ラベル T-72 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル T-72 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年2月5日日曜日

モスクワ連合:ロシアに引き渡された武器と装備類(一覧)


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

  1. 以下に列挙した一覧は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻でベラルーシとイランがウクライナに引き渡した軍事装備の追跡調査を試みたものです。
  2. 一覧の項目は武器の種類ごとに分類されています(各装備名の前には供給国を示す国旗が表示されています)。
  3. 一部の武器供与については機密扱いであるため、寄贈や売却された武器などの数量はあくまでも最低限の数となっています。
  4. 個人で調達したものや、動員兵のために購入した市販の個人装備はこの一覧には含まれていません。
  5. この一覧はさらなる軍事支援の表明や判明に伴って更新される予定です。
  6. 各兵器類の名称をクリックすると、ロシアで使用されている当該兵器類の画像を見ることができます(ロシアで使用されている画像が確認されていないものは、同型兵器の画像や出典が表示されます)。


無人戦闘航空機(UCAV)

徘徊兵器

戦車

装甲戦闘車両

歩兵戦闘車

歩兵機動車

トラック


弾薬類

兵器の部品など

個人装備

特別協力:UAWeapons

※ この記事は2022年11月28日に「Oryx」本国版(英語)に投稿された記事を翻訳したも

2022年11月18日金曜日

2022年9月のキルギス・タジキスタン国境紛争で両軍が喪失した装備(一覧)


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 古くからあるキルギスとタジキスタン間の水紛争を原因とする一連の国境における小競り合いが、2021年4月に続いて2022年9月14日にも勃発しました。

 今回はタジキスタン軍は戦車と大砲を用いてキルギスのとある村に侵攻し、バトケンの町を砲撃したのです。

 砲兵戦力に関してはタジキスタンが優勢ですが、キルギスはタジキスタンの戦車や多連装ロケット砲(MRL)に反撃するために新たに導入した「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機(UCAV)を投入しました。この地域にTB2を撃墜可能な地対空ミサイル(SAM)を展開しさせていなかったため、タジキスタン軍の機械化部隊は上空の見えない敵に対して非常に脆弱であることが証明されました。

 国境での武力衝突は2日間続き、その後の2022年9月16日夜には双方が停戦に合意することができたものの、平和は僅か1日しか続きませんでした。ただし、双方が状況をこれ以上エスカレートさせることを望んでいなかったことから、結果として今回の衝突はより永続的な和平協定が調印される9月20日まで続いたようです。

 キルギスとタジキスタンの両国は共に国境問題を平和的手段によって解決するための努力を継続することを表明し、信頼の証として国境から追加の軍用装備と部隊を撤退させることに同意し、今回の武力衝突は終結に至りました。

  1. 下に記されている兵器類の名称に続く数字をクリックすると、破壊や鹵獲された当該兵器類の画像を見ることができます。
  2. この一覧は、写真や映像によって証明可能な撃破または鹵獲された兵器類だけを掲載しています。したがって、実際に喪失した兵器類は、ここに記録されている数よりも多いことは間違いないでしょう。 

キルギス (損失数:4, このうち撃破:2, 損傷:1, 鹵獲:1)

歩兵機動車 (1, このうち鹵獲:1)

トラック・車両類 (3, このうち撃破:2, 損傷:1)


タジキスタン (損失数:4, このうち撃破:4)

戦車 (2,このうち撃破:2)

多連装ロケット砲(1, このうち撃破:1)

トラック・車両類 (1, このうち撃破:1)

※ この記事は2022年10月3日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳した 
 ものです。

2022年2月4日金曜日

非常に珍しいAFV:トルクメニスタンの「T-72UMG」戦車



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 多くの中央アジア諸国と同様に、トルクメニスタンはソ連から受け継いだり、過去数十年間に外国から導入した装甲戦闘車(AFV)から構成されている魅惑的な機甲部隊を運用しています。

 後者の装備については、ロシアから「T-90S」、「BMP-3」、「BTR-80A」などの近代的なAFVを、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、UAE、中国といった国から大量の歩兵機動車(IMV)を調達することでその供給元が明示されました。AFVの供給元には米国、オーストリアとベラルーシも含まれているため、その結果として、上記のAFVと共に多様性に富むこの国の軍用車両の兵器庫を形成しています。

 これらの新しく導入したAFVに加えて、トルクメニスタンはソ連時代の(数種類の)AFVに関する多数のアップグレード計画を立ちあげました。

 現在、トルクメニスタンが保有する「BTR-80」装甲兵員輸送車(APC)の多くは、ウクライナやトルコが設計した戦場での有効性を大幅に高める遠隔操作式銃架(RWS)を装備しています。

 これらの発展に先立ち、トルクメニスタンは00年代に多数の「T-72」戦車と「BMP-1」歩兵戦闘車(IFV)をそれぞれ「T-72UMG」と「BMP-1U"シクヴァル"」規格に近代化するために、ウクライナと契約を結びました。

 トルクメニスタンの「T-72」をUMG規格に改修したことは、この時代にウクライナが締結に成功した数少ない戦車改修事業の一つです。成功例が少ないといっても海外に売り込むプロジェクトが不足していたわけではありません。実際、ウクライナの軍需産業は輸出先を見込んで次々と改修プログラムを出していました。

 しかし、大多数の国は「T-55」や「T-72AV」の精巧な改修計画よりも未改修の中古戦車に興味を示しました。この理由はおそらく顧客が(正確に)費用便益比をより有利に見積もった結果ですが、ウクライナが思いつきの改修計画を実際に大量生産することが非現実的だった点もその一因に含まれていたであろうことは言うまでもありません。


 現在、トルクメニスタン陸軍は「T-72 "ウラル"」や「T-72A」の初期・後期型だけでなく限られた数のT-72AVで構成される多種多様なT-72戦車群を運用しています。

 隣国のウズベキスタンやカザフスタンとは異なり、トルクメニスタンはソ連時代に駐留していた旧式戦車の詰め合わせで戦力を間に合わせる必要があったため、結果として「T-72B」や「T-80」などのより高度な戦車が不足しています。

 そうは言っても、トルクメニスタンはソ連崩壊後にこの地域で最新のMBTを購入した唯一の国であり、現時点で中央アジアにおける唯一の「T-90S」運用国でもあります。
 「T-90S」を入手する以前の時点で、すでにトルクメニスタンは大量の「T-72」を大幅に近代化することを通じて戦車部隊の戦力を強化しようとしていました。同時期にウクライナは多数の「T-72」改修計画を売り込んでいましたが、その中でも「T-72UMG」はおそらく最も知られていないものに違いありません。[1]

 それにもかかわらず、UMG規格は新型装甲、新型の昼夜兼用照準装置、発煙弾発射機、遠隔操作式式の「NSV」12.7mm重機関銃、そして新しいV-84エンジンを搭載することで「T-72」のほぼ全ての能力を大幅に向上させることを求めた改修型です。

 「T-72UMG」の最も注目すべき特徴は、ほぼ間違いなく砲塔に「コンタークト5」爆発反応装甲(ERA)が装着されていることでしょう。

 UMG規格への改修は、当初、北アフリカや中東の顧客を対象にしていたと考えられています。しかし、これらの地域の国々との契約は実現せず、最終的にトルクメニスタンがこの改修パッケージを購入した唯一の国となりました。



 トルクメニスタンにおけるUMG規格への改修は「T-72A(ヘッダーの画像)」だけでなく、多数の「T-72」の初期型「ウラル」(下の画像)にも施されたようです(注:よく見ると砲塔上部の前面に「ウラル」特有のステレオ式照準器があります)。

 ウクライナがおそらくトルクメニスタン陸軍が保有する「T-72」のほとんどを含む、はるかに大規模な改修の契約を目にしたと考えられる可能性はありますが、最終的に改修された戦車の数は数十台程度に限定されたようです。なぜならば、トルクメニスタンがロシアから「T-90」を調達し始めた2010年頃には、それ以上の「T-72」を改修する事業が実質的に終了してしまったからです。





 平均的なAFVマニアにとって、おそらくトルクメニスタンは難解な派生型を探す際にすぐに頭に思い浮かぶような国ではないでしょう。「T-72UMG」は多数のAFVと共にこの先入観が間違っているという事実を証明しています。

 UMG規格への改修された「T-72」の数は著しいものではありませんでしたが、トルクメニスタンの「T-72」群を完全に新型戦車へ置き換えるよりも安価な代替案として、将来的に同国の「T-72」を改修する必要が生じた際には、その入札プロセスに再びウクライナ企業が参加する可能性があります。しかし、彼らはトルコ、イスラエル、セルビア、ロシア企業との厳しい競争に直面するでしょう。なぜなえらば、これらの企業の全てが武器市場におけるこの国でのシェアを獲得したがっているからです。

 このような改修計画がどんな結果になろうとも、次の近代化改修が進められるならば、結果として完成したAFVはすでに使用されている魅惑的な – あなた方が全く予期しないこの国ではっきりと発見されたデザインの多様性の証しであるトルクメニスタン群が保有する機甲戦力のリストに加わることになるだけでしょう。



[1] https://en.wikipedia.org/wiki/T-72_operators_and_variants#Ukraine

※  この翻訳元の記事は、2021年8月7日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事   
  を翻訳したものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇    
  所があります。



2021年9月29日水曜日

アシガバートからのスナップショット:トルクメニスタンの軍事パレード2021



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 9月27日(月)、トルクメニスタンはソ連からの独立達成30周年を記念して、軍事パレードを実施しました。トルクメニスタンの豪華な軍事パレードは、最新の軍事装備を披露する絶好の機会となっています。

 2007年にはグルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領が(トルクメンバシ:トルクメン人の長として知られている)故サパルムラト・ニヤゾフから権力を引き継ぎ、すぐに自国の軍事力強化を目的とした一連の新たな施策を導入しました。

 近代的な装備のストックを大幅に増やし、国内外の脅威に対処するための訓練を強化したこととは別に、これらの施策はセルビア、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、UAE、中国といった国々から数多くの兵器を導入することでも実現しました。

 その他の兵器供給国にはロシア、アメリカ、ブラジル、イタリア、オーストリア、ウクライナ、フランス、ベラルーシが含まれており、前述の国の兵器と一緒に、この国の軍隊を非常に多種多様な軍備のストックで最高潮に至らせました。

 毎年恒例の(いつも同じものの繰り返しである)パレードとは異なり、今回は首都アシガバートのすぐ外側にある真新しいパレード会場で実施されました。 



 T-90戦車(前)に続いて数台のT-72UMGが登場しました(下の画像)。後者は、ベースとなるT-72をウクライナでアップグレードしたものであり、新型装甲や照準装置、発煙弾発射機、遠隔操作式重機関銃、新型エンジンの搭載によって、T-72のほぼ全能力を大幅に向上させた派生型です。

 T-72UMGの最も注目に値する特徴としては、砲塔に「コンタークト-5」爆発反応装甲(ERA)が装着されていることでほぼ間違いないでしょう。

 トルクメニスタンにおけるT-72UMGに関する私たちの記事は、ここで読むことができます(注:後日に邦訳予定)。



 BMP-2D歩兵戦闘車(IFV)に続いて、ウクライナの「シクヴァル」戦闘モジュール(砲塔)でアップグレードされたBMP-1が登場しました(下の画像)。 



 後方から撮影した、30mm機関砲を装備した数台のBTR-80A IFVと、ウクライナの「グロム」兵装ステーションでアップグレードされたBTR-80が2列に並んで行進している状況(下の画像)。

 無人の「グロム」モジュールは、30mm機関砲が1門、副武装として30mm自動擲弾銃、7.62mm機関銃が各1門ずつ、そして9M113(AT-5)「コンクールス」対戦車ミサイル(ATGM)4発を搭載されており、14.5mm機関砲と7.62mm機関銃しか装備していない通常のBTR-80の攻撃力を著しく向上させています。



 BTR-80Aの砲塔を装備したセルビア製の「ラザー3」IFV(下の画像)。

 これらの車両は、トルクメニスタンが保有する兵器の中でも最も新しく追加されたものであり、「ラザー3」はトルクメニスタン軍に就役されたのではなく、国家保安省で運用されています。 



 イスラエルのIMI「コンバット・ガード 4x4」に続き、中国の東風「猛士」3台とロシアのカマズ「タイフーン 6x6」MRAPが登場しました。これらも、この国の装甲戦闘車両(AFV)群に新たに追加されたものです(下の画像)。



 UAEのインカス「タイタン-DS」(下の上段の画像)とトルコのBMC「キルピ」歩兵機動車(IMV)(下の下段の画像)。前者はトルクメニスタンが導入した最新型のIMVです。

 この国は以前にUAEから多数の「ニムル」戦術車両を購入したことがあります。ただし、それらの数はトルクメニスタンがトルコ、サウジアラビア、イスラエル、UAE、オーストリア、ベラルーシを含む多数の供給国から購入した非常に多くのIMVと比較すると存在感が薄いものとなります。




 アメリカのポラリス社が製造する「MV850」全地形対応車(ATV)や「MRZR」「DOGAR」戦術車両も登場しました(下の画像)。





 ベラルーシ製「BM-21A」122mm多連装ロケット砲(MRL)が行進しています(下の画像)。

 このMRLは「ウラル-375D」よりも性能が向上している「MAZ-631705」トラックに搭載されています。搭載するトラックをMAZにしたことで全長が長くなったことは、このMRLシステムにさらに40発の122mmロケット弾を再装填用として搭載することを可能にさせました。

 これによって、ロケット弾を搭載したトラックから補給を受ける前に、各発射機はもう一度全弾を斉射することができるので、戦闘時における有効性が大幅に向上します。 



 ソ連時代の「2K12(NATOコード:SA-6、下の上段の画像)」と「S-200(NATOコード:SA-5、下の下段の画像)」。両システムともソ連から引き継いだものであり、トルクメニスタンは依然としてこれらをオリジナルの状態(注:未改修)で運用しているようです。

 とは言うものの、このシステムの運用は、近年により現代的な中国製地対空ミサイルシステム(SAM)が導入された後では長続きしないと考えられています。

 「S-200」がもたらす唯一の救いは約300kmという見事なその射程距離であり、トルクメニスタン沿岸で運用を続けている1つのSAMサイトだけでカスピ海の空域の大部分をカバーすることを可能にします。




 ZSU-23「シルカ」自走対空機関砲(SPAAG、前列)と9K35「 ストレラ-10(NATOコード:SA-13、後列)も同様に、オリジナルの状態で運用を続けています。



 十分に装備された兵士たちがイタリア製の「ARX-160」アサルトライフルを手にして行進しています(下の画像)。同ライフルはトルクメニスタン軍の標準的な制式小銃です。

 トルクメニスタン軍は、ほぼ全面的に最新の「ARX-160」とイスラエル製の「TAR-21」アサルトライフルを装備してますが、限られた数のAK-74Mも積極的に使用され続けています。


 
 トルクメニスタン空軍は、「M-346」戦闘機(下の画像)、「A-29B」ターボプロップ軽攻撃機や「C-27J」輸送機を飛来させてパレードに参加しました。これらの全てが近年にイタリアとブラジルから導入されたものです。

 さらに、地上では、トルコの「バイラクタルTB2」UCAVやイスラエルの「スカイストライカー」徘徊兵器が登場しました。

 これらのアセットを導入したことで、トルクメニスタン空軍はこの地域で最も強力な空軍の1つとなりました。

 トルクメニスタンの「M-346」「A-29B」「バイラクタルTB2」に関する記事については、別の記事でチェックしてください(機体名をクリックすると当該ページに移動します)




 世界中で行われる軍事パレードでよく見られる光景のとおり、17機のMiG-29とSu-25が「30」の数字を表した編隊を組んで飛行しました(下の画像)。 



 セレックスES「ファルコ」はトルクメニスタンが導入した最初の中高度UAVであり、合計で3システムが、2011年にイタリアとの870万ユーロの契約で導入されました(下の画像)。[1] [2]



 オートジャイロ「キャバロン」(下の画像)。トルクメニスタンでは、これらのオートジャイロを数機運用しており、このタイプは内務省によって運用されています。 



 トルクメンバシ沖で実施された海上パレードには、海軍の「タランタル」級コルベットが2隻、国境警備隊の(トルコの「ツヅラ」級をベースにした)「NTPB」級哨戒艇が3隻、そして同じく国境警備隊で運用されている少なくとも2隻の「FAC 33」級高速攻撃艇(FAC)が参加しました。 「FAC 33」に関する詳細な情報は、同船をテーマにした私たちの記事で読むことができます(注:日本語)。



おすすめの記事