2022年2月24日木曜日

【独占】欧州への攻撃:ウクライナ侵攻でロシア側が喪失した兵器類(一覧)


: ヤクブ・ヤノフスキ, naalsio26, アロハ, ダン と ケマル, アレクサンダー・ブラック翻訳:Tarao Goo)

  1. 日本語版での最終更新日:2024年11月24日午前1時本国版はほぼ週に1,2回に更新:日本語版は11月23日のものを反映
  2. 当一覧は、2022年2月23日に当ブログの本国版である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです(翻訳者は損失の精査には関与していません
  3. 2022年2月24日から続くロシアによるウクライナ侵略で撃破されたり、鹵獲されたロシア側の兵器類の詳細な一覧を以下で見ることができます。
  4. この一覧については、資料として使用可能な映像や動画等が追加され次第、更新されます
  5. この一覧は、写真や映像によって証明可能な撃破または鹵獲された兵器類だけを掲載しています。したがって、実際に喪失した兵器類は、ここに記録されている数よりも多いことは間違いないでしょう。
  6. ライフルなどの小火器、弾薬、民生車両や以前から用廃となっている兵器類はこの一覧には含まれません。
  7. この一覧は、各種情報を精査して確実と判断したものだけを掲載しています。したがって、後で誤りや重複が判明したものは適宜修正されます
  8. 航空機類については、撃墜を含めて地上に落下に至ったものを「墜落」と表記しています。また、事故による損失で戦争に従事する機体についても喪失数に計上しています。
  9. 鹵獲された後に奪回されたものも掲載していますが、喪失数には計上していません。
  10. 「損傷」は中破以上で戦闘復帰に長期の時間を要するか、事実上不可のものを意味します。
  11. 各兵器類の名称に続く数字をクリックすると、破壊や鹵獲された当該兵器類の画像を見ることができます。
  12. 本国版「Oryx」ではこの一覧の更新が常時なされていますが、日本語版については翻訳作業だけでも非常に大変なため、特異なものがない限りは月に1、2回程度の更新とさせていただきます。

分冊・改訂版は2025年前半に発売予定です


損失数: 19,180(このうち撃破:14,308 , 損傷:815, 放棄:1,065, 鹵獲:2,992)


戦車 (3,578, このうち 撃破: 2,511, 損傷: 158, 放棄:376, 鹵獲: 533)

装甲戦闘車両 (1,756, このうち 撃破: 1,345, 損傷: 36, 放棄: 104, 鹵獲: 271)


歩兵戦闘車(5,033, このうち 撃破: 3,845, 損傷: 150, 放棄: 415, 鹵獲: 623)

装甲兵員輸送車 (562, このうち 撃破: 410, 損傷: 18, 放棄: 42, 鹵獲: 92)

MRAP:耐地雷・伏撃防護車両 (56, このうち 撃破: 39, 損傷: 5, 放棄: 1, 鹵獲: 11)

歩兵機動車 (313, このうち 撃破: 239, 損傷: 18, 放棄: 2, 鹵獲: 54)

指揮通信車両類 (293, このうち 撃破: 200, 損傷: 5, 放棄: 2, 鹵獲: 86)

工兵・支援車両 (594, このうち 撃破: 346, 損傷: 45, 放棄: 50, 鹵獲: 153)

無人車両 (4, このうち撃破:4 )

自走式対戦車ミサイルシステム (45, このうち 撃破: 20, 損傷: 1, 放棄: 4, 鹵獲: 20)


対戦車ミサイル(76,このうち放棄:24, 鹵獲:52)※2022年3月半ばをもって更新終了(損失数から除外)

携帯式地対空ミサイルシステム(24, このうち鹵獲:24)※同上

重迫撃砲 ※2022年11月末をもって更新終了(損失数から除外)

砲兵支援車両または装備類 (128, このうち 撃破: 72, 放棄: 1, 鹵獲: 55)

牽引砲 (418, このうち 撃破: 257, 損傷: 58, 放棄: 5, 鹵獲: 98)

自走砲 (855, このうち 撃破: 693, 損傷: 47, 放棄: 6, 鹵獲: 109)

多連装ロケット砲 (440, このうち 撃破: 347, 損傷: 37, 放棄: 2, 鹵獲: 54)

対空砲 (57, このうち 撃破: 38, 損傷:1, 鹵獲: 18)

自走対空砲 (27, このうち 撃破: 16, 損傷: 2, 放棄: 2, 鹵獲: 7)

地対空ミサイルシステム (288, このうち 撃破: 213, 損傷: 47, 放棄: 4, 鹵獲: 24)

レーダー (85, このうち 撃破: 52, 損傷: 23, 鹵獲: 10)

電子妨害・攪乱システム (86, このうち 撃破: 65, 損傷: 12, 鹵獲:9)

航空機(132, このうち 墜落・地上撃破 117, 損傷: 15)

ヘリコプター (147, このうち 墜落: 115, 損傷: 30, 鹵獲: 2)

無人戦闘航空機 (18, このうち 墜落: 14, 損傷:1, 鹵獲: 3)

無人偵察機 (503, このうち 墜落: 321, 放棄:1, 鹵獲: 181)

無人標的機 (4, このうち墜落:1, 鹵獲:3) ※2022年5月末をもって更新終了(損失数から除外)
  •  3 E95M 無人標的機 (ウクライナの防空システムの位置を探るための囮として投入された可能性あり): (1, 鹵獲) (2, 鹵獲) (3, 鹵獲)
  •  1 KBLA-IVT 無人標的機 (ウクライナの防空システムの位置を探るための囮として投入された可能性あり): (1, 墜落)

徘徊兵器 (7, このうち墜落:7) ※2022年4月27日をもって更新終了(損失数から除外)

艦艇 (28, このうち 沈没・撃破: 21, 損傷: 7)

軍用物資補給列車(4:このうち撃破:4)※2022年12月をもって更新終了(損失数から除外)

トラック・ジープ・各種車両 (3,734, このうち 撃破: 3008, 損傷: 99, 放棄: 48, 鹵獲: 579)

2022年2月22日火曜日

イカサマだらけの偽旗:ウクライナ東部における偽旗作戦で失われた兵器類(一覧)


著:ステイン・ミッツアー in collaboration with Dan, Jakub Janovsky と COIN(編訳:Tarao Goo)

 ロシアと同国が支援する分離主義勢力(自称ドネツク人民共和国:DNRと自称ルガンスク人民共和国:LNR)の部隊はロシア軍によるウクライナ侵攻の口実をでっち上げるため、2022年2月中旬からウクライナ東部で数多くの偽旗作戦を実施し続けています。

 ロシアは長い間にわたって、自国や友邦を犠牲者として演じ、(例えば「MH17」撃墜事件の)責任を逃れ、混乱を引き起こし、戦争の口実を作り出すために、そのような偽旗作戦を実施してきました。

 典型的なロシアのやり方では、これらの作戦は、ほとんどのロシアによる情報戦に特有と思しき未熟な手法で行われているようです。[1]

 特にウクライナ東部での偽旗作戦には、「ウクライナの破壊工作員がロシアに潜入した」というものが含まれています。[2]

 (潜入作戦に参加したとされるウクライナ兵のヘルメットに装着されたアクションカム映像について)撮影された映像の位置情報から、ロシア領への侵入は分離主義勢力の支配地域から行われたことが判明し、公開から1時間以内にこの話はフェイクであると暴かれました。(注:位置情報は座標以外にも建物や地理的特性からも特定可能です。いわゆるジオロケート)。[3]

 ロシアはこの潜入の撃退の結果として殺害したとされる5人のウクライナ兵の遺体を見せる代わりに、ウクライナ軍の車両に見えるようによく考えられずに塗装された「BTR-70M」装甲兵員輸送車(APC)の残骸を公開しました。[4]

 皮肉なことに、ウクライナは「BTR-70M」を運用していないため、このような偽旗作戦にどの程度注意が払われているのか(または適当であること)をさらに示しています。

 その他の偽旗作戦には、自動車の爆破やロシアと分離主義勢力の当局が公表する数日前に撮影されたことを示すタイムスタンプが付された住民避難計画の動画すら含まれています。[5]

 これらの全作戦に共通する傾向としては、偽旗作戦がロシアを有利にするどころか、本格的な「のけ者国家」になる道へいっそう推し進めていると言えるでしょう。

 自軍の車両をウクライナのように見せてから、ひどいやらせの「挑発行動」に登場させた後に有り余るほどの証拠を残しながらその車両を爆破するというのは、まさに茶番でイカサマに満ちた「偽旗」を明らかにしていることに疑いの余地はありません。

(各装備名に続く数字をクリックすると、ロシアの偽旗作戦で破壊されたロシアまたは分離主義勢力の車両の画像が表示されます)


ロシアとドネツクまたはルガンスク州における分離主義勢力が「損失」した兵器・装備類

 
装甲戦闘車両(3台、そのうち破壊されたもの: 3台)

ソフトスキン車両 (2台, そのうち破壊されたもの: 2台)

最終更新日:2022年2月22日

[1] How GRU Sabotage and Assassination Operations in Czechia and Bulgaria Sought to Undermine Ukraine https://www.bellingcat.com/news/uk-and-europe/2021/04/26/how-gru-sabotage-and-assassination-operations-in-czechia-and-bulgaria-sought-to-undermine-ukraine/
[2] Russian border security eliminates five saboteurs infiltrating from Ukraine https://tass.com/emergencies/1407169
[3] https://twitter.com/EliotHiggins/status/1495775073906610180
[4] https://twitter.com/NotWoofers/status/1495890957048418316
[5] https://twitter.com/EliotHiggins/status/1494783522682425344

※  当記事は、2022年2月21日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
  ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
  があります。



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2022年2月16日水曜日

終わりなき内戦の中で:エチオピア・オロミア州でも武装ドローンが投入された

「モハジェル-6」※イメージ画像であり、エチオピアとは無関係です

著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 2022年1月初にエチオピア・オロミア州のギダミの町付近でイラン製「ガーエム-5」精密誘導爆弾(PGM)の残骸が発見されたことは、エチオピア空軍(ETAF)がイラン製の「モハジェル-6」UCAVをオロミア州に近い空港に全身配置したことを示す最初の兆候でした。[1] 

 衛星画像は、今や武装ドローンが隣接するベニシャングル・グムズ州のアソサに配備された可能性が高いことを示唆しています。[2]

 アソサからの「モハジェル-6」は、現時点でオロモ解放戦線(OLA)が活動しているオロミア州の大部分をカバーするのに十分な航続距離を有しています。 

 オロミア州の一部地域は反政府活動の温床となっています。TPLFは2021年11月にティグライ人民解放戦線(TPLF)や他の反政府勢力とも同盟を結び、エチオピア政府に対する統一戦線を形成しました。

 現在も続くエチオピアの紛争については、一般的にエチオピア政府とTPLFの間で起きているものと考えられていますが、実際のところは国内各地に存在するさまざまな勢力が互いに争っているのです。

 ETAFは散発的な空爆やドローン攻撃で、反政府勢力の活動を阻止しようとしています。オロミア州上空で実施されたドローン攻撃は民間施設の破壊や民間人の殺害をもたらしたと報告されていますが、これらは独立して検証されたものではありません。[3]

 「モハジェル-6」は衛星通信システム(SATCOM)を備えていないため、作戦可能範囲はたった200kmに限られています。つまり、このUCAVはエチオピア北東部のセマラ空港や中部のハラールメダ空軍基地からティグレ防衛軍の拠点に到達するには十分でしたが、オロミア州上空に到達することは完全に不可能だったのです。 

 「モハジェル-6」を格納するため、アソサ空港の駐機場に2棟の小さな格納庫が建設されたことが確認されました。格納庫には(雨天などの)天候からドローンを保護することに加えて、衛星から稼働していない「モハジェル-6」の存在を秘匿できるという別の利点もあります。



 2022年1月上旬に、当ブログはギダミ近郊で「ガーエム-5」PGMの残骸が発見されたことを最初に報じました。[1]

 アラブ首長国連邦がティグライ上空で運用する「翼竜Ⅰ」UCAVが、同地方のアラマタ近郊にある民間施設への一連の空爆に関与している可能性について、私たちがそれを暴露してからまだ1週間も経っていないのにこのような発見がなされたのです。[4]

オロミア州のギダミ近郊で発見された「ガーエム-5」PGMの残骸

 エチオピアのドローン飛行隊の急速な拡大は、今や政府軍にオロミア州を含む、従来よりも広範囲な国土を武装ドローンでカバーできるようにさせました。 

 オロミア州上空での「モハジェル-6」の投入は、敵を力づくで服従させるために武装ドローンを使用するエチオピア政府による最新の試みです。この戦術の成功は、衰えることのないドローン戦の圧力に屈したTPLFの軍隊がティグライ州の国境まで後退したことによって証明されています。 

 しかし、民間人の犠牲に対する国際的な懸念が高まっているため、エチオピア政府は近いうちに空爆の停止を余儀なくされるかもしれません。

「モハジェル-6」※イメージ画像であり、エチオピアとは無関係です

この記事の作成にあたり、Wim ZwijnenburgSaba Tsen'at Mah'derom に感謝します。

[1] Iranian Drone Munitions Found In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/iranian-drone-munitions-found-in.html
[2] https://twitter.com/wammezz/status/1482337749197856777
[3] https://twitter.com/Habtamu30820631/status/1479083838215274502[4] UAE Implicated In Lethal Drone Strikes In Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2022/01/uae-implicated-in-lethal-drone-strikes.html

※  当記事は、2022年1月17日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
  ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
  があります。

 

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