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2026年9月7日月曜日

成功への道?:インドネシアの旅客機プロジェクトとトルコ


著:シュタイン・ミッツアー(編訳:Tarao Goo)

 この記事は、2022年2月10日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。また、情勢が変化しており記事と実際の状況が噛み合わないものにもなっていますが、その点はあくまでも当時の考察としてご承知ください

 航空分野におけるトルコの野心は、ステルス戦闘機「TF-X(カーン)」、高等ジェット練習機「ヒュルジェット」、そして「T625 「ギョクベイ」ヘリコプターといった先進的な航空機の開発に繋がっています。

 無人戦闘航空機(UCAV)の設計と製造においても同様に大きな進展が見られ、中でも特に注目されるのが「バイラクタル・アクンジュ」とMIUSこと「バイラクタル・クズルエルマ」戦闘機です。(たいていは短期間で行われている)こうした機体の研究開発・生産は驚くべきものであり、政府から支援を受けつつも細かく干渉されることなく、意欲的なエンジニアのチームがどのような成果を上げられるかを明確に示しています

 トルコの航空分野における野心は、軍用機の開発だけに留まっていません。2015年、同国はアメリカに拠点を置くシエラ・ネバダ・コーポレーションと協力し、「TRジェット」計画を立ち上げたことは皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。このプロジェクトからは、4種類の旅客機が誕生する予定でした。まずは短距離用の32席を備えたジェット機(「TRJ328」)とターボプロップ機(「TR328」)、そして中距離用の最大70席を誇るジェット機(「TRJ628」)とターボプロップ機(「TR628」)です。TRジェットについては、「TRJ328」を500機から1,000機販売することを目標としており、「TRJ628」についても同程度の販売数が見込まれていたようです。[1]

 これらの数値は非常に楽観的なものであり、結局のところ、トルコ政府にさらなる投資を説得するには不十分だったこともあり、この計画は2017年に中止になってしまいました。[1]

 これにより、トルコにおける民間航空産業の確立に向けた短期的な見通しに終止符が打たれたとはいえ、民間航空機の設計・生産に関するアンカラの遠大な野心そのものが終わりを告げたわけではありません。当時の報道によると、トルコは民間航空機製造分野へ参入する計画を継続はするものの、他国との別の投資案件を検討する形で進める見通しだったようです。その国の一つがウクライナであり、トルコは同国と旅客機の開発の可能性について、特に2015年と2020年に、度々協議を行ってきました(編訳者注:ご存じのとおり、ロシア・ウクライナ戦争の影響もあってこちらの投資案件は目に見えるような形での進行は見られない)。[2] [3]

 インドネシアは、トルコが航空宇宙分野で緊密な協力関係を築いてきたもう一つの国です。現在、PTディルガンタラ・インドネシア(PTDI)は19人乗りの「N219」と54人乗りの「N245」というターボプロップ旅客機の開発を進めています。トルコ航空宇宙産業(TUSAŞ)はすでに両機種の開発に関与しており、この協力をさらに深めることは、トルコとインドネシアの双方にとって大きな利益をもたらす可能性があります。[4]

 この記事では、「N219」及び「N245」プロジェクトへの関与を強化することで、トルコが国内の旅客機開発への意欲を再燃させようとしている背景について考察していきます。

 「N245」と特により小型の「N219」は、一見するとトルコが以前抱いていたジェット旅客機開発の野心から後退したように思えるかもしれませんが、両機種とも「TRジェット」に比べて財務リスクが低く、アフリカ、東南アジア、南米といったビジネスチャンスに富む海外市場で成功する可能性が高いと評価できます。

 トルコの民間ジェット機開発への野心は、アントノフ社との提携により、「An-178」及び「An-188」貨物機の共同開発・生産を通じて、いつでも復活させることが可能です。その可能性については、以前の記事で取り上げたとおりです。[5]

「N245」の素晴らしいイメージ図

 「N-219」と「N245」について詳しく説明する前に、これまでの航空分野におけるインドネシアの取り組みを振り返っておくことは理解する上で非常に重要です。1976年、インドネシアはスペインのCASA社から「C-212」輸送機の生産ライセンスを取得し、その後、「CN-235」輸送機の開発にも着手しました。

 「CN-235」は50席を備えた旅客機としても販売されたものの、その想定顧客を惹きつけることはできませんでした。それでも、IPTN(現PTDI)はこれに挫けず、「N250」と名付けられたターボプロップ式地域間輸送用旅客機の開発プログラムを推進したのです。最初の試作機は1995年に初飛行を行い、続いて1年後に乗客定員70名のロングバージョンが開発されました。[6]

 このプロジェクトは極めて有望視されていたものの、1997年のアジア通貨危機を受けて「N250」プロジェクトに関する全作業が中断され、設計の初期段階に入ったばかりだったIPTNの「N2130」ジェット旅客機計画も頓挫してしまったのです。

 2014年、インドネシアのジョコ・ウィドドは大統領就任するとすぐに、民間航空機の設計開発分野におけるインドネシアの取り組みを強化しようと模索しました。 [7]

 当初は、「N250」の改良型を開発することでプロジェクトを再開する方針だったようですが、その後、当時すでに進行中だった「N219」多目的機プロジェクトと、「CN-235」をベースにした座席数50のターボプロップ旅客機「N245」に注力することが決定されました。これらの設計に続き、「N270」と呼ばれる胴体延長型が開発される可能性があり、こちらは70名以上の乗客を収容できるようになる見込みとなっています。[8]

 ほぼ同時期に、インドネシア元大統領でありIPTNのCEOでもあったバハルディン・ユスフ・ハビビは、「N250」計画を「RegioProp R-80」という新名称で再始動させようとしたようですが、これは密かに断念されたようです。

1997年アジア通貨危機の犠牲者:「N-250」

 「N219」は、(最大積載時において)最大890km離れた目的地まで乗客や貨物を輸送するために設計された、19人乗りの双発多目的機です。[9]

 この航空機は、遠隔地の整備が不十分な滑走路からの運用を想定して設計されており、アフリカ、南米、インドネシアで想定される運用環境に最適と言えます。大型の側面貨物ドアとモジュール式貨物システムにより、同機は最大積載量2,300kgの旅客輸送か貨物輸送、あるいは旅客と貨物の混載任務に合わせて簡単に構成を変更することができるという特徴があります。[9]

 この飛行機は、「DHC-6  "ツイン・オッター"」「セスナ 408  "スカイクーリエ"」、そして将来登場するデサエル「ATL-100」の主要な競合機です。現在、チェコスロバキアのLet「L-410」、中国のハルビン「Y-12」、あるいは「セスナ208」を運航している航空会社にとって、現在試作の最終段階にある「N219」は特に注目すべき機体となることでしょう。これらの機種は、未舗装の滑走路でも運用できること、整備が容易であること、そして導入・運用コストが低いことが「N219」と共通している上にアフリカや南米全域で今でもよく見かけるからです。

 「N219」の価格は約600万ドル(6.9億円)となる見込みで、これに対し、「セスナ408」の貨物機型は685万ドル(7.8億円)、旅客機型は740万ドル(8.5億円)となっています。[10] [11]

 その性能と低価格な導入コストのおかげで、「N219」はすでにナイジェリア、中国、メキシコから関心を集めており、インドネシアの航空会社約10社が、計150機ほどの「N219」について取引意向書に署名しています。[12]

 これらはまだ確定注文には至っていないものの(「N219」の開発が完了すれば注文が入る可能性が高いでしょうが)、同機に対するビジネス上での関心の高さがはっきりと示されています。旅客機や貨物機としての運用に加え、通常の「N219」は兵員輸送や医療搬送(MEDEVAC)、空中監視、捜索救難活動(SAR)、スカイダイビング、その他の(軍事)用途にも活用可能ですが、なんと観光フライトに特化したフロート装備の水陸両用型も構想されています。[13]

 ただし、「N219」がトルコの航空会社から関心を集める可能性は低いでしょう。と言うのも、彼らが現在運航している国内線のいずれの便に就航させるには、機体があまりにも小さすぎるからです。この機種はトルコ国内の新規かつ小規模な路線に就航できる可能性はあるものの、そうした便が採算に合い、十分な需要が見込めるかどうかは疑問が残ります。

 現在運用中の機体を置き換えるため、トルコ陸軍や国家憲兵隊が少数の「N219」に関心を示している可能性はあるものの、トルコが「N219」プロジェクトに参加する目的は小型多目的機の国内需要を満たすことではなく、同機を輸出面で成功させるために必要な技術と専門知識を提供することにあるようです。

「N-219」の乗客用キャビン

「N-219」の貨物積載仕様(イメージ図)

 「N219」とは異なり、「N245」は新規に設計された機体ではなく、「CN-235」輸送機を全面的に改良し、新型エンジンやT字尾翼、ウィングレットを装備したものです。[14]

 また、この機種は54人乗りの旅客機という新たな役割に合わせて、貨物用後部ランプの撤去など、いくつかの変更がなされています。「CN-235」の設計改良に長年の経験を反映させた「N245」は、1980年代に航空会社向けに売り込まれた「CN-235」の旅客型とは全く異なる機体です。そもそも、後者は本質的に旅客輸送用に改造された貨物機にすぎませんでした。

 前述の改良が航空会社に「N245」の導入を納得させるのに十分かどうかは、同機の価格と運用コスト次第となるでしょう。また、同機は「ATR-72」や「ダッシュ8」といったライバルとの激しい競争に直面する可能性は避けられません。N245が市場に投入される頃には、このセグメントには、中国の西安「MA700」やロシアのイリューシン「Il-114-300」といった他の機種も加わることになるはずです。それでもなお、インドネシア市場での実績は、これらの航空機にとって初期段階から一定規模の経済をもたらし、最終的には世界市場における競争力を高めることになるのではないでしょうか。

 「N219」と同様に、「N245」もトルコの世界的な影響力を活用して、世界中の顧客、とりわけインドネシア独力では参入が難しいアフリカや南米の市場を開拓できる可能性が否定できません。

 現時点における「N245」プロジェクトは設計の最終段階にあり、今後数年のうちに試作機が製造される見込みです(編訳者注:このプロジェクトは2021年を最後に続報が途絶えていることから、事実上頓挫したものと思われる)。

 「N245」という名称は、インドネシアが独立を宣言した1945年に由来しています。ただし、インドネシアがオランダの植民地支配から正式に独立を達成するには1949年12月にまでかかりました。

 「N245」はトルコの航空会社からも関心を得られるかもしれません。この10年間で、トルコ全土に数多くの空港が建設され、これまでバスや遅い列車に頼っていた都市や地域へのアクセスが大幅に改善されました。ターキッシュ・エアラインズは現在、150~185席のエアバス「A319」、「A320」、「A321」、そして「ボーイング737」ジェット旅客機を用いており、これらの空港の多くを結んでいます。

 より安価な選択肢として、ターボプロップ機の「N-245」が挙げられます。この機体なら、最大54人の乗客を、1100km圏内の人気のない空港まで運ぶことが可能であり、「ターキッシュ・エアラインズ・リージョナル」という新ブランドの下で運航されることになるかもしれません。


 「TRジェット」も「N245」と同様にプロジェクトの進行を早めるため、既存の設計を最大限に活用することを模索しました。実際、「TR328」及び「TRJ328」は、それぞれドイツの「Do 328」と「Do 328JET」を改良した機種です。[15]

 PTDIの機種についても同じように名称を変更するはずなので、「N219」は「TR-219」に、「N245」は「TR-245」となるでしょう。

 トルコが国際情勢において果たす影響力が、同機の商業的成功に重要な要因となり得ると言えるのでないでしょうか。また、原産国(トルコまたはトゥルキエ)を明確に示す名称は、間違いなく有利に働くと考えられます。これらの航空機に対する強力な政治的な後ろ盾も、輸出販売を促進する重要な要因となるはずです。

テクノフェスト2021でムスタファ・バランク産業技術相とPTDIのエルフィエン・ゴエントロCEO(当時)が会話している様子 [16]

 2017年7月、PTDIはTUSAŞと「N245」及び「N219」の開発で協力する契約を締結したことを初めて発表しました。この契約に基づいて、両社が「N245」を共同で開発・生産・販売することになったのです。[17]

 TUSAŞは、「N245」を軍用輸送機からコスト効率に優れた民間旅客機へと改修する支援を実施するとのことです。2021年の報道によると、また、同社は「N219」の将来的な生産にも携わることになり、ハヴェルサンと「N219」シミュレーターの共同開発に関する基本合意書(MoU)を締結したとも伝えられています。[18] [19] [20]

 トルコ国内に「N219」や「N245」の組立ラインを設立する計画があるかどうかは不明ですが、国内の民間航空産業の確立や、トルコがこれら両機種を自国製として位置付ける上で、極めて重要となる可能性があります。


 トルコが「TRジェット」プロジェクトを通じて国産旅客機の製造を目指した取り組みは2017年に終止符が打たれたものの、同国が民間航空機の設計・製造という野心を復活させるための選択肢は依然として複数存在しています。当ブログでは、トルコがウクライナの航空プロジェクトに参画し、緊密に協力する可能性についてすでに取り上げています。

 規模は多少控えめかもしれませんが、ターボプロップ機の「N219」と「N245」も同様に成功を収める可能性があるでしょう。

 トルコの技術力と世界的な影響力にインドネシアの設計開発が融合すれば、両国が単独では成し得なかった「世界的な航空事業の成功」という成果をもたらす、まさにゴールデンコンビとなる可能性を秘めています。


 編訳者による追記:「N245」については2026年時点で続報が皆無である。プロジェクトが水面下で継続中か頓挫したものと思われる。「N219」については見込みより時期が遅れてはいるものの、今年後半にはインドネシア陸軍への最初の納入が行われる予定だ。また、PTDIはシンガポール国防省からも受注を見込んでいるとのことであり、少なからず一定の需要と納入は確約されている。
 なお、TUSAŞを含むトルコの関与については、絶望的となったと断言しても過言でもない状況となった。というのも、PTDIが2026年に入ってギリシャのSCYTALYSと覚書を締結したからだ。この覚書にはミッション統合管理システム(MIMS Airborne)をPTDI社のN219およびCN235航空機に統合することが含まれているとのことだ。ギリシャとトルコは宿敵同士であり、トルコが敵に塩を送るようなことは到底考えられない。

[1] Turkey terminates local jet program worth billions https://www.defensenews.com/air/2017/10/27/turkey-terminates-local-jet-program-worth-billions/
[2] Turkey to produce regional passenger aircraft with Ukraine https://www.dailysabah.com/business/2015/01/13/turkey-to-produce-regional-passenger-aircraft-with-ukraine
[3] Ukraine: Aviation firm Antonov aims to work with Turkey https://www.aa.com.tr/en/economy/ukraine-aviation-firm-antonov-aims-to-work-with-turkey/1965437
[4] Indonesian and Turkish aviation firms agree to collaborate on N245 commuter aircraft https://quwa.org/2017/07/11/indonesias-ptdi-turkish-aerospace-industries-will-collaborate-ptdis-cn-235-based-n245-commuter-aircraft/
[5] Untapped Potential: Turkey And Ukraine Join Forces To Develop Antonov Aircraft https://www.oryxspioenkop.com/2022/02/untapped-potential-turkey-and-ukraine.html
[6] N250 Take Off https://youtu.be/uzt59BM7FXk
[7] Jokowi Hopes for Solution to Transportation Problems https://en.tempo.co/read/657847/jokowi-hopes-for-solution-to-transportation-problems
[8] Setelah N219, PT DI dan Lapan bakal bikin N245 dan N270 https://www.merdeka.com/uang/setelah-n219-pt-di-dan-lapan-bakal-bikin-n245-dan-n270.html
[9] N219 Nurtanio https://www.indonesian-aerospace.com/aircraft/detail/11_n219+nurtanio
[10] Aceh Government Purchases N219 Airplane, This Is The Price https://www.indonesian-aerospace.com/news/detail/878_aceh+government+purchases+n219+airplane%2C+this+is+the+price
[11] "Purchase planning handbook - turboprops table" https://infogram.com/bca-table-turboprops-1hxr4zx0x1eko6y?live
[12] Nigeria and Indonesia cement defence ties https://www.defenceweb.co.za/aerospace/aerospace-aerospace/nigeria-and-indonesia-cement-defence-ties/
[13] LAPAN and PTDI Develop Amphibious N219 Aircraft https://www.indonesian-aerospace.com/news/detail/908_lapan+and+ptdi+develop+amphibious+n219+aircraft
[14] https://i.postimg.cc/3wNnptRv/68.jpg
[15] Turkey terminates local jet program worth billions https://www.defensenews.com/air/2017/10/27/turkey-terminates-local-jet-program-worth-billions/
[16] https://twitter.com/officialptdi/status/1440520973275451403
[17] Indonesian and Turkish aviation firms agree to collaborate on N245 commuter aircraft https://quwa.org/2017/07/11/indonesias-ptdi-turkish-aerospace-industries-will-collaborate-ptdis-cn-235-based-n245-commuter-aircraft/
[18] Teknofest 2021: Indonesia strengthens aerospace cooperation with Turkey https://www.aa.com.tr/en/science-technology/teknofest-2021-indonesia-strengthens-aerospace-cooperation-with-turkey/2371374
[29] https://twitter.com/officialptdi/status/1440521718888497159
[20] PT Dirgantara Indonesia, Turkish Havelsan to develop simulator for N219 aircraft https://www.janes.com/defence-news/news-detail/pt-dirgantara-indonesia-turkish-havelsan-to-develop-simulator-for-n219-aircraft



 お知らせ2025年7月に上記本の改訂・分冊版である「The Armed Forces of North Korea Volume 1: Part 1: Korean People's Army Ground Forces Organisation, Strategy and Infantry」が発売されました。残りの巻も完成次第発売される予定です(記載情報は2025年現在のものにアップデート済み)。
 お知らせ2:2025年10月に「Volume 1: Part 2(陸軍AFV)」が発売されました。 
 
お知らせ3:2025年12月に「Volume 2(空軍)」が発売されました。
 お知らせ4:2026年2月に「Volume 3(海軍) 」が発売されました

おすすめの記事

2023年12月10日日曜日

南シナ海に響く咆吼:インドネシアの「CH-4B」UCAV


著:シュタイン・ミッツアー (編訳:Tarao Goo

 インドネシア空軍は現在、自国領を守り、ますます自己顕示欲を強める中国に対抗するための質的な戦力の構築を目的とした再装備計画を推進しています。この計画には多目的戦闘機、空中給油機、新型攻撃ヘリコプターなどの導入も含まれていますが、インドネシア軍が無人戦闘航空機(UCAV)の導入・開発にも投資していることに注目すべきでしょう。

 UCAVについて、同国は今までに中国から6機の「CH-4B」を調達したことに加え、国産の「エラン・ヒタム(黒鷲)」の設計・開発プロジェクトも進めています。[1]

 UCAVの運用に対するインドネシアの関心が生じたのは2010年代半ばと考えられており、最終的に2017年に中国から4機の「翼竜Ⅰ」の発注に至らせました。[2]

 しかし、この契約はインドネシア企業が関与していないとの批判を受けた後の2018年初頭に突如としてキャンセルされ、2018年11月に調達事業を再スタートすることを余儀なくされたのです。

これを受けて、「トルコ航空宇宙産業(TAI)」「PTDI(PT ディルガンタラ・インドネシア)」と提携して「アンカ-S」を提案しましたが、最終的に「中国航天科技集団(CASC)」の「CH-4B」が勝者に選ばれて6機が発注されました。この取引にオフセット契約やインドネシア企業への技術移転も含まれているのか、仮に含まれているとすればどの程度なのかは不明です(注:2023年8月、インドネシアは12機の「アンカ-S」を導入することを公表しました)。[3]

 最初の2機は実証飛行のために2019年8月にインドネシアに到着し、同年10月の国軍記念日に実施された軍事パレードで一般公開されました。[4] [5]

 「CH-4B」は2019年9月に東ジャワで行われた陸海空軍の合同軍事演習で運用デビューを果たし、その際に偵察ミッションをこなしたり、「AR-1」空対地ミサイルを地上の模擬標的に向けて発射しました。[6]

 この演習以降におけるUCAVの運用は、主に戦闘ドクトリンの確立とオペレーターの訓練に向けられていたようです。[7]

 2021年8月、「CH-4B」はインドネシア当局によって正式に軍用の耐空証明を取得しました。[7]


 インドネシアの「CH-4B」は、西カリマンタン州ポンティアナック近郊にあるスパディオ空軍基地に拠点を置く第51飛行隊に所属しています。

 同飛行隊は2013年に導入された4機のイスラエル製「エアロスター」UASも運用している無人機部隊です。[8]

 インドネシアの「CH-4B」には、1,500kmを超える距離での運用を可能にさせる衛星通信装置(SATCOM)が装備されています。約1,500kmの航続距離があるため、(SATCOMを使用した場合の)「CH-4B」は西カリマンタン州の基地からインドネシアを形成する群島の大部分をカバーすることができます。

 スパディオ基地は、南シナ海に位置するインドネシアのリアウ諸島から数百キロメートル離れた場所にあります。現在、リアウ諸島の周辺地域はインドネシアと南シナ海にある他国の島の(一方的な)領有も主張している中国との間で領有権をめぐる論争が繰り広げられています。


 2021年8月には、胴体下部に詳細不明のセンサーポッドを搭載した1機の「CH-4B」が目撃されました。[9]

 このポッドの正確な用途はまだ不明ですが、現時点では通信中継ポッドまたは通信情報収集(COMINT)ポッドのいずれかと考えられています。

 この目撃時には、機体に「03」というシリアルナンバーが追加されていることや、大きな「TNI AUインドネシア国軍-空軍)」の文字が消されて非常に小さなマークに置き換えられていることも明らかとなりました(注:空軍の表記は胴体側面の後部に移動しており、文字も小さくなっています)。

 尾翼のインドネシア国旗はカラーのままですが、インドネシア空軍のラウンデル(国籍マーク)はより小型の低視認性タイプに変更されました。しかし、翼の下面に施されたラウンデルは従来のサイズを維持しているようです。


 さまざまなセンサーポッドや専用の電子情報収集(ELINT)またはCOMINTポッドを搭載することに加えて、インドネシアの「CH-4B」は主翼下に設けられた4基のハードポイントに数種類の兵装を装備することが可能です。

 これまでのところ、TNI-AUが「CH-4B」用に中国製「AR-1」及び「AR-2」空対地ミサイルを調達したことが確認されています。[10]

 これらのミサイルの射程距離は最大で8kmであり、「AR-1」は10kg弾頭を、「AR-2」は5kg弾頭を備えています。[11] [12]  

 「AR-1」は「CH-4B」の標準的な兵装であり、このUCAVを運用する全ての国が導入しています。「AR-2」は「AR-1」の軽量版であり、2連装または4連装発射機に装備できます。「CH-4B」の場合はハードポイントが4基あることを踏まえると、最大で16発の「AR-2」を搭載可能ということになります。

「CH-5」UCAVに搭載された「AR-1」(右)と「AR-2」(左)空対地ミサイル

 「CH-4B」の運用で得られた経験は、いつの日か、インドネシアに領域主権全体を防護・哨戒するための十分な力をもたらす、より大規模なUCAV飛行隊の導入に至らせるかもしれません。

 インドネシアでは現在、国産の中高度・長時間滞空(MALE)型UCAVプロジェクトを進めているほか、トルコ製UAVの導入にも関心を示していることから、この飛行隊がより多くの中国製ドローンで構成されることになるかどうかは定かではありません(注:2022年9月、国産の「エラン・ヒタム」UCAV計画はUCAVという軍事用途から地上監視・気象観測・マッピング・森林火災との監視といった非軍事的用途に用いる計画に変更された旨のコメントがなされました。つまり、インドネシアの実用的な国産UCAV計画は事実上頓挫してしまったようです)。[13]

 しかし、新型のUCAVは有人機が有する戦闘効力をますます再現することができるため、UCAVが将来のインドネシア軍で重要な役割を果たすことだけは確実でしょう。

国産の「エラン・ヒタム」UCAV

[1] An Eagle Takes Shape – Indonesia’s Elang Hitam MALE UCAV https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/an-eagle-takes-shape-indonesias-elang.html
[2] Indonesia acquires four Wing Loong I UAVs from China http://www.janes.com/article/78147/indonesia-acquires-four-wing-loong-i-uavs-from-china
[3] Turkish Aerospace Industries Offering Anka UAV to Indonesia http://aviationweek.com/awindefense/turkish-aerospace-offering-anka-uav-indonesia
[4] https://twitter.com/towersight/status/1171500495917088773
[5] Upacara Peringatan Ke-74 Hari Tentara Nasional Indonesia Tahun 2019 https://youtu.be/egYMHb8sDCk
[6] Indonesia tests CH-4B Cai Hong UCAV in latest combined military exercises https://www.asiapacificdefensejournal.com/2019/09/indonesia-tests-ch-4b-cai-hong-ucav-in.html
[7] Indonesian Air Force's fleet of CH-4 UAVs granted airworthiness approval https://www.janes.com/defence-news/news-detail/indonesian-air-forces-fleet-of-ch-4-uavs-granted-airworthiness-approval
[8] SIPRI Trade Registers https://armstrade.sipri.org/armstrade/page/trade_register.php
[9] https://twitter.com/RupprechtDeino/status/1432933641483608065
[10] Indonesian Air Force Receives First Batch of AR-2 Missiles for Its CH-4 UCAVs https://www.janes.com/defence-news/news-detail/indonesia-receives-first-batch-of-chinese-made-ar-2-missiles-for-its-ch-4-uavs
[11] AR-1 https://www.globalsecurity.org/military/world/china/ar-1.htm
[12] AR-2 https://www.globalsecurity.org/military/world/china/ar-2.htm
[13] Endonezya Ankara Büyükelçisi Dr. Lalu Muhammad Iqbal: Türkiye ile Endonezya arasındaki savunma iş birliği artacak https://www.savunmatr.com/ozel-haber/endonezya-ankara-buyukelcisi-dr-lalu-muhammad-iqbal-turkiye-ile-h15336.html

※  この翻訳元の記事は、2022年1月14日に「Oryx」本国版(英語)に投稿された記事を 
  翻訳したものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所      があります。



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2023年4月30日日曜日

深海から浮上した物語:インドネシアの実験的な小型"Uボート"


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ

 ミリタリーファンは、常に見聞きしたことのない魅惑的な戦記を追い求めています。

 すでにマーク・フェルトンが世界中の人々の関心を引くために相当な数の戦記を世に出すという偉業を成し遂げているのもの、依然としてさらに多くの情報が埃にまみれた資料や写真の中に隠されたままとなっており、いつの日にか公表されることを待ち続けています。

 そうした話の一つが、1948年にジャワ島でドイツの元潜水艦乗組員がインドネシアの独立勢力のためにミゼットUボート(以下、特殊潜航艇と記載)を設計・建造した話です。[1]

 この潜航艇は最初の海上公試で沈没してしまいましたが、それでも専門的な機械や機器を備えていない鉄工所で(本物の設計士ではない)ドイツの潜水艦乗組員によって設計と建造がなされたことは目を見張るべき偉業と言えるでしょう。

 今回取り上げた話に登場するドイツ軍の潜水艦乗組員は、第二次世界大戦中の太平洋とインド洋で任務に就いていたドイツ(とイタリア)のUボート部隊「グルッペ・モンズーン(モンスーン戦隊」に所属していた人たちです。

 日本が支配下に置いたマレーシア・シンガポール・インドネシア(当時はまだ蘭印:オランダ領東インド)を拠点に行動していたこの戦隊の作戦地域は、ドイツ軍と日本軍(そしてイタリア軍)が実際に同じ戦域で戦った唯一の場所でした。

 1945年5月8日のドイツ降伏した後に残存していたドイツの潜水艦4隻とイタリアの潜水艦2隻は日本側に接収され、乗組員はインドネシアで抑留されたり、今や日本艦となったこれらの潜水艦を運用するために使役されたりしました。

 興味深いことに、イタリアの潜水艦「ルイージ・トレッリ」「コマンダンテ・カッペリーニ」 の2隻は、すでに一度は日本に拿捕された経歴がありました。最初の拿捕は1943年9月のイタリア降伏後のことであり、インドネシアのサバンでドイツ海軍に引き渡され、ドイツ人とイタリア人の混成クルーによって引き続き運用されました。そしてドイツ降伏後、この2隻は(4隻のドイツ艦と一緒に)再び日本に接収されて今度はドイツ・イタリア・日本の混成クルーによって運用されることになったのです!

 結果として、「ルイージ・トレッリ」と「コマンダンテ・カッペリーニ」は第二次世界大戦中に枢軸国の主要3か国全てで運用された唯一の艦艇となりました。

 2隻の元イタリア艦は主に蘭印と日本を結ぶ輸送潜水艦として活用されて最終的には1945年に神戸でアメリカ軍に接収され、ドイツのUボートである「U-181」、「U-195」、「U-219」、「U-862」はシンガポールと蘭印でイギリスに接収されてその経歴に終止符が打たれました。

 これらの運命を詳しく説明すると、「U-181(伊-501)」「U-862(伊-502)」はシンガポールでイギリスに接収され、その翌年にマラッカ海峡で海没処分されました。

 「U-195 (伊-506)」 と「U-219 (伊-505)」 については、前者は1945年8月にオランダ領東インドのジャカルタで、後者はスラバヤでイギリス軍に接収されました。この2隻を入手するはずだったオランダは、1946年の三者海軍委員会による決定に基づいて入手の断念と処分を余儀なくされたのでした(注:実際の海没処分はイギリス軍によって実施)。 [2]

「XB」級Uボート「U-219/伊-505」:三者海軍委員会の規則によってオランダ海軍は同艦と「IXD1」級Uボート「U-195/伊-506」の保有を許されなかったため、これらの2隻は1946年にジャワ島沖で海没処分された。

 シンガポールで接収された「U-181」と「U-862」のドイツ人乗組員は終戦後にドイツへ帰国するか、(イギリスの)ウェールズで抑留後にそのまま現地に永住するという運命を辿りました。

 一方で、1945年当時の蘭印に残っていた「U-195」と「U-219」の乗組員や別のドイツ海軍の軍人たちの中には全く別の人生を選択した人もいました。降伏してイギリスに協力する者もいれば、正反対にインドネシア独立戦争でイギリス・オランダ軍と戦い続けるべくインドネシアに忠誠を申し出た者もいたのです。

 その中には、ジャワ島ジョグジャカルタの鉄工所で特殊潜航艇を設計・建造した者も含まれています。[2]

 この異形な鋼鉄製の潜航艇は、インドネシア共和国の首都と指導者を捕らえることを目的とした2度の軍事攻撃の2回目として成功した「カラス作戦(Operatie Kraai)」で、オランダ軍がインドネシアの臨時首都であるジョグジャカルタを占領した後に発見されました。

 興味深いことに、オランダは2度の軍事攻撃の成果としてスカルノ大統領とモハマッド・ハッタ副大統領を捕虜にしただけでなく、1947年8月に実施された最初の攻勢である「プロダクト作戦」で、東ジャワにて5名のドイツ人も捕虜にしたのです。このうちの4名は「U-195(伊-506)」の乗組員だった者たちであり、残りの1名(インドネシア生まれのドイツ人)はインドネシア軍の犬のトレーナーとしての役割を担っていました。[3] [4] [5] [6] [7]

オランダ軍の兵士たちが鹵獲した鋼鉄製物体を訝しげに調べている様子:船体の左右に取り付けられた安定用のフィンに注目

 粗雑で正常に機能しなかった設計ではあったとはいえ、この特殊潜航艇はインドネシアによって初めて組み立てられて運用された潜水艦です。

 残念なことに、この潜航艇の内部構造については、設計時に設定されたもので初航海での沈没を防げなかったことを除くと、何も分かっていません。[8]

 その後、沈んだ"鋼鉄製の海獣"は引き上げられて修理や設計の改良のために鉄工所に戻されましたが、そうした作業はオランダ軍の占領によって力づくで中断させられてしまいました。もし、この潜航艇の修理が間に合っていれば、ジャワ島のインドネシア領を海上封鎖に従事していた不用心なオランダ海軍の駆逐艦に攻撃する姿が見れたかもしれません。

 この目的のために、この特殊潜航艇は船体下部のマウントに魚雷1本を搭載することが可能でした。[9]

 搭載する魚雷の種類はおそらく日本の「九十三式魚雷」や「九十五式魚雷」、あるいは450mmの「九一式航空魚雷改2」で占められていたと思われます。実際、インドネシア軍は大日本帝国海軍の基地を占領したり引き渡しを受けた際にこれらの魚雷を大量に入手していたからです。[10]

 魚雷の照準については、セイルに格納された大きな潜望鏡を通して合わせることになっていたのでしょう。艦橋構造物の巨大な舷窓や潜望鏡の大きさから判断すると、作戦中の特殊潜航艇は少なくとも一部が水面から突き出ていることになるため、Uボートとはいうものの技術的には半潜水艇と呼ぶべき代物ものでした。

船体下部のアタッチメントには1発の魚雷を装備できる

 最終設計案に基づいて建造された姿は、この時代の特殊潜航艇とは似ても似つかぬ、極めて粗雑なものであったとしか言いようがありません。

 実際の設計に先立って作られた潜水艦の模型は、ドイツの「ビーバー」級特殊潜航艇から大まかな着想を得たように見えます。これが全くの偶然なのか、それとも建造に関わったドイツの乗組員が蘭印に出発する前に「ビーバー」級を見る機会があって、その後に自らの設計のベースとしたのかは不明です。

 「ビーバー」級の量産は、「U-195」と「U-216」が蘭印へ向けて出発する数か月前の1944年夏に開始されました。両艦とも分解された「V-2」ロケットや最新兵器の設計図を積載していたましたが、この航海で「ビーバー」級の設計図も日本側に移転された可能性もありますが、その真相は歴史の闇に葬り去られてしまいました。

 結局のところ、「ビーバー」級との類似性については「単なる偶然の一致」が最も有力な説となっています。

ドイツの「ビーバー」級特殊潜航艇

本物を建造する前にドイツの潜水艦乗組員によって作られた縮小模型

 ナチスドイツと日本の降伏後にインドネシアの独立闘士と共に戦うことを選択した現地のドイツ人潜水艦乗組員によって、日本の魚雷で武装したドイツの特殊潜航艇が設計されていた - これは、まさに魅惑的なもので満ち溢れた物語以外の何ものでもありません。

 その粗雑な設計と製造品質のおかげで、この特殊潜航艇は最初から成功の見込みがなかったかもしれませんが、インドネシア人がオランダ軍に戦いを挑むためにあらゆる手段を模索しようという決意を(他国の人々の協力を得て)ますます強めていったという重要な証拠と言えるでしょう。

 インドネシアが再びオランダの主力艦を沈めるという試みを再び仕掛けるには、オランダ領ニューギニアへの侵攻を企図した「トリコラ作戦」の一環で実行を試みた1962年まで待たねばなりませんでした。当時はソ連から最新の兵器を入手していたため、その結果として立案された計画では「KS-1 "コメット"」対艦ミサイルを搭載した「Tu-16KS-1」爆撃機によるオランダ空母「HNLMS カレル・ドゥールマン」撃沈が求められていました(結局、攻撃は中止に終わりました)。

 明らかにインドネシアの軍事史が西側諸国で全く取り上げられていないという事実は、そこに含まれている多くの興味深い物語が十分に伝えられていないことを意味しています:つまり、それは私たちが好んで取り上げる物語のことです。

[1] In een staalfabriek in Djocja werkte een ex-Duitse matroos aan een eenmanstorpedo. Zijn uitvinding mislukte. Bij de eerste proefneming zonk het ijzeren gevaarte. https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/af009e5e-d0b4-102d-bcf8-003048976d84
[2] IJN Submarine I-505: Tabular Record of Movement http://www.combinedfleet.com/I-505.htm
[3] Malang: Een van de vijf op 1 augustus 1947 gearresteerde Duitsers: Erich Döring, geboren 29-03-1921 Muehlhausen. In dienst van de Kriegsmarine als Maschinenunteroff. op U-boot 195. https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/3fa45cf9-01a6-7884-0237-db4c606ccfa5
[4] Malang: Een van de vijf op 1 augustus 1947 gearresteerde Duitsers: Herbert Weber, geb. 3-6-'14 te Leutersdorf. In dienst van de Kriegsmarine als Leitender Ingenieur op U-boot 195 https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/f1cca949-fd26-d1c8-3f3a-10a985539386
[5] Malang: Een van de vijf op 1 augustus 1947 gearresteerde Duitsers: Heinz Ulrich, geboren 14-08-1924 te Berlijn. In dienst van de Kriegsmarine als Maschinenobergefreiter op U-boot 195. https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/432b83ec-97d7-308b-08cd-f2470cf2bea8
[6] Malang: Een van de vijf op 1 augustus 1947 gearresteerde Duitsers: Res. Oberleutnant zur See Fritz Arp, geb. 16-1-'15 te Burg auf Friehmar (Ostsee) In dienst van de Kriegsmarine als 1ste Off. op U-boot 195. https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/c8569997-e185-7055-81c5-f70cad6da942
[7] Malang. Een van de vijf op 1 augustus 1947 te Malang gearresteerde Duitsers: Alfred Pschunder, geboren op 24 december 1918 te Malang, Rijksduitser. Hij richtte o.a. honden af voor de Polisi Negara https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/c8569997-e185-7055-81c5-f70cad6da942
[8] In een staalfabriek in Djocja werkte een ex-Duitse matroos aan een eenmanstorpedo. Zijn uitvinding mislukte. Bij de eerste proefneming zonk het ijzeren gevaarte. Op deze plaats werd de torpedo aan het moeder-scheepje bevestigd. https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/af009fe4-d0b4-102d-bcf8-003048976d84
[9] In een staalfabriek in Djocja werkte een ex-Duitse matroos aan een eenmanstorpedo. Zijn uitvinding mislukte. Bij de eerste proefneming zonk het ijzeren gevaarte. Op deze plaats werd de torpedo aan het moederscheepje bevestigd https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/397950e1-fab7-1892-0a70-7d82a6ca43c8
[10] Hangar met Japanse? voertuigen. In de achtergrond liggen zeetorpedo's opgestapeld https://www.nationaalarchief.nl/onderzoeken/fotocollectie/01ff58e2-1eea-1815-f92d-68bfb852bb8e(リンク切れ)

※  当記事は、2023年1月10日に「Oryx」本国版(英語)に投稿された記事を翻訳した
 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
 があります。

2023年4月1日土曜日

艦載機の有力候補:「バイラクタルTB3」がインドネシアへ?


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)
 
 「バイカル・テクノロジー」社製UCAVを導入したいということを表明したインドネシアの意思は、いつの日か空母やLHD(強襲揚陸艦)からも運用できる、TB2の重量型として設計された「バイラクタルTB3」に関心を示すことに至るかもしれません。

 インドネシア海軍はすでに、「ディポヌゴロ」級コルベット「フランス・カイシエイポ」のヘリ甲板から国産UAV「LSU-02」離陸させる実験を行っています。この実験は艦艇からの離陸のみであって海軍艦艇にUAV運用能力があることを示すものではありませんが、この実験はインドネシアがVTOL型に加えて艦載型の固定翼式UAVの運用に興味を持っていることを明確に示しているように思われます。

 現在、インドネシア海軍は病院船として建造された2隻を含めて計6隻のLPD(ドック型輸送揚陸艦)を運用しています。LPDの3隻は、国営造船所である「PT PAL インドネシア」「マカッサル」級揚陸艦を設計した韓国の「大鮮造船所」と協力し、同揚陸艦の建造ライセンスを得て導入されたものです(注:最初の2隻は韓国で、残りの3隻は国内で建造されました)。2014年6月には、「PT PAL」はフィリピン海軍に2隻のLPDを納入する9200万ドルの契約に署名しました。[3]

 西側諸国における現代艦艇で標準とされるシステムの多くは搭載されずに納入されてはいますが、「マカッサル」級の約4500万ドル(約57億円)という低価格は、インドネシアやフィリピンなどの国にとって実際に経済的な面で入手可能な船であることを意味しています。

 現在、インドネシア海軍は今この先の10年で数隻のヘリコプター揚陸艦(LPH)を調達する意図があると考えられています。 2018年に「PT PAL」は、インドネシア海軍に売り込まれるLPHのベースとなる可能性が高い全長244mのLPHの設計案を公表しました。[4]

 トルコの232mを誇る「アナドル」級LHDと同様に、このLPHはヘリコプターや大型U(C)AVを飛行甲板やハンガーに移動できる大型の後部エレベーターを備えています。「バイラクタルTB3」は当初から空母やLPHからの配備を前提にして設計されているため、その設計の変更をほとんど要せずにインドネシアのLPHで運用可能と思われます。

 TB3は小型で翼が折りたたみ式のため、相当な数を対潜ヘリコプターや他のドローンと一緒に艦載できることから、 インドネシアに初の(無人機)空母をもたらす可能性を秘めていることは言うまでもありません。

インドネシアが構想している244メートル級LPHのイメージ図
 
 「バイラクタルTB3」は280kgのペイロードを搭載しつつ、最大で24時間の滞空が可能です。このペイロードは射程30km以上の「MAM-T」を含む最大で6発の「MAM」シリーズ誘導爆弾や敵のUAV・ヘリコプターを攻撃可能な「サングル」空対空ミサイル、海上捜索レーダー、あるいはそれらの組み合わせで成り立っています。[5] 

 これによって、TB3は敵艦との交戦や上陸作戦の支援、海上監視を行うことが可能となっているのです。

 インドネシアのLPH(LPDと同様に)は低価格が見込まれているため、TB3の導入と組み合わせた場合、これらがインドネシア海軍に全く新しい可能性を切り開く可能性があるでしょう。

  その意味では、ヘリ甲板からUAVを離陸させるだけでは、戦力投射能力を格段に向上させることができるLPHからの真のUCAV運用能力には遠く及びません。

「フランス・カイシエイポ」のヘリ甲板から「LSU-02」が発艦した直後のカット

 以前、タイが「HTMS チャクリ・ナルエベト」によってこの地域に空母をもたらすことを試みましたが、同艦の「AV-8S "ハリアー"」は資金不足のため後継機がないまま退役し、今では全長183mの無用の長物と化してしまいました。現在、タイ海軍は運用するのに十分な数のヘリコプターと無人偵察機を保有していないのにもかかわらず、同艦はヘリコプターと無人偵察機用空母としての役割を担っています。

 つまり、「HTMS チャクリ・ナルエベト」は野心が現実に負けた一例であり、必要なアセットがないままプラットホームが取得されてしまった状況を明らかにしているのです。

 このような観点から、共に安価なLPHと「バイラクタルTB3」を調達することは、より費用対効果が高く、リスクの少ない固定翼式洋上偵察・武装アセットを導入する方法であるといえます。もしTB3の成功が証明され、将来的にジェットエンジンを搭載した「バイラクタル・クズルエルマ」UCAVを導入して戦力を拡大するならば、可能な限り低い投資額と引き換えに、インドネシアが現代の海上戦力の最前線にとどまることを保証することになるでしょう。

「バイラクタル・クズルエルマ」無人戦闘攻撃機


[1] Indo Defence 2022: Baykar in talks with Indonesian government on Bayraktar TB2, Akinci UAVs https://www.janes.com/defence-news/news-detail/indo-defence-2022-baykar-in-talks-with-indonesian-government-on-bayraktar-tb2-akinci-uavs
[2] https://i.postimg.cc/FR8hbv3T/854.png
[3] Philippine Navy Commissions New Ships in 118th Anniversary Celebration https://thediplomat.com/2016/06/philippine-navy-commissions-new-ships-in-118th-anniversary-celebration/
[4] https://i.postimg.cc/gkBHvBTn/776.jpg
[5] BAYRAKTAR TB3 https://baykartech.com/en/bayraktar-tb3/


※  当記事は、2022年11月8日に本国版「Oryx」ブログ(英語)に投稿された記事を翻訳    
 したものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した
 箇所があります。

 

2023年3月18日土曜日

さらなる輸出市場の拡大:トルコがインドネシア向け哨戒艇の輸出に着手した



著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 トルコが海軍の分野でほぼ自給自足の状態を成し遂げる方向に急速に進んでいることもあり、近頃では同国で設計された艦艇が世界中の海軍で運用されています。

 この野心的な努力の一環として、トルコの造船所では売り出す軍用艦艇のラインナップを常に拡大し続けているようです。2013年にトルコが現在海軍で仕様されている高速攻撃艇(FAC)を置き換える新型のFACの入札を開始した際に、30近くの国産で設計された案から選定できたことからも、同国での軍用艦の設計に関する流行の規模が決して誇張されたものではないことが証明されています。[1] [2]

 今やトルコは独自設計のヘリコプター搭載型強襲揚陸艦(LHD)からフリゲート、さらには小型潜水艦までも国内外の顧客に売り出しています。そのため、近い将来にトルコが世界最大の軍用艦艇の輸出国の1つになる可能性があることも考えられないことではありません。

 この素晴らしい偉業は少なからずとも防衛装備のほぼ全てを国産化することを意図しているトルコ政府のおかげで達成された産物です。そして、このことは、遠くないうちにトルコの造船所が輸出用の艦船を売り出す際に、艦載兵装を外国製に依存する必要がなくなることも意味します。

 20年ほど前のトルコは依然として自国の海軍のニーズを外国が設計した艦船に大きく依存しており、艦船を輸出すること自体が非現実的な夢物語だったことを考えると、今ではその状況が劇的に変化したことが一目瞭然でしょう。
 
 以前にパキスタン、カタール、UAE、インド、トルクメニスタン、ジョージア、ナイジェリア、エジプト、ウクライナに艦艇を輸出した後、今やトルコは東南アジアの新市場への進出に向けて動き出そうとしているようです。

 トルコの軍事関連メディア「サヴンマTR」のインタビューの中で、駐トルコのインドネシア大使であるラルー・ムハンマド・イクバル氏はトルコから軍用艦を調達することに関する交渉が始まったことを明らかにし、「トルコとの海軍システムに関する協力が相当な規模で増えるでしょう」と述べ、さらに「私たちは防衛産業との関係を向上させるためにより多くのことを行う必要があります...(中略)そのため、インドネシアがトルコから軍用艦を調達する可能性について、いくつかの交渉が始まったのです」とも述べました。[3]

ラルー・ムハンマド・イクバル大使(左)とイスマイル・デミル防衛産業次官(右)

 インドネシアが最初に興味を示したトルコ艦艇は、「TAIS(タイス)」造船所が設計した「KPC 65(65m級大型哨戒艇)」でした(注:「タイス」側では「LPC 65」が制式な名称とされています)。[4]

 強力なパンチ力を秘めた全長65mという大きさの船が「哨戒艇」と分類されていることについて困惑する方もいるでしょうが、本質的な問題ではないので気にしないでください。

 この「パンチ力」は76mm砲1門、2連装35mm機関砲1門、「STAMP」12.7mm リモート・ウェポン・ステーション(RWS)2基、「ロケットサン」製対潜ロケット弾発射機1門、「アトマジャ」対艦ミサイル(AShM)8発で形成されています。

 当然ながら、艦載兵装は顧客の要望に応じて変更可能であるため、インドネシアでは「アトマジャ」から(同海軍が装備している)「エクゾゼ」に変更されるかもしれません。しかし、「ロケットサン」製の対潜ロケット弾発射機は、変更されずにそのまま搭載される兵装システムの1つとなるでしょう。

 インドネシア海軍は、1992年にドイツから購入した16隻の「カピタン・パチムラ(パルヒム)」級コルベットのうち14隻を対潜艦(ASW艦)として運用し続けています。ドイツ海軍は1991年の東西ドイツ統一時に東ドイツの人民海軍から「パルヒム」級を引き継いだものの、冷戦終結後はこれらの艦艇を運用する必要性がほとんどありませんでした。

 このような理由から一気に売却された「パルヒム」級コルベットは当時のインドネシア海軍が持つ哨戒・対潜能力を著しく強化しましたが、今やソナーや兵システムが旧式化したため、更新が必要な状態となっています...それが「KPC 65」を欲した一因なのでしょう。

 インドネシアは、海軍用にまずは2隻の「KPC 65」を購入することに関心を示していると考えられています。[4]

 ラルー・ムハンマド・イクバル大使は、「私たちは防衛産業においてさらに前進し、特に海軍システムに関する協力が著しく増えるでしょう。[中略] そして、両国間での開発や共同設計も行われることになるでしょう。」とも述べました。[3]

 これは、「KPC 65」がインドネシアの要求に基づいて設計が変更されたり、同国の造船所で建造されることを意味するのかどうかはまだ不明ですが、後者は確かに妥当なものと思われます。

 

「KPC 65」の後部には多くの兵装が搭載されていることを示しています。この画像では、左から順に2門の12.7mm RWS、対艦ミサイル、対潜ロケット弾発射機、そして2連装の35mm機関砲塔が見えます。このモデルには対艦ミサイルは2発しか搭載されていません。

 現在のインドネシア海軍(TNI-AL) は、20隻程度の高速攻撃艇(FAC)から成る相当な規模の艦隊を運用しています。これらのFACの大部分はその基準からしても軽武装であり、最も多いFACである「クルリット」級は対艦ミサイルを僅か2発しか搭載していません。

 インドネシアが保有するFACで最も高性能なのは「サンパリ(KCR 60M)」級であり、同クラスは中国の「C-705」対艦ミサイルを4発、主砲として40mmまたは57mm機関砲を1門、中国製「NG-18」30mm近接防御システム(CIWS)を1門、そして対空・水上目標に用いる近接防御用20mm機関砲 1 門を装備しています。

 インドネシアは現時点で数回のバッチに分けて合計18隻の「KCR 60M」を導入することを計画しており、これまでに5隻が進水しています。[5]

 新しいバッチは、初期バッチよりもある程度の能力向上が図られる予定です。

 当初は各艇に主砲として「BAEボフォース」製「Mk.3」57mm機関砲が搭載される計画でしたが、予算上の制約で最初の2隻は代わりに同社製の40mm機関砲が搭載されました。これらは最近になってロシア製の「AU-220M」57mm RWSに交換されましたが、将来的に登場するバッチの分には当初から想定されていた「Mk.3」57mm機関砲が装備される予定となっています。[6]

「KRI トゥンバク」は主砲の位置に依然としてボフォース製40mm機関砲を装備しています
5隻目の「KCM 60M」である「KRI カパク(艦番号625)」はボフォース製「Mk.3」57mm機関砲を搭載しています。さらに、その後ろにはロシア製「AU-220M」57mm RWSを装備したばかりの「KRI サンパリ」と「KRI トゥンバク」も停泊しています。

 「タイス」造船所では、「KPC 65」に加えてトルコ初の国産ヘリコプター搭載型強襲揚陸艦(LHD)や複数のFAC、OPV、コルベット、フリゲート、揚陸艦や補給艦を含む広範囲にわたる種類の艦艇を売り出しています。

 「タイス」共同企業体には、(現在「TCG アナドル」 LHDを艤装中の)の「アナドル」造船所、「イスタンブール」造船所、「セデフ」造船所、「セフィネ」造船所、「セラ」造船所が参加しています。

 「タイス」造船所はトルコ海軍向けに数隻の大型揚陸艦や「バイラクタル」級戦車揚陸艦を建造した後に、インド向けに補給艦5隻、カタール向けに練習艦2隻と揚陸艦3隻を建造して輸出に成功しました。

 同造船所が売り出している艦艇のラインナップはここで見ることができます

「タイス」で最も先進的な見た目の「67m級高速ミサイル艇(GFMPB)」

「140m級多目的船フリゲート」は「タイス」が売り込んでいるものでは最大の水上戦闘艦です

 「タイス」造船所が「KPC 65」哨戒艇でインドネシアの市場に参入することができるとすれば、これがトルコとインドネシアの防衛協力の深化につながる可能性は十分にあり得ます。

 現在、両国は「現代型中戦車(MMWT)」プロジェクトで協力関係にあり、インドネシアはトルコ製UCAVの導入にも関心を示しています。[3]

 2021年、インドネシアは国軍を近代化するために1250億ドル(約14兆3,300億円)を投資する計画の概説をしました。同計画では、国内の防衛産業から装備類を調達することと、海外からの技術移転を確かなものとすることを優先としています。[7]

 「KPC 65」はこの計画に十分に適合しており、(「MMWT」プロジェクトで見られたように)おそらく最初のバッチはトルコで、残りはインドネシアで建造されるでしょう。

 将来的な両国の協力関係は、防衛産業の域を超越する可能性を秘めています。現在の状況はトルコのハイテク産業に、インドネシアが現在推し進めているいくつかのインフラ関連のプロジェクトに関与することを可能にする余地を残しているのです。

「FNSS」社と「PTピンダッド」社で協同開発された現代型中戦車(「カプランMT/ハリマウ)

[1] Turkish FAC-FIC Designs https://defencehub.live/threads/turkish-fac-fic-designs.558/
[2] Small But Deadly - Turkish Fast Attack Craft In Service With Turkmenistan https://www.oryxspioenkop.com/2021/03/small-but-deadly-turkish-fast-attack.html
[3] Endonezya Ankara Büyükelçisi Dr. Lalu Muhammad Iqbal: Türkiye ile Endonezya arasındaki savunma iş birliği artacak https://www.savunmatr.com/ozel-haber/endonezya-ankara-buyukelcisi-dr-lalu-muhammad-iqbal-turkiye-ile-h15336.html
[4] https://twitter.com/kimlikci_954/status/1459622498614616074
[5] Indonesia Launched Its 5th KCR-60M Fast Attack Craft https://www.navalnews.com/naval-news/2021/12/indonesia-launched-its-5th-kcr-60m-fast-attack-craft/
[6] https://twitter.com/Jatosint/status/1467457606637834245
[7] Indonesia reveals USD125 billion military modernisation plan https://www.janes.com/defence-news/news-detail/indonesia-reveals-usd125-billion-military-modernisation-plan

  ものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所がありま
    す。



おすすめの記事

2023年1月9日月曜日

地域での成功の鍵:インドネシアが「バイラクタルTB2」と「アクンジュ」を購入に目を向ける


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 最近のトルコ製無人戦闘航空機(UCAV)が中央アジアで輸出を成功させた後、今度はアフリカにおけるトルコ製ドローンの拡散が注目を集めています。[1] 

 チュニジアは「トルコ航空宇宙産業(TAI)」「アンカ」UASを発注した一方、モロッコとリビア、ニジェール、ナイジェリア、エチオピア、ルワンダ、トーゴ、そしてマリは「バイラクタルTB2」を調達しました(注:ニジェールにTB2が納入されたかは未確認)。それらに加えて、アンゴラ、モザンビークといった他のサハラ以南のアフリカ諸国では、TB2の導入を示唆しているか、すでに発注している状態にあります。[2] 

 TB2は間違いなく、信頼性と手頃な価格を兼ね備えながらも戦場で圧倒的な効果を発揮できた最初のUCAVであるため、 (前述した国以外の)サハラ以南のアフリカ諸国がこのUCAVの導入の流れに続くことはほぼ確実でしょう。
 
 アナリストや無人機ファンが次のTB2輸出に関するニュースを待望している間にも、すでにより多くの国がトルコ製無人機を導入するための行列に加わりつつあります。

 トルコの軍事関連メディア「サヴンマTR」のインタビューにて、駐トルコのインドネシア大使であるラルー・ムハンマド・イクバル氏が「インドネシアはトルコからUAVを入手する可能性について検討している」と明かした上で、「トルコがUAVを供給するだけでなく、将来的にさまざまなタイプのUAVび関する技術移転やプログラムにも参加する」こともインドネシアが願っていると語りました。さらに同大使は「私たちはトルコがこの件(注:UCAV)で世界中で話題になっていることを誇りに思います」とも言及しています。[3]
 
 そして、2022年11月に開催された「インドゥ・ディフェンス2022」でジェーンズと話した情報筋は、さらに「バイカル・テクノロジー」社が「バイラクタルTB2」と「アクンジュ」に関してインドネシア政府と交渉中であることを確認したと語りました。[4]
 
 現時点で、東南アジアでUCAVを保有している国は比較的少数にとどまっています。これまでにUCAVを導入したのはインドネシアとミャンマーだけであり、近年ではタイとベトナムが国産の武装無人機を開発中です。[5] [6] [7]

  マレーシアは近い将来に3機の「TAI」製「アンカ」中高度・長時間滞空型(MALE)UAVを導入する予定です。[8] 同国はまだ武装無人機を追い求めてはいませんが、将来のいずれかの時点で「アンカ」を武装化を図る可能性がゼロとは言えないようです。

 インドネシアは、2019年以降に中国から導入した6機の「CH-4B」UCAVを運用しています。このUCAVは、「TAI」と「PTDI」によって売り込まれたトルコの「アンカ-S」と「翼竜Ⅰ」との競争を勝ち抜いて選定・導入されたものです。同国の「CH-4B」は空対地ミサイル(AGM)で武装可能であり、通信中継あるいは通信情報収集(COMINT)ポッドを装備している姿も目撃されたことがあります。[9] 

 また、インドネシアでは「PT・ディルガンタラ・インドネシア(PTDI)」 によって国産UCAV計画も進められました。「エラン・ヒタム(黒鷲)」という名前で知られているこの計画について、実際に運用可能なシステムが誕生するまでには数年はかかると思われましたがが、技術的な問題に直面して2022年9月に中止となってしまいました。[10]

 トルコの無人機、それもほぼ間違いなく「バイカル・テクノロジー」社が設計した機体に関心を示したということは、インドネシアが「CH-4B」飛行隊を補完するために「バイラクタルTB2」のような追加のUCAVか全く新しい能力を提供する無人機(またはその両方)の導入に目を向けていることを示唆していることは明らかです。

 インドネシアが当初から運用ドクトリンの構築とMALE型UCAVの使用に関する操作員の訓練を目的として「CH-4B」を取得したことを踏まえると、今の時点で同UCAVがさらに調達されることは起こりえないでしょう。

 人口の密集地が海によって隔てられているという独自の地理的特性のために、インドネシアは国の防衛に重大な課題を抱えています。

 インドネシア国軍は東西5,150kmに及ぶ17,000もの群島の哨戒任務を負っており、大量の哨戒艇や哨戒機を運用して不法侵入や領海内で発生するあらゆる活動に目を光らせているのです。

 偶然なことに、かつてオランダの植民地軍(KNIL)も、この広大な島々をいかにしてパトロールするのが適切なのかという同じ問題に直面していました。
 
 1930年代後半になると、オランダは現在のインドネシアに相当する「オランダ領東インド諸島(蘭印)」をめぐる安全保障に関する懸念をますます高めていきました。設計と建造に少なくとも10年はかかる大規模な海軍部隊の構築ではなく、王立オランダ領東インド陸軍航空隊はその代わりとして「空中巡洋艦」構想を打ち出したのです。[11]

 この構想は、大量の爆撃機を導入して、あらゆる群島の隅々に前線滑走路の建設を必要とするものでした。日本軍の侵攻部隊(艦隊)が蘭印領の島に接近してくる場合には、大量の爆撃機を想定される戦闘地域に近い滑走路へ展開させることができるというわけです。
 
 この構想を実現させるために、蘭印はアメリカから(マーティン「B-10」の輸出版である)「139WH型」と「166型」爆撃機を合計で121機を導入しました。「B-10」系統の機体は1930年代後半に就役した時点ですでに旧式化していましたが、これらは蘭印が容易に入手できる唯一の機種でした。

 この「空中艦隊」は後に爆弾を搭載可能な「ドルニエ」製「Do-24」飛行艇と「ダグラス」製「A-20 "ボストン"」爆撃機によって増強され、そのうちの6機は日本に陥落される前の蘭印に到着できました。[11] 

 旧式の「B-10」爆撃機シリーズは日本の戦闘機を高速で振り切ったり戦闘で勝てると思われていましたが、その性能はすぐに「A6M(零戦)」といった日本軍の新型戦闘機に追い抜かれてしまいました。それでも、「マーティン」機は日本機に対していくつかの素晴らしい勝利を収めたことから、彼らの導入は本質的に群島防衛のための脅威に通用する唯一の選択肢だったことは間違いありません。

 「空中巡洋艦」のコンセプトは、インドネシアが求める防衛上の要求に応えるために「バイラクタル・アクンジュ」を導入することによって息を吹き返す可能性があります。なぜならば、「アクンジュ」が誇る 7,500kmの航続距離と24時間以上の滞空性能は、同国中央の航空基地を拠点としながらインドネシア群島の隅々までカバーするのに十分すぎるほどであるからです。

 ほかの島にある空港は、前方武器燃料補給地点(FARP)として機能することでUCAVの作戦を支援することが可能です。これによって、各地に展開した「アクンジュ」各機が長時間にわたって燃料や弾薬を搭載していない状態が続くことがないことを保証します。

 さらに、「アクンジュ」は陸・海・(射程は限られるものの)空の目標に対して攻勢的な作戦を実施することを可能にする、275km以上の射程を持つ(対艦)巡航ミサイルや100km以上の射程を誇る視程外空対空ミサイル(BVRAAM)を含むさまざまな種類のスタンドオフ兵器の搭載ができるという特徴があるのです。
 

インドネシアにはUCAVの運用をサポートできる空港や空軍基地が100カ所以上あります

 インドネシアが有人戦闘機を「空中巡洋艦」として用いることについては、その短い滞空時間、(十分な)空中給油機の不足、そして莫大な導入価格によって実現が妨げられています。

 現在、インドネシア空軍(TNI-AU)は30機以上の「F-16」と12機の「Su-30KI」を含む約100機の作戦機を運用しており、先述の主力戦闘機以外の数については、「Su-27」、「T-50」「ホーク200」「EMB 314(スーパーツカノ)」ターボプロップ式軽攻撃機で占められています。

 2021年2月、インドネシア空軍のファジャール・プラセティオ参謀総長は、同国が「F-15EX」とダッソー製「ラファール」を調達する意向であることを明らかにし、それに伴って以前から計画していたSu-35の導入構想は完全に終止符が打たれたようです。[13] 

 また、インドネシアは韓国が進めている「KF-X」戦闘機計画のパートナー国であるため、インドネシア空軍によって実際に「KF-21 "ポラメ"」が導入されることがほぼ確実となっています。[13]

 このような外国産の作戦機と一緒に使用されるのが、さまざまな種類の誘導兵器です。「Su-30KI」は「Kh-31P」対レーダミサイル、「Kh-59M」「Kh-29TE」 TV誘導式空対地ミサイルを運用可能です。「F-16」は(2019年に最大で100発を導入した「JDAM」GPS誘導弾や「AGM-65」空対地ミサイルを運用可能ですが、「T-50」や「ホーク200」にも搭載することができます。そして、インドネシア軍の「CH-4B」は「AR-1」及び「AR-2」空対地ミサイルを使用しています。

 「AR-1/2」と「AGM-65」以外の誘導兵器は地上部隊への効果的な火力支援をもたらすには相対的に不向きなため、TNI-AUは火力支援では無誘導ロケット弾や各種の無誘導爆弾の使用に頼らざるを得ません。

 インドネシア陸軍(TNI-AD)は最近、対戦車ミサイル(ATGM)を運用可能な攻撃ヘリコプターを導入したものの、現時点でインドネシア全土で使用できる攻撃ヘリは「AH-64E」が8機、「Mi-24」が7機と僅かなものであり、依然として必要な数からはほど遠い状況であることは一目瞭然です。
 

「M117」無誘導爆弾でフル爆装した「F-16」

 インドネシアの広大な範囲と島の数が非常に多いため、航空兵力と大砲・多連装ロケット砲(MRL)との相乗効果が発揮される可能性は限定されています。群島周辺における大分部の軍事作戦では地上ベースの火力支援アセットに期待することが厳しいことを踏まえると、航空戦力はインドネシアが戦うあらゆる戦闘において、極めて重要なファクターなのです。

 したがって、重量級のペイロードを長距離輸送可能なプラットフォームは、非常に貴重なアセットとなります。 

 「アクンジュ」は主翼と胴体下部に合計で9基のハードポイントを備えています。特に後者はUCAVへの搭載が可能な兵装の中で最重量級のものを搭載することが可能であり、具体的には重量900kgの「HGK-84」誘導爆弾と射程275km以上を誇る「SOM」巡航ミサイルの搭載が挙げられます。
 
 「アクンジュ」が他のUCAVと異なるのは、将来的に本格的な空対空ミサイル(AAM)運用能力が備わるという点にあります。このUCAVは自身のAESAレーダーで遠距離にいる標的の位置を特定し、「スングル」携帯式地対空ミサイル(MANPADS)、「ボズドアン」赤外線誘導式AAM、100km以上の射程を持つ「ゴクドアン」目視外射程空対空ミサイル(BVRAAM)で攻撃することが可能となるのです。

 「アクンジュ」の実現可能な武装パッケージは、精密誘導ミサイルと爆弾による長距離打撃能力と共に18発以上の「MAM-L」誘導爆弾の搭載を実現するため、同機を地上部隊への航空支援を供するのに最適なアセットにしています。[15] 

 「アクンジュ」はTNIに長距離攻撃能力を提供する一方で、小型の「バイラクタルTB2」には衛星通信アンテナ(SATCOM)を搭載するオプションがあり、それが適用された機体の航続範囲は27時間という長時間の滞空時間だけが制約となります(SATCOM未装備の機体の作戦可能範囲は僅か約300kmです)。[16]
 

 駐トルコインドネシア大使のラルー・ムハンマド・イクバル氏はトルコに対して、「将来的に、さまざまな種類のUAVに関する技術移転やプログラムにも参加してほしい」という自国の希望を明確に表明しました。[3]
 
 将来的な協力としては、インドネシアにおけるトルコ製無人機の組み立て・整備センターの設立が含まれる可能性が考えられます。
 
 両国の軍事・技術協力の可能性はUAVの分野をはるかに超えています。特に「FNSS」と「PTピンダッド」が共同開発した「カプランMT/ハリマウ」中戦車プロジェクトは、両国が力を合わせれば何ができるのかを示す最適の実例であることは言うまでもないでしょう。[17]

 さらに、すでに「PTDI」と「TAI」が「N-219」と「N-245」ターボプロップ旅客機で協力を進めている間の2021年の後半には、トルコからの海軍艦艇の調達について交渉が始まったことが明らかにされました。[18] [19] 


 2012年の時点でも、トルコは依然として自国の需要に合わせるためにアメリカから武装ドローンを積極的に調達しようと試みていました。[20] 

 それから僅か10年でトルコ製のUCAVを発注した国は(当記事執筆時点の2022年11月時点で)27か国となり、そのうち24か国が「バイカル・テクノロジー」社にUAVを発注しています。[21][22]

 トルコは自身が無限の研究開発予算を持つ超大国でなくても、先端技術分野の開発で素晴らしい偉業を成し遂げられることを証明しました。インドネシアが「バイカル」社や「TAI」からUAVを導入するか否かにかかわらず、トルコ製ドローンがインドネシアの軍事力において決定的な役割を果たす可能性があることは間違いないでしょう編訳者注:2023年8月、インドネシアが「アンカ-S」12機を調達する契約を交わし、2025年11月までに納入される旨が報じられました
 
インドネシアが導入するTAIの「アンカ-S」UCAV(画像はトルコ軍機)

[1] Turkish Drones Are Conquering Central Asia: The Bayraktar TB2 Arrives To Kyrgyzstan https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/turkish-drones-are-conquering-central.html
[2] Taking Africa By Storm: Niger Acquires The Bayraktar TB2 https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/taking-africa-by-storm-niger-acquires.html
[3] Endonezya Ankara Büyükelçisi Dr. Lalu Muhammad Iqbal: Türkiye ile Endonezya arasındaki savunma iş birliği artacak https://www.savunmatr.com/ozel-haber/endonezya-ankara-buyukelcisi-dr-lalu-muhammad-iqbal-turkiye-ile-h15336.html
[4] Indo Defence 2022: Baykar in talks with Indonesian government on Bayraktar TB2, Akinci UAVs https://www.janes.com/defence-news/news-detail/indo-defence-2022-baykar-in-talks-with-indonesian-government-on-bayraktar-tb2-akinci-uavs
[5] Thai UAV Surprises at Singapore Show https://www.ainonline.com/aviation-news/defense/2020-02-12/thai-uav-surprises-singapore-show
[6] Royal Thai Army developping D-Eyes 04 MALE UAV https://www.airrecognition.com/index.php/news/defense-aviation-news/2021/november/7852-royal-thai-army-developping-d-eyes-04-male-uav.html
[7] Red Star Rising - Vietnam’s Armed Drone Project https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/red-star-rising-vietnams-armed-drone.html
[8] Malaysia Signs Contract with TAI for 3 ANKA Drones https://www.overtdefense.com/2022/10/11/malaysia-signs-contract-with-tai-for-3-anka-drones/
[9] Auguring The Future: Indonesia’s CH-4B UCAVs https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/roars-over-riau-indonesias-ch-4b-ucavs.html
[10] An Eagle Takes Shape – Indonesia’s Elang Hitam MALE UCAV https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/an-eagle-takes-shape-indonesias-elang.html
[11] Indonesia suspends Black Eagle MALE UAV programme https://www.shephardmedia.com/news/air-warfare/indonesia-suspends-black-eagle-male-uav-programme/
[12] 40 jaar luchtvaart in Indië by Gerard Casius and Thijs Postma
[13] Indonesia definitively closes the door on Su-35; wants Rafale and F-15EX https://www.aviacionline.com/2021/12/indonesia-definitively-closes-the-door-on-su-35-wants-rafale-and-f-15ex/
[14] South Korea rolls out first KFX jet prototype. Will Indonesia still reap benefits from it? https://www.thejakartapost.com/news/2021/04/16/south-korea-rolls-out-first-kfx-jet-prototype-will-indonesia-still-reap-benefits-from-it.html
[15] Endless Possibilities - The Bayraktar Akıncı’s Multi-Role Weapons Loadout https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/endless-possibilities-bayraktar-akncs.html
[16] Bayraktar TB2 https://www.baykartech.com/en/uav/bayraktar-tb2/
[17] Ride The Turkish Tiger: Indonesia’s Kaplan MT Tanks https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/ride-turkish-tiger-indonesias-kaplan-mt.html
[18] Market Expansion: Turkey Set To Export Patrol Vessels To Indonesia https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/market-expansion-turkey-set-to-export.html
[19] https://twitter.com/officialptdi/status/1440521718888497159
[20] Turkey hopeful that US will sell it armed drones https://www.theguardian.com/world/2012/may/22/turkey-us-sell-armed-drones
[21] Akıncı TİHA da katıldı, savunma sanayisi ihracatta yüksekten uçuyor https://www.aa.com.tr/tr/ekonomi/akinci-tiha-da-katildi-savunma-sanayisi-ihracatta-yuksekten-ucuyor/2482865
[22] An International Export Success: Global Demand For Bayraktar Drones Reaches All Time High https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/an-international-export-success-global.html
[23]  Indonesia buys Türkiye's Anka drones worth $300M

※  当記事は、2022年11月27日に本国版「Oryx」に投稿されたものを翻訳した記事です。
   当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があ
  ります。