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2025年3月8日土曜日

サマルカンドの鉄獅子:ウズベキスタンの軍用車両・重火器(一覧)


 著:ヤン・キンデルダイク, シュタイン・ミッツァー と Buschlaid(編訳:Tarao Goo
 
 この記事は2023年9月3日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したものです

 地図を見ると、ウズベキスタン共和国は5つの内陸国に囲まれている国であることが分かります:北にはカザフスタン、北東にはキルギス、南東にはタジキスタン、南にはアフガニスタン、南西にはトルクメニスタンが位置しているのです。

 この独特な地理的状況は、ウズベキスタンを世界で2つしか存在しない「二重内陸国」の一つにしました。アフガニスタンと国境を接しているため、中央アジアにおけるこの国の位置はさらに重要なものとなっています。

 テロリストの脅威がもたらす潜在的な危険性は、ウズベキスタンが軍事侵攻を受ける危険性を上回っています。これを踏まえ、同国の軍事面における投資の大部分については、「K-53949 "タイフーン-K"」や「エジデル・ヤルチュン」MRAP、十数機のユーロコプター「AS532」輸送ヘリコプターや同程度の「AS550」汎用ヘリコプター、4機の「C-295W」輸送機などの導入を通じた、対テロ戦力の増強に向けられています。

 ウズベキスタン軍が保有する装備の大半の起源はソ連軍のトルキスタン軍管区にありますが、その他の装備の一部は欧州通常戦力(CFE)条約を通じて入手したものです。条約の規定でソ連はウラル山脈の後方に大量の兵器を移転することが義務付けられたため、結果としてウズベキスタンの領土に数百台もの「T-64」と「T-80」が存在する事態になったのでした。

 深刻な装輪式装甲兵員輸送車(APC)の不足に直面したため、ウズベキスタンは2000年代に多数存在する特殊用途のAFVをAPCに転用したり、後でロシアから多数の「BTR-80」を入手するなどして補完しました。なお、後者についてはカリモフ大統領の時代に行われた数少ない軍備調達の一つでもあります。

 ウズベキスタンは不安定な地域に位置するため、アメリカは同国の対テロ戦力の強化を図るべく2015年に308台のMRAPと20台のMRV(MRAPベースの回収車)を寄贈しました。[1]これは2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争以前にポスト・ソビエト国家にアメリカ製兵器を譲渡したものとしては唯一にして最大のものであり、ウズベキスタン軍の戦力を大幅に向上させました。

 カリモフ大統領の後継者であるシャフカット・ミルジヨーエフは軍への投資を大幅に増やし、2010年代後半にはロシアからカマズ「タイフーン-K」 MRAPと「BTR-82A」APCを調達しました。

 新型戦車の導入には至っていないものの、ウズベキスタンの防衛産業は「T-62」、「T-64」、そして「T-72」の近代化改修に着手しています。とは言っても、これらの近代化は未だに試作段階の域を超えていません。これとは別に、国産の兵器が配備されつつあります。現時点では、これらは戦術車両と歩兵機動車の分野に及んでいます。

 ウズベキスタンが兵器類の近代化と生産能力をさらに拡大するために尽力していることを考えると、おそらく近い将来に新たなウズベキスタン製AFVが姿を現すことになるでしょう。そして、国産AFVがソ連・アメリカ・ロシア製だらけの難解なウズベキスタンのAFV一覧に追加されることを疑う余地もないでしょう。

  1. この一覧は、現在のウズベキスタン陸軍で使用されている全種類のAFVをリストアップ化を試みたものです。
  2. この一覧には、画像・映像などで存在が確認されたものだけを掲載しています。
  3. 対戦車ミサイル、携帯式地対空ミサイルシステム、迫撃砲やトラック、ジープ類はこの一覧には含まれていません。
  4. 特定のAFVなどが軍部隊以外で運用されている場合は括弧内にその旨を追加しています。
  5. 各兵器の名前をクリックするとウズベキスタンで運用中の当該兵器の画像を見ることができます。

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