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2026年7月16日木曜日

そして近代へ:イスタンブールの都市史を形づくった通勤列車


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 この記事は、2023年9月6日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。

 わが国を世界で最も繁栄し、文明化された国々の水準にまで引き上げよう (ムスタファ・ケマル・アタテュルク)


 イスタンブールの大陸間を結ぶマルマライ線は、現代のシルクロードとして称賛されています。ボスポラス海峡の下を走るトンネルを通じてイスタンブールのヨーロッパ側とアジア側を結ぶマルマライ線は現代技術の賜物であり、多数の駅を網羅し、地下鉄やトラム、バス高速輸送システム(BRT)などの他の交通機関との接続を実現することで、イスタンブール全域の交通網を劇的に改善したのです。全長76.6kmの路線には43の駅があり、そのうち14駅がイスタンブールのヨーロッパ側に位置しています(編訳者注:ボスポラス海峡横断地下鉄整備事業について、日本政府は円借款を1999年より供与したほか、海底を横断するトンネル建設については、大成建設がトルコ企業との協力のもと取り組んだ。しかし、トルコ側はトンネルの追加工事費用を大成建設に今も未払いのままであることも記してしておく

 あまり知られていないことですが、マルマライ線はイスタンブールの都市公共交通における最初の革命ではありません。1955年12月、トルコ初の電化鉄道として開通したイスタンブール・ハルカリ線が初の革命と言えます。同路線は、ヨーロッパで最も早く電化された25kV交流路線の一つにしてトルコ初の通勤路線でもありました。技術的な詳細については割愛しますが、25kV交流電化は、高速鉄道や通勤路線のような利用頻度の高い路線に最適なものです。それまで25kV交流電化は広く普及していなかったものの、その後、世界中で急速に普及しました。

 トルコ国鉄(TCDD – Türkiye Cumhuriyeti Devlet Demiryolları)は、フランスのアルストム社が設計した「E8000」系電車(EMU)28編成を購入し、イスタンブール・ハルカリ線での運行に投入しました。[1]

 これらの車両はフランスのアルストム、デ・ディートリッヒ・フェロヴィエール、ジュモン社によって製造されたものです。「E8000」系は当時としてはかなり近代的な車両で、丸みを帯びた前面形状を採用し、電子設備は車体の下部に配置されているという特徴がありました。その頑丈さにより、1970年代のイスタンブールにおける急速な人口増加に伴う過酷な使用にも耐えることができたのです。

 1979年以降、「E8000」系はアルストム社が設計し国内のTÜVASAŞ(トゥバサシュ)が製造した「E14000」系の導入で更新され始め、続く2010年には、(トルコと韓国の合弁企業である)ユーロテム社によって設計・製造された「E23000」系が導入されました。[2]

 「E23000」系は、2014年にマルマライ線の建設のためにイスタンブール・ハルカリ線が廃止されるまで、さらに4年間同線で運行されました。マルマライ線は、ビザンチン時代の遺跡が発見されたことにより4年の遅れが生じたものの、2019年に本格運行が開始されたことは周知のとおりです。

 ちなみに、マルマライ線は、イスタンブールのハルカリ線と1969年に電化されたアジア側のハイダルパシャ・ゲブゼ線を結んでいます。


イエディクレ駅を通過する2両編成の「E8000」系 EMU:1956年4月撮影

 「E8000」系と共に、同じ仏アルストム社が設計・製造した「E4000」系電気機関車3両も導入されました。[3] [4]

 「E4000」系はトルコで初めて就役した電気機関車として知られています。1955年までは、全旅客列車と貨物列車が環境汚染の原因である蒸気機関車によって牽引されていたのです。この電気機関車は、ハルカリ駅で特急列車や貨物列車を引き継いでイスタンブールへの最終区間を走行することを目的として導入されたものであり、沿線の地域における大気汚染の低減に大きく貢献しました。[4]

 「E4000」系が運行された全長28kmのイスタンブール・ハルカリ線は平坦な路線であったため、往復の短い区間では高速走行は必要とさていなかったようです。その結果、この機関車の設計は比較的シンプルなものとなり、変圧器から直接給電される単相交流モーターを採用していましたが、この技術はすぐに時代遅れとなってしまいました。1957年までに直流式電機機関車の製造は終了し、それ以降、「E4000」系は技術的に時代遅れとなってしまったわけです。[3]

 この機関車は仏ポール・アルザン社によって設計されたものであり、その美しい独特なデザインは長く人びとの記憶にとどまり続けています。

「E4000」系電気機関車

 「E8000」系は、2両の動力車と1両の中間客車で構成されていました。駆動ユニット自体は、Cユニットにのみ荷物室が設けられている点を除くと全てが同じです。「E8000」系は最大3両まで連結可能で、合計で9両編成となることが可能という特徴を有していました。

 国内で製造された中間車を追加することで、この電車が4両編成に延長された時期もありました。しかし、重量の増加により、当初から低かった「E8000」系の加速性能がさらに低下したおかげで、この仕様はすぐに廃れたようです。 [2]

 イスタンブールのアジア側にあるハイダルパシャ・ゲブゼ線で短期間使用されたことを除けば、この電車は56年にわたる運用期間中、一貫してイスタンブール・ハルカリ線で運行されていました。


 1970年代以降、イスタンブールの人口は、郊外に建設された新しい工場が全国各地から労働者を呼び寄せたことで、急激に増加し始めました。人口が急増した結果、かつては郊外だった地域が急速にイスタンブール大都市圏に飲み込まれていったため、公共交通の需要が高まったことは言うまでもないでしょう。


これに加え、「E8000」系では編成が最大でも9両という点が問題となりました。列車が過密状態になり、乗客が乗り降りすするために車外に身を乗り出さなければならないような事態も時折発生したのです。


 1970年代までに、トルコの蒸気機関車のほとんどは電気機関車やディーゼル機関車に取って代わられたものの、「E4000」系イスタンブール・ハルカリ線でのみ運行され続けました。

 信頼性が低下し続け、より現代的な機関車がすでに容易に入手可能となっていたため、これらの旧式機関車は1990年代末に引退させることが決定されました。[3]

 引退後、これらの機関車はハルカリ車両基地の使われなくなった線路に放置され、2010年代半ばまでそこにありました。その後、姿が見かけなくなりましたが、同所にマルマライ線の「E32000」系電車用の新車両基地を建設されたことを踏まえると、おそらくは解体されたものと思われます。[3]


 「E4000」系は3両と台数が少ない上に整備を要する交流モーターを搭載していたため、運用の継続は非現実的と判断された一方、「E8000」系は1990年代初頭以降、少なくともあと20年は運行が続けられる予定でした。

 これらの電車はヴィンテージ風の白ベージュと赤の塗装は、窓の下に赤いストライプが入った、よりモダンな外観の白と青の塗装に塗り替えられました。しかしながら、内外装にはそれ以外の改造や改良が一切加えられず、2011年に引退するまで、1950年代当時のままの状態で運行され続けたことは特筆に値するでしょう。

 「E8000」系の大部分はスクラップとなりましたが、今日でも僅か4編成が生き残っています。


 マルマライ線のより現代的で快適な「E32000」系への更新に伴って「E8000」系が段階的に廃止されたことは、イスタンブール・ハルカリ線を日常的に利用する乗客にとって間違いなく喜ばしいことでした。「E8000」系が、イスタンブール・ハルカリ線に初めて導入された当時の斬新さを思い起こさせる存在として記憶されることを願うばかりです。

 現在のマルマライ線と同様に、イスタンブール・ハルカリ線も当時としては画期的なものであり、ヨーロッパの他の多くの都市に先駆けて、イスタンブールの公共交通機関を飛躍的に改善したことも忘れてはいけません。

 マルマライ線はこの偉業をさらに上回るものであり、2022年後半にハルカリからイスタンブール空港行きのM11号線への接続が実現すれば、イスタンブールの公共交通機関の魅力と利便性はさらに高まるでしょう。


[1] E8000 http://www.trainsofturkey.com/pmwiki.php/MUs/E8000
[2] E14000 http://www.trainsofturkey.com/pmwiki.php/MUs/E14000
[3] BB 4 000 Alsthom https://users.metu.edu.tr/tonuk/E40003/4000/
[4] E4001 to E4003 http://www.trainsofturkey.com/index.php/Traction/E4000


 お知らせ2025年7月に上記本の改訂・分冊版である「The Armed Forces of North Korea Volume 1: Part 1: Korean People's Army Ground Forces Organisation, Strategy and Infantry」が発売されました。残りの巻も完成次第発売される予定です(記載情報は2025年現在のものにアップデート済み)。
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2026年6月13日土曜日

商業的成功への道のり:トルコ国産の新型電車「METS」

「E44000」系METS

著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 この記事は、2022年2月6日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。

 この20年間で、トルコの鉄道輸送は大規模な近代化が進められてきました。トルコ政府は今後数年間にかけて、国内の鉄道網をさらに発展させることを決心しているようです。

 現在、トルコは韓国、アメリカ、イギリスといった国々よりも長い高速鉄道網を有しており、現在整備中あるいは計画段階にある路線が完成すれば、世界第3位の規模を誇る高速鉄道網を持つことになる見込みです。[1] [2]

 この野心はそれだけで終わりません。必要不可欠な鉄道インフラの整備に加え、その路線を走る列車の設計開発も自国で手掛ける予定なのです。つまり、この国は鉄道大国となる道を着実に歩んでいます。

 すでに世界の広範な地域で、トルコ企業は鉄道インフラの建設に積極的に取り組んでいます。2021年、ヤプ・メルケジ社はセネガルにおける「地域高速鉄道(TER)」の第1期工事を完了させました。同事業の契約額は4億ドル(約676億円)にも上ります。TERの完成直後、ヤプ・メルケジ社は、タンザニアと近隣諸国を結ぶ全長368キロメートルの鉄道区間建設に関する19億ドル(約3,200億円)の契約を獲得しました(編訳者注:2022年にはタンザニアの鉄道事業で契約を獲得した)。[3][4]

 トルコ企業が鉄道インフラのほぼ全分野で活躍していることは、アヴィテン社がトルクメニスタンのアシガバートにあるモノレール向けに旅客情報システムを構築する契約を獲得したような小規模なプロジェクトからも裏付けられています。[5] [6]

 これらのプロジェクトに共通する特徴としては、トルコ企業がアフリカ諸国にとって現実的な価格で高品質な鉄道インフラを建設でき、それによってトルコが中国にとっての強力なライバルとして位置づけられている一方、現在のトルコは自国で整備した線路を走行させるための列車を自力供給できていないという点が挙げられます。実際、トゥヴァサシュ(トルコ車両製造株式会社)やユーロテム、トゥロムサシュ(トルコ機関車エンジン工業:現TÜRASAŞ)といった車両製造メーカーはいずれも列車や機関車の組み立てを行ってきたものの、これらの車両は一般的に外国の設計に基づいたものです。

 今後数年のうちに数種類の国産列車が導入されることで、車両面における外国依存は終わりを告げることになるでしょう。その中でも、アフリカ、アジア、さらにはヨーロッパやその他の地域でも商業的な成功を収めることがほぼ確実視されている存在があります:それが時速160kmの走行速度を誇る「Milli Elektrikli Tren(国家電気列車)」です(編訳者注:現「E44000」のこと)。[7]

 トルコが国産電車(EMU)の設計を手掛けている一方で、欧州諸国の大半では、旅客列車の開発と製造がポーランド、スイス、フランス、スペインの企業にアウトソーシングされています。

 国家電気列車(METS)は、欧州及び中央アジア市場における欧州鉄道メーカーの独占体制に挑み、東南アジア、サハラ以南のアフリカ、南米でトルコに全く新しい販路を拓くことになるかもしれません。まもなくトルコ企業が鉄道のほぼ全分野で事業を展開できるようになるという事実は、外国にとってトルコが鉄道事業における極めて魅力的な取引相手となるでしょう。トルコの国際的な影響力の拡大は、この傾向をさらに強めることになると思われます。


 ハイテク鉄道技術の開発・製造に向けたトルコの取組みは、新型EMUだけにとどまりません。今後数年間で、トルコは国産の「E5000電気機関車、通勤列車、ハイブリッド機関車、電気・ディーゼル機関車、そしておそらく最も注目されるであろう国産高速列車の生産を開始する予定です。[8] [9]

 METSの開発・整備を通じて得られたインフラと知見を活用して最高速度225km/hを誇る国産高速列車が登場したならば、トルコは国産高速鉄道の生産を推し進めるでしょう。

 これらのプロジェクトが同時に展開されているおかげで、トルコは(高速)列車、機関車、地下鉄、路面電車、バスなど、あらゆる種類の公共交通機関を自国で整備できる段階に到達しようとしています。

 こうした成果により、そう遠くないうちにトルコでは技術と専門知識を世界中に輸出できる土台が整うことになります。その対象はアジアやアフリカのみならず、南米や欧州に及ぶ可能性があるでしょう。トルコ製の列車がヨーロッパの路線を走るというアイデアについて、一見奇妙に思えるかもしれません。しかし、トルコ産のバスはすでにユーラシア大陸の広範囲にわたって運行されています。それに加えて、チェコ、オーストリア、ハンガリー、セルビアの鉄道事業者がすでに中国製の(旅客)列車を導入していることを踏まえると、トルコ製の列車という構想は決して非現実的なものではないのです。[10] [11] [12] [13]

 中国と同様に、トルコも欧州のメーカーよりも低価格で先端技術を生産することができます。ただし、中国とは異なって、トルコ製の製品には一般的に「中国製」に付きまとうような否定的なイメージがありません。

 トルコの鉄道車両メーカーの競争力の高さは、すでにルーマニアやポーランドにおける複数の契約獲得をもたらしています。その中でも特に注目すべきなのは、ドゥルマズラー社がルーマニアの首都ブカレスト向けに路面電車100両を納入するという1億8000万ユーロ規模(約335億円)の契約を勝ち取った事例でしょう。同社は入札の過程で中国やルーマニアの企業を退けてせり勝ったのです。[14]

 同年、路面電車メーカーであるボザンカヤ社は、ルーマニアのヤシ市に路面電車16両を納入するという3,000万ユーロ(約56億円)の契約を締結しました。この契約も競合していたポーランド企業を制して落札に至りました。ちなみに、同社は2019年の初めにティミショアラ市に路面電車16両の納入に関する3,300万ユーロの契約を獲得しています。また、ドゥルマズラー社は2018年にポーランドのオルシュティン郡と路面電車12両の納入に関する2,380万ユーロ(約44億円)の契約も勝ち取っています。こうした事例は、トルコの鉄道車両メーカーの競争力をはっきりと証明していると言えるのではないでしょうか。[14][15]

 METSのコストは、将来の受注を確保する上での重要な要素となるだけでなく、欧州の鉄道事業者に、いつの日かトルコ製列車への置き換えを働きかける上でも重要なものになると考えれられます。現在のところ、METSは輸入品に比べて80%未満のコストで製造可能であり、量産が本格化すれば、その価格はさらに下落することは間違いないでしょう。METSのプロトタイプの現地調達率は65%であり、量産時には最大80%まで引き上げられる予定です。列車のコンポーネントと技術の80%がトルコ企業から調達されるという事実は、この国の経済を活性化させるほか、数億ドルの資本が国外流出するのを防ぐことにもなります。[16] [17]

トルコの高速鉄道プロジェクトの初期イメージ図

 トゥラサシュは、2025年までにトルコ国鉄(Türkiye Cumhuriyeti Devlet Demiryolları – TCDD)にMETS EMU(電車)を計56編成納入する計画です。2022年には4編成、2023年にさらに15編成の納入が予定されています。トゥラサシュは、国内鉄道車両メーカーの効率性を向上させるため、2020年3月にトゥヴァサシュ、トゥロムサシュ、そしてトゥデムサシュが合併して設立された企業です。[17]

 トゥラサシュによるMETS EMUの製造とトルコ国鉄による導入は、海外からの列車調達に終止符を打つことになうでしょう。これはまさに驚異的な成果と言えます。[18]

 METSの製造と同様に極めて重要なのが、その開発と製造のために整備されたインフラです。これはMETSのみならず、トルコにおける今後のあらゆる列車の開発・製造プロジェクトにも恩恵をもたらすことになるでしょう。このインフラには、車体を製造するための最新鋭の施設と国産の列車統合管理装置(TCMS)が含まれます。

 METSのTCMSはアセルサン社によって設計されました。同社がこれまで多種多様な防衛システムの設計開発で積み重ねてきた経験が、今では公共交通部門に活用されているのです。[18] [19]


 METSは5両編成で最大324名の乗客を収容可能であり、身体の不自由な乗客のために車椅子専用スペースが2か所設けられています。また、この5両編成には、ユニバーサルデザイントイレ(車椅子対応)が1か所、一般トイレも4か所備わっています。

 列車にはファーストクラスとセカンドクラスの区分が設けられており、各車両には小さなテーブル付きのグループ席が配置されています。

 全車両に、天井設置型の乗客用インフォメーションシステムが装備される予定です。ちなみに、運転室には6台の運転席用ディスプレイとスクリーンが設置されています。



 トルコは、タンザニアやセネガルなどの国における鉄道建設において、すでに大きな成果を上げていることは先に申し上げました。今後、この国がこれらの線路を走る列車も製造することになるという事実は、まもなく完全に新しい顧客層を誘引し、トルコ企業が以前よりも大きな市場シェアを獲得することを可能にするでしょう。

 世界的な影響力を高めているトルコは、今まさにこの機会を大いに活用できる絶好の立場にあります。これまで、大部分の国は中国か欧州のいずれかから列車を調達せざるを得なかったわけですが、トルコはまもなく世界の鉄道市場において非常に重要な存在となる可能性があるのです。

 METSは長年にわたる鉄道関連技術への投資の集大成です。しかしながら、トルコの取組みはMETS EMUで終わることはないでしょう。と言うのも、トゥラサシュは近いうちに、鉄道車両や気動車(DMU)といった、輸出向けに特別設計されたより多く種類の車両を既存の製品ラインナップに加える可能性があるからです。

 他国のニーズに適合する列車や設備を設計開発することは、世界各国に向けてあらゆる製品の販売で成功を収めてきたトルコの防衛企業による幅広い取り組みを反映するものになるでしょう。


編訳者による補足:この記事で言及されたMETSは「E44000」と呼称され、2023年5月にアンカラとイスタンブール間の主要路線であるアダパザル~ゲブゼ間での運行が開始された。(2025年時点で)発注された22編成のうち、最後のものは2026年末までに納入されるということだ。[20]

[1] High speed lines in the World https://uic.org/IMG/pdf/20180420_high_speed_lines_in_the_world.pdf
[2] High-speed rail in Turkey: Vision 2023 https://www.globalrailwayreview.com/article/112860/high-speed-rail-turkey/
[3] Rolling Into Modernity: Senegal’s Express Régional https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/rolling-into-modernity-senegals-express.html
[4] Turkish firm lands $1.9B deal to build standard railway in Tanzania https://www.aa.com.tr/en/africa/turkish-firm-lands-19b-deal-to-build-standard-railway-in-tanzania/2459886
[5] Ashgabat’s Quirky Monorail System https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/ashgabats-quirky-monorail-system.html
[6] Ashgabat Olympic Complex - Monorail https://www.aviteng.com/en/monorail.html
[7] NATIONAL ELECTRIC TRAIN SET https://www.turasas.gov.tr/national-electric-train-set
[8] Turkey to start manufacturing 1st indigenous electric train locomotive in 2022 https://www.aa.com.tr/en/economy/turkey-to-start-manufacturing-1st-indigenous-electric-train-locomotive-in-2022/2386599
[9] Karaismailoğlu: National Commuter Train Set Project Started https://en.rayhaber.com/2021/03/karaismailoglu-milli-banliyo-tren-seti-projesi-basladi/
[10] Leo Express to deploy new trains from China https://english.radio.cz/leo-express-deploy-new-trains-china-8121022
[11] Chinese electric multiple units boost regional connectivity across Europe http://www.cseba.eu/news/chinese-electric-multiple-units-boost-regional-connectivity-across-europe/528/
[12] Chinese Bison Arrived In Europe https://www.railvolution.net/news/chinese-bison-arrived-in-europe
[13] Chinese companies start work on $1bn high-speed rail line in Serbia https://www.globalconstructionreview.com/chinese-companies-start-work-on-1bn-high-speed-rail-line-in-serbia/
[14] Turkish tram manufacturers capture Romanian market https://www.railtech.com/rolling-stock/2019/11/19/turkish-tram-manufacturers-capture-romanian-market/
[15] Turkish trams Panorama have appeared in Olsztyn, Poland https://www.railway.supply/en/turkish-trams-panorama-have-appeared-in-olsztyn-poland/
[16] Bakan Varank: Milli elektrikli trenimiz mayıs sonunda raylara indi, bugün itibarıyla da fabrika testlerine başlanıyor https://www.yenisafak.com/ekonomi/sanayi-ve-teknoloji-bakani-mustafa-varanktan-son-dakika-milli-elektrikli-tren-aciklamasi-3547184
[17] Final testing of first Turkish-built EMU begins https://www.railjournal.com/news/final-testing-of-first-turkish-built-emu-begins/
[18] 'Milli Elektrikli Tren' ile ekonomide büyük kazanım https://www.tgrthaber.com.tr/ekonomi/milli-elektrikli-tren-ile-ekonomide-buyuk-kazanim-2693074
[19] Capabilities ASELSAN https://www.aselsan.com.tr/en/capabilities

 お知らせ2025年7月に上記本の改訂・分冊版である「The Armed Forces of North Korea Volume 1: Part 1: Korean People's Army Ground Forces Organisation, Strategy and Infantry」が発売されました。残りの巻も完成次第発売される予定です(記載情報は2025年現在のものにアップデート済み)。
 お知らせ2:2025年10月に「Volume 1: Part 2(陸軍AFV)」が発売されました。 
 お知らせ3:2025年12月に「Volume 2(空軍)」が発売されました。
 お知らせ4:2026年2月に「Volume 3(海軍) 」が発売されました

2026年4月25日土曜日

現代化への歩み寄り:セネガルの地域高速鉄道(TER)

TERの「コラディア・ポリバレント」:ナンバーから「B83500」系の車両と思われる。

著:シュタイン・ミッツアー (編訳:Tarao Goo)

 この記事は、2022年1月25日に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。 意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります。

 アフリカの各国では、効率的な公共交通機関の必要性に対する認識がますます高まってきています。2018年にはモロッコ初の高速鉄道が開通したほか、さらに4つのアフリカ諸国がモロッコの後を追う見通しです。

 2021年、セネガルは首都ダカールと新たな国際空港を結ぶことを目的とした通勤鉄道「地域高速鉄道:Train Express Régional(TER)」の運行を開始し、公共交通の効率化で飛躍的な進展を遂げました。TERでは、最高速度160km/hを誇る仏アルストム社製の最新型車両が使用されています。

 TER最大の目的は、国内の経済活動の大部分が集中している首都とセネガル国内の他地域とのアクセスを向上させることにあります。

 TERの工事は2016年後半に開始され、フランスのエクアンス社とタレス社のグループが電化関連及び信号設備を担当し、鉄道自体の建設はエファージュ社とトルコのヤピ・メルケジ社が結成した共同企業体によって行われました。ちなみに、ヤピ・メルケジ社は、ダカールの国際会議センターブレーズ・ジャーニュ国際空港など、セネガルで数多くの建設プロジェクトに携わってきた実績を有しています。[1]

 この鉄道路線は全長55kmで14の駅が配置されており、1日あたりの乗客数の見込みは11万5000人です(ダカール都市圏の人口は約400万人と推定)。TERの第1区間は2021年12月に開通していますが、ブレーズ・ジャーニュ国際空港へと繋がる第2区間の完成は2023年末の予定となっています。このプロジェクトの総費用は推定13億ドル(約1400億円)と見込まれているようです。[2]

 ティエスおよびンブールへの路線延伸工事については、早ければ2024年に着工される予定です(編訳者注:2026年現在で着工は開始されていない)。

人目を引くダカール駅は1914年に建設されたものの、長年にわたり放置されていました。TER開通のおかげで、再びダカール市のターミナル駅としての役割を担っています。

 ディアムニアディオという新興都市は、TERの恩恵を受けている都市の一つです。この都市の整備は、セネガル政府が推進する経済活性化計画(セネガル新興計画)において重要な役割を果たしています。

 ディアムニアディオ経済特区のねらいは、ダカールへの人口集中を緩和しつつ、全長32kmの新高速道路とバス高速輸送システム(BRT)、そしてTERを活用して、ダカールへの迅速なアクセスを提供することにあります。TERの片道料金は3ドルですが、セネガルの人口の半数が貧困ライン以下の生活を送っていることを考えると、多くの人々にとって依然として法外な価格設定と言えるでしょう。


 TERはセネガル初の電化路線であると同時に、同国初の標準軌路線(1435mm)という特徴を持っています。というのも、この国における既存の鉄道網は(当然ながら)軌間1メートルのメーターゲージを採用しているからです(編訳者注:フランス語圏のアフリカではメーターゲージを採用している鉄道が多い)。

 アルストム製の列車が最高時速160kmで走行できる2本のTER路線に加えて、同路線の隣接部には貨物列車用のメーターゲージ路線も敷設されていますが、さらに同路線をもう1本増設するスペースも残されています。このことは、セネガルが貨物輸送用に既存の貨物列車をそのまま活用できることを意味しています。つまり、わざわざ新しい標準軌の車両を購入する必要がないというわけです。

 左側には2本の標準軌路線が、右側には貨物列車用のメーターゲージ路線と2本目の貨物線路用のスペースが見える。

 セネガル向けの「コラディア・ポリバレント」は、アルストム社が設計・製造した電気・ディーゼル両用車両(EDMU)です。[4] この列車は4両編成で、1等車と2等車に分かれており、最大収容人数は約400名となっています。[5]

 EDMUには充実した空調システムが搭載されている点は大いに注目すべき特徴と言えます。
なぜならば、これはサハラ以南のアフリカにおけるあらゆる公共交通機関にとって不可欠な設備でありながら、旧式列車の大半には備わっていないものだったからです。

 また、「コラディア・ポリバレント」は(主に欧州で製造される新世代の列車に一般的に見られる規格の)低床構造 を採用したことで、特に身体の不自由な乗客にとって、車内への乗り降りがより容易なものとなっています。


 TERの開通に先立ち、セネガルは1987年にダカールとティエスを結ぶ通勤鉄道「Petit train de banlieue (PTB) 」の運行を開始しました。PTBは現在も運行されており、2010年代初頭にインドから導入した空調付きディーゼル気動車(DMU)が使用されています(編訳者注:PTBは2016年には廃止されたとのこと)。[6]

 新型の「コラディア・ポリヴァレント」EDMUに比べれば快適性はかなり劣るものの、それでも、これらの気動車(DMU)は今なおセネガルで最も近代的な列車の一つであり続けています。これは、この国が公共交通分野で成し遂げた進歩を明確に示している事例と言えるでしょう。

 ちなみに、セネガルでは首都ダカールにバス高速輸送システム(BRT)を導入する計画も立てられています。これは、首都の混雑した道路でスペースを奪い合い、大気汚染の源となっている小型バスに取って代わるものです。 [7]


 セネガルでは今でもよく見かける機関車牽引列車:PTBが運用しているDMUと同様に、これらの客車もインドから導入されたものだ。

 「地域高速鉄道(TER)」はセネガルをアフリカにおける公共交通の最先端に押し上げ、首都ダカールとその広大な郊外地域は今後数十年にわたる発展に向けて準備を整えています。TERの線路が通る場所には、新たな都市が次々と誕生していくことは、決してあり得ない話ではないでしょう。

 今後の延伸計画により、国内のさらに広範な地域をカバーする見込みのTERは、交通渋滞の緩和や大気汚染の削減を図りながら、セネガルの(経済的)成長を促進する上で極めて重要なアセットとなり得ます。他のアフリカ諸国の大半が同様の成果を望めるようになるのは、数年あるいは数十年先のことではないでしょうか。


 編訳者による補足:TERの第2区間( ダカール~ブレーズ・ディアニュ国際空港)は2025年12月にシステム統合試験が完了し、早ければ2026年前半に運行が開始される予定だ。[8]

[1] Senegal launches first stage of express railway line https://www.aa.com.tr/en/africa/senegal-launches-first-stage-of-express-railway-line/1364720
[2] Senegal's new commuter train makes first journey from capital Dakar https://www.reuters.com/markets/commodities/senegals-new-commuter-train-makes-first-journey-capital-dakar-2021-12-27/
[3] Senegal's new commuter train makes inaugural journey from Dakar https://youtu.be/nILd4I8Ec_0
[4] Alstom celebrates Coradia Polyvalent’s first journey in Senegal with APIX https://www.alstom.com/press-releases-news/2019/1/alstom-celebrates-coradia-polyvalents-first-journey-senegal-apix
[5] Alstom begins shipping Coradia Polyvalent regional trains for Senegal https://www.alstom.com/press-releases-news/2018/10/alstom-begins-shipping-coradia-polyvalent-regional-trains-senegal
[6] In a first, RCF to roll out AC metre gauge DMU for export http://archive.indianexpress.com/news/in-a-first-rcf-to-roll-out-ac-metre-gauge-dmu-for-export/768935/
[7] Senegal wants to introduce electric buses for public transport in the capital by 2025 https://www.africalogisticsmagazine.com/?q=en/content/senegal-wants-introduce-electric-buses-public-transport-capital-2025
※ 以下は編訳に際して参考とした資料である。
[8] TER Phase 2: Dakar–airport line completes system integration tests
https://railmarket.com/news/passenger-rail/44730-ter-phase-2-dakar-airport-line-completes-system-integration-tests?region=eu
[9] DAKAR https://www.urbanrail.net/af/dakar/dakar.htm
[10] 西アフリカ最大規模の経済特区整備計画が進むセネガル https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/aaefae0aaf919060.html
[11] アフリカ地域 在来鉄道を活用した都市交通改善に係る 情報収集・確認調査 ファイナルレポート 要約版 https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/12375358.pdf
[12] アフリカ地域 在来鉄道を活用した都市交通改善に係る 情報収集・確認調査 ファイナルレポート https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/12375366.pdf


 お知らせ2025年7月に上記本の改訂・分冊版である「The Armed Forces of North Korea Volume 1: Part 1: Korean People's Army Ground Forces Organisation, Strategy and Infantry」が発売されました。残りの巻も完成次第発売される予定です(記載情報は2025年現在のものにアップデート済み)。
 お知らせ2:2025年10月に「Volume 1: Part 2(陸軍AFV)」が発売されました。 
 
お知らせ3:2025年12月に「Volume 2(空軍)」が発売されました。
 お知らせ4:2026年2月に「Volume 3(海軍) 」が発売されました


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