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2023年8月4日金曜日

エチオピアのイスラエル製小火器:「TAR-21 " タボール"」アサルトライフル


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

※  当記事は、2021年12月4日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したものです。当記事は意 
    訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所があります。

 エチオピア国防軍(ENDF)は、ロシアやウクライナ、そして中国といった国々から調達した武器を主に運用しています。しかし、このエチオピアは時折、武器や装備の入手で他国に目を向けることがあります。これにはドイツ、UAE、イスラエルといった国々の武器メーカーも含まれており、その製品はENDFに広く導入されています。[2]
 
 そのような製品の1つが「IWI」製「TAR-21 "タボール" 」5.56mm口径ブルパップ式アサルトライフルであり、かなりの数が2000年代後半からエチオピアの治安組織の精鋭部隊で使用されています。

 イスラエルはアパルトヘイト体制下の南アフリカに核抑止力の確立すら援助するなど、終始にわたって強力な支援国でありましたが、同国はほかの多くのアフリカ諸国にとっても人気のある武器類の供給者であることが実証されています。

 エチオピアはハイレ・セラシエ1世が統治していた1950年代に初めてイスラエルとの軍事的な連携を構築し、1974年から1991年までエチオピアに存在した共産・社会主義政権下でもイスラエルとの軍事面での協力関係が続けられました。この時代、メンギスツ政権はアラブ諸国とイスラエルの双方と緊密な関係を保っていましたが、後者についてはほぼ秘匿されていました。

 エチオピアとイスラエルの協力な結びつきが軍備の引き渡しという形でも明らかとなったのは、つい最近になってからのことです。

 これには「エアロスター」「ワンダーB」無人航空機(UAV)が含まれており、どちらも今ではエチオピア北部で戦いを繰り広げているティグライの反乱軍に対してほぼ確実に実戦投入されています。[1]

 ENDFで運用されているもう1つのイスラエル製兵器は「サンダー」歩兵機動車(IMV)ですが、これまでのところティグレ戦争では公に目撃されたことはありません。

 エチオピア軍で運用されているイスラエル製の武器で最も知られているのが、「TAR-21」アサルトライフルであることに疑いの余地はありません。

 これは特に、共和国防衛隊の隊員が「TAR-21」を持ちながら自身の筋肉を誇示するポーズをとっている画像がソーシャルメディア上に多数存在していることから、同部隊で「TAR-21」とステロイドの両方が使用されていることが確認されたことによります(注:この文章には冗談も混じっていますが、実際に強烈な印象与えるためにイメージに残りやすい点も否定はできないでしょう)。

 同ライフルのそれほど仰々しくはない使い道として、エチオピア首相の身辺警護要員(PPD)による使用があります。

 エチオピアでは、共和国防衛隊とPPDの軍人が唯一の「TAR-21」ユーザーとなっています。
      

 「TAR-21」は、左右のどちらが利き腕の人でも操作しやすいように排莢口を左右に備えた現代的なアサルトライフルです。このライフルは市街地での運用を想定して設計されており、その要件が最終的にブルパップ式を採用することに至らせました。

 「TAR-21」は世界30カ国以上で使用されており、その確かな特性と高い品質が証明されています。

 より小さな派生型の「タボールX95」は、イスラエル国防軍(IDF)の新制式小銃として採用されています(最近、IDFが「タボール」を「M4」カービンに置き換えるという報道がありましたが、その話は否定されました)。

 エチオピアで使用されている「TAR-21」には2種類の照準器のどちらかが装備されているのが一般的ですが、極めてまれなケースとして40mm擲弾発射器を装備したものも確認されています。注意すべきことは、擲弾発射機は共和国防衛隊が使用する「TAR-21」の一部に装備されているだけで、PPDの軍人はこのような追加装備をほとんど必要としていないことでしょう(注:任務の特性上、擲弾発射機を装備するのは共和国防衛隊に限られるということ)。

 その代わり、アビー・アハメド首相のPPDによって装備されている「TAR-21」では、戦闘中により素早くリロードできるようにダクトテープで2つに連結された弾倉が装填されている場合が一般的なスタイルのようです(注:よく見るとダクトテープではなく、専用のクリップなどで連結されている可能性があります)。

メレス・ゼナウィ首相(当時)のPPDが「TAR-21」を装備している(2010年)

 共和国防衛隊やPPDに現代的な装備が支給されている間にも、エチオピア軍は1950年代製のライフルやヘルメットがまだ残っている可能性がある国中の武器庫を探し求めることを余儀なくされています。そのことを考慮すると、「TAR-21」のような新型の小火器が、まもなくエチオピアの紛争で疲弊した地域にもたどり着くことは考えられないことではないでしょう(注:ENDFが共和国防衛隊から「TAR-21」を譲渡されたり、新たに支給される可能性があるということ)。

 首都アディスアベバを防御する共和国防衛隊の部隊による使用が(ティグレ防衛軍の敗退で)回避されたため、もはやENDFはどんな装備も秘密にしたり、出し惜しみする余裕がなくなるかもしれません。このことは、近いうちに「TAR-21」がENDFの手によってティグレ防衛軍に対して使用される可能性があることを意味します。

 その戦場で「タボール」は、中国、UAE、イランから新たに引き渡されたされた兵器も含む、どんどん多様化するENDFの保有兵器群の仲間入りをすることになるでしょう。

 ※2021年11月に前線地域を視察したアビー・アハメド首相を護衛した共和国防衛隊の隊員が、「TAR-21」だけでなく「X95-SBR」を携行している姿が初めて確認されました。

[1] The Israel Connection - Ethiopia’s Other UAVs https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/the-israel-connection-ethiopias-other.html
[2] Israeli Arms In Ethiopia: The Thunder IMV https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/israeli-arms-in-ethiopia-thunder-imv.html


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2023年7月15日土曜日

繰り返される商業的成功:トルクメニスタンが徘徊兵器「スカイストライカー」を導入した


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 トルクメニスタンはイスラエル製武器と装備類を大規模に導入した国であり、現在までにそれらには「TAR-21」アサルトライフルや数種類の歩兵機動車といったものが含まれています。

 おそらくほとんど知られていないのは、トルクメニスタンがイスラエル製UAVも保有していることでしょう。2021年までの同国におけるイスラエル製UAV飛行隊については、エルビット「スカイラーク」エアロノーティクス・ディフェンス「オービター2B」といったよく知られた偵察任務専用の機体で構成されていました。これらは2010年代初頭に入手したものであり、ソ連時代から受け継いだターゲット・ドローンではないトルクメニスタン初のUAVとなりました。

 イスラエルはいかなる種類の無人戦闘航空機(UCAV)の輸出をしていないことから、トルクメニスタンは武装ドローンを得るべく中国から「CH-3A」と「WJ-600A/D」を、後にトルコから「バイラクタルTB2」の調達を開始しました。[1] [2]

 同様に、この国はイスラエルの「エアロスター」、IAI「ヘロン」や「ヘルメス450」を調達するのではなく、3機のセレックスES「ファルコXN」無人偵察機を導入するためにイタリアに目を向けました。[3]

 これらの機体の導入で、一度はより多くの新型イスラエル製UAVがトルクメニスタン軍での運用に就く機会を失ったように考えられました。

 しかし、2021年9月に実施されたトルクメニスタン独立30周年記念の軍事パレードでは、自国の保有兵器に新しい兵器システム「徘徊兵器」が加わったことが明らかにされたのです。つまり、新カテゴリーの兵器の購入するために、トルクメニスタンは再びイスラエル製UAVの系譜に求めたということになります。

 新規導入した徘徊兵器は実績のある「スカイストライカー」であり、この調達はトルクメニスタンに既存の無人攻撃能力を大幅に拡張させることを可能にします。

 これらを調達する決定が、ナゴルノ・カラバフ上空における非常に効果的な使用を目撃してからなされたという可能性は信じがたい話ではないようです。

 ナゴルノ・カラバフで、アゼルバイジャンはSTM「カルグ」、エアロノーティクス・ディフェンス「オービター1K(とアゼルバイジャン生産型の「Zarba-K)」、IAI「ハロップ」そしてエルビット「スカイストライカー」を投入しました。トルコの「カルグ」以外はイスラエルによって設計・製造されたものです。そえゆえに、世界中に無数の競合相手が出現しているにもかかわらず、イスラエルは徘徊兵器のマーケット・リーダーであり続けています。

 イスラエルは新型の徘徊兵器を導入し続けている一方で、(スカイストライカーなどの)既存のシステムの改良もしていることを考えると、イスラエルが近い将来にその地位を失う可能性は極めて低いと思われます。



 「スカイストライカー」は、2020年のナゴルノ・カラバフ戦争やそれ以前にあった小競り合いでアゼルバイジャンがアルメニア側に対して実戦投入され、多大な効果を発揮しました。

 アゼルバイジャンはスカイストライカーの初期型(下の画像)及びトルクメニスタンも採用した最新型を運用しています。

 1機100万ドル(約1.1億円)と云われるIAI「ハロップ」と比較すると、 「スカイストライカー」は価格が大幅に低いものとなっています。「ハロップ」用の移動式発射システムは合計9機を搭載可能で価格は900万ドル(約10億円)ですが、これは「バイラクタルTB2」UCAV2機分の輸出価格とほぼ同じなのです!この価格で「ハロップ」は1,000kmの射程距離と23kgの弾頭を誇るのに対し、「スカイストライカー」は射程距離が約100kmで、ほとんどの目標を一撃で破壊することに十分な5kgまたは10kgの弾頭を搭載しています。[4][5] [6]

 目標地点に到達すると、この徘徊兵器は5kg弾頭を搭載している場合は最大で2時間、10kg弾頭の場合は最大で1時間は標的を捜索するために滞空することが可能であるほか、仮に標的を発見できなかった場合、「スカイストライカー」は基地に戻して回収することが可能というメリットを持っています。[5]

 巡航中と滞空中の「スカイストライカー」は自律航法を用いますが、標的をロックする際にはジンバル式2重赤外線シーカーに切り替わります。この徘徊兵器が目標に向かって最後の急降下をする間の速度は時速555km以上にも達しますが、最大40ノット(74.08km/h)の風にも精度を僅かに低下させるだけのレベルで耐えることができるため大きな問題とはなりません。[5]

牽引式発射機に搭載されたアゼルバイジャンの「スカイストライカー(初期型)」

 「スカイストライカー」の導入は、間違いなくトルクメニスタンの無人攻撃能力を大きく向上させます。

 この国による徘徊兵器「スカイストライカー」と「バイラクタルTB2」UCAVの調達は、2020年のナゴルノ・カラバフ戦争でアルメニア軍に対して激しい戦闘を経験したアゼルバイジャンが保有する無人兵器の構成を模倣したようです。

 世界中のどこの国でもこの戦争の成功を再現することに熱心であり、モロッコはトルコの「バイラクタルTB2」UCAVとイスラエルの(「スカイストライカー」と思しき)詳細不明の徘徊兵器を入手しました。

  これらの国々は将来における無人機戦のパイオニアであり、より多くの国が確実に彼らの例に倣うことでしょう。


[1] Turkmenistan’s Freak UCAV: The WJ-600A/D https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/turkmenistans-freak-ucav-wj-600ad.html
[2] Turkmenistan Parades Newly-Acquired Bayraktar TB2s https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/turkmenistan-parades-newly-acquired.html
[3] Nurmagomedov’s Birds Of Prey: The Italian Falco XN UAV In Turkmenistan https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/nurmagomedovs-birds-of-prey-italian.html
[4] Harop Loitering Munitions UCAV System https://www.airforce-technology.com/projects/haroploiteringmuniti/
[5] SkyStrikerTactical loitering munitions for covert and precise airstrikes https://elbitsystems.com/media/SkyStriker.pdf
[6] Army buys 'Skystrikers' to carry out Balakot-type missions: How these drones act as force multipliers https://www.timesnownews.com/india/article/army-buys-skystrikers-to-carry-out-balakot-type-missions-how-these-drones-act-as-force-multipliers/807739

 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
 があります。


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2023年5月27日土曜日

新時代の幕開け:チェコが導入を計画したイスラエル製UAV


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ

※ 2023年5月、チェコ軍はイスラエルから「ヘロンⅠ」3機の購入をキャンセルして小型無人機200機を調達する方針を公表しましたしたがってこの記事の情報が現状とそぐわなくなりますことをご承知ください(ただし、チェコ軍は同時に将来的には大型機導入の方針も示しているため、今後の参考となるかもしれません)。

 チェコ軍は、冷戦時代から生き残っている装備の大部分を最終的に現代的な西側製装備に置き換えるという大規模な変革を実施する予定となっています。

 この構想には「レオパルト2A7」戦車 や「CV90 MkIV」歩兵戦闘車、「カエサル 8x8」自走砲 、「スパイダーMR」地対空ミサイルシステム、「AH-1Z」攻撃ヘリコプター、そして最大24機の「F-35」ステルス戦闘機などの兵器の導入が含まれており、その結果として、チェコ共和国は極めて有能で十分に装備が調えられた軍隊を保有することになるでしょう。

 最近報じられたイスラエルからチェコ空軍用に3機の「ヘロンI」 U(C)AVを導入する件は、前述のすでに高度な能力をさらに発展させることになるでしょう。もちろん、これら全てに相当なコストが伴うことは言うまでもありません。

 チェコがイスラエルの「ヘロン」を選んだことは、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアといった近隣諸国とは大きく異なっています。

 ポーランドは2021年5月に合計で24機の「バイラクタルTB2」を発注し、最初の引き渡しは今年の末になると予想されています。同様に、ルーマニアも近いうちに18機のTB2を発注する予定であり、スロバキアもTB2導入の意向を示しています。[1][2] 

 ハンガリーは2021年11月にトルコのレンタテク製「カライェル-SU」トライアルを実施しましたが、その後にTB2の導入にも関心を示すようになりました。[3] 

 その一方で、ドイツは長年にわたって武装ドローンの使用を拒み続けてきた後、2022年に保有する「ヘロン」UAVの能力を強化して対地攻撃能力を付与することを決定しました。[4]

 チェコ空軍はドイツと同じように「ヘロン」の武装化に専念しているようですが、計画されている3機のUAVの導入だけでは持続的な軍事作戦には不十分です。また、提示された1億1000万ドル(約160億円)という調達価格についても、たった3機のUAVが実現できる機能でその高価さを正当化することは厳しいでしょう。[5] 

 これに対し、ポーランドは2021年5月にTB2を24機を、地上管制ステーション、武装、予備部品込みで2億7000万ドル(約390億円)で購入しました。[1] 

 TB2の輸出価格は1機あたり500万ドル(約7.2億円)と推定されています。パッケージ価格が1000万ドル(約14.4億円)だと仮定した場合、「バイラクタルTB2」 1機はチェコ国防省が(売買契約が成立した際に)「ヘロン」に支払うことになる金額より3.5倍以上も安いことになるのです。 

 チェコ国防省は、「イスラエル航空宇宙産業(IAI)」の「ヘロンI」に決定する以前に、多くの国のいくつかのメーカーに打診したことを明らかにしています。[5]

 「ヘロン」導入の決定には、同機のCOMINT(通信情報収集)及びELINT(電子情報収集)のペイロード能力が極めて重要な役割を果たした可能性がありますが、チェコ国防省はイスラエルとの契約について、「IAIが最低でも契約した事業の30%をチェコの防衛産業に関与させる案を提示した場合にのみ締結される」と付け加えたのです。[5] 

 IAIがどのようにしてこれを実現しようとするのかは不明ですが、チェコの防衛産業がたった3機のUAVの生産に30%も関与することは、結論から言えば、少々馬鹿げた提案としか言いようがありません。


 現在、チェコはアメリカから導入した小型のエアロバイロメント製「RQ-11B "レイブン"」及び「RQ-12 "ワスプAE"」、そしてボーイング・インシツ製「スキャンイーグル」無人偵察機を運用しています。

 チェコ軍は、アフガニスタンにおけるNATO主導の多国籍軍の任務に対する貢献の一環として、「RQ-11B」と「スキャンイーグル」の両方をアフガニスタンに配備したことがあります。

 チェコが「ヘロン」を自国の防衛を強化するのではなく、将来的に同様の国際的な任務に用いることを思い描いていると考えられなくもないでしょう。

 実際にチェコ陸軍は、「選定されたシステム(ヘロン)は陸軍内で想定される用途に最も密接に調和しており、訓練の一環としてのチェコ領土内で、または海外での作戦における支援部隊の一部として投入される可能性があるものの、その双方の本格的な使用で将来的に必要とされる要件を満たしています。」と明言しているのです。[6]



 イスラエルから3機の「ヘロン」システムを導入することはチェコにおける無人機運用史に新たな章の始まりを告げることになるもしれませんが、総額で1億1,000万ドルの価格を考慮すると、この章は書かれるその各1文字が非常に高価なものになるのは間違いないでしょう。

 近隣諸国が小型ではあるものの運用面で類似したUCAVの大量調達をする動きを強めていることから、チェコの防衛産業を関与させるという同様の買収目標を通じて(同国のUCAV運用が)より現実的に達成することが可能である一方で、望ましいレベルのNATO統合化を達成が可能と主張することができます(注:近隣諸国と同様にTB2などの安価かつ自由度の高いUCAVを導入することは格段に安いコストで国内産業を関与しつつNATO諸国のUCAVをある程度共通化することに寄与するということ)。

 イスラエルとの契約が無事に完了するかどうかにかかわらず、チェコの軍隊がこの先の10年で、これまでとは全く異なる存在になることを疑う余地はありません。



[1] Looking behind Poland's purchase of Turkish drones https://learngerman.dw.com/en/poland-continues-to-draw-eu-nato-ire-over-turkish-drone-purchases/a-57775109
[2] Slovakia considers Bayraktar buy from Turkey https://www.janes.com/defence-news/news-detail/slovakia-considers-bayraktar-buy-from-turkey
[3] Brutálisan ütőképes Bayraktar harci drónok beszerzését fontolgatja a kormány https://index.hu/belfold/2022/08/19/palkovics-laszlo-torokorszag-dron-bayraktar-magyar-kormany-technologiai-es-ipari-miniszterium
[4] German Coalition Agrees on $166 Million Budget to Arm Drones https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-04-06/german-coalition-agrees-166-million-budget-for-arming-drones
[5] Cena dronů z Izraele nebude 1,5, ale 2,7 miliardy korun https://www.novinky.cz/clanek/domaci-cena-dronu-z-izraele-nebude-15-ale-27-miliardy-korun-40407332
[6] Czech Republic to Purchase Three Heron Drones From Israel https://www.thedefensepost.com/2022/08/09/czech-heron-drones-israel/

※  当記事は、2022年9月15日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したも
 のです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所が
 あります。

2023年4月4日火曜日

不都合な事実:アゼルバイジャンに武器を販売したイスラエルへのアメリカ連邦議会議員の姿勢

「ハロップ」の隣で撮影に応じるアゼルバイジャンのアリエフ大統領

著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ

 イスラエルはアゼルバイジャンにとって武器・装備類の最大のサプライヤーであり、その規模は2016年から2020年までの期間におけるアゼルバイジャンの主要な武器輸入量の実に69%を占めています。[1] [2]

 この数字は2020年のナゴルノ・カラバフ戦争が終結後、さらに増加したと思われます。なぜならば、アゼルバイジャンがこの戦争でかなりの部分を消費してしまった備蓄分の弾薬を戦中と戦後に補充する必要があったからです。[3]

 トルコは頻繁にアゼルバイジャンに対する主要な軍需品の輸出国と思われていますが、2011年から2020年までのアゼルバイジャンの主要武器輸入量でトルコが占める割合は僅か2.9%でした。[4]

 アゼルバイジャンのアルメニアに対する目を見張るような勝利を確実にする上で決定的な役割を果たしたにもかかわらず、イスラエルによるアゼルバイジャンへの武器売却については、アメリカ議会上院にいる忠実なアルメニア支持者たちによって都合よく無視されてきたようです。

 これとは正反対に、アメリカ上院議員(ロバート・メネンデス氏)と下院議員(デイビッド・シシリーヌ氏、ガス・ビリラキス氏)は、トルコのアゼルバイジャンに対する軍事支援を積極的に批判しています。

 彼らの努力によって、トルコによる武装ドローンの輸出が武器輸出管理法(AECA)に違反しているかどうかを明らかにし、「危険で、不安定化要因であり、平和と人権にとっての脅威」であるかどうかも評価するために、同国はアメリカ政府による調査の対象となるでしょう。[5] [6] [7]

 なぜこれらの議員たちがナゴルノ・カラバフ掌握のためにアゼルバイジャン軍を支援したイスラエルの役割に対する調査の要求をしなかったのかという疑問については、おそらく、ビリラキス氏がアメリカ議会内のギリシャ・イスラエル同盟を創設した共同議長であり、シシリーニ氏のウェブサイトに掲載されている米・イスラエル関係に関するページが同国に対する氏の温かい感情を明確に表現しているという事実がその答えとなるでしょう。[8]

 そして、ロバート・メネンデス氏は「おそらく上院で最も熱心なイスラエル支持者である民主党議員」と呼ばれています。[9]

 (紛争の介入といった)暴力行為や武器輸出を独占している国は存在しないため、この問題からは政治的・(イスラエルへの)優遇措置的な匂いが感じられます。

 イスラエルによるアゼルバイジャンへの武器輸出には、徘徊兵器から長射程の「スパイク」対戦車ミサイル(ATGM)、ミサイルを搭載した哨戒艇(OPV)、さらには「LORA」弾道ミサイルまでのあらゆる武器が含まれています。[10]

 また、イスラエルはEU諸国から注文された兵器の荷受人として動くことで、OSCEからアゼルバイジャンに課せられた武器禁輸措置を回避するために同国を何度か手助けもしました。イスラエルが受け取った兵器は、後に外交特権の下で活動する「シルクウェイ・ウエスト航空(注:アゼルバイジャンの航空会社)」の「IL-76」や「ボーイング747」貨物機に積載されてアゼルバイジャンに空輸されたのです。[11]

 アゼルバイジャン軍において、UAVほどイスラエル製兵器の存在が明白になっている種類の兵器は無いでしょう。同国で運用されている20種類のUAVのうち、18種類(90%)がイスラエルのものであり、トルコ製は僅か2種類(10%)です。

 また、イスラエル製UAVの6種類は、弾頭を備えて標的に突入する徘徊兵器です。

 アゼルバイジャン国内(「アザド・システムズ」と呼ばれる合弁会社)で生産されているイスラエルのドローン5機種を別にしても、トルコの機種はアゼルバイジャンが保有するドローンの15%にしか過ぎません。

アゼルバイジャン陸軍で運用されている「LOLA」弾道ミサイル

  1. この一覧を作成した目的は、現時点でアゼルバイジャン軍が運用しているイスラエルの武器類をリスト化することにあります。
  2. 各武器類の名前をクリックすると、アゼルバイジャンで運用されている当該武器の画像を見ることができます。

小火器


装甲戦闘車両(AFV)


(対戦車) ミサイル


無人偵察機


徘徊兵器


自走砲


(無誘導型) 多連装ロケット砲


(誘導型) 多連装ロケット砲


弾道ミサイル
  • LORA [射程: 430km] [CEP: 10m]


地対空ミサイルシステム(SAM)


レーダー


艦艇

[1] Did Azerbaijan’s use of Israeli weapons make the war worse or better? https://www.jpost.com/international/did-azerbaijans-use-of-israeli-weapons-make-the-war-worse-or-better-662442
[2] Arms transfers to conflict zones: The case of Nagorno-Karabakh https://www.sipri.org/commentary/topical-backgrounder/2021/arms-transfers-conflict-zones-case-nagorno-karabakh
[3] Israel sending weapons to Azerbaijan as fight with Armenia rages on: Sources https://english.alarabiya.net/News/world/2020/10/01/Israel-sending-weapons-to-Azerbaijan-as-fight-with-Armenia-rages-on-Sources
[4] Arms transfers to conflict zones: The case of Nagorno-Karabakh https://www.sipri.org/commentary/topical-backgrounder/2021/arms-transfers-conflict-zones-case-nagorno-karabakh
[5] An Analyst’s Perspective: Cicilline and Bilirakis’ Turkish Drone Letter Rebuked https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/an-analysts-perspective-cicilline-and.html
[6] US Senators file amendments to hold Azerbaijan and Turkey accountable https://en.armradio.am/2021/11/04/us-senators-file-amendments-to-hold-azerbaijan-and-turkey-accountable/
[7] Top US senator introduces amendment to track US drone parts to Turkey https://www.middleeasteye.net/news/top-us-senator-introduces-legislation-track-us-drone-parts-turkey
[8] Foreign Affairs https://bilirakis.house.gov/issues/foreign-affairs
[9] Pro-Israel Senator Menendez Issues Rare Rebuke Over Gaza Media Offices Strike https://www.haaretz.com/us-news/.premium-pro-israel-senator-menendez-issues-rare-rebuke-over-gaza-media-offices-strike-1.9811952
[10] Azerbaijan’s Emerging Arsenal Of Deterrent https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/azerbaijans-emerging-arsenal-of.html
[11] Czech Weapons in Azerbaijan: How a Chassis Turned into a Howitzer https://www.investigace.eu/czech-weapons-in-azerbaijan-how-a-chassis-turned-into-a-howitzer/

  翻訳したものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
    があります。



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