著: トーマス・ナハトラブ, シュタイン・ミッツァー, Buschlaid と ヤン・ケルダイク
この記事は2023年8月21日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したものです。
ソ連から軍備を継承することになった時点で、カザフスタンは自身が幸運な立場にあることに気付きました。この結果は、まさに棚からぼた餅しか言いようがありません。
1980年代後半にドイツ駐留ソ連軍(西部軍集団)の撤退がなければ、カザフスタンの手元には核兵器搭載可能な相当数の「Tu-95」爆撃機と大陸間弾道ミサイル(ICBM)が残されていたかもしれませんが、通常兵器は著しく不足していました。
ところが、かつて東ヨーロッパ格好に駐留していた大量の部隊がカザフ・ソビエト社会主義共和国に移動された結果として、カザフスタンは新たに樹立された国家の需要をはるかに上回る膨大な軍備を受け継ぐことになったわけです。カザフスタンにとっても、自国の「Tu-95」を引き渡す見返りとして通常兵器をロシアと交換できたことから、こうした装備の不足に対処するのは比較的容易なことでした。
こうした要因で、カザフスタン陸軍が過去数十年にわたって比較的最小限の装備しか調達してこなかったことは間違いありません。
その代わり、この国はソ連時代の装甲戦闘車両(AFV)の改修計画を推進すると同時に、主にロシアから少数のより近代的なAFVを調達しています。さらに、カザフスタンは国産AFVの生産能力を構築するための取り組みを開始しており、この事業で「マローダー」 MRAPと「ムボンベ」装甲兵員輸送車を国内生産するための契約を南アフリカ及びイスラエルと締結しました。
明らかに、カザフスタンは既存のAFV群の有効性を最大限に活用し、可能な限り長く運用することを優先しているようです。しかしながら、カザフスタンでのAFVを近代化させるという試みのスピードは著しく遅いものとなっています。この国では約10年前から「T-72」戦車の近代化を進めていますが、改修を担当する(外国の)企業を最終決定する段階には至っていません。
すぐに従来型の軍事的脅威に直面することはないものの、カザフスタンが保有するAFV群は、今後何年にもわたって草原(ステップ)を守る準備が整っているように思われます。
- この一覧は、現在のカザフスタン陸軍で使用されている全種類のAFVをリストアップ化を試みたものです。
 - この一覧には、画像・映像などで存在が確認されたものだけを掲載しています。
 - レーダーやトラック、ジープ類はこの一覧には含まれていません。
 - カザフスタンで披露された近代化計画や、国内で生産されたものの陸軍に採用されてないものは含まれていません。
 - カザフスタンが保有する無人機については、こちらで紹介しています。
 - 各兵器の名前をクリックするとカザフスタンで運用中の当該兵器の画像を見ることができます。
 
戦車
 T-62M
 T-64BV
 T-72 "ウラル" 初期型 (極初期の生産型)
 T-72 "ウラル" 後期型
 T-72A 初期型
 T-72A 中期型
 T-72A 後期型
 T-72A(「コンタークト-5」ERA装着型)
 T-72AV
 T-72B
 T-72BA (いくらかはスラットアーマーを装着)
装甲戦闘車両
歩兵戦闘車
 BMP-1
 BMP-1P
 BMP-2 "1980年型"
 BMP-2 "1984年型" (いくつかはスラットアーマーを装着)
 BMP-2D
 BMD-1 (退役したと思われる)
 BTR-80A
 BTR-82A (いくつかはスラットアーマーを装着)
 BTR-3
装甲兵員輸送車
MRAP:耐地雷・伏撃防護車両
 KPE「アーラン」 (いくらかは RWS と EOセンサ搭載マストを装備)(パラマウント「マタドール」の国内生産型)
歩兵機動車
 オトカ「コブラ」
 プラサン「サンドキャット」
 KPE「アーラン-2」
 GAZ「ティーグル」
 GAZ-3937「ヴォドニク」
 カマズ「ヴェステル」(「BPU-1」砲塔搭載型) (いくらかはスラットアーマーを装着)
 カマズ「ヴェステル」(砲塔未搭載型) (いくらかはスラットアーマーを装着)
 ストレイト「スパルタン」
 ロッシェル「セネター」
 M998 "ハンヴィー"
 M1043 "ハンヴィー" (いくつかは対戦車ミサイルを搭載)
 M1151 "ハンヴィー"
  "ハンヴィー"(救急搬送仕様)
装甲トラック
テクニカル・戦術車両
 トヨタ「ランドクルーザー」 (「コルド」12.7mm重機関銃 や (「ZPU-2」14.5mm対空機関砲を搭載)
 AM-1"トゥルチャンカ" 全地形対応車
 Can-Am「コマンダー」
指揮車両など
 BRDM-2Rkh 化学偵察車
 RKhM "カシャロット" NBC偵察車
 IRM "ジューク" 工兵偵察車
 IMR-2(M) 戦闘工兵車
 BAT-2 重戦闘工兵車
 BMR-2 地雷除去車
 UR-77 "メテオリット" 地雷除去車
 BTS-4 装甲回収車
 BREM-1 装甲回収車
 「T-64」べースの装甲回収車
 MTU-20 架橋戦車
 TMM-3 自走架柱橋
 形式不明の自走架柱橋
 PTS 装軌式水陸両用輸送車
 BMK-460 牽引モーターボート
 GMZ-3 地雷敷設車
 BTM-3 塹壕掘削車
 MDK-2M 塹壕掘削車
 PZM-2 塹壕掘削車
 PMP 浮橋 2種類: (2)
 ZS-82心理戦システム
自走式対戦車ミサイルシステム
 ZiS-3 76mm対戦車砲
 MT-12 "ラピーラ" 100mm対戦車砲
 2A18 "D-30" 122mm榴弾砲
 D-20 152mm榴弾砲
 2A65 "ムスタ-B" 152mm榴弾砲
 2A36 "ギアツィント-B 152mm自走カノン砲
自走砲
 2B9 "ヴァシリョーク" 82mm自動迫撃砲(トラック搭載型)
 アイバト 120mm自走迫撃砲
 2S9 "ノーナ" 120mm自走迫撃砲
 2S1 "グヴォジカ" 122mm自走榴弾砲
 Semser 122mm自走榴弾砲
  2S3 "アカツィヤ" 152mm自走榴弾砲
 2S4 "チュリパン" 240mm自走迫撃砲
多連装ロケット砲
 9P138 "グラート-1" 122mm MRL
 9K59 "プリマ" 122mm MRL
 BM-21 "グラート" 122mm MRL
 2B26 "グラート-K" 122mm MRL
 BM-27 "ウラガン" 220mm MR
 TOS-1A 220mm サーモバリック MRL
 BM-30 "スメルチ" 300mm MRL
 IMI「ナイザ」 122mm/160mm/200mm MRL
弾道ミサイル
牽引式対空砲
地対空ミサイルシステム(固定式)
携帯式・移動式地対空ミサイルシステム
 CAIG 「翼竜 I」 (最大2発の  「ブルー・アロー7」空対地ミサイル または 「YZ-100」誘導爆弾 を搭載可能
 TAI「アンカ」 (最大4発の 「MAM-L」 または 「MAM-C」 誘導爆弾を搭載可能)
[1] Esoteric Armour: Ukrainian T-72UMG Tanks In Turkmenistan https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/esoteric-armour-turkmenistans-t-72umg.html
[2] Russia, Redux: Turkmenistan Acquires The Typhoon MRAP https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/russia-redux-turkmenistan-acquires.html
![]()  | 
| 改訂・分冊版が2025年に発売予定です | 
おすすめの記事


0 件のコメント:
コメントを投稿