させている。
※ この編訳元の記事は、2016年11月に投稿されたものです。
当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが大きく異なる箇所があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読願います。
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この演習はシリアにおける治安状況がますます悪化している最中に実施され、国際社会からリビアに対するような介入の呼びかけにまで至った。
これに反応して、シリア軍は数日間の演習を実施し、外の世界へ強さを見せつけた。
シリアではT-82としても知られているT-72AVが、ダマスカス郊外県での演習中に見ることができた(写真)。
シリアでは、「T-82」群が対戦車ロケット(RPG)や対戦車ミサイル(ATGM)の大規模な拡散により大きく苦戦しているが、いまだにかなりの量が運用され続けている。
下の画像に見られるような、爆発反応装甲(ERA)ブロックの全てを装着した完全に無傷のT-72AVは今ではますます珍しい光景になった。
T-72AVと一緒に運用されているこの戦車はT-72 'ウラル'であり、これは内戦の開始前にシリアが得た最初のかつ最も量が少ないT-72の型である(写真)。
この戦車には訓練用のレーザー交戦装置が装備されている(写真)。
T-72 'ウラル'は、TPD-2-49ステレオ式測遠機が砲塔から突き出ており、サイドスカートも後の型がゴム製のサイドスカートであるのに対してヒレ型の装甲パネルを装備していることから、他のT-72のバリエーションと容易に識別できる。
2012年の演習にて標的を狙うM-46/130mm野砲の砲列(写真)。
いくらかの他種類の野砲が外国から届けられたり、内戦の間に保管状態から引き出されたとはいえ、130mmのM-46と122mmのD-30はシリア軍の主要な野砲のままである。
限られた数のM-46/130mm砲はその機動性と有効性の向上を目的としたプログラムの下、メルセデス・ベンツのトラックに搭載されている。
そして、中国のBEE4/130mmロケット補助推進弾(RAP)がこのプラットフォームで使用するために特別に調達され、M-46/130mm砲の運用能力を大幅に向上させた。
これについて多数の砲の改修が計画されていたにもかかわらず、内戦の開始が本格的な生産の開始を妨げたことから、それに従ってこの車載型は比較的珍しいタイプのままとなっている。
2010年の演習から、3台のT-55(A)MVと1台のBMP-1の車列が進行中の状況(写真)。
シリア軍の膨大な戦車及びBMP群はかつてはイスラエルが占領していたゴラン高原上において共同で運用される予定ではあったが、今では多くの車輌がシリアを平定すべく戦う様々な部隊や民兵に付随した運用をされている。
第4機甲師団及び共和国防衛隊の部隊だけが組織化されたやり方と、(時には)歩兵の支援を受けながらAFVを運用し続けている。
シリア軍のT-55(A)MV群は伝統的にゴラン高原沿いに集中して配置されていており、現在使用されているイスラエルの戦車と比べて旧式だが、それらの戦闘効率はT-72 'ウラル'およびT-72M1を上回ると主張できる。
T-55(A)MVは、コンタークト-1爆発反応装甲(ERA)、KTD-2レーザーレンジファインダー、スモークディスチャージャー、アップグレードされたエンジン、そして9M117Mバスチオン対戦車ミサイルを発射する能力を備えている。
いくつかタイプのミサイルはT-55自体の価格より高いため、内戦での使用例はシリアのクネイトラ県での作戦中でしか見られていない。
間違いなく現在の戦場で最も恐れられているRPGである、RPG-29で兵士が照準を合わせている(写真)。
PG-29V/105mmタンデム弾頭はこれまでにシリア陸軍の戦車群、特にT-72に対して莫大な損失をもたらしている。
T-55(A)MV及びT-72AVの両方は、戦車自身の生存性を向上することをねらいとしたERAを装備しているが、これらのタンデム弾頭はそのような装甲に対抗するように特別に設計されているため、それを貫徹する際には問題にほとんど直面することはない。
現用のAK(M)と他の(外国の)派生型を大量のAK-74Mの調達で置き換える計画であったが、内戦がこの大規模な再装備プログラムを中断させた。
伝えられるところによれば、AK-74MはトライアルでイランのKH-2002を含むいくつかの他の競争相手と競合し、結果として後者が参加した10丁のうちの2丁以外全てが故障したという(注:事実上、AK-74Mがトライアルの勝者であることを示す)。
しかし、内戦が推移する間に、シリアは他の現代的なロシア製兵器と共にいくらかの新しいロットのAK-74Mの供給を受けた。
それでもなお、AK(M)-47やPKMといった武器は親アサドの軍隊の中では最も一般的な小火器であり続けている。
作戦区域内を隊列を組んで進行するBMP-1歩兵戦闘車(写真)。
内戦中に大きな損失を被っているBMP-1は、シリアの至る所に広がる各派閥で運用されている姿を見ることができる。
この車両は多くのDIY改造のベースとして活用されており、BMP-1をベースにした多連装ロケット発射機でさえ、最近になって第4機甲師団で運用されている姿が目撃された。
今日の戦場でT-34/85の実戦への再投入が期待されていたが、この伝説的な戦車のシリアにおける最近の目撃はわずか5件に限られたままとなっており、そのうち2件はT-34/85をD-30/122mm榴弾砲で武装したT-34/122mm自走榴弾砲に改修されたものであるが、これらは内戦のずっと以前に退役した。
他の2両のT-34/85はシリアのクネイトラ県において、そのままの姿でイスラエルに直面するトーチカとして配置・使用されている状態が見られた。
これらの戦車は、つい最近まで運用可能だったと思われる。
以下のT-34/85は、内戦の勃発直前に演習中に見られた(写真)。
T-34/85またはT-34/76について言えば、実際、全世界にわたりその優れた作戦能力で使用され続けてはいるが、今日に現存しているのはイエメンと北朝鮮に留まっている。
2012年の演習におけるM-160/160mm迫撃砲(写真)。
内戦初期の段階で大量の使用されたことを見てみると、抗議と武装蜂起がまだ都市に限定されていたときに(内戦が拡大する前に)、これらと他の重迫撃砲は反乱を起こした地域の砲撃のために、たびたび都市郊外の周囲に配置された。
近年になって、シリア陸軍はM-160のほかにロケット弾発射体を搭載した追加のM-240/240mm迫撃砲が補充されたと考えられている。
最近の演習で、2両のBMP-1が敵の拠点に対する、AFVと歩兵と協同した襲撃を想定した訓練を実施している(写真)。
これは素晴らしい宣伝映像に役立つとはいえ、このように調整された襲撃は、今日の内戦では限られた数の親アサドの部隊だけによって(正確に)実行されている。
その反対陣営では、アル=ヌスラ戦線(最近になってレバント征服戦線と改名された)がアレッポのアサド政権が維持する領域を襲撃する際に、主にT-72とBMP-1での協同した運用を多用している。
シリア陸軍の兵士達が、演習中にBMP-1の兵員室乗降部に向かって走っている(写真)。
画像の兵士は、現在のごちゃ混ぜした軍服や装備をした同軍兵士と比較すると相対的によい装備をしているようだ。
シリア陸軍は内戦の勃発直前にヘルメットや防弾ベストを含む中国で生産された戦闘装備を大量に取得したが、戦場での優位を獲得するためにますます多くの新兵が集まり始めると、簡単に在庫が尽きた。
BM-21が、40連装122mmロケット弾のうちの1発を目標に向けて発射している(写真)。
BM-21は、シリア軍で最も多く運用されている多連装ロケット砲(MRL)である。
これまでにかなりの数の北朝鮮製BM-11/122mmMRLと一緒に運用されていた型は、以前にシリアが保管していたT-54及び古いT-55と共にレバノンへ供与された。
シリア軍は保有するボルケーノ(注:政権側のDIY的ロケット弾)及び220mm、300mm、302mmの多連装ロケットの数を増加し、質的な火力を相当に増加させることによって、BM-21の多数の損失をいくらか補償している。
シリア北部で行動している反政府勢力は、最近、とある湾岸諸国の1つによって東欧から得たBM-21を受け取り、シリアにおけるこのシステムの拡散をさらに促進させている。
※ この編訳元の記事は、2016年11月に投稿されたものです。
当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが大きく異なる箇所があります。
正確な表現などについては、元記事をご一読願います。
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