2021年9月29日水曜日

アシガバートからのスナップショット:トルクメニスタンの軍事パレード2021



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 9月27日(月)、トルクメニスタンはソ連からの独立達成30周年を記念して、軍事パレードを実施しました。トルクメニスタンの豪華な軍事パレードは、最新の軍事装備を披露する絶好の機会となっています。

 2007年にはグルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領が(トルクメンバシ:トルクメン人の長として知られている)故サパルムラト・ニヤゾフから権力を引き継ぎ、すぐに自国の軍事力強化を目的とした一連の新たな施策を導入しました。

 近代的な装備のストックを大幅に増やし、国内外の脅威に対処するための訓練を強化したこととは別に、これらの施策はセルビア、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、UAE、中国といった国々から数多くの兵器を導入することでも実現しました。

 その他の兵器供給国にはロシア、アメリカ、ブラジル、イタリア、オーストリア、ウクライナ、フランス、ベラルーシが含まれており、前述の国の兵器と一緒に、この国の軍隊を非常に多種多様な軍備のストックで最高潮に至らせました。

 毎年恒例の(いつも同じものの繰り返しである)パレードとは異なり、今回は首都アシガバートのすぐ外側にある真新しいパレード会場で実施されました。 



 T-90戦車(前)に続いて数台のT-72UMGが登場しました(下の画像)。後者は、ベースとなるT-72をウクライナでアップグレードしたものであり、新型装甲や照準装置、発煙弾発射機、遠隔操作式重機関銃、新型エンジンの搭載によって、T-72のほぼ全能力を大幅に向上させた派生型です。

 T-72UMGの最も注目に値する特徴としては、砲塔に「コンタークト-5」爆発反応装甲(ERA)が装着されていることでほぼ間違いないでしょう。

 トルクメニスタンにおけるT-72UMGに関する私たちの記事は、ここで読むことができます(注:後日に邦訳予定)。



 BMP-2D歩兵戦闘車(IFV)に続いて、ウクライナの「シクヴァル」戦闘モジュール(砲塔)でアップグレードされたBMP-1が登場しました(下の画像)。 



 後方から撮影した、30mm機関砲を装備した数台のBTR-80A IFVと、ウクライナの「グロム」兵装ステーションでアップグレードされたBTR-80が2列に並んで行進している状況(下の画像)。

 無人の「グロム」モジュールは、30mm機関砲が1門、副武装として30mm自動擲弾銃、7.62mm機関銃が各1門ずつ、そして9M113(AT-5)「コンクールス」対戦車ミサイル(ATGM)4発を搭載されており、14.5mm機関砲と7.62mm機関銃しか装備していない通常のBTR-80の攻撃力を著しく向上させています。



 BTR-80Aの砲塔を装備したセルビア製の「ラザー3」IFV(下の画像)。

 これらの車両は、トルクメニスタンが保有する兵器の中でも最も新しく追加されたものであり、「ラザー3」はトルクメニスタン軍に就役されたのではなく、国家保安省で運用されています。 



 イスラエルのIMI「コンバット・ガード 4x4」に続き、中国の東風「猛士」3台とロシアのカマズ「タイフーン 6x6」MRAPが登場しました。これらも、この国の装甲戦闘車両(AFV)群に新たに追加されたものです(下の画像)。



 UAEのインカス「タイタン-DS」(下の上段の画像)とトルコのBMC「キルピ」歩兵機動車(IMV)(下の下段の画像)。前者はトルクメニスタンが導入した最新型のIMVです。

 この国は以前にUAEから多数の「ニムル」戦術車両を購入したことがあります。ただし、それらの数はトルクメニスタンがトルコ、サウジアラビア、イスラエル、UAE、オーストリア、ベラルーシを含む多数の供給国から購入した非常に多くのIMVと比較すると存在感が薄いものとなります。




 アメリカのポラリス社が製造する「MV850」全地形対応車(ATV)や「MRZR」「DOGAR」戦術車両も登場しました(下の画像)。





 ベラルーシ製「BM-21A」122mm多連装ロケット砲(MRL)が行進しています(下の画像)。

 このMRLは「ウラル-375D」よりも性能が向上している「MAZ-631705」トラックに搭載されています。搭載するトラックをMAZにしたことで全長が長くなったことは、このMRLシステムにさらに40発の122mmロケット弾を再装填用として搭載することを可能にさせました。

 これによって、ロケット弾を搭載したトラックから補給を受ける前に、各発射機はもう一度全弾を斉射することができるので、戦闘時における有効性が大幅に向上します。 



 ソ連時代の「2K12(NATOコード:SA-6、下の上段の画像)」と「S-200(NATOコード:SA-5、下の下段の画像)」。両システムともソ連から引き継いだものであり、トルクメニスタンは依然としてこれらをオリジナルの状態(注:未改修)で運用しているようです。

 とは言うものの、このシステムの運用は、近年により現代的な中国製地対空ミサイルシステム(SAM)が導入された後では長続きしないと考えられています。

 「S-200」がもたらす唯一の救いは約300kmという見事なその射程距離であり、トルクメニスタン沿岸で運用を続けている1つのSAMサイトだけでカスピ海の空域の大部分をカバーすることを可能にします。




 ZSU-23「シルカ」自走対空機関砲(SPAAG、前列)と9K35「 ストレラ-10(NATOコード:SA-13、後列)も同様に、オリジナルの状態で運用を続けています。



 十分に装備された兵士たちがイタリア製の「ARX-160」アサルトライフルを手にして行進しています(下の画像)。同ライフルはトルクメニスタン軍の標準的な制式小銃です。

 トルクメニスタン軍は、ほぼ全面的に最新の「ARX-160」とイスラエル製の「TAR-21」アサルトライフルを装備してますが、限られた数のAK-74Mも積極的に使用され続けています。


 
 トルクメニスタン空軍は、「M-346」戦闘機(下の画像)、「A-29B」ターボプロップ軽攻撃機や「C-27J」輸送機を飛来させてパレードに参加しました。これらの全てが近年にイタリアとブラジルから導入されたものです。

 さらに、地上では、トルコの「バイラクタルTB2」UCAVやイスラエルの「スカイストライカー」徘徊兵器が登場しました。

 これらのアセットを導入したことで、トルクメニスタン空軍はこの地域で最も強力な空軍の1つとなりました。

 トルクメニスタンの「M-346」「A-29B」「バイラクタルTB2」に関する記事については、別の記事でチェックしてください(機体名をクリックすると当該ページに移動します)




 世界中で行われる軍事パレードでよく見られる光景のとおり、17機のMiG-29とSu-25が「30」の数字を表した編隊を組んで飛行しました(下の画像)。 



 セレックスES「ファルコ」はトルクメニスタンが導入した最初の中高度UAVであり、合計で3システムが、2011年にイタリアとの870万ユーロの契約で導入されました(下の画像)。[1] [2]



 オートジャイロ「キャバロン」(下の画像)。トルクメニスタンでは、これらのオートジャイロを数機運用しており、このタイプは内務省によって運用されています。 



 トルクメンバシ沖で実施された海上パレードには、海軍の「タランタル」級コルベットが2隻、国境警備隊の(トルコの「ツヅラ」級をベースにした)「NTPB」級哨戒艇が3隻、そして同じく国境警備隊で運用されている少なくとも2隻の「FAC 33」級高速攻撃艇(FAC)が参加しました。 「FAC 33」に関する詳細な情報は、同船をテーマにした私たちの記事で読むことができます(注:日本語)。



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2021年9月28日火曜日

カブールからのポストカード: タリバンが鹵獲機を公開した



著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 最近リリースされたビデオからの映像は、タリバンに占領された時点でカブール国際空港に残されていた旧アフガニスタン空軍の航空機やヘリコプターに関する追加的な細かい情報を映し出しています。

 タリバンによる旧アフガン空軍のアセットの再使用を防ぐために米軍が航空機に損傷を与えたことに加えて、この映像ではMi-24V攻撃ヘリ3機がタリバンに無傷で鹵獲されたことも明らかにしています。また、C-208/AC-208多目的(攻撃)機やC-130輸送機といったほかの航空機は、当初に考えられていたよりも被害が少なかったようです。

 現在、タリバン空軍ことアフガニスタン・イスラム首長国空軍の飛行可能な保有機は、MD530F攻撃ヘリコプター×8機、Mi-8/17×約10機、UH-60「ブラックホーク」輸送ヘリコプター×4機で構成されています。より多くのMi-8/17と多数のUH-60が稼働状態にされる可能性がありますが、能力を持った技術者なしでは、全ての「ブラックホーク」の運用寿命は限られたものになる可能性があるでしょう。

 それにもかかわらず、カブールで少なくとも12機のUH-60と14機のMi-8/17が鹵獲されたことは、タリバンに今後何年にもわたって安定したスペアパーツの供給源もたらす可能性があることを意味するでしょう。

カブール空港で遭遇した、最低でも3機ある旧アフガニスタン空軍のC-130のうちの1機。

この機体はカブール陥落以前の時点ですでに稼働していませんでした。3番エンジンのプロペラがフェザリング状態であることに注目。

カブールに残存していたほかの旧アフガニスタン空軍機とは異なって、このC-130はアビオニクスが破壊されていませんでした。

2機目のC-130。この機体の運用状況は不明のままです。

カブールで無傷で鹵獲されたMi-24V(Mi-35)攻撃ヘリの少なくとも3機のうちの1機。米軍の手によっていかなる損傷も受けていないようなので、これらの機体は将来のアフガニスタン・イスラム首長国空軍の中核を形成するでしょう。

これらのヘリコプターは、もともと2019年10月にインドがアフガニスタンに贈ったものです。インドは自国のヘリコプターを引き渡すのではなく、ベラルーシにMi-24Vのオーバーホールと納入を委託しました。

C-208/AC-208の多目的・攻撃機が5機並んでいます。手前のAC-208はレーザー誘導のAPKWS精密誘導弾(PGM)を搭載するロケット弾ポッドを装備しています。

このC-208はエンジンが取り外されており、機体が後方へ転倒することを防ぐため、エンジンの代わりとして機首に3つのタイヤが積まれています。

C-208多目的機が5機並んでいます。真ん中の機体はエンジンが搭載されていないため、若干後ろに傾いています。

カブール空港の軍用地側にあるヘリコプター用格納庫の一角。

この格納庫には主にMD530Fと少なくとも2機のUH-60が格納されていましたが、どれもが窓や計器盤に大きな損傷を受けていました。

このMD530Fはエキゾーストパイプでさえも損傷が加えられていました。

格納庫にあるUH-60のうちの1機はコックピットに損傷を受けました。

MD530Fの1機はテールブームが折られています。この損傷が米軍によるものなのか、あるいはそれ以前の事故によるものなのかは不明です。

別の格納庫はロシア製のMi-17ヘリコプターの整備やオーバーホールに使用されていました。これらは全てがアメリカ製のUH-60に置き換えられるはずでしたが、ロシア機よりも整備がはるかに困難であることが判明しました。

この格納庫にあるMi-17の大部分も、米軍によっても損傷を受けたようです。

ほとんどのMi-17はタイヤがパンクしており、米軍が意図的に破損させる以前にはすでに稼働状態になかったと思われます。

タイヤがパンクしておらず、窓に埃が付着していない状態の数少ないMi-17のうちの1機。この状態は、鹵獲される直前にはまだ稼働状態にあったことを示している可能性があります。

地面には犬用のキャリーケースや食べ物、フンが散乱しており、この格納庫にいるほかの住人を思い出させます。カブール空港には約120匹の犬が置き去りにされました。

このUH-60は、おそらく記念品として持ち帰りたいと考えた、うんざりした米軍によってサイドドアからラウンデルが切り取られたのかもしれません。

カブールで鹵獲された12機のUH-60のうちの1機の内部写真は、彼らが受けた損傷の状況を示しています。

この格納庫のMD530Fも、確かに「アメリカの攻撃」からは免れることはできませんでした。

MD530F飛行隊のオペレーションボードは、同部隊が少なくとも21機のヘリコプターを保有していたことを明らかにしています。

   のです。


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2021年9月23日木曜日

我が轟きを聞け: アゼルバイジャンのMiG-29がイスタンブールでデモフライトを披露した #Teknofest


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 トルコ軍のさまざまなアセットの参加に続いて、「テクノフェスト2021」の主催者は、アゼルバイジャン空軍に属するMiG-29戦闘機2機の参加を確保することにも成功しました。カラフルな塗装のMiG-29は、テクノフェストで展示されている西側やトルコの航空機とは完全に対照的です。残念ながら今年のテクノフェストに行くことができなかった読者のために、テクノフェストでデモフライトを行ったアゼルバイジャンのMiG-29の映像のリンクをここに紹介いたします

 この2機のMiG-29は、9月1日から17日までコンヤ空軍基地で実施されたアゼルバイジャン空軍とトルコ空軍の統合飛行戦術演習「TurAz Falcon-2021」に参加するためにトルコへ派遣されました。この毎年恒例の演習は、両国の軍用機の統合運用を強化させることを目的としています。というのも、アゼルバイジャンがソ連製とトルコ軍が米国製の機体を運用しており、これらには共通点がほとんど無いことから、統合運用には強い連携が求められるからです。今回の演習には、アゼルバイジャン空軍は2機のMiG-29と2機のSu-25の計4機が参加しました。[1]

 演習が成功裏に終了した後、2機のSu-25はアゼルバイジャンにある本拠地のキュルダミル空軍基地に戻り、MiG-29はトルコに残りました。


 今年のテクノフェストは、トルコとアゼルバイジャンの空軍機がボスポラス海峡上空を編隊飛行したことで幕を開けました。

 1機のA400M輸送機に続いて、2機のF-4E-2020「ターミネーター」、2機のF-16 (1機はアクロバット・チ-ム「ソロ・テュルク」所属機)、2機のアゼルバイジャン空軍のMiG-29が展示飛行に参加しました。




 アゼルバイジャン空軍の航空機やヘリコプターは、を共同演習に参加するため、頻繁にトルコに展開しています。特に有名な共同演習としては「アナトリアン・イーグル」があります。アゼルバイジャン空軍は依然としてMiG-29やSu-25を含む多数のソ連・ロシア製の機体を運用しているため、統合運用における意思の疎通などの改善に多くの注意を向けています。

 戦時のシナリオでは、例えば、トルコのF-16が直援としてアゼルバイジャンのSu-25の上空を飛ぶ姿を見ることができるかもしれません。

 対地攻撃におけるアゼルバイジャンのSu-25の有能さは、トルコの誘導爆弾、「SOM」巡航ミサイルやベラルーシの「タリスマン」ECMポッドを統合することを通じて大幅に向上しました。



 アゼルバイジャンで就役しているMiG-29は、首都バクー近郊にあるナソスナヤ空軍基地で運用されています。

 アゼルバイジャン空軍では、(2006年以降にウクライナから引き渡されたされた16機のうち)合計で14機のMiG-29が稼働状態にあり、単座機のMiG-29S「9.13」規格が11機、MiG-29UB練習機が3機で構成されています。[2]

 2006年以来、このMiG-29飛行隊は2度の事故に見舞われました:2008年1月にMiG-29UBが、2019年7月にMiG-29Sが墜落したのです。[3]

 パキスタンのJF-17への置き換えが頻繁に報じられていますが、現在のところ、アゼルバイジャンのMiG-29はしばらくの間は現役を続けるようです。




 この2機のMiG-29は、9月26日(日)まで開催される「テクノフェスト2021」の期間中の数日にわたってデモフライトを行う予定です(注:木・金曜日には行いません!)。



[1] Konya hosts closing ceremony of “TurAz Falcon – 2021” exercises https://azertag.az/en/xeber/Konya_hosts_closing_ceremony_of_TurAz_Falcon___2021_exercises-1877917
[2] MiG modernization in Lviv https://www.key.aero/article/mig-modernization-liviv
[3] MiG-29 crash in Azerbaijan https://www.facebook.com/Scramblemagazine/posts/2935845613108620

※ この記事は2021年9月22日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳したも
 のです。



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カスピ海の水陸両用機:見つけにくいアゼルバイジャンのベリエフ飛行隊

バイラクタルがバクルキョイ上空を飛ぶ #Teknofest



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(著:Tarao Goo

 この壮観な映像「テクノフェスト2021」の準備のためにイスタンブール・アタチュルク国際空港(IAP)に着陸する「バイラクタル・アクンジュ」「TB2」を映しています。双方の無人戦闘航空機(UCAV)の尾部に搭載されているカメラのおかげで、彼らのアプローチと着陸の様子をきちんと見守ることができました。

 「アクンジュ」と「TB2」は、今年のテクノフェストで展示されたシステムのほんの一部でしかありません。特にバイカル社の場合では、「バイラクタル・DİHA(VTOL UAV)」も初公開されました。

 テクノフェストは、トルコ技術チーム(T3)財団によって2018年9月にイスタンブール空港で初めて開催されたイベントです。このイベントの目標は、エンターテインメントという明白な目的だけでなく、テクノロジーについての意識を高め、将来の世代に科学技術分野への道を選択するように刺激を与えることにあります。どんな先進的な産業でも、今日の進歩を継続させ、将来の課題に挑戦する若者を刺激することを当てにしており、この状況はトルコでも変わりません。

 テクノフェストは、技術コンテスト、見本市や展示、展示飛行でいっぱいのイベントです。2021年の回では、メインイベントに先立って、すでにいくつかの技術コンペが開催されています。

 このフェスティバルでは、スマート交通システム、ヘリコプター・デザイン、バイオテクノロジー、ロボット工学、空飛ぶ車、ロケット、無人水中航走体などのカテゴリーで、数十の競技が行われることが特徴です。

 昨年は、COVID-19による制約のためにガズィアンテプ県で仮想的なイベントが開催されました。2019年は、約170万人がイスタンブールでのイベントを訪れました。[1]



 アタチュルク空港の滑走路に着陸する直前の「アクンジュ」(下の画像)。
 
 この空港の片隅に青と白のエアバスA300が駐機していることにも注目してください。このA300は、かつてボスポラス・ヨーロピアン・エアウェイズ(BEA)が所有していた3機のうちの1機です。BEAにとっては残念なことに、資金が尽きるまでの約半年間(2002年3月から8月まで)しかA300を運用できませんでした。その後、使用されなくなった機体はアタチュルク空港で保管されており、新しいオーナーを得るかスクラップになるかのどちらかを待ち続けています。

 BEAとそのA300に関する私たちの記事はここで読むことができます(注:英語)。



 滑走路に僅かにタッチダウンした後、「アクンジュ」が再び離陸すると、目の前のマルマラ海を航行する多数の貨物船が見えてきました。

 アタチュルク空港は、黒海と地中海を結ぶ人工水路プロジェクトであるイスタンブール運河の建設予定地の近くに位置しています。この新しい運河は、ボスポラス海峡の交通渋滞を緩和することを目的としています。というのも、この海峡での渋滞が、同所を通過するための船を何日も行列して待たせることが多くあるからです。



 「バイラクタルTB2」がアタチュルク空港に着陸します(下の画像)。

 2019年4月に北西40kmに位置する新イスタンブール空港に全ての旅客便が移管されるまで、アタチュルクIAPはイスタンブールで活躍していた主要な国際空港でした。それ以来、この空港は、貨物便、一般航空便、軍事、ビジネス便、外交便、そしてもちろんテクノフェストのためだけに開かれているのです!

 アタチュルク空港には、T-41D初等練習機を飛ばすトルコ空軍の訓練飛行隊の拠点や軍事航空管制司令部、イスタンブール航空博物館もあります。また、空軍士官学校がちょうど道路を挟んだ向かい側にあるため、この地域の軍事的な側面は前述のことだけではとても終わりそうにありません。

 主な航空便の運用が新イスタンブール空港へ移管された後、アタチュルク空港は2本ある滑走路のうち1本を失うことになっていました。ただし、空港の北西側にある多くのハンガーは、自家用機と商用機の整備のために残されるでしょう。

 2020年5月以降、閉鎖された滑走路の大部分がイェシルキョイ教授ムラト・ディルメネル救急病院で占められました。この病院は、特にパンデミックや地震などの緊急事態に対応するために建設されたものであり、トルコで最初にCOVID-19の感染が確認された直後に建設が開始されました。





無事に着陸しました!



[1] Visitor exodus as Turkey’s biggest tech event Teknofest begins https://www.dailysabah.com/business/defense/visitor-exodus-as-turkeys-biggest-tech-event-teknofest-begins

※ この記事は2021年9月21日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳したも