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2020年5月16日土曜日

「チュチェ」への援助:いかにしてキューバの対潜ヘリコプターは北朝鮮に行き着いたのか




著:ヨースト・オリーマンズ と ステイン・ミッツァー(訳:Tarao Goo)

 NK News用に提供された私達の最新の記事で、北朝鮮が少なくとも6機の対潜ヘリコプターをキューバから調達したという今までになかった情報が取り上げられました。この事例は、北朝鮮が制裁と経済的苦難の時代の中で装備が整い続けている軍隊を確保していることを再び示しています。


「チュチェ」への援助:いかにしてキューバの対潜ヘリコプターは北朝鮮に行き着いたのか(冒頭のみ)

 2000年代初頭、北朝鮮はハバナとの交渉を通じて自国の未熟なASW能力の是正を試みました。

''冷戦を通じて、北朝鮮の対潜水艦戦(ASW)能力は極めて原始的なものであり、発展する脅威に対抗するため主に水上艦艇と時代遅れの技術に依存していました。
 2000年代初頭から、北朝鮮はキューバから少なくとも半ダースのASWヘリコプターとその装備品を獲得することによってこの状況を部分的に是正しようと試みていましたが、この取引は長い間全く気づかれませんでした。今日では、これらの運用状態ははっきりとしません。

 ロシアで最初のオーバーホールを受けたようですが、キューバが保有する4機のMi-14と少なくとも2機のKa-28(Ka-27の輸出型)が2002年から2004年にかけて年2機の割合で北朝鮮に輸出されました。''

...   

この記事の全文はNK Newsのウェブサイトで読むことができます。
記事: https://www.nknews.org/2020/05/in-aid-of-juche-how-cuban-anti-submarine-helicopters-ended-up-in-north-korea/


おすすめの記事(NK News)

2017年3月20日月曜日

希少な兵器:アンゴラで運用されているキューバのダビドIMV(歩兵機動車)


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 キューバは、かつての指導者フィデル・カストロや、驚くほど共産主義に辛抱強く忠実なこと、そして世界的に有名な葉巻で広く知られています(後者の二つは世界各国に「輸出」されています)。

 その一方で、キューバの武器輸出国としての役割についてはまだまだ不透明なままです。

 近年のキューバでは広範囲にわたる軍事関連装備の製造と改造を開始していますが、このための軍需産業はこれまでの大半を自国の革命軍(Fuerzas Armadas Revolucionarias:FAR)のニーズを満たすために役立てられてきました。その中で、アンゴラ共和国軍で運用されているキューバ製「ダビド」歩兵機動車(IMV)の存在は、非常に注目に値するものとなっています。

 アンゴラとキューバ間の強力な関係は、かつてのポルトガルによる(アンゴラへの)植民地支配に対する解放闘争の間に確立されてアンゴラとその軍隊に重大な影響を与えましたが、過去数十年にわたるアンゴラへの軍用装備の引渡しが具体化されていたことは知られていません。

 両国間の結びつきの継続は21世紀に入ってからもアンゴラとキューバ当局者間の会合で再確認されており、両国の国防相らによって軍事分野における関係の継続と協力の強化をしていくことが表明されています。 [1]

 「イグアナ」としても知られている「ダビド」IMVがアンゴラ軍で運用されていることが最初に目撃されたのはSADC(南部アフリカ開発共同体)の多国間演習「ヴァーレ・ド・ケェーヴェ 2014」でのことであり、その際にはナミビア軍の「キャスパー」MRAPと一緒に模擬演習に登場しました。

 「ダビド」がキューバで最初に目撃されたのはその数年前のことであり、それは1961年のピッグス湾事件の鎮圧を記念した2011年のプラヤ・ヒロン侵攻撃退勝利50周年パレードに参加したときのことでした。

2台のキャスパーMRAPがダビドIMVの車列を先導しています

 「ダビド」はよくMRAPとして識別されることがありますが、より適切な分類としては「歩兵機動車(IMV)」です。

 この車両に関するプロジェクトはDIY的なものであることから、「ダビド」はその大部分がさまざまな種類の軍用車両から取り外した部品の興味深い組み合わせであることを示しています。例えば、シャーシはソ連製「GAZ-66」トラックのものであり、それに装甲化されたボディが搭載されています。このIMVの装甲値は不明ですが、全周防御力は小火器の銃撃と爆発物の破片から車体を保護するには十分なものと思われます。

 「ダビド」の武装は「BTR-60」か「BRDM-2」の砲塔から取り外された一門の7.62mm PKT軽機関銃ですが、(この別車両の主武装という)異なる役割で機能するように改修され、その過程で砲塔が失われています。また、これらの車両はダビドに最大で4つ設けられている兵員用ハッチの出どころでもあります。

 このIMVには2種類の派生型が存在していることが知られており、一つは兵員用ハッチを装備しないタイプ(注:上部ハッチが前部座席直上に1基のみ)で、もう一つはアンゴラでも運用されている派生型、つまり4つの兵員用ハッチを装備したタイプです。
 また、「ダビド」の両側面には(BTR-60などから転用されたと思しき)銃眼付きの視察窓が備えられていることにも注目する必要があります。


 従来の「GAZ-66」と「UAZ-469」に代わって、「BM-21」多連装ロケット砲(MRL)大隊の指揮車両としての役割を担う別の派生型も存在します。
 
 同様に、余剰となった「UAZ-469」は特殊部隊用の高速攻撃車両へ転用されています。このことは、欠乏から逃れることができないこの国では、完全に使い切るまで真の意味で退役する装備がほとんど存在しないことを示しています。[2]
 
 
 「ダビド」には。兵員ハッチや機関銃手用のスペースに代わって、ルーフに大型アンテナや衛星通信アンテナを搭載した通信車を含む、さらに特殊化された派生型も存在します。

 これらの車両は、(キエフからベルリンまでの同じ距離をカバーする)キューバの広大な国土を防衛する3つの異なる地域軍間の効率的な通信を確保するためのものです(注:キューバ陸軍は東部軍・中部軍・西部軍の3つに区分されています)。
 

 「ダビド」IMVの製造に先立ち、すでにキューバは戦場での防御力を強化するために武装の交換や装甲を追加することで数種類の車両を製造・改造に関する僅かな経験を持っていました。これらの車輌の少なくとも一部は、後にアンゴラで使用されました。アンゴラでは、キューバ陸軍と空軍の派遣部隊が1970年代から80年代にかけてUNITA (アンゴラ全面独立民族同盟)やFNLA (アンゴラ民族解放戦線)、FLEC (カビンダ解放戦線) 、そして南アフリカ国防軍(SADF)と敵対するMPLAを支援するために戦っていたのです。


 アンゴラに派遣されたキューバ軍部隊は主に軍事顧問や対内乱作戦で活躍するだけではなく、SADFとの直接的な戦闘も頻繁に繰り広げました。

 SADFを打ち破ったことが南アフリカのアンゴラ内戦からの撤退と(1990年にナミビアとなる)南西アフリア独立の承認を引き起こしたとよく信じられていますが、 キューバ軍もSADFの手によって相次ぐ敗北を被りました。

 しかし、彼らが持つ回復力は最終的にSADFに関与とリソースを大幅に増やさなければこの紛争で勝利を得ることはできないと確信させました。基本的に、キューバ人はアンゴラで軍事的な勝利ではなく自身の存在そのものによる戦略的な勝利を得たのです。

バンデーラ-VI-M「Remulgadas」沿岸防衛システムの指揮車として登場したダビドIMV。PKT機関銃にも注目してください。

 帰国したキューバの派遣部隊はアパルトヘイトの南アフリカを打ち破った勝者として歓迎されましたが、程なくしてキューバは国内で大きな問題に直面しました。貿易と収益をソ連に大いに依存していたキューバは、ソ連の崩壊によって経済に壊滅的な悪影響を受けたのです。

 キューバ軍も大打撃を受け、すぐにスペアパーツと燃料の不足に直面しました。その結果として、大量のAFVや航空機が保管状態に置かれ、海軍の大型艦艇と潜水艦が退役に追い込まれてしまいました。

 近年では、キューバ軍の戦闘能力の向上を図ることを目的とした新しい装備へと改修するため、余剰となっていた車両と装備が保管庫から持ち出されました。ときには戦時にほとんど戦力とならないような疑わしい代物になるだけではなく、「ダビド」IMVといった、より現実的なプロジェクトに至ることもありました。

 これらの優れた改修の例には、地対空ミサイルの発射機を「T-55」戦車の車体に合体させた車両と対戦車砲や対空砲、そして野砲を「BMP-1」の車体や「T-55」だけでなく第二次大戦時代の「T-34/85」の車体に搭載したものが含まれています。

  
 
 世界中の国々でより多くのキューバ製兵器が出現する見込みについては可能性が非常に低いものの、アフリカでこのような「外来種」の車両が目撃されたことは国際武器市場の複雑さと不透明性を再び示しています。それに伴い、軍備が拡散する道筋を追跡し続けるための正確な分析が必要不可欠です。

 (その多くが北朝鮮を含む型破りな出どころから入手された)アンゴラ軍の極めて多様な戦闘車両の兵器庫に追加されたということからも、「ダビド」IMVはそのような事実の優れた実例として役立つでしょう。

[1] Cuba and Angola will grow their military cooperation between the two armies https://www.armyrecognition.com/august_2011_news_defense_army_military_industry_uk/cuba_and_angola_will_grow_their_military_cooperation_between_the_two_armies_1009111.html
[2] The Oryx Handbook of Cuban Fighting Vehicles https://www.oryxspioenkop.com/2019/08/cuban-fighting-vehicles.html

 ものです。当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所が
 あります。


おすすめの記事

2016年11月30日水曜日

オリックスのハンドブック:キューバの軍用車両・重火器


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

お知らせ:

  1. 装備名をクリックすると、キューバ軍で使用されている装備の画像を見ることができます。
  2. 一つの名称で知られている装備に派生型が存在する場合は、それらを追加して表示しています。
  3. 日本語版では、各種砲の口径を後に表示しています。また、正確な用途が判明しない自走砲は「自走砲」、用途が明確か下記の表記がなされているものについては細かく表示しています。また、対空砲については特に機関砲・高射砲などの分類をしていません。
  4. 最終更新日は2019年8月22日です(日本語版は2021年6月11日)。

略称について:

- CBAF (Carro Blindado de Apoyo de Fuego) = 火力支援車両

- CBE (Carro Blindado de Exploración) = 装甲偵察車

- CBI (Carro Blindado de Infantería) = 装甲歩兵車

- C-AP (Cañón Autopropulsado) = 自走砲

- C-AP-AT (Cañon Autopropulsado Anti-Tanque) = 対戦車自走砲

- C-AP-MP (Cañon Autopropulsado Multipropósito) = 多目的自走砲

このリストやリスト内の一部の編集された写真について、Oryxブログが出典であることを明示せずに転載することを固く禁じます。

特別協力:Foro Militar General と Sahureka氏


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